表4.5 各種溶媒中での戸一かブチルベンジルブロミドと アミン類の反応の反応速塵定数 (45.0。C)
1) p・かブチルベンジルブロミド+ピリジン
溶 媒
誘電率 k
(c) [1・mol as−i]
一lnk
ベンゼン
かブチルアルコール アセトン
メタノ・…ル アセトニトリル
二つのアルコール溶媒中での反応速度定数の値が他の溶媒と異なる傾向を示し ていることから、アルコール溶媒中の反応では反応基質、二四試薬および溶媒間 に特異的な相互作用があるのではないかと考えられる。
4.6 混合溶媒中での反応速度定数の変化
前節で誘電率と反応速度定数の問には良い直線開係が成立することを示し拒.
さらに誘電率と反応速度の関係を明らかにするだめに混合溶媒中でp一かブチルベ ンジルブロミドとピリジンとの反応の反応速度定数を測定しta結果を表4.6に
示す。
メタノールとベンゼンの混合モル比を0:1,1:20,1:2,1:1,2:1および1:0 と変えて45.0度で測定を行っ艶。
混合溶媒の誘電率は、それぞれの溶媒の誘電率を混合比で相加平均を取っtaも のとし炬。誘電率を縦軸に反応速度定数の対数(ln k)をとりプロットしta
(図4.3)。誘電率と反応速度の対数lnkとの問の関係をみるとベンゼンに 少量のメタノールが介在すると反応速度定数は著しく増加している。さらにメタ
ノールの量が増加するとグラフの傾きは小さくなる。先に種々の溶媒中での誘電 率と反応速度定数の対数との関係を求めだ際に得られta直線の傾きにほぼ一致し
た。二二ノールーベンゼン混合溶媒中での反応は、メタノールが増えることによ る誘電率の増加による反応の促進と水酸基による反応阻害とが互いに逆の影響を 及ぼし合っていると考えられる。
ヨウ化メチルとピリジンとの反応をエタノールーベンゼン混合溶媒で行えば混 合モル比が0.8エタノール付近で反応速度が極大になることが明らかにされている
(図4.4、表4.7)。44)今回おこなつte p・ t一ブチルベンジルブロミドとピ
表4.6 混合溶媒中のP・・t一ブチルベンジルブロミドとピリジンの反応
(溶媒:メタノールーベンゼン,温度:45.O C)
モ ル 比
メタノー蕩 へ ンセ ン
誘電率(ε) k
[1 mo1−is−i]
lnk
(c−1)/(2£+1)01晶一二う瑠ハU−晶
2 121具11←0 30∂5FDら乙7巳 22712ーユへ乙
ームーユ高∠qδ◎σ3.162xle−s
6.331x10一一4 9.788×10−4 1・572x10−3 3・572x10−3 4.407x10−3
一10.36
−7.36
−6.93
−6.56
−5.63
−5.42
O.232 e.441 0.458 0.465 0.476 0.477
表4.7
エタノールーベンゼン混合溶媒申のMenschutkin反応 (溶媒:エタノールーベンゼン)モル比
1タノーJl:へ ンセ ン
CH31十ピリジン*
kxlos 巾
(soec)
沌x105串象 E自 Iog A lnノ乾 重nノ乾
aoooc) (soec) (loo c)
0 1 1.5 6.7
1
1 3.2
1 1
0
7.1
18 19.5 19.5 16
141 380 500 720 660
14.4 5.50 一9.55 14.9 6.28 一8.62 15.9 6.99 一8.54 17.2 7.86 一8.54 18.e 8.32 一8.74
一6.56
−5.57
−5.29
一・S.93
−5.02
R. A. Fairclough, C. N. Hinshelwood, j. Chem., B13, 301 (1931)
韓 }og AとEAの値より計算した
い切 哩三
メタ.♪一ゾレモ レ碑
O O.5
1一5
一6
一7
一8
一9
一一P O
・一P 1
o
o
10 20 30 40 50
誘電率(ε)
鞠4
一一T
一6
ツ
E 口7
一一W
一9
一1 O
:1.フ ノーyL)ノ」L・ノレSノ・子l
O O.5 1
100 Oc
500c
o
10 20 30 40 50
誘電率(ε)
図4.3
ベンゼンー三三ノール混合溶媒中の図4.4
ベンゼンーエタノール混合溶媒中のリジンとの反応においては極大値が見られなかっte。45}・46}
4.7 異なる塩基を用い叛場合の反応速度への影響
既に述べたようにSN2反応の反応速度はさまざまな要因により影響される。塩 基として塩基性の異なるピリジンとトリエチルアミンを用い各種溶媒中での反応 速度定数を測定し、反応速度に対する塩基性の影響を調べ炬。塩基性の強さは、
pKbあるいは共役酸のpKbであらわされピリジンおよびトリエチルアミンの水 中での塩基性度は、それぞれ8.78および3.28である。表4.8に各種溶媒中での 反応速度定数をベンゼン中での値を1として比較しk値を示す。メタノール以外 の溶媒では、塩基が変わっても速度比にはそれほど大きな変化は、見られなかっ k。塩基としてピリジンを用いta場合、メタノール溶媒中では、ベンゼン溶媒中 での140倍という反応速度の増大がみられる。塩基としてトリエチルアミンを用 いte場合ではメタノール溶媒中の反応速度の増大はベンゼン溶媒中の反応速度の
20倍にすぎない。この点でメタノール溶媒中の反応は、他の溶媒中の反応に比 べて特異的であるといえる。
塩基としてトリエチルアミンを用い炬場合は、反応速度が速いkめ温度を下げ て反応を行った。反応温度は、塩基としてピリジンを用いfa場合は45.0度、塩墓
