Edwardsiella tarda
は本学部海洋資源科学科間野伸宏博士より分与されたウナギ分離株を用いた。菌は使用時まで
20%
グリセロール加トリプトソイ培地に懸濁し、
-80°C
で保存した。保存したE. tarda
をトリプトソイ寒天培地(フナコシ)を用いて画線培養し、25°C で一晩培養した。形成されたコロニーを採取し、ト リプトソイ培地(フナコシ)で
25°C 130 rpm
で12
時間振騰培養した後、リン酸 緩衝液(20 mM
リン酸ナトリウム、145 mM NaCl
、pH 7.2
)で3
回洗浄(1000 ×g
、25°C
、10
分)し、40%
致死濃度(OD
595= 0.22
、1.2 × 10
8CFU/ml
)となる様に リン酸緩衝液に再懸濁した。懸濁液を1
匹あたり100 μl
となる様にOB1
系統ギ ンブナに腹腔内投与した。その後、頭腎、体腎、脾臓、肝臓、腸管および鰓を 摘出し、RNeasy Mini Kit
を用いて全RNA
を回収後、High-Capacity cDNA Reverse Transcription Kit
を用いてcDNA
を合成した。4.2.5 GVHR
の誘導とドナー由来細胞のソーティング第
2
章において述べた方法によりGVHR
を誘導し、移植0、3、 7、 14
日後にレ シピエントの頭腎および体腎から白血球を回収し、Hoechst33342とCD4
およびCD8α
に対するモノクローナル抗体を用いて染色を施した。セルソーター(FACS
Aria II, BD)を用いてドナー由来 CD4
またはCD8
陽性T
細胞をそれぞれ1 × 10
5 個ソーティングし、分取した細胞よりRNeasy Mini Kit
を用いて全RNA
を回収 後、High-Capacity cDNA Reverse Transcription Kitを用いてcDNA
を合成した。64
4.2.6
鱗移植実験<遺伝子発現解析>
アロ抗原感作のため、OB1系統より
S3N
系統のギンブナ体側に10
枚の鱗移植 を行った。移植0
、3
、5
、7
日後に、移植した鱗および移植部位の表皮を採取し、ReliaPrep RNA Tissue Miniprep
(Promega
)を用いて全RNA
を回収し、High-Capacity cDNA Reverse Transcription Kit
を用いてcDNA
を合成した。対照実験として、同 個体の反対側に同系(syngeneic)の個体間(S3N系統よりS3N
系統へ)で移植 を行い、上記と同様に全RNA
を回収後、cDNA
を合成した。<IFNγ
及びIFNγrel
の投与効果>
レシピエント
S3N
に、体重1g
当たり0.1 μg
となる様に組換えIFNγ2、 IFNγrel
1
またはIFNγrel 2
を腹腔内に投与した。IFN投与から24
時間後に、アロ抗原感作のため
OB1
系統よりS3N
系統のギンブナに10
枚の鱗移植を行った。移植3
日後より移植片の拒絶過程を12
時間おきに観察し、移植した鱗の黒色素胞が崩 壊した時点を拒絶完了とした。4.2.7
リアルタイムPCR
IFNγrel
およびIFNγ
遺伝子の発現を検討するため、上記で述べた方法により作製した
cDNA
を用いてリアルタイムPCR
を行った。標的遺伝子の増幅の際に は、参照として測定ごとに同一プレート上にハウスキーピング遺伝子(EF1α)を入れたウェルを準備し、
Thermal Cycler Dice Real Time System II
(Takara)で反65
応を行い、
mRNA
の相対定量を行った。標的遺伝子として用いたギンブナIFNγ1
、IFNγ2、IFNγrel 1
および IFNγrel 2遺伝子、並びにハウスキーピング遺伝子とし て用いた EF1α遺伝子に特異的なプライマーの配列をTable 4-1.
