• 検索結果がありません。

DS44の概要 (i) 目的と範囲

ドキュメント内 全文2.xdw (ページ 36-113)

本指針では、以下に示すような緊急事態への対応の目標に対応する防護措置等の意思決定に必要と なる運用上の基準を整備するにあたり、その根拠となる一般的基準(generic criteria)を示す。また、

放射線被ばくによる健康リスクに対処する公衆や役人に対し、共通の言葉で説明するための原則を提 案し、既知のリスクに一致した対応を行うための基盤を示す。

過去の緊急事態から得られた教訓に対処する。

安全要件GS-R-2に対処する。

緊急事態への対応の全段階において防護措置等や緊急事態条件の想定範囲に対し、放射線防護の 原則や考えを適用するための整合性のある基盤を示す。

また、本指針で取り扱う範囲は、以下の内容である。

公衆及び緊急作業者に防護措置を実施するための実用上の判断基準の策定に必要な一般的基準に 関わるものである。

防護措置に関する意思決定プロセスは、放射線防護に係わる属性の考察に限定されるものではな く、社会的、心理的要素も検討する必要があるが、ここでは放射線防護の情報にのみ重点をおく。

多くの場合、意思決定者や公衆は、放射線防護原則や放射線被ばくに伴うリスク、及びリスク低 減のための適正な措置について、ほとんど把握していない。そこで、コミュニケーションの点で 意思決定者や公衆を支援するため、平易な表現で放射線防護指針の根拠を説明する。

本指針は、本文5章と4つの付属書で構成されている。2章では、本指針の作成に適用した基本的考察、

3章及び4章では、これらの考察事項に応じた公衆及び緊急作業者に対する判断基準の枠組みについて 述べている。また、5章では、運用上の基準を考察している。以下、各章の概要を示す。

(ii) 基本的考察

緊急事態への対応に関するこれまでの経験によれば、緊急事態において公衆の安全を保証できるよ うな一貫した防護措置を実施するためには、国際的に承認された総合的なシステムが必要であること を明確に示している。そこで、既存の指針に基づき国際的な合意を得た後、国レベルで互換性のある システムを施行すれば、緊急事態への対応の目標を満たし、また、緊急事態に対する準備と対応に関 する調和したシステムの設定に役立つと思われる。

本指針で示した緊急事態への対応の判断基準の枠組みは、これまでにIAEAやICRPが示した指針を基 に拡張したものである。これは、特定の標的器官への外部・内部被ばくによる健康影響に対処するも のであり、これらの被ばくに対する一般的基準(後述するように、予測線量や受けた線量)を策定し

た。これは、確定的影響及び確率的影響の発現に関する最新の知見に基づく値である。

(iii) 公衆に対する判断基準の枠組み

これまでの緊急事態への対応の判断基準の枠組みを拡張するにあたり、公衆を対象とした基準の枠 組みについては、以下の原則を考慮した。

原子力又は放射線緊急事態の対応は、以下に示す緊急時被ばくを考慮した上で計画し、実施すべ きである。

– 予防的緊急防護措置によって抑制又は最小化できると予想される被ばく(projected exposure)

– 医学的措置や公衆への情報提供又はカウンセリングなどによって結果を最小化できるよう な実際の被ばく(received exposure)

原子力又は放射線緊急事態の対応は、緊急時被ばくで起こりうる以下の結果を考慮に入れた上で 計画し、実施すべきである。

– 被ばくした個人における重篤な確定的影響の発生 – 被ばく集団において検知しうる確率的影響の増加 – 公衆の懸念に放射線以外の有害な影響

非常に高い線量による重篤な確定的影響の発生を防ぐため、事象が発生する前の状況を問わず予 防的緊急防護措置を実施し、そして/あるいは直後に緊急防護措置と対応活動を実施すべきである。

重篤な確定的影響が発生するリスクを無視でき、確率的影響のリスクが主な関心事である場合、

確率的影響のリスクを合理的に低減するため、正当化され、最適な防護措置及び対応活動を実施 すべきである。

ある特定の一般的基準で、個人に医療措置、長期医療追跡調査及び心理カウンセリングを含む適 切な医療活動を行うべきである。

緊急事態の状況で生じるかもしれないあらゆるレベルの線量に対し、公衆及び意思決定者が情報 を得た上で講じるべき措置を決定できるよう、これらの人々に対し、平易な表現を用いてリスク を説明すべきである。これは、放射線以外の影響を軽減することを目的とするものである。

