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Dynamic AV Delay (ダイナミックAVディレイ)—Dynamic AV Delayは以下を基に自動的に設定される ("ペース後AVディレイ(Paced AV Delay)")。

• Paced AV Delay (ペース後AVディレイ)の最小値と最大値が等しい場合には、AV Delay (AVディ

レイ)は固定値となる。

• Paced AV Delayの最小値が最大値より低い場合、AV DelayはDynamic (ダイナミック)に設定さ

れる。

PVARP (心室後心房不応期)—PVARPを280msにプログラムする。房室伝導を有する心不全患者に

対しては、自己房室間隔が長く、かつ長いPVARPがプログラムされた場合、MTRより下で心房トラッキ ング不全を惹起することがある。結果として両心室ペーシング(CRT)不全を生じる。MTRより下での心房 トラッキング不全の発生が危惧される場合はTracking Preference (トラッキングの優先)をOn (標準設 定値)にする("心房不応期 – PVARP (A-Refractory – PVARP)")。

PVARP after PVC (PVC後のPVARP)—PVARP after PVCは高レート時のPMTの発生を減らすため

400ms (標準設定値)にプログラムする。PMTの発生は他の要因による場合もある("PVC後のPVARP

(PVARP after PVC)")。

ATR (心房頻拍応答)—ATRを使用する場合、Entry Counts (開始カウント)およびExit Counts (終了カ ウント)はモードスイッチが適切かつ適時に行われるようプログラムする("ATRモードスイッチ(ATR Mode Switch)")。

VRR (心室レート制御)およびBiV Trigger (BiVトリガ)によって心房性頻拍性不整脈中にCRTの頻度を

高くすることが可能である。房室伝導のある心房性頻拍性不整脈発症中に、 心室ペーシング率を上げ CRTが最大限に行われるようBiV TriggerはOnにプログラムし、VRRは最大の設定でOnにプログラ ムする。

PMT Termination (PMTの停止)—高いレートでのPMTを停止するには、On (標準設定値)にプログラ

ムする("PMTの停止(PMT Termination)")。

LVPP (左心室保護期間)—左心室の受攻期にペーシングが行われないよう400ms (標準設定値)にプロ

グラムする("左心室保護期間(Left Ventricular Protection Period (LVPP))")。

Tracking Preference (トラッキングの優先)—心房レートがMTRより低いが近い場合には、CRTを実行

するためOn (標準設定値)にプログラムする。PVARPおよび患者の自己の心内房室間隔がプログラム

されたMTR間隔より長いときに、この機能を使用する("トラッキングの優先(Tracking Preference)")。

LV Lead Configuration (左心室リード構成)—IS-1またはLV-1左心室リード接続口を備えた装置の場

合、左心室リードの電極数によってプログラムする("左心室電極構成(Left Ventricular Electrode Configuration)")。

CRT の維持 (Maintaining CRT)

ウェンケバッハ様現象により一時的なCRT不全あるいは房室同期不全が起こることがある。また、心不 全患者ではCRTが行われなくなると症状が現れることがある。本装置をプログラムするときは以下のこ とを考慮すること。

MTR

MTRを超える速い心室応答を伴う心房の高レートは以下の状態を引き起こす。

• 完全な房室伝導を有する場合の一時的なCRTの抑制

• 2度あるいは3度の房室ブロックが見られる場合のウェンケバッハ様現象 正常洞調律が回復するとプログラムされた房室同期でCRTが行われる。

MTRは高い心房レート時にCRTが維持できる十分高い値にプログラムする。CRTを維持するため、

以下のことも考慮する。

• レートの急激な変化を防止するためRate Smoothing (レートスムージング)を使用する。

ペーシング治療(PACING THERAPIES) 基本パラメータ(BASIC PARAMETERS)

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• VRRは房室伝導のある心房性不整脈中に心室ペーシング率を上げることでCRTを促進する。

