2010 年における世界の国別蒸気タービン受注量 (MWe)
1 EOR 202
3.1.5 ECOPRO
ECOPRO ( Efficient Co-Production with Coal Flash Partial Hydro-pyrolysis Technology ,ECOPRO)とは、適度な加圧(2~3MPa)かつ水素雰囲気下で微粉炭を瞬時に反 応させ、化学原料および燃料としての軽質オイルを併産しつつ、発電や化学原料等への展 開が容易な合成ガスを一つの炉から高効率に得ることを目的とした新しい石炭転換技術で ある。
従来の水素化熱分解技術である石炭水添ガス化技術のように極めて厳しい反応条件(高 圧、高温、高水素濃度)を必要としないため、設備の簡素化および水素使用量削減による 省コスト、高効率化が実現可能である。
また、石炭急速熱分解技術(多目的石炭転換技術=通称 CPX)は主として製鉄所への適 用(COG 代替ガス、タール、チャーの生産)を想定した低圧プロセスであったが、本技術 は高圧プロセスであることから、製品として回収されるガスの使用用途拡大、タールの軽 質化による付加価値向上が期待できる。
図 3.1-6 ECOPRO システム概要
図 3.1-6 に本技術のプロセスフローを示す。石炭部分水素化熱分解炉は、スロートで直 結した 2 つの反応部(部分酸化部と改質部)からなり、各々の反応部に石炭を吹き込みそ れぞれ部分酸化反応と熱分解・改質反応を行わせる。下段の部分酸化部では、微粉炭およ びリサイクルチャーを酸素、スチームによって圧力 2~3MPa、温度 1,500~1,600℃でガス 化し、CO および H2を主成分とする高温ガスを発生させる。部分酸化部とスロートで直結し た改質部には、微粉炭をリサイクル H2と共に部分酸化部からの高温ガス流に吹き込み、圧 力 2~3MPa、温度 700~1,100℃、水素濃度 30~50%程度(高温ガス中 H2とリサイクル H2 を合わせた値)、ガス滞留時間 1~2sec の条件下で改質反応(部分水素化熱分解反応)を瞬 時に完了させる。
また、部分酸化部からの高温ガスは改質部における所要反応熱の供給源としても機能す るため、改質部出口ガス温度は部分酸化部出口ガスより 500~800℃低下する。改質部では 微粉炭から放出された熱分解一次生成物に水素を移行させる水素化反応が in-situ で進行 し、油分は重質なタール状物質を形成せず軽質オイルが得られる。部分水素化熱分解炉に おいて生成したガス、軽質オイル、チャーはサイクロンにおいてチャーを分離後、顕熱回 収し、オイル回収および脱硫等のガス精製を経て、合成ガス(Syngas)となる。合成ガス の一部はシフト反応、脱炭酸(CO2回収)によって H2リッチガスへ転換され、生成合成ガ スとの熱交換による予熱後、部分水素化熱分解炉の改質部へリサイクルされる。最終的な 製品合成ガスは、H2、CO、CH4を主成分とす H2/CO≒1 程度の高水素含有ガスであり、発電
(IGCC)や燃料ガス、燃料合成(GTL 等)や化学(メタノールやアンモニア合成等)原料 等の原料ガスとして利用される。また、軽オイルはベンゼン、ナフタレン等の 1~2 環の芳 香族化合物を主成分とし、化学原料あるいは発電燃料として利用される。
現在、経産省補助事業として、新日鉄エンジニアリング(株) 、千代田化工建設(株)の体 制で開発が進められており、H22 年度から豪州 VIC 州での実証事業化を図るため、同州政 府・連邦政府と共同で Pre-FS を実施中である。2011 年の CCT ワークショップでの発表に よると、2012 年度までに FS 及び設計を行い、2013 年度から 200~300 トン/日の建設に着 手の予定となっている。
図 3.1-7 ECOPRO システム実用化までのスケジュール
3.1.6 褐炭乾燥システム研究開発
低品位炭は水分含有量が多いことから(褐炭で 50%超)、その乾燥に伴う熱損失により、
発電プラントの効率は 30%程度と低く、CO2発生量も排出原単位 1.2~1.6 kg-CO2/kWh(瀝 青炭焚の約 1.5~2 倍相当)と高い状況にあり、有効活用に際して克服すべき大きな課題 となっている。
従来の褐炭焚き火力発電プラントでは、褐炭の前処理として、ボイラ燃焼ガスを一部抜 き出して褐炭と混合させ、ビーター・ミルで破砕及び乾燥する方法を採用している。この 方式では、ボイラの高温ガスの利用により、高水分炭を乾燥することは可能であるが、排 ガスによるエネルギー損失増加によりボイラ効率が低下する。
本研究では経産省の補助事業として三菱重工/JCOAL で実施しているもので、瀝青炭・亜 瀝青炭焚きで確立した IGCC 技術に、高効率の褐炭乾燥技術を組合せることで、超高効率 褐炭焚きプラントを実現し、IGCC をはじめ他のガス化技術へも応用することを目指してい る。褐炭の高効率乾燥システムを図 3-1-8 に示す。
図 3.1-8 褐炭乾燥システム想定図
本システムの実用化に向けて、①ベンチスケール試験装置による乾燥技術の開発、およ び②褐炭性状と高効率乾燥システムへの適用性調査、を実施している。
平成 24 年度は、10t/d のベンチスケール試験装置による試験が実施されている。
3.1.7 褐炭熱分解利用
ビクトリア州褐炭のガス化を基幹とする高度利用技術国際連携研究(平成 22、23 年 度)(九州電力(株)、九州大学、[再委託先]JCOAL)(共同研究相手国/相手先:豪州/モナッ シュ大学)として、豪州ビクトリア州に大量に賦存する褐炭の高度利用を図るため、乾燥、
