4. 欧州 CLP 規則に基づく消費者用調剤製品に対する表示に関する現状調査結果
4.3. DSD/DPD 指令及び CLP 規則導入時の課題及び解決策
DSD/DPD指令及びCLP規則導入時に産業団体からの反対等があったか等についての調
査結果を以下に示す。
<欧州自動車工業会>
z CLPに異論はないが、GHSの適用が本当の意味での国際的に調和した分類になって いないことには落胆している(例えばEUではある有害性カテゴリーで削除した有 害性クラスを日本では採用している)。このことは、分類過程において異なる計算を 要すことになる。
z 特定の物質の調和分類も完全に異なっており、ある法域 (例えばEU) から他の法域
(例えば米国や日本) に切りかえることはできない (例えば、硝酸やホルムアルデヒ
ド)。
z 分類するためにREACHでは試験を要求し、CLPではそれがないという矛盾もある。
<欧州塗料印刷インキ絵具工業連合会>
z CLP がより多くの成形品を有害であると分類してしまうという変更以外は、
DSD/DPDあるいはCLPに対して一般的な異論はない。
z この点については、分類される製品数が増加することも、既に分類されている有害 性レベルが上がることもある。
<欧州塗料印刷インキ絵具工業連合会>
z 連合会メンバーは分類及びラベルを全世界的なものとすることには敬意を払うが、
GHSが本当の意味で世界的ではなく、異なる地域で異なるように適用されている為、
大きく落胆している。
z 画家用絵具は小さな製品であり、全ての情報を載せる場所がないことも問題である。
DSD/DPD指令及びCLP規則導入時の産業界からの反対についてのまとめ
DSD/DPD 指令及びCLP規則について一般的には異論はないが、GHSの適用が本当の
意味での国際的な調和分類になっていない (各地域で異なる適用がされている) ことに 落胆しているというのが共通の意見であった。
(2) SDS作成やCLPラベル表示における課題について
SDS 作成や CLP ラベル表示における課題とその解決策についての調査結果を以下に示 す。
<欧州自動車工業会>
z 自動車業界の会社は専門家を抱えており、提供されるSDSやサプライヤーからの要 望を取り扱え、文書を自ら改善することもできる。
z 一般的には、主要な問題は、品質に係るもの、情報の不足/信頼性、あるいは GHS 分類にづいてサプライヤーとコミュニケーションを“しなければならない”ことで ある。
z 通常、起こる全ての問題はサプライチェーンにおけるコミュニケーションで解決し なければならないが、経験的には、大きな自動車会社はサプライヤーに買い手の立 場を行使することがある。
z わずかずつではあるが、SDSの品質は向上してきた。
<欧州石鹸洗剤工業連合会>
z 分類そのものが最も大きな課題である。
z 算出方法 (DPDによる分類の一般的な方法) のデメリットとしては、非常に保守的 な方法で、(有害性あり) に分類される混合物数が増える、混合物の危険有害性の程 度も増す、ということが挙げられる。
z 合成洗剤の場合、組成は異なるがその成分に大きな違いがないため、合成洗剤とい う セ ク タ ー の 場 合 に は 、 共 同 で 作 成 し た 一 般 的 な 組 成 に つ い て の “reference formulations”についての分類のデータベースを参照することで、分類の質を担保し ている。
z 情報不足という問題点がある。具体的には、合成洗剤工業のメンバーはサプライチ ェーンの最も下層のダウンストリームユーザーである。時として、サプライヤーが 混合物の分類を供給することもあるが、多くのサプライヤーは規制の移行期限の直 前になって分類やラベルに関する情報を伝えてきた。そのため、情報がもらえない 場合の準備が必要であった。
z データの品質という問題点については、例えば、CEFIC が実際に利用可能な SDS のチェックリストを提供している。
<欧州塗料印刷インキ絵具工業連合会>
z CLP規則では、旧法のときよりも多くの製品を分類する必要がある。また、既に分 類していた製品がさらに厳しい分類になった。
z サプライヤーからの情報の到着が遅延 (2015年6月の期限ギリギリになった) した。
z 濃度範囲の正しさについての問題点がある。
z 情報の欠如/品質という問題点については、最近は品質が向上している。
z 連合会メンバー特異的な問題としては、画家用絵具のラベルスペースが非常に限ら れていることが挙げられる。
SDS作成やCLPラベル表示における課題についてのまとめ
主な問題点としては「品質にかかわるもの」「情報不足/信頼性」がある。問題点はサ プライヤーとのコミュニケーションによって、サプライチェーンの中で解決するべきで あるというのが基本である。自動車業界のような比較的大きな業界では、それぞれ専門 家を抱えているため、基本的には各種の問題を解決できるようである。
複数の産業団体では、SDSの品質が向上していることを認識している。
(3) 産業界の課題解決に向けての支援について
CLP規則導入時に行った産業界への支援についての調査結果を以下に示す。
<英国>
z CLP規則の認知及びそのduty及びobligationの遵守は工業界自身の責任である。
