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CMB 異方性スペクトル

第 9 章 量子重力的宇宙論 33

11.3 CMB 異方性スペクトル

68 第11章 CFTスペクトルからCMB多重極まで

-400 -300 -200 -100 0 100 200

1 10 100 500 700 900

-20 -10 0 10 20

1 10 100

l(l+1)Cl/2π

Multipole, l

図 11.5: CMBTEパワースペクトルをWMAP5のデータとともに表示。パ ラメータは図11.4と同じである2/dof = 0.977 (2≥l≤1000)]

られることから、最終散乱面までの距離ddecを14000Mpcとしてl = 2,3 成分のおよその波数を求めると0.0002Mpc1となる。ここでは

λ= 0.00026Mpc1 と設定してその落ち込みを説明する。

定義式(11.2.5)にλとΛQG 1.1×1017GeV(9.2.7)の値を代入すると スケール因子は現在を1としてインフレーションが始まる前は

a(τi) = 0.00026Mpc1

1.1×1017GeV 1.5×1059

のオーダーになることが分かる。すなわち、現在1/λ4000Mpcの波長が インフレーションが始まる前は力学的相関距離ξΛ = 1/ΛQG 2×1031cm の波長であったことを表している。この値はインフレーションのシナリ オと良く合っている。計算された膨張率Neの値から、宇宙はPlanck時

11.3. CMB異方性スペクトル 69 間から相転移までおよそ1030倍膨張したことになる。さらに、時空相転 移以後、力学的エネルギーΛQGと3oKの比から宇宙はおよそ1029倍膨張 すると考えられるので、合わせると1059が導かれる。

大角度成分(l < 100)におけるスカラーゆらぎ振幅の不足を補うため にテンソルゆらぎを加える必要がある。ここではテンソル・スカラー比 をr = 0.06と設定する。また、EEスペクトル(非表示)から光学的深さ

τe = 0.08と決める。その他の宇宙論パラメータは実験データと合う

ように決める。計算されたTTパワースペクトルはWMAPの5年目の データ(WMAP5)及びACBAR(Arcminute Cosmology Bolometer Array Receiver)の実験データともに図11.4に表示した。TEパワースペクトル はWMAP5のデータとともに図11.5に表示した。

71

付 録 A

A.1 曲率に関する公式 ( 上下巻共通 )