システムは、可能な限り既存の手引きに基づいて作成されるべきである。

これらの原則に基づき、放射線緊急事態における被ばくによる健康影響と防護措置を実施するため の線量評価との関係を表2.21に示す。また、一般的基準と運用上の基準との関係を図2.6に示す。一般 的基準は、「予測線量」あるいは「受けた線量」で表される。これは、緊急事態に生じうる条件の範囲 を考慮した一般最適化に基づき設定したもので、これまでにIAEA文書で用いた一般介入レベル(GIL)

と一般措置レベル(GAL)に代わるものである。また、運用上の基準は、施設における異常事象の緊 急事態区分を決定するために予め決められた施設での測定量であるEALや野外での測定量のような OIL、また、緊急事態において意思決定する際に用いられる現場での観測値や指標であり、適切な防 護活動を迅速に決定するのに用いられる。

予測線量は、GS-R-2で定義されているように、少なくとも次の3つの目標を達成するのに意思決定を 行う運用上の基準として用いられる。なお、個人の予測線量を評価する際、評価の不確実さ及び対象 住民の線量分布の両方を考慮することが重要である。

あらゆる状況下で防護措置が正当とされ予防的に行われるべきである一般的基準(表2.22)以下 に被ばく線量を保つことで深刻な確定的影響を防止するため。

表2.23に示される一般的基準以下に被ばく線量を保つことで確率的影響をできる限り低減させる 防護措置を取るため。

表2.24に示される指針値を用いて行われる作業に伴う緊急作業者の安全を保障するため。

また、受けた線量は、緊急時や長期間に及ぶ医療活動に対する決定を支援するために用いられるも のであり、以下の決定を支持するための運用上の基準である。

受けた線量が表2.23に示されるレベルを超えた場合、深刻な確定的影響に対処するための医療介 入を規定するため。

早期発見を目的とした医療追跡に対する必要性、そして受けた線量が表2.23に示されるレベルを 超えた時、放射線によるがんに対する効果的な治療を検討するため。

表2.24に示される指針値を用いて行われる作業に伴う緊急作業者の安全を保障するため。

原子力又は放射線緊急事態において防護措置及びその他の措置を行うための一般的基準を表2.22及 び表2.23に示す。表2.22に示される深刻な確定的影響に対する一般的基準は、緊急防護措置を実施する ためのOILを導出するために使われるべきであるとしている。また、表2.23は、予測線量又は受けた線 量から導出したOILに基づき緊急事態の初期に開始される緊急、早期対策及びその他の対策を決定す る一般的基準の勧告値を示している。これらの値は、TECDOC-1432で示された数多くの数値を単純化 し、ICRPの2007年勧告での検討に基づき整備されたものである。なお、この数値のファクター2以内 であれば、各国が用いる判断基準を修正する必要はないが、それを超えるようであれば再度見直す必 要があるとしている。また、一般的基準の設定は、計画段階で行うべきとしている。

(iv) 緊急作業者に対する判断基準の枠組み

緊急作業者は、放射線緊急事態への対応に関与する可能性がある者として事前に特定できる個人と 考えられている。しかし、緊急作業者には、予測できない場所や時間に対応する人々が含まれる場合 がある。例えば、警察や人命救助員、消防士、医療に関わる人員などである。

GS-R-2では、「国際基準に準拠する国の手引きは、緊急作業者が受けた被ばく線量を管理、抑止、記

録するために採択されるものでなければならない。このような手引きは、様々な種類の対応活動に従 事する緊急作業者に対する線量レベルの初期設定値を含めなければならない。これらの設定値は、活 動を遂行する間、直接モニタリングできる量とし、また、あらゆる被ばく経路からの被ばく線量を考 慮しなければならない。」としている(4.60項)。

原子力又は放射線緊急事態に対応する緊急作業者に適用される指針値を設定するためのガイダンス を表2.24に示す。これは、以下の点において、表2.22及び表2.23に記載した公衆に対するガイダンスと 一致するものである。

緊急作業者の被ばくについて、重篤な確定的影響のしきい値にほぼ等しい線量(表2.22)が許容 されるのは、公衆への重篤な確定的影響や壊滅的状況を防ぐための活動を行う場合のみである。

作業者が長期間に及ぶ医療モニタリングを必要とするような線量(表2.23)が許容されるのは、

大規模な集団線量を回避するための活動を行う場合のみである。

1)他者への利益が救助者自身のリスクを明らかに上回り、2)、緊急作業者が志願者で、3)緊急作

業者が自らのリスクに関する情報を得た上で決断することができるような場合、人命救助活動に線量 制限を設けないことが許容される。人命救助や全面的緊急事態を防止できると考えられる場合、1)の

ドキュメント内 全文2.xdw (ページ 36-113)

関連したドキュメント