第 2 章 GDP- L - ガラクトース生産系の構築
2.3 結果
2.3.5. 組換え FKP の酵素学的解析
Table 2.3.4 Peak 1の NMR解析結果 Chemical shifts, δa
Sugar residue H-1 H-2 H-3 H-4 H-5 H-6 H-8 β-D-Ribose 5.95 n.d.b n.d. 4.37 4.23
β-L-Galactose 4.97 3.62 3.69 3.93 3.75 3.75
Guanine 8.13
a Chemical shifts (parts per million) of 1H signals were referenced to the signal of HDO (δ 4.70 ppm).
b n.d., Signals were not detected due to the limited amounts and partial overlapping with HDO signal.
GDP-L-Fucを45.5 mM/minで生成した。一方、L-Galを基質とした場合、FKPはGDP-L-Gal を31.9 mM/minで生成した。つまり、FKPにより、GDP-L-Galは、GDP-L-Fucの70% の生 成速度で生成されることがわかった。また、FKPの酵素活性1 Uを、第2章で示した酵素反 応溶液中において、2 mMの基質から、1 µmol のGDP-L-Fucを1 minに生成する際に必要な 酵素量と定義し、50 mU/mLのFKPを用い、以降の実験を行った。
次に、2 価金属イオンおよび pH の影響を調査した。FKP は、Mn2+存在下、Mg2+存在下で
L-Galに対する酵素活性を示したものの、Cu2+、Ca2+、Zu2+や、金属イオンを含まない酵素反 応条件では、GDP-L-Galを生成しなかった。また、FKPは、Mn2+存在下で最大活性を示し、
Mg2+存在下では、Mn2+存在下の40% の反応効率を示した(Fig. 2.3.5-2 B)。この結果より、
FKPのL-Galに対する反応は、金属イオンが必須であり、Mn2+が至適な金属イオンであると 考えられる。また、pHの影響を、pH 4.0からpH 8.5でpH 0.5ずつ調査したところ、L-Gal に対するFKP酵素反応の至適pHは、pH 7.5付近だった(Fig. 2.3.5-2 C)。また、pH 6.0未満 では、FKPはL-Galに対する酵素活性を示さなかった。以上の解析結果を基に、FKPのL-Gal に対する至適反応条件下における酵素学的パラメーターを算出した(Fig. 2.3.5-2 D)。0.2 か ら 8.0 mMのL-Galに対するFKPの反応の初速度を、pH 7.5、2 mM Mn2+を含む溶液で計測
し、Lineweaver-Burk プロットにより、酵素学的パラメーターを算出した。FKP の L-Gal に
対する酵素学的パラメーターは、Km: 2.03 mM、 kcat: 0.195 sec-1であり、Wang et al.により算 出されたL-Fucに対する酵素学的パラメーター[115]を基にすると、FKPはL-FucよりもL-Gal に対する親和性が低く、複合体形成が起こりにくいと考えられた。
Fig. 2.3.5-1 L-Galに対する FKPの酵素活性解析結果
A: 各種スタンダードのMP-CEエレクトロフェログラム。PABAを内部標準として用いた。GDP-L-Gal は、2.3.4で精製したGME由来のGDP-L-Galを用いた。GDP-L-Gal とGDP-L-Fucの泳動時間は類似 していた。また、GDP-L-Fucは、0.1-5.0 mM、ATPは0.25-2.5 mM、GTPは0.25-2.5 mMの範囲で直 線性を示した。B: FKPのL-Galに対する酵素活性。経時変化はMP-CEで解析した。時間依存的に泳
動時間20.2 minのPeak Fが増加した。
Fig. 2.3.5-2 L-Galを基質とした FKPの酵素学的解析
A: L-Fuc(○)、L-Gal(●)を基質としたFKPの酵素反応初速度の比較。生成されたGDP-糖は、MP-CE で計測し、ピークエリアより、GDP-L-Fucの検量線を用いて算出した。B、C: 金属カチオン(B)お よびpH(C)の影響。B: 2過カチオンは終濃度4.0 mMで反応を行った。反応は、50 mM Tris-HCl pH 7.4、2 mM L-Gal、2 mM ATP、2 mM GTP、37˚C、10 minで行った。Mn2+を用いた場合の活性を100%
として算出した。C: pH の影響は、次のバッファーを用いて反応を行った。MES-KOH(△)、
HEPES-NaOH(■)、Tris-Hcl(○)。反応は、50 mM Tris-HCl pH 7.4、2 mM L-Gal、2 mM ATP、2 mM GTP、
4 mM Mn2+の反応溶液を用い、37˚C、10 minで行った。pH 7.5における活性を100% として各pHに
おける活性を算出した。D: L-Galに対するFKPの酵素反応速度論的解析。反応は、50 mM Tris-HCl
pH 7.5、 2 mM ATP、2 mM GTP、4 mM Mn2+ 50mU/mL FKPの反応溶液を用い、37˚C、10 min反応
を行った。