に示した。PCR
は、5 μl
の希釈したcDNA、 12.5 μl
のSYBR Premix Ex Taq II
(Takara)および200 nM IFNγ1
、IFNγ2
、IFNγrel 1
、IFNγrel 2
およびEF1α
に特異的なプライマーを加 え、25 μl
の反応液とした。最初に95°C
で30
秒の反応を行った後、95°C
で5
秒、60°C で30
秒の反応を45
サイクル行った。それぞれの標的遺伝子とEF1α
の組み合わせについて∆Ct値を用いて標準化を行った。各遺伝子の発現は内部標準遺伝子
EF1α
に対する相対発現量を2
-∆Ctで、または、標準サンプルに対する目的サンプルの相対遺伝子発現量を
2
-∆∆Ctで求めた。全て の反応は少なくともduplicate
で行った。なお、∆Ct
値および∆∆Ct
値は以下のよ うに求めた。∆Ct = Ct
ターゲット遺伝子- Ct
EF1α∆∆Ct = ∆Ct
目的サンプル- ∆Ct
標準サンプル4.2.8
凍結切片用ブロックの作製ギンブナをベンゾカインで麻酔し、尾部血管より採血後、各組織を摘出し、
4% PFA-PBS
に入れ4°C
で12
時間固定した。固定後の組織を30%スクロース加
PBS
に置換し、4°C
にて12
時間脱水処理した。その後、組織を液体窒素で冷却 したイソペンタン中で急速凍結し、O.C.T. コンパウンド(サクラファインテッ ク)に包埋した。作製したブロックは、薄切まで-80°Cで保存した。66
4.2.9
凍結切片標本の作製及び免疫組織化学染色作製した凍結ブロックを、クリオスタット
HM520
(MICROM)を用いて8 μm
に薄切し、スライドグラスに貼り付けた。薄切した組織を1
時間風乾した後、スライドグラスを
37°C
のPBS
中に5
分間浸し、この操作を3
回繰り返して洗浄し、
O.C.T.
コンパウンドを除去した。その後、2% BSA-PBS
を添加して室温で20
分間ブロッキングし、各1
次抗体をそれぞれ4.2.1
で述べた濃度となるようにPBS
またはXL-Enhancer Immunostain(アプロサイエンス)で希釈し、4°C、12
時間反応させた。その後、0.1% Tween-20加PBS(PBST)で 5
回洗浄し、二次 抗体を終濃度4 μg/mL
となる様に添加し、室温にて90
分間反応させた。その後、PBST
で5
回洗浄し、1 μg/mL
のDAPI
加PBS
にて核染色し、PBS
にて1
回洗浄 後、ProLong Gold
(Life Technologies
)で封入した。蛍光顕微鏡IX71
と撮影装置DP73(いずれも Olympus)を用いて、蛍光観察及び撮影を行った。なお、二次
抗体添加以降の操作は可能な限り遮光した。
4.2.10
フローサイトメトリーPMA
とイオノマイシンによる刺激後、細胞を表面抗原に対するモノクローナ ル抗体(mAb)を用いて4°C
で45
分間反応させた。0.5% FBS加PBS
にて3
回 遠心(400 ×g、5分、4°C)洗浄した後、2% PFA-PBSに1 × 10
7個/mlとなる様に 懸濁し、室温で15
分間固定した。3
回洗浄後、0.1%
サポニン、0.5% FBS
加PBS
に
1 × 10
6個/mlとなる様に懸濁し、20分間室温で静置し膜透過処理を行った。その後、抗インターフェロン抗体をそれぞれ
4.2.1
で述べた濃度となるように加 え、4°Cで45
分間反応させた。3回遠心(400 ×g、5分、4°C)洗浄後、二次抗67
体を加えて
4°C
で30
分間反応させた。さらに、3
回遠心(400 ×g
、5
分、4°C
) 洗浄後、2.5 μg/mLのPI
加PBS
で核を染色した。解析にはFACSCanto(BD)を
用い、PI陽性のリンパ球集団における、各抗体の陽性細胞数を求めた。4.2.11
統計解析IFN
γの投与効果の有意差検定はone-way ANOVA
による分散分析の後、Turkey
の多重比較検定によって行った。68
4.3.