本書で採用するChristoffel記号及びRiemann曲率テンソルの定義は Γλµν = 1

2gλσ(∂µgνσ+νgµσ−∂σgµν), Rλµσν = σΓλµν −∂νΓλµσ+ ΓλρσΓρµν ΓλρνΓρµσ,

である。RicciテンソルはRµν = Rλµλν、RicciスカラーはR = Rµµで定 義される。共変微分はChristoffel記号を用いて表すと

µAσλ11······λσmn =µAσλ11······λσmn n

j=1

ΓνµλjjAσλ11······νσjm···λn+

m

j=1

ΓσµνjjAσλ11······λνjn···σm となり、その交換関係は

[µ,∇ν]Aλ1···λn =

n

j=1

Rµνλσj

j Aλ1···σj···λn

を満たす。付録Aでは断らない限り次元は任意のDとする。

Riemann曲率テンソルは関係式

Rµνλσ+Rµλσν +Rµσνλ = 0,

ρRµνλσ+λRµνσρ+σRµνρλ = 0

を満たす。二番目の式はBianchiの恒等式である。これより、関係式µRµλνσ =

νRλσ− ∇σRλνµRµν =νR/2が得られる。

δgµν = −gµλgνσδgλσ, δ√

−g = 1 2

√−ggµνδgµν,

δΓλµν = 1

2gλσ(µδgνσ+νδgµσ − ∇σδgµν), δRλµσν = σδΓλµν − ∇νδΓλµσ

= 1

2gλρ{σµδgνρ+σνδgµρ− ∇σρδgµν − ∇νµδgσρ

−∇νσδgµρ+νρδgµσ}, δRµν = δRλµλν

= 1 2

{µλδgλν+νλδgλµ− ∇2δgµν − ∇µν

(

gλσδgλσ)}

−Rλ σµ νδgλσ+1 2

(

Rµλδgλν+Rνλδgλµ), δR = δgµνRµν+gµνδRµν

= −Rµνδgµν +µνδgµν − ∇2(gµνδgµν) で与えられる。その他、微分を含む場の変分公式として、

δ(∇µA) = µδA,

δ(∇µνA) = µνδA−1

2λA(µδgνλ+νδgµλ− ∇λδgµν), δ(∇2A) = 2δA−δgµνµνA− ∇µA∇νδgµν+ 1

2λA∇λ(gµνδgµν) などが有用である。ここで、Aは任意のスカラー場である。

曲率のWeyl変換則 Weyl変換δωgµν = 2ωgµνによる曲率の変分は δω

−gR= (D2)ω

−gR−2(D1)

−g∇2ω となる。曲率の2乗の変分は

δω

−gRµνλσRµνλσ = (D4)ω

gRµνλσRµνλσ8

−gRµνµνω, δω

gRµνRµν = (D4)ω

gRµνRµν2

−gR∇2ω

A.1. 曲率に関する公式(上下巻共通) 73

2(D2)

−gRµνµνω, δω

−gR2 = (D4)ω

gR24(D1)

gR∇2ω, δω

−g∇2R = (D4)ω

−g∇2R+ (D6)

−g∇λR∇λω

2

−gR∇2ω−2(D1) g∇4ω, δω

−gFµνFµν = (D4)ω

−gFµνFµν

で与えられる。これらより、積分可能条件をD次元に一般化した式(8.1.8) は

ω1, δω2]Γ = 2{1+2+ 4(D1)η3+ (D4)η4}

× dDx√

−gRω[12ω2]

で与えられる。

Euler関係式 D= 2のときEuler関係式 Rµν = 1

2gµνR が成り立つ。D= 4ではEuler関係式

RµλσρRνλσρ2RµλνσRλσ2RµλRνλ+RµνR= 1 4gµνG4

が成り立つ。

モード分解と展開式 計量場をgµν =eg¯µνのようにRiegert場とトレー スレステンソル場に分解すると、曲率は

Γλµν = Γ¯λµν+ ¯gλµ¯νϕ+ ¯gλν¯µϕ−¯gµν¯λϕ,

Rλµσν = R¯λµσν+ ¯gλν∆¯µσ −g¯λσ∆¯µν+ ¯gµσ∆¯λν −g¯µν∆¯λσ +(¯gλν¯gµσ−g¯λσ¯gµν) ¯ρϕ∇¯ρϕ,