• 上室性頻拍性不整脈(SVT)時には、CRTを維持するための医学的管理と高レートに伴う血行動態 の低下から患者を救う必要がある。

• 心房の高レートを医学的に管理するとMTR以下に維持できる時間を最大限にし、一貫したCRTが 確実に行われるようにすることができる。

注記: Slow VTの患者では、MTRの上限プログラム値は最下位頻拍性不整脈ゾーンの下限レート閾値

の下限により制限される。

Slow VTのレートでCRTの遂行が必要な場合は、抗不整脈薬やカテーテルアブレーションなどのSlow

VT治療の代替的管理法を考慮し、一貫したCRTが確実に行われるようにする。

AFR

AFR (心房粗動応答)は心室の受攻期もしくは心房ペーシングが受攻期にされることを防止するため、心 房ペースイベントを遅らせたり抑制したりする。心房レートがプログラムされたAFRレートを超えると直ち にトラッキングを停止する。AFRレートが患者の洞調律より低く設定されている場合には、AV Delay (AV ディレイ)を変動させるためCRTの効果に影響を与える。

レートスムージング(Rate Smoothing)

Rate Smoothing Up (レートスムージング上昇)がOnにプログラムされている場合、心房レートの上昇が

プログラムされたRate Smoothing Upのパーセンテージを超えたエピソードの間、CRTが損なわれる。

房室ブロックを有する患者では、レートスムージングが心房レート上昇時の両心室ペーシングレートを制 御する目的でAV Delay (AVディレイ)を設定値より延長させるため、このような事象が生じる。

VVIあるいはVVI様作動に変換する機能(Features that Switch to VVI or VVI-like Behavior)

VTR/ATRはウェンケバッハ様現象やCRTが一時的に行われなくなる原因になることがある。SVT/

VT/VFイベントが解消し、正常洞調律が回復すると、プログラムされた房室同期でCRTが行われる。

VDD(R)にプログラムされ、洞調律がLRLを下回る患者では、心房イベントにCRT同期は行われず、

房室同期は失われる。LRLを低く設定するか、心室ペーシングに同期して心房ペーシングする(例えば DDD(R))モードなど医学的に適切な設定を行うことを考慮する。

STAT PACE (緊急用ペース)では、房室同期しないVVIモードでCRTが行われる。STAT PACEが中

止されると、恒久的プログラム値に戻る。

基本パラメータ(Basic Parameters)

パルスジェネレータはパラメータをプログラムすることで、CRTにより機械的な同期を促す。CRTに使用 するプログラム選択項目には徐脈ペーシング治療に使用するものが含まれる。

LVへの刺激は単極または双極LVリードを使用して行う。本装置は心房ペーシングおよびセンシングを 利用して房室伝導とCRTを調和させる。

Normal Settings (通常設定)には以下のものが含まれる。

• ペーシングパラメータ(治療後および一時的ペーシングパラメータとは独立してプログラムできる)

• ペーシングおよびセンシング

• リード

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ペーシング治療(PACING THERAPIES) 基本パラメータ(BASIC PARAMETERS)

• センサおよびトレンディング

Post-Therapy Settings (治療後設定)には以下のものが含まれる。

• ペーシングパラメータ(通常および一時的なペーシングパラメータとは独立してプログラムできる)

• 心室後ショック

プログラミング範囲(Interactive Limits)

プログラム可能なパラメータを持つ多くの機能が相互に作用するため、そのような機能全体でプログラム 値の互換性が保たれる必要がある。ユーザが要求した値と既存のパラメータの互換性がない場合、プロ グラマ画面には、互換性がないことを知らせる警告が表示される。そして、選択が禁止されるか、注意し て処理を進めるようにメッセージが表示される("色使い(Use of Color)")。

徐脈モード(Brady Mode)

Brady (徐脈)モードには患者の治療を個別に設定するプログラム選択項目がある。

パルスジェネレータには付録のプログラム選択項目に記載されているペーシングモードがある。

CRTモード(CRT Modes)

CRTの目的は両心室に連続的なペーシングを行うことである。CRTは心室ペーシングを行うモードでの み遂行される。

両心室刺激が行われたときにCRTの有効性が最大になる。徐脈の既往もある患者には心房ペーシング とアダプティブレートモードが適している場合がある。

警告: 心房のみのモードではCRTは行えないため、心不全患者に心房のみのモードは使用しないこと。

注記: CRTの安全性と有効性についてはVDDモードを使用した臨床研究で評価された。パルスジェネ

レータをVDD以外のペーシングモードにプログラミングするときは、医学的に慎重に判断すること。

注記: 心房ペーシングは心房内伝導を延長させるので、右心房と左心房の収縮同期を逸脱させる可能 性がある。心房ペーシングがCRTに与える影響についてはいまだ研究されていない。