燃焼、ガス化/発電技術に対して、褐炭の高反応性を有効に利用する流動層ガス化の技術的、
経済的可能性、褐炭エネルギー・化学コンプレックス事業の可能性について CCS を含めて 評価することを目的として、以下の調査が実施されている。
①褐炭の基本特性の把握・プロセス開発
褐炭の乾燥特性、チャーガス化特性の取得。プロセスシートの原案作成。
②CCS レディー褐炭ガス化/発電技術における可能性評価
褐炭乾燥及び流動層ガス化/発電プロセスの概念設計。現地調査による褐炭利用状況等調 査。
3.1.8 褐炭ガス化水素製造
図 3.1-10 CO2 フリー水素チェーンコンセプト(出典:川崎重工業ウェブサイト)
低品位炭起源の炭素フリー燃料による将来エネルギーシステムの実現化に関する調査研 究(平成 22、23 年度)(川崎重工業(株))(共同研究相手国/相手先:豪州/HRL、CSIRO、
CO2CRC)は、石炭ガス化技術や CCS 関連の知見等を活用した日豪共同研究を行うことによ り、石炭火力を発生源とした日本型 CCS の早期確立への寄与を目指すとともに、炭素フリ ーのクリーン燃料である水素利用による将来エネルギーシステムの実用化を目指すことを 目的としている。
褐炭ガス化要素試験及び CO2分離・回収試験の各種要素試験と全体システムの最適化検 討に基づき、2017 年までに実証試験、2025 年の運用開始を目指している。
3.2 リノベーション事業(インド、インドネシア)
リノベーション(Renovation)事業とは、海外の既設石炭火力発電所に対し日本の優れ たクリーンコール技術を導入し、効率改善、環境負荷改善を図ることで低炭素化に寄与す ることを目的としている CCfE(Clean Coal for the Earth)事業の一環である。本事業は 2009 年度に石炭火力発電の容量・比率ともに高い中国にて開始した。中国事業については 専門家を派遣、設備診断を行い、結果のフォローアップの段階に移行しているため、本項 では、現在事業が進行中のインドおよびインドネシアでの活動を取り上げる。
(1)インド事業
2011 年 8 月現在のインド国内の発電容量は 181,558.12MW で、そのうち 65.2%に当たる 118,409.48MW が火力である。火力 65.2%の内訳は石炭 54.8%、ガス 9.8%、ディーゼル 0.77%
となる。火力以外では水力 38,206.4MW(21.1%)、原子力 4,780MW (2.6%)、再生可能エネル ギー20,162.24 (11.1%)であり、石炭火力が電力供給の中心である。
2010-2011 年の総発電量は 811,430MWh であり、火力 81.95%(石炭火力 66%)、水力 14.08%、
原子力 3.23%、ブータンからの輸入 0.69%となっている。設備容量以上に火力、とりわけ石 炭火力の依存度が高い。このような現状に鑑み、インドでは設備容量を 2030 年までに 700,000MW まで増設する計画を立てている。特に 660MW/800MW ユニットで建設されるウル トラメガパワープロジェクト(UMPP)に期待されているが、一方既設の石炭火力ユニット は 210MW および 500MW クラスが多く、ベースロードとなるこれら既設ユニットの R&M(Renovation and Modernization)による延命対策も容量増と並んで重要な施策と位置付 けられており、今後 5 年間で約 30,000MW の設備が改造・延命化が必要とされている。
①インド設備診断事業の経緯
2010 年度事業は、インドの既設石炭火力発電設備の効率・環境負荷改善に対して中国で 実施してきた設備診断活動手法の適用性を確認するとともに、その手法により予備的な診 断を行うためにインド国内における石炭火力発電所の R&M,LE(Life Extension)計画を統括 するインド中央電力庁(Central Electricity Authority, CEA)と、予備調査事業に関す る MOU を締結した。
②インド設備診断事業の実施状況
CEA が策定した第 11 次及び第 12 次 R&M 計画ロングリストの中から、
1)NTPC Andhra Pradesh 州 Ramagundam 発電所(2,600MW、NTPC)ユニット 5
2)APGENCO Andhra Pradesh 州 Vijayawada 発電所(1,760MW、APGENCO)ユニット1 3)GSECL Gujarat 州 Wanakbori 発電所(1,470MW、GSECL)ユニット
を予備診断ユニットとし、2010 年 11 月~12 月にかけて日本専門家診断チームを派遣し予 備診断を行った。並行して発電所で採取したサンプルおよび、訪問聞き取り調査により、
インド高灰分炭の品質動向分析を行った。
③成果
本予備診断により、中国事業における設備診断手法がインドにおいても有効に機能する ことを確認できた。また、予備診断における改善提案としては、予防保全・目標管理等日 本型 O&M 技術の導入による計画外停止の低減、エアヒータエレメント改良による熱回収効 率改善、LMZ 製タービンを使用している Vijayawada、Wanakbori 両発電所のタービン改造 による蒸気使用効率向上及び出力増加、移動式電極方式の電気集塵機導入による集塵効率 向上等があげられる。特に後者 2 点は日本の優れた CCT 技術をインド市場に展開する緒と