第 9 章 量子重力的宇宙論 33
10.3 物質場を含む線形発展方程式
10.3. 物質場を含む線形発展方程式 55
T00+ 3∂ηϕˆ∂i
|
∂2Ti0 = 0,
∂i
|
∂2Ti0 = 0 を考える。
最初の式からエネルギー密度の摂動変数Dを含んだ微分方程式 b1
8π2B0(τ)
{(−2∂η2ϕˆ+ 2∂ηϕ∂ˆ ηϕˆ− 2 3∂|2
)
∂η2Φ +(2∂η3ϕˆ−4∂η2ϕ∂ˆ ηϕˆ)∂ηΦ +∂ηϕˆ(−2∂η2ϕˆ+ 2∂ηϕ∂ˆ ηϕˆ−2∂|2)∂ηΦ +
(
−20
3 ∂ηϕ∂ˆ ηϕˆ+4 9∂|2
)
|
∂2Φ +∂ηϕˆ
(
2∂η2ϕˆ−2∂ηϕ∂ˆ ηϕˆ+2 3∂|2
)
∂ηΨ +(−2∂η3ϕ∂ˆ ηϕˆ+ 4∂η2ϕ∂ˆ η2ϕˆ)Ψ +
(
2∂η2ϕˆ+ 2
3∂ηϕ∂ˆ ηϕˆ+2 9∂|2
)
|
∂2Ψ
}
+ 2 t¯2r(τ)
{
−4
3∂|4Φ−4∂ηϕˆ∂|2∂ηΦ + 4
3∂|4Ψ + 4∂ηϕˆ∂|2∂ηΨ
}
+MP2e2 ˆϕ2∂|2Φ +e4 ˆϕρD= 0
が得られる。この式は重力ポテンシャルについて高々2階の時間微分しか 含まないので、(10.2.3)と(10.2.4)の連立微分方程式から得られたΦとΨ の解を代入すれば変数Dの値を求めることができる。
二番目の式からは速度スカラー変数V を含んだ微分方程式 b1
8π2B0(τ)
{
−2 3∂η3Φ +
(
−10
3 ∂η2ϕˆ+2
3∂ηϕ∂ˆ ηϕˆ+ 4 9∂|2
)
∂ηΦ− 4
3∂ηϕˆ∂|2Φ +2
3∂ηϕ∂ˆ η2Ψ +
(
2∂η2ϕˆ−2
3∂ηϕ∂ˆ ηϕˆ+ 2 9∂|2
)
∂ηΨ +
(
2∂η3ϕˆ− 2 3∂ηϕˆ∂|2
)
Ψ
}
+ 2 t¯2r(τ)
{
−4
3∂|2∂ηΦ + 4
3∂|2∂ηΨ
}
+MP2
e
2 ˆϕ{2∂ηΦ−2∂ηϕΨˆ }− 43
e
4 ˆϕρV = 0を得る。この式も重力ポテンシャルについて高々3階の時間微分なので、
連立微分方程式(10.2.3)と(10.2.4)の解を代入すればV を求めることが できる。
10.3. 物質場を含む線形発展方程式 57 運動方程式T0i = 0からベクトル成分を抜き出すと、ベクトル変数Ωi を含んだ微分方程式
2
¯t2r(τ)
{
∂η2∂|2Υi− |∂4Υi}− b1
8π2B0(τ)
(1
3∂η2ϕˆ+ 4
3∂ηϕ∂ˆ ηϕˆ
)
|
∂2Υi +1
2MP2
e
2 ˆϕ∂|2Υi−43
e
4 ˆϕρΩi = 0を得る。この式もベクトル変数Υiについて高々2階の時間微分しか含ん でいないので、微分方程式(10.2.5)の解を代入すればΩiを求めることが できる。
59
第 11 章 CFT スペクトルから CMB 多重極まで
相転移のエネルギースケールがΛQG ≃ 1017GeVであるとすると、相 転移以後宇宙はおよそ1029 (= 1017GeV/3oK)倍ほど膨張することにな る(図9.3参照)。インフレーション期に宇宙は1030倍ほど膨張するので、
Planck時間にPlanck長さであったゆらぎは1059倍ほど膨張して、現在 では銀河団よりも大きな数百メガパーセク(Mpc)の大きさになっている と考えられる。この大きさのゆらぎはCMBを観測することによって調べ ることができるので、そのパワースペクトルを研究することでPlanckス ケールの現象を理解することができる。
この章では、まず重力ポテンシャルの線形発展方程式を解いてインフ レーション解が実際に安定であること示す。すなわち、ゆらぎの振幅が次 第に小さくなり、平坦性やホライズン問題が説明できることを見る。その 結果をもとに、Planck時間以前に設定される共形不変な初期スペクトル がどのように時間発展するかを考察して、相転移点でのスペクトルを求 める。それをビッグバン後の宇宙構造形成の種となる原始ゆらぎパワー スペクトルと同定してCMB異方性スペクトルを計算する。
11.1 重力場の 2 点相関関数と初期スペクトル
はじめに、線形発展方程式を解くための初期条件である初期スペクト ル与える。初期スペクトルはインフレーションが始まる以前のある適当な 時間τi = 1/Ei (Ei ≥HD)に設定する。この領域ではΦ = Ψで表される Riegert場のゆらぎφが優勢で、そのダイナミクスは4階微分の
Riegert-同時刻では
⟨φ(τi,x)φ(τi,x′)⟩=− 1
4b1 log(m2|x−x′|2) (11.1.1) で与えられる。正の定数b1はRiegert-Wess-Zumino作用の前の係数であ る。質量スケールmは物理時間τiでの共動座標で見たPlanck質量で、
m=a(τi)HD (11.1.2)
と定義される。このとき、時間τiの超曲面上の物理的距離は|r−r′| = a(τi)|x−x′|となる。ここで注意すべき点は、対数の相関関数(11.1.1)は インフレーション時空のホライズン距離であるPlanck長さLP = 1/HD より長い相関をもつゆらぎが存在することを表している。
スペクトルは3次元共動座標空間でのFourier変換を使って表す。変数 φ(x)のFourier変換を
φ(x) =
∫ d3k
(2π)3φ(k)e˜ ik·x と定義する。標準偏差⟨|φ(k)˜ |2⟩は
⟨φ(k) ˜˜ φ(k′)⟩=⟨|φ(k)˜ |2⟩(2π)3δ3(k+k′) (11.1.3) で定義される。
対数関数のFourier変換は
−log(m2|x|2)=
∫
k>ϵ
d3k (2π)3
4π2
k3 eik·x−log
( m2 ϵ2e2γ−2
)
で与えられる。ここで、k =|k|である。ϵ(≪1)は無限小のカットオフ、
γはEuler定数である。右辺の定数項はFourier空間ではδ3(k)に比例す るので無視すると、式(11.1.1)から
⟨|φ(k)˜ |2⟩= π2 b1
1 k3 を得る。
11.2. 線形方程式の解と安定性 61