結果4.3.1
細胞性免疫反応におけるIFNγrel
の発現解析IFNγrel
の機能解明のため、組織発現解析や刺激剤や細胞性免疫反応におけるIFNγrel
の発現動態解析を行った。正常個体において、
IFN
γrel
が最も高く発現している臓器は脾臓であり、つづ いて腸管、鰓であった。一方、IFNγは腸管、脾臓、末梢血リンパ球の順に高い 発現を示した。(Fig. 4-1)二本鎖
RNA
刺激後のIFNγrel
の発現動態を調べるため、脾臓より白血球を回収し、
Poly(I:C)
刺激後の遺伝子発現解析を行った。その結果、刺激後早期からIFNγrel 2
の発現が上昇し、IFNγrel 1
およびIFNγ
はIFNγrel 2
に遅れて発現上昇 が認められた(Fig. 4-2)。細胞性免疫反応における
IFNγrel
の発現動態を調べるため、まず、GVHR
誘導に伴う
IFNγrel
の発現動態を解析した。第1
章と同様な方法を用いてGVHR
を誘導し、移植後経時的にドナー由来
T
細胞をソーティングし、リアルタイムPCR
法により
IFNγrel
およびIFNγ
の発現動態を調べた。その結果、GVHRの誘導に伴い、
T
細胞におけるIFNγrel
の発現上昇が観察された(Fig. 4-3)。また、GVHD
の標的組織である腎臓において、IFNγrel
およびIFNγ
を産生しているCD4T
細胞 が認められた(Fig. 4-4
)。鱗移植実験時の発現動態を調べたところ、IFNγrel 1および
IFNγrel 2
は移植後5
日目をピークとして発現が上昇した。IFNγ1も発現の上昇が認められたが、IFNγrel
ほど発現は高くなかった(Fig. 4-5)。69
次に、細胞内寄生菌である
Edwardsiella tarda
を人為的にギンブナに感染させ、IFNγrel
およびIFNγ
の発現誘導を調べたところ、感染後時間の経過とともにIFNγrel 1
の発現の上昇が認められた。一方、感染初期に鰓において一過性のIFNγrel 2
の発現上昇が認められた(Fig. 4-6)。また、Edwardsiella tarda
感染後にIFNγ2
の発現は検出限界以下となった(data not shown
)。4.3.2 IFNγrel
の投与効果同種移植片拒絶反応における
IFNγrel
の役割を明らかにするため、レシピエン トに組み換えIFNγrel
を投与した後に、同種異系のクローンギンブナより鱗を移 植し、移植片の拒絶に及ぼすIFNγrel
投与の影響について検討した。その結果、IFNγrel 1
投与により拒絶反応が有意に促進された(Fig. 4-7
)。すなわち、拒絶に要した時間は、
PBS
投与群:142.6±10.3
時間、IFNγ2
投与群:149±2.1
時間、IFNγrel 1
投与群:128.4±4.1時間、およびIFNγrel 2
投与群:142.8±7時間であった。4.3.3 IFNγrel
産生細胞の同定IFNγrel
の産生細胞の同定のため、まず産生細胞を刺激する条件について検討した。その結果、白血球を
PMA
とイオノマイシンで刺激したところ、刺激後1
時間から3
時間にかけて、IFNγrel 1
およびIFNγrel 2
の発現が有意に上昇した(Fig.4-8
)。PMA
およびイオノマイシン刺激3
時間後の白血球を用いて、ギンブナCD4
、CD8
およびIgM
に対するモノクローナル抗体および抗IFNγrel 1
または抗IFNγrel
2
ポリクローナル抗体を用いて二重染色を行い、フローサイトメトリー法にて解 析したところ、CD4、CD8およびIgM
陽性細胞の中の一部において、IFNγrel 170
および
IFNγrel 2
を産生する細胞が認められた(Fig. 4-9
)。以上の結果より、IFNγrel
は細胞性免疫応答に関与し、主にリンパ球により産生されることが明らかとな った。71
4.4.
考察・結論IFNγrel 1
およびIFNγrel 2
はともにpoly(I:C)による in vitro
での刺激後に発現
ドキュメント内
魚類細胞性免疫機構における IFNγrel の機能解明
(ページ 63-71)