Rµν = R¯µν (D2) ¯∆µν−g¯µν{¯2ϕ+ (D2) ¯λϕ∇¯λϕ}, R =

e

{R¯2(D1) ¯2ϕ−(D1)(D2) ¯λϕ∇¯λϕ}

さらに、計量場¯gµν = (ˆgeh)µνhµνで展開すると、

Γ¯λµν = Γˆλµν + ˆhλν) 1 2

ˆλhµν+ 1 2

ˆ(h2)λν) 1 4

ˆλ(h2)µν

−hλσˆhσν)+1

2hλσˆσhµν+o(h3), R¯ = Rˆ−Rˆµνhµν+ ˆµˆνhµν 1

4

ˆλhµνˆλhνµ+1 2

Rˆσµλνhλσhµν +1

2

ˆνhνµˆλhλµ−∇ˆµ(hµνˆλhνλ) +o(h3), R¯µν = Rˆµν−Rˆσµλνhλσ + ˆRλhν)λ+ ˆˆλhν)λ 1

2

ˆ2hµν

1

2hλˆ2hν)λ 1 2

ˆλhσµˆσhνλ 1 4

ˆµhλσˆνhσλ

1 2

ˆλ(hλσˆhσν)) + 1 2

ˆλ(hσˆν)hλσ) + 1 2

ˆλ(hλσˆσhµν) +o(h3) を得る。ここで、abν) = (aµbν +aνbµ)/2である。R¯ = ¯gµνR¯µν、¯gµν = ˆ

gµν −hµν +· · ·に注意して、[ ˆλ,∇ˆν]hλµ = hλσRˆσµνλ+hµσRˆσν を使うと R¯µνからR¯を導くことができる。

A.2 曲がった時空上のフェルミオン

計量場は多脚場を用いてgµν =eαµeναと表される。以下では任意のD次 元を考え、断らない限りα、β、γδはLorentzの脚、µ、ν、λ、σはEinstein の脚とする。ガンマ行列はアルファベットによらずすべてLorentzの脚を 持つものとし、反交換関係α, γβ}=αβで定義される。Einsteinの脚 を持つガンマ行列は導入せず、多脚場を用いてeµαγαと表す。フェルミオン ψのDirac共役(adjoint)はLorentzの脚のガンマ行列を使ってψ¯=ψγ0 と定義される。

共変微分 共変微分の一般的な式は Dµ =µ+1

2ωµαβΣαβ

A.2. 曲がった時空上のフェルミオン 75 で与えられる。ここで、接続1フォーム(connection 1-form)ωµdxµ

ωµαβ =eναµeνβ =eνα(µeνβΓλµνeλβ)

と定義される量で、Lorentzの脚について反対称性ωµαβ =−ωµβαが成り 立つ。ΣαβはLorentz生成子で交換関係

[

Σαβ,Σγδ]=ηβγΣαδ−ηαγΣβδ+ηβδΣγα−ηδαΣγβ を満たす。この交換関係より共変微分は

[Dµ, Dν] = 1

2(∂µωναβ−∂νωµαβ+ [ωµ, ων]αβ) Σαβ

= 1

2RµναβΣαβ を満たす。

Lorentz生成子はスカラー場に対してはΣαβ = 0である。ゲージ場に作 用する場合は、Einsteinの脚を使ってΣµν =eµαeνβΣαβと書くと、(Σµν)λσ = gµλgνσ −gµσgνλで与えられ、共変微分はDµ=ν となる。フェルミオン に作用する場合はガンマ行列を用いて

Σαβ =1 4

[

γα, γβ] で与えられる。

Weyl不変性 質量ゼロのフェルミオンは任意の次元で共形不変になる。

無限小Weyl変換δωgµν = 2ωgµνを考えると、多脚場及びフェルミオンは δωeµα =−ωeµα, δωeµα=ωeµα, δωψ = 1−D

2 ωψ, δωψ¯= 1−D 2 ωψ¯ と変換する。このとき、各量の変換は

δωωµαβ = (eµαeλβ −eµβeλα)λω, δω(eµαγαDµψ) = −D+ 1

2 ωeµαγαDµψ

となる。二番目の式ではγαΣαβ = 12(D1)γβを使った。これより、フェ ルミオンの運動項は

δω

(

−gψe¯ µαγαDµψ)=

(

+ 1−D

2 ω− D+ 1 2 ω

)

−gψe¯ µαγαDµψ = 0 のように任意のD次元でWeyl不変であることが示せる。

坦な背景場のまわりでの展開式を記す。フェルミオンは共形不変なので Riegert場の依存性は除いて考える。

Riegert場依存性を除いた多脚場はトレースレステンソル場で展開す

ると

¯

eµα = (e12h)µα =ηµα+1

2hµα+ 1

8(h2)µα+· · ·,

¯

eµα = (e12h)µα =δαµ1

2hµα+1

8(h2)µα+· · ·

となる。ここで、¯eαµ¯eνα = ¯gµν、¯eµα¯eµβ =ηαβである。いま平坦な背景時空 のまわりで展開しているので、右辺に現れた量の脚はすべてLorentzの脚 とみなすことができる。この式を使うと展開式

¯

ωµαβ = ¯eνa(µe¯νβ Γ¯λµνe¯λβ)

= 1

2(∂αhµβ−∂βhµα) 1 8

(

hλαµhλβ−hλβµhλα)

1 4

(

hµλαhλβ −hµλβhλα)+ 1 4

(

hλαλhµβ−hλβλhµα

)