としてトリエチルアミンを用いた場合は30.0度であっta。同じ反応温度で比べる ことができないので次のような反応速度の比rを定義しta。
r==k[ヒ。リシ ンコ/k【トリエチsアミン1 (4.4)
アセトン溶媒中で得られた活性化エントロピー△ssおよび活性化エンタルピ ー△H≠の値を用いてEyringの絶対反応速度論の式を使って計算すると反応温度
い刈
表4.8 p・S・ブチルベンジルブロミドとアミンの各種溶媒中での反応速度定数の比較
p−t一フSSチルへ ンシ鞠問
P fiミド
十
R
温度
(eC)
fe [1.mol一一is−i]
ベンゼン かブチルアルコール アセトン メタノール アセトニトリル
ピリジン 45.0
(ベンゼン溶媒を1として比較)
3・162x10−5
1
4・034xlo−n
12.8
7.008x10−4
22.2
4.407xlO−3
139.4
4.e17xlO−3
127.e
トリエチルアミン 30.0
(ベンゼン溶媒を1として比較)
7・551x10 5
1
1.070xle−3
14.2
1・387xlO一一3
18.37
1.563xle−3
20.7
1.216x10−2
161.0
頓︒◎
表4.9 p・t一ブチルベンジルブロミドとアミンの各種溶媒中での反応速度定数の比較
P一匹ーフ チ銀へ ンシ ル
ブOミド
十
R
温度
(.C)
ノ乾 [1■魏ol隔1S−1]
ベンゼン 治ブチルアルコール アセトン メタノール アセトニトリル
ピリジン
トリ1チルアミン
45.0
3e.o
3.162xIO s
7.551xlO−s
4.e34xlO−4
1 . 070x10一一 3
7璽008xlO晒4
1.387xlO−3
4.407x10−3
1.563xle−3
4.017xlO−3
i・216xlO−2
差【ヒ。1)シーン】/ノ乾[FリエテfUアミン! e.419 O.377 O.505 2.82 O.330
が45.◎℃の場合、30.0℃の場合よりも約2.6倍速いことが推定できる。しtaがって、
塩基の違いによる反応の促進作用が小さい場合rは2.6程度になると考えられる。
メタノールを除く他の溶媒ではrは約OAである。塩基性の大きいトリエチルア ミンを用いだ場合の反応速度定数がピリジンを用い拒場合よりも大きい。これは トリエチルアミンはピリジンよりも窒素上の非共有電子対が強く炭素核を求める 炬めにSN2反応を強く促進すると考えられる。
一一方メタノール溶媒中ではrは約2.8となり、塩基性の大きいトリエチルアミ ンを用いた場合には反応速度が同程度になっている。メタノール以外の溶媒では
トリエチルアミンを用いta場合反応が促進されているという事実に対してメタノ ール溶媒中では反応が阻害されているのではないかと考えられる(表4.9)。
これはおもにメタノールの水酸基がトリエチルアミンと溶媒和して安定化して いるためと考えられる。この安定化のエネルギーは水素結合によると考えられる。
すなわち、塩基の塩基性が高くなると非共有電子対にメタノールの水酸基が水素 結合により、強く溶媒和して安定化する。このだめトリエチルアミンが溶媒和を 破って反応にはいるtaめには、余分のエネルギーが必要となる。結果として塩基 性の高いトリエチルアミンを用いた場合の反応がピリジンを用いだ場合よりも小 さくなるという現象がみられる。
この現象を検討するtaめに、溶媒としてs・ブチルアルコールを用いて同じ反応 の反応速度を測定しだ。t一ブチルアルコールは、図4.5に示し抱ようにかさ高 いt一ブチル基をもつので立体障害のために水酸基を持つにもかかわらず塩基と水 素結合しにくいと考えられる。測定の結果、かブチルアルコ■一一・一一ル溶媒中の反応速 度定数は、塩基性の高いトリエチルアミンを用い彪場合に促進され、先に示した rの値は、0.377であっだ。この結果塩基性の強い塩基が水酸基と溶媒和して安定
ひO
メタノール
@ 、.ブチルアルコール
図4.5 メタノールおよびt一ブチルアルコールの空間充填モデル
化して反応が阻害されていることが説明され炬。
4.8 溶媒効果に関するパラメータについての検討
溶媒和の強さを示すパラメータとしてこれまで種々のものが提唱されている。
今回は、kirkwoodの式、溶解パラメータ(δ,δ2)および、 ETについて検討し
だ(表4.10)。
遷移状態理論によれば、Kirkwoodの式から(ε一1)/(2ε+1)とln孟と の問には、直線関係が成立することが期待される。さらに溶解パラメータδおよ
びδ2とlnkあるいは光学的パラメータであるE丁とlnkとの問についても
理論的には直線関係が成立することが示されている(2.5節参照)。これらの パラメータは、反応のタイプをモデル化し滝もので、取り扱う系に対して直線関 係が得られる場合、その反応は、対応するパラメータに強く支配されているとみ なすことがこできる。横軸にそれぞれのパラメータ、縦軸に反応速度定数の対数 をとり、直線を描いte。本実験結果については、いずれの場合もそれほどよい直 線関係は得られなかっte(図4.6から図4.9)。これらのパラメPtタについては理論的には、成立するが実際の実験結果につい てはそれほど良い直線関係がえられていない。47) これらの理由としては、反応 速度は一つのパラメータ支配されているのではなく、種々のパラメータが相互に 影響を及ぼしあって反応速度を決めている炬めであると考えられる。