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第 3 章 L - ガラクトース転移活性の検出と機能解析

3.3. 実験結果

3.3.7. AtFUT1 の酵素学的解析

AtFUT1の、GDP-L-Gal を基質として用いた場合の反応初速度、2価カチオンの影響、pH

の影響、温度の影響、基質特異性を解析した。GDP-L-Fuc、GDP-L-Galをドナー基質、XLLG をアクセプター基質として用いた場合のAtFUT1酵素反応産物の生成速度を測定した。3.2.8

酵素反応溶液に、終濃度2 mM、5 mM、10 mMのEDTA、MgCl2、CaCl2、MnCl2、ZnSO4

を添加し、酵素反応への影響を調査した。EDTA 添加の有無で酵素活性は変化しなかった。

また、Mg2+、Ca2+を5 mM以上添加すると、8-13% 酵素活性が向上した。一方、Mn2+を添加 した場合、Mn2+濃度の上昇に伴い、酵素活性が強く阻害された。10 mMのMn2+を添加した

場合、3.2.8で述べた酵素反応条件で反応を行った場合と比較し、酵素活性は16% まで低下

した(Fig. 3.3.7-1 B)。

pHの影響は、pH 5.5からpH 9.0までpH 0.5刻みで測定した。pH 5.5-7.0、MES-NaOH; pH 7.0-8.5、HEPES-NaOH; pH 8.0-9.0 Bicine-NaOH、を用いた。GDP-L-Galを基質として用いた 場合、AtFUT1の至適pHは、pH7-7.5だった(Fig. 3.3.7-1 C)。また、15-40 ˚Cにおける酵素 活性を5˚C刻みで測定した。GDP-L-Galを基質として用いた場合、AtFUT1は反応温度20-25˚C で最大の酵素反応を示した。一方、40˚Cでは酵素反応産物が検出できなかった(Fig. 3.3.7-2 D)。基質特異性は、XLLG、XXLG-PA/XLXG-PA、XLLG-PA,XLLGXLLG-PA に対して調 査した。XXLG-PA/XLXG-PA、XLLGXLLG-PAとして、3.3.4で分取したPeak F、Peak Jを それぞれ用いた。AtFUT1 は、XLLG、XLLGXLLG-PA に対して酵素活性を示したが、

XXLG-PA/XLXG-PA,XLLG-PAに対しては、酵素活性を示さなかった(Fig. 3.3.7-2 A、B)

また、XLLGXLLG-PAに対するAtFUT1の反応初速度は49.9 µM/hrであり、XLLGに対する 反応初速度の7倍だった(Fig. 3.3.7-2 C)。なお、Peak MをMALDI-TOF MSで解析したと ころ、[(XLLGXLLG-PA+ヘキソース) + H]+、[(XLLGXLLG-PA+ヘキソース) + Na]+、 [(XLLGXLLG-PA+ヘキソース) + 2Na - H]+に相当する、m/z 2999.3m/z 3021.3m/z 3043.3 が 検出された(Fig. 3.3.7-2 D)。以上の結果より、AtFUT1 により XLJGXLLG-PA または

XJLGXLLG-PAが生成されたと推測される。

Fig. 3.3.7-1 AtFUT1GDP-L-Galに対する酵素学的性質

A: GDP-L-Fuc)およびGDP-L-Gal)を基質とした場合の、AtFUT1の反応初速度。実線はGDP-L-Fuc

を基質とした場合の反応物生成速度を示す。破線は GDP-L-Gal を基質とした場合の反応物生成速度 を示す。B: 2価カチオンとその濃度の影響。酵素反応は、12 hr、25˚Cで行った。C: pHの影響。酵

素反応は75 mM MES-NaOH)、75 mM HEPES-NaOH)、75 mM Bicine-NaOH)を用い、12

hr25˚Cで行った。D: 温度の影響。75 mM HEPES-NaOH pH 7.023 hr反応を行った。40˚Cでは、

反応生成物が検出できなかった。

Fig. 3.3.7-2 AtFUT1の基質特異性

GDP-L-Galをドナー基質として用いた場合のAtFUT1の基質特異性を調査した。AB: XLLGXLLG-PA

(A)、XLLG-PA及びXXLG/XLXG-PA(B)に対する AtFUT1の酵素活性。Mは反応生成物ピーク を示す。ベクターコントロールには、pREP1-myc His空ベクターを形質導入したS. pombeより調製 した酵素を用いた。C: XLLGXLLG-PAを基質とし、酵素反応を行った場合の反応物(Peak M)生成

速度。D: Peak MMALDI TOFMS解析結果。