z すでに述べたように、ECHAはメンバー国との協力により、CLPに関する詳細なガ イダンスを作成している。このガイダンスは一連のFAQ及び各国ヘルプデスクによ って提供される助言によってもサポートされている。ECHAは活動的にガイダンス を推奨している。
z 「CLP 2015」と呼ばれる最新のキャンペーンは2015年6月1日のDPDの撤廃とCLP の混合物への適用要求の認知度を高めるために行われた。この情報はECHAのウェ ブサイトで入手可能である。
<デンマーク>
z デンマーク環境保護庁では、ウェブサイト、利害関係者との会合、キャンペーン、
利害関係者組織との協力、及び専門のCLPヘルプデスクの設置を通じて行われてい る。
産業界の課題解決に向けての支援についてのまとめ
CLP規則の遵守は工業界自身の責任であるという認識であるが、規則導入時に、ECHA がメンバー国との協力で詳細なガイダンスを作成し、各国ヘルプデスクとともに支援を 行っている。
また、DPD 指令の撤廃と CLP 規則の混合物への適用要求の認知度を高めるために、
“CLP 2015”と呼ばれるキャンペーンで周知を行っている。
(4) ベストプラクティスの交換や共同訓練などの実施について
ベストプラクティスの交換や共同訓練等を実施しているかについての調査結果を以下に 示す。
<英国>
z 英国安全衛生庁はCLP及びGHSに興味がある工業界の利害関係者会合を主催し、
工業界レベルで共同して取り組むよう後押ししている。
z 化学物質ハザードコミュニケーション協会 (CHCS) は会員に対して幅広い訓練コ ースを開催し、会員が質問を挙げ意見交換できるディスカッションフォーラムを運 営している。英国安全衛生庁は不定期の CHCS 協議会やワークショップに最新の CLP規則の進展情報を提供するために講演者を派遣している。
<デンマーク>
z デンマーク商工会議所は、企業が情報を得てベストプラクティスが交換できる会合 を用意している。
<欧州自動車工業会>
z 最低限必要な要件についてのセクター特異的なガイダンス文書を公表している。
z 自動車産業の会社は通常大企業であり、このようなトピックスに関連した専門家や スペシャリストがいるが、サプライヤーはそれに比べて小さな会社でそのような専 門性に欠けているため、サプライヤーに対するトレーニングを実施した。
z 自動車産業がサプライチェーンの川上を“教育”して、全体的に質の高いデータを 受けとっている。
<欧州石鹸洗剤工業連合会>
z (分類の) 方向性を示すものとして使用する“reference formulations”の専門家による
分類があり、自社の (類似の) 組成のものと比較が行える。
z 分類並びに皮膚及び眼に関する毒性データについてのセクターの知識を共有してい る。
z メンバーに対してトレーニングも実施している。
z 川下ユーザーの化学物質の協調グループでは、フォーミュレーター産業用に SDS
(SUMI) における暴露シナリオの取り扱い方のプラットフォームを提供している。
<欧州塗料印刷インキ絵具工業連合会>
z フォーミュレーターの工業協会が川下ユーザーの化学物質の協調グループという意 見交換フォーラムを構築した。
z 川下ユーザーの化学物質の協調グループには、フォーミュレーターを主とした最も 重要な川下グループが含まれている。川下ユーザーの化学物質の協調グループはEU における“より良い規則”イニシアティブでの研究 (studies) を容易にしようとして いる。
z 欧州塗料印刷インキ絵具工業連合会は混合物分類に関する内部ワークショップを開 催している。川下ユーザーの化学物質の協調グループも同様に、混合物分類のワー クショップを開催している。
ベストプラクティスの交換や共同訓練などの実施についてのまとめ
CLP 規則の遵守は工業会や企業の責任であり、国が責任を持って行う立場にはない、
ということが共通の認識であり、企業や業界団体間での共同訓練等については、業界団 体が各メンバーへトレーニング等を実施するのが一般的なようである。英国及びデンマ ークでは、当局がベストプラクティスの交換のための会合を提供している。
GHSやCLP規則に詳しい専門家を有する大企業がそのような専門家を持たないサプラ イヤー (中小企業) に対してトレーニングを実施し、質を保持している例もあるようであ る。
(5) 消費者の危険有害性に対する経験に基づく仕組みについて
消費者の危険有害性に対する経験に基づく仕組みをどのように考慮したか、さらに、消 費者にCLPラベルのほか、危険有害性を伝えるために外見や包装についてどのような工夫 をしているかについての調査結果を以下に示す。
<欧州石鹸洗剤工業連合会>
z 消費者は、テキストを読むよりもアイコン/シンボルの方が素早く/簡単であると認 識している、と結論し、2004年に独立したラベリングシステムを構築し、合成洗剤 業界の家庭用化学物質について、CLPラベルにさらに追加している。
z CLPシンボルのような“有害性”のラベルに対して、開発したアイコンは“安全使 用の方法”を示しており、P警句のようなものである。アイコンの一例を示す。
z 例えば、液体洗濯用カプセルのような特定の問題については、“子供の手の届かない