を -0 .5
40 む 凶
2.2.4 DMF浴からのZn-Ni合金の電析挙動
前節においては、 アルコールを溶媒とした浴からのZn- 鉄族金属合金の電析挙動は 貴なNiが優先電析する正常型となることを示した。前述のように、水溶液からのZn
鉄族金属合金の電析機構として提唱されている水酸化物抑制説によると 2�3)、 水素析 出による陰極近傍の水素イオンの枯渇によって生成したZn水酸化物が陰極上の鉄族 金属イオンの放電サイトに吸着することにより鉄族金属の電析が抑制される。 したが
って、 非プロトン性溶液であるDMFを溶媒として用いることにより、 さらに水素析 出反応およびそれに続くZn水酸化物の生成反応が大きく抑制されることが予想され る。
Fig.2.9には、 Zn2+とNi2+イオン濃度の和を一定にして、 浴中のNi2+イオン濃度比 を変化させた場合の電析合金のNi含有率の変化を調べた結果を示す。 図から分かる ように、 5および100 AJm2のいずれの電流密度および全ての浴組成において、 合金 のNi含有率はCRL の上部に位置し、 また、 浴中のNi2+イオン濃度比が増大すると 共に、 合金のNi含有率は急激に上昇し、 浴中のNi2+イオン濃度比が 50%以上でNi 含有率はほぼ100%となった。 この合金電析挙動は正常型共析の中でも典型的な規則 型の特徴と一致する。
次に、 基本組成の合金浴を用いて、 電析合金組成および、合金電析の電流効率の電 所L密度依存性を調べた。 その結果をFig.2.10に示す。 図より、 水を添加しないDMF 浴からの電析物はほとんどZnを含有せず、Niのみの電析物であることが分かる。
5 Alm2 口100 Alm2
。 100
60 40 20 (ポ)岩ωoaωOEMESEoυ一Z 80
。 。 80 100
Metal-percentage of Ni in 8ath 60
40 20
Relatiol1ship betweel1 the rnetal-percel1tage of Ni il1 bath al1d the contel1t of Ni il1 deposits in the DMF baths.
CRL一一一一一 Fig. 2.9
100 80 60
• Current efficiency o Ni content
20
(ポ)〉UE22U凶言。』』コυR(ポ)岩ωoaooc二COMEoυ一Z
40
0
10 102 103
Current Density (Alm2)
EfTect of current del1sity on the cOl1tent of Ni in deposits and on the current efficiel1cy for alloy deposition frorn the DMF bath.
Fig.2.10
既に述べたように、 DMF浴からのZn-Ni合金の電析は正常型の中の規則型共析挙動 を示す。 この規則型共析においては、 低電流密度域においては貴な金属のみの電析が
起こる。 そして、 電流密度が増加して貴な金属の電析が拡散限界電流に到達すると卑 な金属の電析が始まり、 双方の金属の電析が拡散限界になるまで、 合金中の貴な金属 の含有率がCRLに向かつて低下する。 Fig.2.10では測定したすべての電流密度にお いて 合金中のより貴な金属であるNiの含有率がほぼ100%であるので、 規則型共析 の低電流密度領域の部分のみが図には現われていることも考えられる。
一方、 合金電析の電流効率は低い電流密度から500 AJm2の広い電流密度域におい て90%近くの高い値を示したが、 1kAJm2になって60%程度まで低下した。
104
GE E ミ、
2 白
師E O
・ 103
‘ c o
‘』d
・
ιコ3
102
ー0.6 ー0.8 -1.0 -1.2
Cathode Potential (V vs. Ag/AgCI)
Fig.2.11 Polarization curves for Zn-Ni alloy deposition from the DMF bath. (Bath composition; Znμ 0.25mol/dmうNi2+ 0.25 mol /dm3)
Fig.2.11にZn-Ni合金電析の際の分極曲線を示す。
図には、 全分極曲線と共に、Zn、 Niの部分分極曲線も併せて示した。 合金電析の際のNiの電析はー0.6 V付近か ら始まり、 陰極電位が卑に移行するにつれその電析速度が急激に増大し、 その後拡散 に支配され始める様相を呈した。
一方、
Znの共析はー0.9
V付近から始まっているように見えるが、 その電析速度は 陰極電位の卑な方向への移行に対しでもあまり増加せず、 測定した電位領域では Ni のそれに比べて極めて小さいものであった。 浴中にはZn2+とNi2+イオンがそれぞれ0.25 mol/Lづっ存在しており、 したがって、 Znに比べNiの極めて大きな優先電析 が認められることになる。 Fig.2.10において、 測定した全電流密度においてNi含有 率がほぼ100%であることは既に述べたが、 この現象は本合金系の電析挙動が規則苅l であることに加えて、 Zn の電析速度がNi のそれに比べて極めて小さいことにもよ ることが分かる。 また、 Ni2+およびZn2+イオンのみを含むDMF単独浴において各金 属が電析する電位を調べたところ、 Niについてはー0.57V、 Znについてはー0.95 Vか ら金属電析物が得られ始めた。 したがって、 Fig.2.11より、 合金電析の場合もこれら 金属電析開始電位にさほど変化がないものと思われる。
以上Fig.2.9'"'-'2.11に示したように、 非プロトン性溶液であるDMFを溶媒として 用い、 また溶媒中の水が塩化ニッケルからの結晶水の混入のみに限られている場合に は、 水溶液の場合に比べて、 水素析出反応および それに続くZn水酸化物の生成反応 が大きく 抑制され、 広い範囲の電解条件下で貴な
Niが優先電析する正常型共析とな
る。 このことは、 見方を替えると、 水溶液からのZn-鉄族金属合金電析機構として提 唱されている水酸化物抑制説の妥当性を示すものである。2.3 Zn-Cr合金電析
前章で述べたように、 Zn-Cr系電気合金めっき鋼板は、 高耐食性表面処理鋼板と して、 種々の優れた特性6-9)を示すことが知られている。 これらの特性の出現には電 析物中のCrが浴本体における3価の状態から金属まで還元されていることが必要で あり、 このためには電解液中にポリエチレングリコール等の有機化合物の添加が必須 であるか10)。 Ye Linら10)は、 Crの金属への還元電位がZnのそれに比べ約0.15V卑 であることから、 ポリエチレングリコールはZn の電析をCrの電析電位まで分極す ることにより、 合金電析を可能にしていることを報告している。
一方、 Cr3+イオンからのCrの単独電析に関しては多数の研究報告がある11-13)が、
健全なめっきを高電流効率で得ることが困難であり、 6価 Crめっきの代替として汎 用されるまでには至っていない。 Cr3+イオンからの金属 Crへの還元が困難な理由の 一つに、 水溶液中のCr3+イオンの構造および陰極近傍のpH上昇に伴う加水分解生成
物が大きく関わっているとする報告10,14,15)もみられる。 このように、
Zn-Cr合金系に
おける統一的な電析機構に関する知見は得られておらず、 未だ不明な点が多く残され ているのが現状である。したがって、 水以外の溶媒を用いることにより、 Zn-Cr 合金の電析挙動は大きく 変化する可能性があり、これらの共析機構に関する知見が得られることが期待できる。
本節ではZn-Cr 合金電析に及ぼすめっき浴組成、 電解条件の影響を検討することに よって本合金系の電析機構を考察する。