DDDおよびDDDR (DDD and DDDR)

P波およびR波のセンスがないときは、LRL (DDD)あるいはセンサ指示レート(DDDR)で、AV Delay (AV ディレイ)の間隔をおいて心房および心室にペーシングが行われる。P波をセンスすると、心房ペーシング が抑制され、AV Delayが開始する。R波センスによって心室ペーシングが抑制されない限り、AV Delay の終了時に心室ペーシングが行われる。

• 洞性徐脈を併発している心不全患者に適している。DDD(R)はLRLより高いレートで心房に同期し た両心室ペーシングを行ったり、LRLまたはセンサ指示レート(DDDRの場合)で房室順次両心室 ペーシングを行ったりすることができる。

• 洞性徐脈がある患者や心房レートがLRLを下回る患者では、房室同期したCRTを行うためVDD モードよりもDDDモードの方が望ましい。

ペーシング治療(PACING THERAPIES) 基本パラメータ(BASIC PARAMETERS)

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DDIおよびDDIR (DDI and DDIR)

P波およびR波のセンスがないときは、LRL (DDI)あるいはセンサ指示レート(DDIR)で、AV Delayの間 隔をおいて心房および心室にペーシングが行われる。P波をセンスすると、心房ペーシングは抑制される が、AV Delayは開始されない。

• 正常な洞活動を有する心不全患者には適していない。

• 自己洞調律がなく、徐脈頻脈症候群などの心房性頻拍性不整脈のエピソードが出現する可能性の ある心不全患者には適している。

• 洞活動が休止したときにLRL (DDI)またはセンサ指示レート(DDIRの場合)で房室順次両心室ペー シングが行われる。

• 自己の心房活動がLRLより高く、R波のセンスがない場合、LRLまたはセンサ指示レートで心房に 同期しない両心室ペーシングが行われる。

VDDおよびVDDR (VDD and VDDR)

P波およびR波のセンスがないときは、LRL (VDD)またはセンサ指示レート(VDDR)で心室ペーシングが 行われる。P波がセンスされると、AV Delayが開始する。R波センスによって心室ペーシングが抑制され ない限り、AV Delayの終了時に心室ペーシングが行われる。R波のセンスまたは心室ペーシングイベン トが発生すると、次の心室ペーシングのタイミングが決まる。

• VDDは、心房に同期した両心室ペーシングを行うが、心房をペーシングしないため、正常洞活動を

有する心不全患者に適している。

• VDDRは房室同期を失う可能性が高いため、正常洞活動を有する心不全患者には適していない。

• VDDRは正常な洞活動時には心房と同期した両心室ペーシングが行われるが、センサの指示した

レートが洞レートを超えたとき、センサ指示の心室ペーシングによって房室同期が失われることが ある。

• 房室同期の消失はLRLの心室ペーシングで最も生じやすいため、徐脈の補整としては低いLRLの 設定を考慮する。

• LRLでペーシングが頻繁に発生することが予測されたり観察されたりするときは、LRLペーシング

時に房室同期が維持されるDDD(R)モードへのプログラム設定を考慮する。

VVIおよびVVIR (VVI and VVIR)

VVI(R)モードでは、センシングおよびペーシングは心室のみで実施される。センシングイベントがないと きは、LRL (VVI)またはセンサ指示レート(VVIR)で心室ペーシングが行われる。R波のセンスまたは心室 ペーシングイベントが発生すると、次の心室ペーシングのタイミングが決まる。

• 正常な洞活動を有する心不全患者では致命的となる場合がある。

• LRLまたはセンサ指示レート(VVI(R)の場合)で両心室ペーシングを行うため、慢性的な心房性頻拍

性不整脈を併発している心不全患者や、心房性頻拍性不整脈のエピソードに適応することができる。

• 心房性頻拍性不整脈時に房室伝導があり、その結果両心室ペーシングが抑制された(CRTが消失 した)場合、高いLRLをプログラミングして両心室ペーシングを増加させるか、プログラムされていな いのであればVVI(R)にプログラミングするか、その両方を行うことを考慮する。

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