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FIR フィルタ型繰返し制御を用いたパワーアシスト (FIRRC) 22

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4. パワーアシスト方式 15

4.3 フィルタ型繰返し制御の応用によるパワーアシスト [17]

4.3.2 FIR フィルタ型繰返し制御を用いたパワーアシスト (FIRRC) 22

FIRフィルタ型繰返し制御を用いた電動アシスト自転車のパワーアシストシス テムは図17のように与えられる. ここで,KRC(z)は繰返し制御器,Ko(z)は前置 制御器である. いま,KRC(z)はFIRフィルタX(z) =K

k=κXkz−kと誤差追従制 御器L(z)によって構成されている. また, 速応性改善のためにKRC(z)にフィー ドフォワード項を追加している.

図 17 FIRフィルタ型繰返し制御によるパワーアシスト

図 18 KRC(z)の構造

次に, Ko(z), RKC(z) の設計について簡単に述べる. ここでは, 感度関数を

S(z)(= So(z)Ms(z)), KRC(z) = 0としたときの感度関数をSo(z), 相補感度関 数To(z)とする. なお詳細は[17]を参照されたい.

1 Ko(z)の設計(閉ループ系の安定化)

Ko(z)を選ぶ条件は, KRC(z) = 0としたときの感度関数をSo(z)として, 閉ルー プ安定である必要がある. 次に, 低周波域で低ゲインとなるようにし, 直流成分 を除去しないようにする. そして, 高周波域でノイズの影響を受けないように,

∥So(e0Ts)を小さくする.

2 L(z)の設計(ペダリング周波数帯域以外の制御性能の設計)

FIRフィルタXの決定がSo(z)とは別に設計が出来るようにTo(z)を最小とす るKo(z)を求め, L(z) =To(z)1とおく.

3 X(z)の設計(ペダリング周波数帯域での制御性能の設計)

以下の最適化問題を解き, フィルタの係数を求める.

minimize γp,∆

subject to ∥Ms(e0Ts)≤ϵ, (21)

|Ms(e0Ts)|≤γp,∆, ωl ≤ω0 ≤ωh, (22)

|X(e0Ts)|≤ζ. (23) 上記の制約条件は順に,ペダリング周波数帯以外での性能, ペダリング周波数帯で の性能, 定常波成分の除去を防ぐことを意味している. このように有限周波数特 性をもつ設計問題に対して有限周波数KYP補題に基づく解法が提案されている [24].

有限周波数 KYP補題[24] 行列 A Cn×n, B Cn×m, C Cp×n, D Cp×m,ΠHn×nと(28)で定義されるΛ(Φ,Ψ)が与えられ,det(λI−A)̸= 0,∀λ∈Λ が成立しているとする. このとき,

σ(G(λ),Π)<0, ∀λ∈Λ(Φ,Ψ) (24) が成立するための必要十分条件は,以下の行列不等式を満たすP Hn, Q >0 Hn が存在することである.

[A B

I 0

]

⊗P + Ψ⊗Q)

[A B

I 0

]

+ Θ <0 (25)

ただし,

Θ :=

[C D

I 0

]

Π

[C D

I 0

]

(26) ここで, Πは周波数特性を既定する 有界実性と正実性の条件は, 式(27)のよう に定めればよい.

Π = Πbr :=

[Im 0 0 −γ2Im

]

,Π = Πpr :=

[ 0 Im Im 0

]

(27)

Φは連続時間系・離散時間系を定義する. 連続時間系・離散時間系に対して, Φc,Φd

Φc = [0 1

1 0 ]

,Φd =

[1 0 0 1

]

(28) と定める. これは(24)を満たす.

Ψは周波数帯域を設定する役割を果たす. 連続時間・離散時間における周波数 帯域とΨの関係を表1に示す.

表 1 周波数帯域とΨの関係

連続時間 Ω Ψ

LF 0| ≤ϖl

[1 0 0 −ϖl2

]

MF ϖ1 ≤ω0 ≤ϖ2

[ 1 c

−jϖc −ϖ1ϖ2 ]

HF 0| ≥ϖh

[1 0 0 −ϖh2

]

ただし,ϖc := (ϖ1+ϖ2)/2

離散時間 Θ Ψ

LF |θ| ≤ϑl

[0 1 1 2 cosϑl

]

MF ϑ1 ≤θ≤ϑ2

[ 0 ec ec 2 cosϑ

]

HF ϑh ≤ |θ| ≤π

[ 0 1

1 2 cosϑh ]

ただし, ϑc := (ϑ1+ϑ2)/2,ϑ := (ϑ2−ϑ1)/2

行列不等式(25)は変数に対して2次となり,凸最適化問題として解くことがで きない. しかし,この行列不等式を変形することで, LMI最適化問題に帰着できる クラスがあり, FIR設計問題がこれにあたる. 式(25)にSchur complementを適用 した式を以下に示す.

Γ(P, Q, C, D) [

C D

] S S

[

C D

] −R

<0 (29)

ただし, Π11 =SR1S:R > 0はフルランク分解 Γ(P, Q, C, D) :=

[A B

I 0

]

⊗P⊗Q)

[A B I 0 ]

+

[ 0 CΠ12

Π12 DΠ12+ Π12D+ Π22 ]

(30) である.

5. 数値シミュレーション

ここでは, 踏力比例制御, 修正繰返し制御(図13), FIRフィルタ型繰返し制御 (図17)を用いたパワーアシストの数値シミュレーションをおこない有効性を検証 する.

5.1 制御系設計

ここでは, 前述の修正繰返し制御およびFIRフィル型繰返し制御の設計をおこ なう. なお, 同定実験から得られた自転車モデルの駆動系G(z), モータの伝達関 数F(z)は,

G(z) = 0.078

z−0.901 (31)

F(z) = 2.56 (32)

である. 数値シミュレーションをおこなうにあたって, 人間の踏力d

d=d1sinω0t+d0, (33)

d1 = 1.4, d0 = 2

と与える. なお, サンプリング周期はTs = 0.01[s]とする. 修正繰返し制御では,

遅れ段数N = 75, 前置補償器を

K(z) = 4.589z4.132

z−0.905 (34)

とする. 一方, FIRフィルタ型繰返し制御においてはK = 40とし, 前置き補償 器を

K(z) = 3.33z3.33

z−0.905 (35)

とし, ωh = 8.98, ωl = 7.85の範囲で26[dB]以上の減衰が得られるようにした.

両手法の踏力から速度までの伝達関数のボード線図を図19に示す.

ここで,修正繰返し制御のボード線図のノッチの中心部の角速度ω0は8.38[rad/sec]

-10 -20 -30 -40 -50 -60 -70

-807 8 9 10

angular velocity[rad/sec]

gain[dB]

MRC FIRRC

図 19 二手法の踏力から速度までのボード線図

ノッチの広帯域化を実現している. また, 踏力の角速度がノッチの中心部であ るときと, そこから変化させたときの両手法の時間応答の偏差を図 20, 21に示 す. FIRフィルタ型繰返し制御は周波数がノッチの中心部から変化している場合 (ω0 = 8.20[rad/sec])にも,速度の脈動を抑えていることがわかる.

170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 time[sec]

0 1.0

deviation[km/h]velocity -1.0 2.0

-2.0 -1.5 -0.5 1.5

0.5

PPC MRC FIRRC

図 20 速度応答の偏差(ω0=8.38[rad/sec])

170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 time[sec]

0 1.0

velocitydeviation[km/h] -1.0 2.0

-2.0 -1.5 -0.5 1.5

0.5

PPC MRC FIRRC

図 21 速度応答の偏差(ω0=8.20[rad/sec])

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