+o(h3) を得る。

77

付 録 B

B.1 G

D

D = 4 の周りでの展開式

D次元で定義された4次元Euler密度G4を時空積分したものをD= 4 の周りで展開すると

dDx√ gG4 =

n=0

(D4)n n!

dDx

ˆ g

{

ϕnG¯4+ 4(D3)ϕnR¯µν¯µ¯νϕ

2(D3)ϕnR¯¯2ϕ−2(D2)(D3)(D4)ϕn¯2ϕ∇¯λϕ∇¯λϕ

(D2)(D3)2(D4)ϕn( ¯λϕ∇¯λϕ)2

}

(B.1.1) となる。また、D次元で定義されたMD(8.1.9)の場合は

dDx√

gMD = D−4 4(D1)

dDx√ gR2

= 1

4(D1)

n=0

(D4)n n!

dDx

ˆ g

{

(D4)ϕnR¯2

2(D1)(D6)ϕnR¯¯2ϕ+ 2(D1)(D2)ϕn¯λR¯¯λϕ +4(D1)2ϕn¯4ϕ+ 8(D1)2(D4)ϕn¯2ϕ∇¯λϕ∇¯λϕ +(D1)2(D2)2(D4)ϕn( ¯λϕ∇¯λϕ)2

}

(B.1.2) となる。作用ED(8.1.3)はこれらを組み合わせて求められる。

展開式(B.1.2)の最後の二項は(D4)nの次数でそれぞれo(ϕn+2)と o(ϕn+3)の寄与を与える。展開式(B.1.1)も同様である。一方、EDの条 件式(8.1.10)は高々o(ϕn+1)までの寄与でなければならない。そのため、

o(ϕn+2)とo(ϕn+3)の項が同時に相殺するような組み合わせが存在するか どうかを考える。

を探すと、η =4(D3)2/(D−1)(D2)に唯一決まることが分かる。

このようにしてEDが求められる。

組み合わせGD(8.1.4)はEDの全微分項を除いた部分なので、 dDx√

gED =

dDx√gGDである。これより、GDの展開式は

dDx√

gGD =

n=0

(D4)n n!

dDx

ˆ g

{

ϕnE¯D+ 4(D3)2

D−2 ϕn¯4ϕ +4(D3)ϕnR¯µν¯µ¯νϕ−4(D3)(D2 6D+ 10)

(D1)(D2) ϕnR¯¯2ϕ

2(D3)2(D6)

(D1)(D2) ϕn¯λR¯¯λϕ− 2(D3)(D4)3

D−2 ϕn¯2ϕ∇¯λϕ∇¯λϕ

}

=

dDx

ˆ g

{

G¯4+ (D4)

(

2ϕ∆¯4ϕ+ ¯E4ϕ+ 1 18

R¯2

)

+1

2(D4)2

(

2∆¯4ϕ+ ¯E4ϕ2+ 6ϕ¯4ϕ+ 8ϕR¯µν¯µ¯νϕ

28

9 ϕR¯¯2ϕ+8

9ϕ∇¯λR¯¯λϕ− 14 9

R¯¯2ϕ+ 1 9

R¯2ϕ+ 5 54

R¯2

)

+1

3!(D4)3(3∆¯4ϕ+ ¯E4ϕ3 6 ¯2ϕ∇¯λϕ∇¯λϕ+ 9ϕ2¯4ϕ+· · ·) +o((D4)4)

}

となる。1

1二次元量子重力ではD次元のRicciスカラー曲率を時空で積分したものをD = 2 の周りで展開した式

dDx

gR=

n=0

(D2)n n!

dDx ˆ g

{(D1)ϕn¯2ϕ+ ¯n }

が対応する。n= 1の部分がLiouville-Polyakov作用である。

79

付 録 C

C.1 次元正則化のための公式

D次元Euclid空間積分 D次元Euclid空間積分は

dDp =

pD1dp

dΩD, (p2 =pµpµ)

dΩD =

D1 l=1

sinD1lθll = 2πD/2 Γ(D2) と表される。

基本積分公式 次元正則化に出てくる運動量積分の基本形はp2の関数を 被積分関数にもつ

dDp (2π)D

p2n

(p2+L)α = 1 (4π)D/2

Γ(n+ D2)Γ(α−n− D2)

