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図4 民間の団体調人の中で母子に対して大きな働きをするもの
表4−2
A B D C E F
H G
I
K
JN=340
家族 自身の親
親戚子供を通じての友人 近所の人自治会の役員
かかりっけの医師 保母・先生 ボランティア
ヘルパー親の会・育成会 L その他
A B C D E F G H
1 JK L
合計 無答人数(人) 47 33 11 19 26 2 19 26 30 20 23 2 258 82
割合(%) 18 13 4 7 10 1 7 10 12 8 9 1 100
*一人について5っの回答を選んでもらった。したがってのべ数は上記の とうりである。
14.知的障害をもった母親に対して民間の立場からの援助についておたずねします。
①「このような状況の母子に対する公的な立場からの援助は」
母子ともに対する援助が必要 42(61.8%)
どちらかといえば子供に必要 2(2.9%)どちらかといえば母親に必要9(13.2%)
専門的な立場からの援助は不必要1(1.5%) わからない8(11.8%)*その他6(8.8%)
②「このような状況の母子に対する民間レベルの立場からの援助は」
母子ともに対する援助が必要32(47.1%)
どちらかといえば子供に必要 4(5.9%) どちらかといえば母親に必要 11(16. 2%)
民間レベルからのi援助は不必要 0(0%) わからない13(19.1%)*その他8(11.8%)
(まとめ)
日常的な援助については、多くの人が関わりをもっていってもよいと考えており 2から8までの具体的な対応についても積極的な姿勢が見受けられる。これは男女 を問わずであって、女性の問題であるから女の人に任せておけばよい、ということ ではないとも解釈できる。
また11にみられるように地域における存在も決して否定されてはいない。やはり ポイントは接し方であって、12にみられる理由が知的障害をもつ母親に対する援助 の難しさを証明している。13ではまだまだ日常的な援助は家族や親といった身近な 人の助けが必要であることをあげており、真の意味での民間の援助は難しいことが 証明されている。14の結果をみても公的な立場からの援助は、民間のそれよりもず っと必要と回答している人が多い。
ボランティアの在り方など考えていく必要もあると思われる。
第四章:援助のあり方について
(知的障害がある母親への主に公的機関での対応)
第二章では、知的障害をもつ母親の子育ての事例から課題として「母親の早期発見・早 期対応」 「公的機関の縦断的な結びつき」 「母子と公的機関を結びつけるコーディネータ ーの存在」という3っをあげた。
第三章では課題の普遍性を確認しつつ、それを解決していくための方向性を示し、同時 に民間の立場からの援助の可能性も示唆した。
ではこれらのことに対応する援助の望ましいあり方とはどんなものであろうか。
この第四章では第二章・第三章で明らかになったことを土台として、いくつかの自治体 の施策を概観する中でその援助法を検討することにする。
第一節 子育て支援の土台
(1)家庭と社会のパートナーシップ(これからの時代の子ども・子育て福祉)
各地の実態を中心に知的障害をもつ母親への育児援助を考えていくが、多くの自治体で は特に「知的障害」などと銘打たなくとも、地域の実情に応じたスタイルでさまざまな援 助がなされている。かえって「知的障害」などと銘打ってしまえば、どの母親も行きづら
くなるであろうし、人権侵害になってしまう恐れも多分にある。
そのためにもまずは幼い子供のいる多くの母親を対象に、育児援助を実施していくこと が大切になってくる。その後は個々の母親やそれぞれの家庭の事情に応じた対人援助サー
ビス(ソーシャルワーク)をいかに有効利用していくかにかかっているように思われる。
1994年の7月29日に厚生省児童家庭局長の私的な諮問機関である「子供の未来21プラン
れた。網野(1994)は「これからの児童家庭施策においては、その基本理念がどこに置か れるかということが重要になってくる」と述べている。これまでの児童福祉施策の流れは どうしても保護を必要とする子供や、何か問題や障害が起きたときに後追い的なかたちで 子供や家族に関わっていくというものであった。
しかしこれからは、すべての子供の育成を考えていく施策が求められている。 「家庭と 社会のパートナーシップ」というキーワードもこの報告の中に加えられている。かつての 子育てというのはプライベートな領域の問題であって、国や地方公共団体は本当の意味で 必要なときだけ関わればよいという考えが強かった。しかし少子化社会が進みっつある現 代は、 「社会が家庭とともに」子育てを考えていこうということが重視される。また子供 の権利をどのように受け止めて児童家庭施策を進めていくかも大切なことになってくる。
このように考えていくと、これまでの施策が縦割り型、あるいは一つ一つの施策が別々 の目的で進められていたのに対し、これからは子供と家庭とを包み込む社会全体の中で、
総合的かっ多面的にサービスを進めていかなければならない。
柏女(1994)はこれからの時代の子ども・子育て福祉(ウェルビーイング)(2)の基本方 向として従来との比較により以下の6点を提示している。
