第 5 章 試験方法
5.5 EMC(電磁両立性)試験
EMC 試験とは、製品の電磁両立性、すなわち、外来の電磁的妨害によっても製品の性能が 低下せず(これを「EMS」という)、他の機器に対しても電磁的妨害を与えない(これを「EMI」
という)特性を評価する試験であるが、これらを総称して「EMC 試験」ということが多い。
5.5.1 EMS(イミュニティ)試験
EMS とは、“Electromagnetic susceptibility”の略号であり、外来の電磁妨害に対する 感受性を意味する用語であるが、EMC 試験においては、同じ特性を「イミュニティ」または
「妨害耐性」ということが多い。ここでは、「イミュニティ試験」と呼ぶことにする。一般 的な照明目的の機器のイミュニティ要件に関する国際規格 IEC 61547 に規定されている主な イミュニティ試験には次のようなものがある。
(1)静電気放電イミュニティ試験
人体に帯電した静電気の放電によって発生する電磁波により製品が誤動作しないかどうか を確認する。図 5.5.1-1 のような装置により静電気を発生させ、ランプの明るさの変化など
耐電圧試験器
形 式 TOS5000A シリーズ 出力電圧 AC/DC 0~2.5kV/0~5kV 最大定格出力 500VA/5kV・100mA 出力電圧計 アナログ JIS2.5 級 デジタル 確度±1.5%f.s
145 の異常が起こればそれを記録する。試験規格は、国際規格として IEC 61000-4-2 があるが、
国内ではこれに準拠した JIS C 61000-4-2 がある。
(2)放射無線周波数電磁界イミュニティ試験
無線周波数の電磁界を製品に照射して製品が誤動作しないかどうかを確認する。図 5.5.1-2 のように、電波無反射室内でアンテナから電磁界を製品に照射し、ランプの明るさ の変化などの異常が起こればそれを記録する。試験規格は、国際規格として IEC 61000-4-3 があるが、国内ではこれに準拠した JIS C 61000-4-3 がある。
(3)電源周波数磁界イミュニティ試験
電源周波数(50Hz 又は 60Hz)の磁界を製品に照射して製品が誤動作しないかどうかを確認 する。試験規格は、国際規格として IEC 61000-4-8 があるが、国内ではこれに準拠した JIS C 61000-4-8 がある。
(4)高速トランジェント イミュニティ試験
製品に接続された導線上の電気接点の開閉などによって発生する電気的な過渡現象を模擬 したバースト波(電気的ファーストトランジェント/バースト)を印加することにより、製品 が誤動作しないかどうかを確認する。試験規格は、国際規格として IEC 61000-4-4 があるが、
国内ではこれに準拠した JIS C 61000-4-4 がある。
(5)(無線周波数コモンモード)電流注入イミュニティ試験
無線周波数のコモンモード電流を製品に注入して製品が誤動作しないかどうかを確認する。
試験規格は、国際規格として IEC 61000-4-6 があるが、国内ではこれに準拠した JIS C 61000-4-6 がある。
図 5.5.1-1 静電気放電イミュニティ試験 図 5.5.1-2 放射無線周波数電磁界イミュニティ試験
146 (6)(雷)サージイミュニティ試験
誘導雷、または大きな設備の開閉器の開閉を模擬したサージ波を印加することにより、製 品が誤動作しないかどうかを確認する。試験規格は、国際規格として IEC 61000-4-5 がある が、国内ではこれに準拠した JIS C 61000-4-5 がある。
(7)電圧変動・瞬断イミュニティ試験
電源電圧を試験規格に規定された条件で変化させる試験により、製品が誤動作しないかど うかを確認する。試験規格は、国際規格として IEC 61000-4-11 があるが、国内ではこれに 準拠した JIS C 61000-4-11 がある。
5.5.2 EMI(エミッション)試験
EMI とは“Electromagnetic interference”の略号であり、他の機器に与える電磁的妨害 を意味する用語であるが、EMC 試験では、エミッション試験ということがある。
主なエミッション試験には次のようなものがある。
(1)高調波電流発生制限値評価試験
製品の電源回路に起因する電源周波数の高調波電流の大きさが制限値以下であるかどうか を試験する。試験規格は、国際規格として IEC 61000-3-2 があるが、国内ではこれに準拠し た JIS C 61000-3-2 がある。
(2)電磁妨害波評価試験
製品から放出される伝導性および放射性の電磁妨害波の大きさが許容値を満たしているか どうかを試験する。国内では電気用品安全法によりこの試験が義務付けられている。この試 験には次のような測定が含まれる。
(A)電気用品安全法の技術上の基準を定める省令の解釈別表第十による試験 電気用品安 全法では電磁妨害波を「雑音」と称している。
① 雑音端子電圧測定(電源端子)
電源線を接続する端子に図 5.5.2-1、図 5.5.2-2 のような擬似電源回路網を接続し、測 定用端子の妨害波電圧を妨害波測定器で測定する。
② 電源線以外の導線を接続する端子においては図 5.5.2-3、図 5.5.2-4 のようなハイイ ンピーダンスプローブを用いて妨害波電圧を測定する。
147 図 5.5.2-1 疑似電源回路網の例
図 5.5.2-2 疑似電源回路網の回路
図 5.5.2-3 ハイインピーダンスプローブの例 図 5.5.2-4 ハイインピーダンスプローブの使用例
148 図 5.5.2-5 吸収クランプの例
図 5.5.2-6 吸収クランプの構造
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③ 雑音電力測定
図 5.5.2-5、図 5.5.2-6 のような吸収クランプを用いて電源線上の妨害波電力を測定する。
(B)国際規格 CISPR15 による試験
国際規格では上記①の他に、次のような測定を行う。②、③の測定は行わ ない。照明の 制御のための端子には ISN を用いて電圧測定を行う。
④ 放射磁界測定(9kHz~30MHz)
図 5.5.2-7 のようなラージループアンテナ(直径2mの3軸ループアンテナ)を用い、製品 から発生する磁界の評価として、ループアンテナに誘起する電流を測定する。
⑤ 放射電界測定(30MHz~300MHz)
図 5.5.2-8 のように、製品から発生する妨害波の電界をアンテナで測定する。この測定の 代わりに、CDN を用いて妨害波電圧を測定する方法も規定されている。