Γ(D2)Γ(α) LD/2+nα である。被積分関数がpµを含む場合は

dDp

(2π)Dpµpνf(p2) = 1 µν

dDp

(2π)Dp2f(p2),

dDp

(2π)Dpµpνpλpσf(p2) = 1

D(D+ 2)(δµνδλσ+δµλδνσ +δµσδνλ)

× dDp

(2π)Dp4f(p2)

を使うと基本形の積分で表すことができる。被積分関数が運動量pµの奇 数次の場合はゼロである。

を行う際に現れるより複雑な積分はFeynmannパラメータ公式 1

AαBβ = Γ(α+β) Γ(α)Γ(β)

1

0

dx (1−x)α1xβ1 [(1−x)A+xB]α+β を使って運動量積分を基本形が使える形にする。

自己エネルギー積分 自己エネルギーのくりこみ計算に現れるA=p2+z2B = (p+q)2+z2の組み合わせの場合を考える。ここで、z2は質量項 に当たる。このとき、

dDp (2π)D

f(pµ, qν)

(p2+z2)α((p+q)2+z2)β

= Γ(α+β) Γ(α)Γ(β)

1

0

dx(1−x)α1xβ1

dDp (2π)D

f(pµ−xqµ, qν) [p2+z2 +x(1−x)q2]α+β

を得る。頂点関数のくりこみ計算ではこの作業をくりかえす。

発散の評価 次元正則化ではD = 42ϵとして、紫外発散はϵの極とし て抜き出される。その際に、

Γ(ϵ) = 1

ϵ −γ+ ϵ 2

(

γ2+π2 6

)

+o(ϵ2), aϵ = eϵlna = 1 +ϵlna+o(ϵ2)

を使う。ここで、aとしてp2や赤外発散を取り除くための無限小のz2な どが対応する。

ガンマ行列の公式 D次元平坦Euclid背景時空でのガンマ行列をµ, γν}=

µνと定義する。次元正則化で使われるガンマ行列の公式として、

γλγλ = −D, γλγµγλ = (D2)γµ,

γλγµγνγλ = (D4)γµγν+ 4δµν, γλγµν = γλµν −δλµγν +δλνγµ

C.1. 次元正則化のための公式 81 などがある。ここで、同じ時空の脚はδµνで縮約を取るものとする。ガン マ行列の反対称積は

γµν = 1

2[γµ, γν], γλµν = 1

3!(γλγµγν +γµγνγλ+γνγλγµ−γλγνγµ−γνγµγλ −γµγλγν)

と定義する。

83

付 録 D

D.1 発展方程式の解析的考察

ここでは連立線形スカラー発展方程式(10.2.3)と(10.2.4)の解につて 解析的な考察を行う。そのために次のような簡単化を行う。まず、結合 定数trは十分小さな定数とする。このときHubble変数も定数になって、

以下H = HD/√

B0 = 1と規格化する。結合定数の二乗に比例した定数 T = b1B0t2r/8π2( 1)を導入する。さらに方程式の運動量依存性を無視 する。そのような状況は、運動量依存性が物理時間を用いて表すとk2/a2 であることから、インフレーションが始まってから少し経つとスケール 因子aが急速に増大して実現する。このとき、スカラー揺らぎの発展方 程式は

2....Φ14Φ...36 ¨Φ48 ˙Φ + 2Ψ +14 ¨... Ψ + 36 ˙Ψ + 48Ψ

+6(Φ + 4 ˙¨ ΦΨ˙ )= 0 (D.1.1) と

4 3

Φ +¨ 16 3

Φ +˙ 20 3 Φ4

3 Ψ +˙ 4

3Ψ + 8 T

(Φ + ˙¨ ΦΨ¨ Ψ˙)

2(Φ + Ψ) = 0 (D.1.2)

で表される。

新しい変数f = ΨΦ˙ を導入すると、これらの方程式は

...

f +7 ¨f + 15 ˙f+ 12f = 0,

...

