4.5 調査内容
4.5.2 CLJ による日本語名詞句の親密度調査の構成及び実施内容
・CLJ による日本語名詞句の親密度の定義
日本語学習者による日本語単語に対する親密度の先行研究では、単語親密度の定 義について以下のように示されている。
山口(2000)、邱(2003)では、単語の親密度は、日本語学習者はある言葉をど の程度知っているか、又はどの程度使い慣れているかと感じる程度を複数の調査協 力者が 5 段階で評定した時の平均値とされている。
親密度を測る際に使用された評定尺度には 7 段階尺度評定法27と 5 段階尺度評定法
28の両方がある。しかし、日本語学習者を対象とする親密度の調査では、調査協力者
27 7 段階尺度評定法の内容について、横川編(2006)を参考し、以下のようにまとめる。ある単語を見 聞きする程度は 1 の「全く見聞きしない」から 7 の「よく見聞きする」の 7 段階に分けており、調 査協力者はその尺度を用いて単語に対する親密度を判定する。
28 5 段階尺度評定法とは、邱(2003)を参考し、次のようにまとめる。ある単語を見聞きする程度は 1
51
の負担を軽減するために 5 段階評定法による調査(邱(2003)、松島(2009)、姚
(2018))を行ったものが多い。そこで、本研究においても、CLJ による日本語名詞 句の親密度を測定する際に、5 段階評定法を使用する。
また、上記の山口(2000)、邱(2003)に基づき、本研究における CLJ による日 本語名詞句の親密度を、「ある日本語の名詞句について、中国語を母語とする日本 語学習者(30 名)が、どの程度知っているか、又はどの程度見聞き慣れているか感 じる程度を、5 段階で評定した時の平均値」と定義する。
・CLJ による日本語名詞句の親密度調査構成内容
第三章で抽出した、日本語では「の」が必要であり中国語では「的」が不要な日 本語名詞句(28 個)を用いて本研究の CLJ(30 名)の調査協力者に、横川博一・薮 内智(2006a)における全体的な枠組みに倣って、本研究の親密度の調査を行った。
親密度調査の詳細構成は以下、表 15 に示す。
表 15 CLJ による日本語名詞句の親密度調査の構成
構成 調査問題 ダミー問題
親密度の 評定尺度
調査用紙 時間制限
内容 28 問 0 問 5 段階尺度 A 版、B 版 5 分
なお、この調査は CLJ による 28 個の日本語名詞句に対する親密度を見ることが目 的であるため、ダミー問題は設定しなかった。
・CLJ による日本語名詞句親密度の調査内容
調査用紙は 10 ページで構成されている。1 ページ目には調査の目的、日本語名詞 句親密度の定義、評定尺度 5 段階の解釈、説明用の名詞句 2 個・評定スケールを、2 ページ目には練習用の名詞句 4 個・評定スケールを記載した。それ以降の 7 ページ
の「全く見聞きしない」から 5 の「よく見聞きする」の 5 段階に分けており、調査協力者はその尺 度を用いて単語に対する親密度を判定する。
52
は各ページ名詞句(4 個)・評定スケールを記載した。カウンターバランスをとるた め、調査用紙は,3 ページ目から 10 ページ目の調査対象となる 28 個の日本語名詞句 をランダムに入れ換えたものを A 版、B 版の 2 種類作成した。調査問題の実例を以下、
図 8 に提示する。なお、サンプルの詳細には章末の添付資料を添付する。
この調査は中国語を母語とする日本語学習者による日本語名詞句に対する親密度を調 査しようとするものである。日本語名詞句の意味を知っているか知っていないかを問う ものではない。
日本語名詞句の親密度とは、日常生活においては、中国語を母語とする日本語学習者 は、ある日本語の名詞句をどの程度知っているか、又はどの程度見聞き慣れているかと するものである。
その評定尺度は以下、1〜5 の順番で低いものから高いものへとの 5 スケールからなる。
各数字で表すスケールの意味は以下のように示す。
1.一度も聞いたり見たりしたことがない。
2.ほとんど聞いた/見たことがない。
3.たまに聞く/見る。
4.よく聞く/見る。
5.非常によく聞く/見る。
問 1. 英語の成績
1 2 3 4 5
図 8 CLJ による日本語名詞句親密度の調査問題例
・CLJ による日本語名詞句の親密度調査の実施内容
文法性判断テストと読み上げテストの結果に影響を及ぼさないように、CLJ による 日本語名詞句の親密度調査は最後に実施した。2 つのテストと同様に、集団形式と一 部個別形式を併用し、調査協力者を参加順に 2 グループに分けて、前 15 人に日本語 名詞句親密度調査 A 版、その後の 15 人に日本語名詞句親密度調査 B 版を回答させた。
調査は以下の手順に従って実施した。
53
(1)調査問題用紙・回答用紙の配布
「CLJ による親密度調査」の調査問題用紙の冊子、各調査問題の評価スケールが記 載された回答用紙 B4(1 枚)を CLJ に配布した。
(2)親密度評定方法の説明
1 ページ目に記載されている目的、日本語名詞句親密度の定義、評定尺度の説明 を確認した。CLJ に評定方法について理解させるために,説明用の日本語名詞句を 例にとり,見聞きする度合いの例を挙げて評定値を示した。
(3)親密度評定の練習
この判定法に慣れさせるため、2 ページ目に記載されている練習用の日本語名 詞句 4 語について評定値を示させた。質問などがあればそれに応じた。
(4)日本語名詞句親密度の評定
質問がなくなったことを確認した後、調査を開始した。余裕を持って回答できる ように調査の時間29は約 5 分とした。
29 予備調査では、10 名の CLJ による日本語名詞句の所要時間は大体 4 分〜5 分であった為、本調査で は所要時間を 5 分程度に設定した。