①「保護的福祉」から「支援的福祉」、「児童福祉」から「子ども・子育ての福祉」へ (児童養育に関する家庭と社会の共同責任)
②「血縁・地縁型子育てネットワーク」から「社会的子育てネットワーク」へ (男女共同型子育て、社会的子育ての推進)
③「与えられる(与える)福祉」から「選ぶ(選ばれる)福祉」へ (多様な価値観・ライフスタイルを前提とした支援策の展開)
④「点の施策」から「面の施策」へ
(地域を基盤とした施策の総合的・計画的進展)
⑤「大人の判断」から「子どもの意見も」へ (児童の最善の利益の明確化)
⑥「親族の情言宣」から「子権のための介入」へ
(親権や私権に公権が介入することによって生ずる問題よりも「子権」
(2)エンゼルプラン(3)を土台として
1994年は国際連合が定めた国際家族年である。また1989年に国連が採択した「子どもの 権利条約」がようやく今年になって日本でも発効した。施策の方でも「主任民生児童委員 の設置」(4>や「児童手当法の改訂」(5)が導入され、また「母子保健事業の市町村委譲」
も平成9年4月より実施予定されている。そしてこれまでの狭義の児童福祉を「子ども・
子育て福祉(ウェルビーイング)」すなわち子供を含めた家族構成員一人ひとりの自己実 現と権利保障を促進していくための施策、へと再構築していく具体的な政策の代表的なも のとして「エンゼルプラン」があげられる。
この「エンゼルプラン」は政府全体が取り組む「子育て支援総合計画」であることが重 要なポイントである。したがって厚生省のみならず、文部省・労働省・建設省をはじめ、
子ども・子育てに関連する省庁の施策の有機的連携のもとに文字通り総合的に策定される ことが必要である。そういった意味からこの「エンゼルプラン」は高齢者のための「ゴー ルドプラン」と同等あるいはそれ以上の幅広い内容を包含する可能性をもつ。1994年度は その実現に向けての「エンゼルプランプレリュード」(6)の施策も打ち出された。
「知的障害をもつ母親の子育て」といっても、こういつた児童養育に関しての土台とも いえる福祉政策があってはじめて実現が可能となっていく。大日向(1994)によると「き わめて個別的なニーズに公的なサービスで対応するには限界がある。」としながらも「て いねいに見ていくと基本的なニーズが充たされていないから、きわめて個別的な形ではた らきかけざるをえない。」とも述べている。
既存の公的機関や公の制度を用いる場合は、このことを抜きにして考えていくことは危 険であり、援助できる可能性もほとんどないに等しくなってしまうであろう。
したがって最初にも言ったように、まず多くの母親を対象として援助を考えていかなけ ればならない。そのような面から奈良市の「6ヵ月児乳児健康相談実施体制」(7)はまず 情報をもれなく把握し、育児を行なうすべての母親からさまざまな問題点を発見し、母子 保健教室の開催や日常的な相談および指導などを通して援助していくという形をとってい る。ここにはたとえば帰国子女、マタニティブルー、転居したての人たちも対象としてい
(3)早期発見・早期対応について
「知的障害をもっと思われる母親」にはじめに出会う(発見する)のは医療関係者が多 い。桜井(1993)らは身体・精神・対人関係発達・トイレットトレーニングの遅れ・簡単 な疾病の遷延など子供に起こる諸問題の原因のひとつとして、母親を主とする育児担当者 の育児能力の不足が原因と考えられる例を経験したと述べている。また松本(1993)は育 児の困難な母親への援助について、病院での症例を通してその取り組みの意義、可能性と 限界を検討すべく面接を行なった結果、次の4点が明らかになったとしている。
①母親として育児をしていく際に一部資質に欠ける面もあるが、その母親なりに子供を なんとかしたいという気持ちがある。
②援助は原則として、母親の気持ちを尊重した形で行なわれる必要がある。
③子供の側には情緒的交流の潜在能力は認められた。母親との情緒的関係の形成を積極 的に進めることは、発達の回復や母親としての自信にもつながり有効である。
④しかしこういつた母親には長期にわたるフォローが必要不可欠である。
発見をし、問題点も明らかになり、対策も講じられても実際問題として病院が継続的に 援助に関わるのは不可能に近い。したがってここに他機関との連携が必要になってくる。
前述した奈良市の「乳児健康相談」は行政の仕事ではあるが、窓口になっているのは市の 市民部衛生課の保健センター(8)である。センターの母子健康保健担当の保健婦が中心に なってこういつた母親の対応にもあたるわけであるが、病院と行政がさらに密なる関係を 保っていけばより充実した援助体制が整っていくことになるであろう。
奈良市の保健センターにおいても「母と子の遊びの教室(きしゃぽっぽ教室)」(9)で援 助を受けた母親も多い。さらに継続的・専門的な指導を要する母子については、第二次療 育機関さらに次の機関へと早期教育体制の流れ(10>がある程度できあがっている。しかし それでも、スタッフの絶対量の不足や教室開催の頻度の問題、そしてどうしても縦割り行 政にならざるをえない面も持ち合わせているなど、その背景は何事もうまく流れていると は決していえない現状であることは確かである。これらはもちろん他の自治体も抱えてい