Φ(1 + 7 12T

)

Φ˙ 7

12TΦ = −f¨(1 + 1 6T

)

f˙ 1 12T f

f =c1

e

+c2

e

32τsin

( 3 2 τ

)

+c3

e

32τcos

( 3 2 τ

)

を得る。この解を二番目の式に代入すると Φ = (a1+c1)

e

τ + (a2+c2)

(

1 7 12T τ

)

+ (a3+c3)

(

1 + 7 12T τ

)

e

τ

+c13607T

1800

e

−4τ +

3c2+ 5c3

14

e

32τcos

( 3 2 τ

)

+5c2−√ 3c3

14

e

32τsin

( 3 2 τ

)

(D.1.3) を得る。このときT は小さいとして一次まで展開している。

ここでは運動量依存性を無視して計算しているので、この解には欲し ている揺らぎの解の他に真空解も含まれている。T = 0のとき(D.1.1)式 から真空モードΦ = Ψ =ω

....ω +6ω...+8¨ω−3 ˙ω−12ω= 0

を満たすことが分かる。一方、(D.1.2)式はこのとき自明な式となる。こ の式は 9.2 節で議論した真空モードϕˆの運動方程式に他ならないもの で、インフレーション解

e

τと減衰する三つの解

e

e

3τ /2sin(

3τ /2)、

e

3τ /2cos(

3τ /2)を持つ。ここで欲しいのは揺らぎの解なので、T = 0

の極限でこれらの真空解になるものを一般解(D.1.3)から除かなければな らない。このようにして揺らぎΦのT 1での振る舞いは、指数関数的 に減衰する解を無視すると、

Φ1 7 12T τ

となることが分かる。この解の振る舞いが図11.1及び図11.2の減少して いる部分に現れている。

85

付 録 E

E.1 基本定数とパラメータ

換算Planck定数 h¯ = 1.055×1027 cm2 g s1 光速(speed of light) c = 2.998×1010 cm s1 Newton定数 G = 6.672×108 cm3 g1 s2 Planck質量 mpl = 2.177×105 g

= 1.221×1019 GeV/c2 換算Planck質量 MP = 2.436×1018 GeV/c2 Planck長さ lpl = 1.616×1033 cm Planck時間 tpl = 5.390×1044 s

Boltzmann定数 kB = 1.381×1016 erg K1 メガパーセク(Megaparsec) 1Mpc = 3.086×1024 cm

Hubble定数 H0 = 100h km s−1 Mpc−1

現在のHubble距離 c/H0 = 2998h1 Mpc

(現在の観測ではh 0.7である) 自然単位系(c= ¯h=kB = 1)への変換に有益な定数

1 cm = 5.068×1013 ¯h/GeV 1 s = 1.519×1024 ¯h/GeV/c 1 g = 5.608×1023 GeV/c2 1 erg = 6.242×102 GeV 1 K = 8.618×1014 GeV/kB

87

付 録 F 参考文献

次元正則化を基礎にした教科書

J. Collins, Renormalization(Cambridge University Press, 1984).

T. Muta, Foundations of Quantum Chromodynamics(World Scien-tific, 1987).

曲がった時空上のくりこみ理論

S. Hathrell,Trace Anomalies andλϕ4 Theory in Curved Space, Ann.

of Phys. 139 (1982) 136.

S. Hathrell, Trace Anomalies and QED in Curved Space, Ann. of Phys. 142 (1982) 34.

量子重力のくりこみ理論

K. Hamada and F. Sugino,Background-metric Independent Formu-lation of 4D Quantum Gravity, Nucl. Phys. B553 (1999) 283.

K. Hamada, Resummation and Higher Order Renormalization in 4D Quantum Gravity, Prog. Theor. Phys. 108 (2002) 399.

K. Hamada, Renormalizable 4D Quantum Gravity as a Perturbed Theory from CFT, Found. Phys. 39 (2009) 1356.

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