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FMPress Publisher(FileMaker データベースを変換し Web アプリ化)

第 7 章 INTER-Mediator の適用範囲と評価 95

7.3 フレームワークの利用実績

7.3.2 FMPress Publisher(FileMaker データベースを変換し Web アプリ化)

7.3. フレームワークの利用実績 107

図7.3:印刷オーダーの見積もり画面

とのやりとりといったものが,顧客に対して統合的に提供されているような状況はあまり見られない点に 西ヶ谷一志さんは懸念していた.他社サイトが使い勝手が悪くなっている事情は確定的にはわからないが,

例えば,システムの構築後に機能を追加することがうまくいかず,受発注とは別にファイル送信サービスを 併用するなどの措置を取っているといったことが原因として考えられる.しかしながら,INTER-Mediator を利用したサイトについては,他社のサイトを見て感じた懸念は払拭され,「使い勝手の上でも十分に競争 力のあるサイトができて満足している」と高い評価をいただいている.

イトにアップロードすると,自動的に各レイアウトに対応するページファイルと定義ファイルが生成され てダウンロードができるようになっている.データベースを運用しているFileMaker Serverにアップロード すればそれですぐに利用できる.コンバータはPHPで記述されたスクリプトで作成されており,JavaScript の追加ライブラリも含まれている.

図7.4に示すFileMakerのレイアウト画面をコンバートしてWebブラウザで参照したのが図7.5である.

実用上,ほぼ問題がないくらいにFileMakerのレイアウトが再現されている.FileMakerの最近のバージョ ンではレイアウトテーマをCSSで記述するなど内部動作がCSS基調であることが推測される.Publisher

はFileMakerのレイアウトをCSSにより再現していて,画面の見た目の違いは非常に少ないものになって

いる.FileMakerでは任意のレコードセットと,その中の1つの選択レコードをテーブルオカレンスが保持 し,それをレイアウトに表示するといった仕組みがある.INTER-Mediatorにはそれに相当する機能はない が,PublisherではFileMakerとの操作上の互換性を確保すべく,レコードセットの保持や選択レコードの扱 いができるようなWebアプリケーションを生成している.

INTER-Mediatorを選択した理由として,FileMaker Serverのサポート,そしてFileMakerの古いバージョ ンとの互換性に必要なPHP 5.2のサポート,さらに開発が継続的に行われてきている点を挙げる.さらに,

他のフレームワークに比較して,デプロイメントが容易である点や,CRUDの処理に対応していること,

ポータル(FileMakerでの関連レコード展開)に相当する機能があったことも選択した理由に挙げられてい る.現在のFileMaker 13はWebDirectという機能でFileMakerのデータベースをそのままWeb公開できる 機能を提供しているが,WebDirectが登場したとしても,Androidでの利用が可能な点など,Publisherの方 にも有利な点があるとしている[112].

Publisherの開発は,INTER-Mediatorのコミッターによって行われており,開発成果の還元もされている

[116].筆者もPublisherに対して全面的なサポートを行っており,2013年7月に開催されたプレス向け発表

会で同席をしている[113].この発表会でPublisherの開発を公表した結果,いくつかのニュースサイトで記 事が掲載されている[18][67][145].

Publisherでは,FileMakerのすべての機能を再現できてはいない.計算フィールドの即時更新ができない

ことや,スクリプトのステップの部分的なサポートといったことが課題となっている.また,FileMakerの 制限として設計情報に含まれない情報があり,しかもレイアウトのパートの区切り目の情報が得られない点 は大きな課題になっている.同社はこれらの制限に少しずつでも対応していく予定である.

FileMakerデータベースをINTER-Mediatorで公開できる形式に変換はできるものの,現状では本格的に

利用している目立った事例はまだ出てきておらず,テスト運用までの利用になっている.Publisherを使え ば一定の機能を持ったアプリケーションがすでにできていることになり,見方を変えれば保守開発からス タートすることになる.現実に利用者側で行うことができそうな作業としては「レイアウト名やフィールド 名の変更」「フィールドの配置場所の変更」「フィールドの追加」「ページファイルの変更・更新」を想定し ている.フィールドの追加を除いて,HTMLの修正を始めとする宣言的な記述の修正や追加でできること である.FileMakerはテーブルのスキーマ定義を行うユーザーインタフェースがあり,一般的なSQLデータ ベースに加えてスキーマ修正は容易であり,フィールド追加が手軽にできるのはFileMakerの1つの特殊性 である.

7.3. フレームワークの利用実績 109

図7.4:変換対象のFileMakerのデータベース

図7.5: Publisherで変換した結果をWebブラウザで参照(開発中のバージョンを利用)