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都心マンション住民の価値観を探るために,競争主義(「チャンスが平等にあたえら れるなら,競争で貧富の差がついてもしかたがない」),リーダーシップ(「みんなで議 論するよりも有能な指導者にまかせたほうが政治はうまくいく」),外国人増加(「外国 人の増加に賛成」),性別役割分業(「夫は外で働き,妻は家庭を守るべきだ」),セキュ リティ(「犯罪の取り締まりのために,生活が多少不自由になっても構わない」)の

5

項 目について,「そう思う」から「そう思わない」までの

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つの選択肢からひとつを選ん でもらった。分析に際しては,「そう思う」「どちらかといえばそう思う」という回答を

「そう思う」,「どちらかといえばそう思わない」「そう思わない」という回答を「そう思 わない」にまとめている。

9−3−1

は価値観の

5

項目について名古屋調査と東京調査の結果を比べたものであ

9−2−1 近所づきあいと居住環境における都心志向(平均点)

近所づきあい 居住環境 性別

1.58 1.65

2.38 2.12 イータの2

sig.

.001 .021

**

年齢 30歳代以下 40歳代 50歳代 60歳代

70歳代以上

1.84 1.74 1.44 1.48 1.48

2.13 2.07 2.27 2.29 2.48 イータの2

sig.

.026 .026

* 職業 管理

専門 事務

販売・サービス・生産等 その他

働いていない

1.60 1.66 1.73 1.56 1.33 1.61

2.36 2.22 2.15 2.03 1.67 2.38 イータの2

sig.

.004 .033

* 世帯類型 単身世帯

夫婦のみ世帯 未婚子のいる世帯 その他

1.97 1.45 1.53 1.70

2.33 2.33 2.11 2.17 イータの2

sig.

.036

**

.015

注:平均点の算出方法は本文を参照。**p<.01 *p<.05

「都心回帰」時代の名古屋市都心部における地域コミュニティの現状 76

る。各項目に対して賛成する比率(「そう思う」の比率)は,いずれの都市においても,

競争主義,セキュリティ優先,リーダーシップ,外国人増加,性別役割分業の順であ る。性別役割分業をのぞく

4

項目については名古屋調査より東京調査で賛成する比率が 高く,特に競争主義と外国人増加に対する賛成率は,東京調査と名古屋調査で

10

ポイ ント以上の開きがある。他方で,性別役割分業に関しては

2

都市で賛成の比率に大きな 差はないが,反対する比率は東京調査が名古屋調査より

8

ポイント高い。

次に,名古屋調査においてこうした価値観は回答者の属性とどのような関連があるか を検討しよう。価値観

5

項目について,性別,年齢,学歴,職業,世帯構成,世帯年 収,住宅類型との関連を検討したところ,リーダーシップとセキュリティに関してはど の属性とも有意な関連がみられなかった。

競争主義に対する賛否は,年齢,学歴,世帯年収,住宅類型と有意な関連がみられた

(表

9−3−1)。年齢別では,賛成する比率(「そう思う」の比率)が 30

代以下で

69.2%,70

代以上で

41.1% と 30

ポイント近い開きがあり,若いほど競争主義的な傾向が強くみら

れた。また,学歴が高いほど競争による格差を支持する比率が高い。世帯年収別では,

賛成する比率は

1,000

万円以上>400〜800万円>800〜1,000万円>400万円未満の順で あり,中間層で逆転がみられるものの,おおむね世帯年収が高いほど競争主義的な傾向 が強い。住宅類型別では,賛成する比率は,分譲(2000年代以降に建設)>賃貸(民 間)>賃貸(UR・公社)>分譲(1990年代以前に建設)>賃貸(市営)の順であった。

「外国人の増加に賛成」という意見に関しては,性別とのみ有意な関連がみられた

(表

9−3−2)。賛成する比率は男性と女性で 10

ポイント以上の開きがあり,男性は女性

より賛成する傾向にある。

性別役割分業に対する意識は,回答者の学歴および職業と有意な関連がみられた(表

9−3−1 価値観(名古屋調査と東京調査)

注:各項目の順番は質問順ではなく,「そう思う」の比率が高い順に並べ替えた。

「都心回帰」時代の名古屋市都心部における地域コミュニティの現状 77

9−3−3)。学歴が高いほど,「夫は外で働き,妻は家庭を守るべきだ」という意見に反対

する比率(「そう思わない」の比率)は高くなる傾向にある。ただし,学歴が低いほど

9−3−2 外国人増加に関する意識

外国人増加に賛成 そう思う どちらとも n

いえない

そう 思わない 性別*

28.1%

15.6%

32.7%

42.0%

39.2%

42.5%

153 212 注:太字は調整済み残差の絶対値が2以上であることを示す。**p<.01 *p<.05

9−3−3 性別役割分業に関する意識

性別役割分業 そう思う どちらとも n

いえない

そう 思わない 学歴

*

中学・高校

短大・高専,専門学校 大学・大学院

21.6%

7.8%

15.0%

36.0%

41.6%

28.1%

42.4%

50.6%

56.9%

125 77 160 職業

**

管理 専門 事務

販売・サービス・生産等 その他

働いていない

13.3%

6.6%

12.9%

12.0%

14.3%

25.0%

31.1%

26.2%

24.2%

41.3%

28.6%

39.7%

55.6%

67.2%

62.9%

46.7%

57.1%

35.3%

45 61 62 75 7 116 注:太字は調整済み残差の絶対値が2以上であることを示す。**p<.01 *p<.05

9−3−1 競争に関する意識

競争主義 そう思う どちらとも n

いえない

そう 思わない 年齢

*

30代以下 40 50 60 70代以上

69.2%

69.0%

63.8%

60.6%

41.1%

23.1%

22.6%

23.2%

22.7%

37.5%

7.7%

8.3%

13.0%

16.7%

21.4%

91 84 69 66 56 学歴

**

中学・高校

短大・高専、専門学校 大学・大学院

48.0%

63.6%

73.8%

37.6%

19.5%

16.9%

14.4%

16.9%

9.4%

125 77 160 世帯年収

**

400万円未満 400〜800万円 800〜1,000万円 1,000万円以上

46.7%

68.7%

61.9%

82.3%

36.1%

20.6%

26.2%

9.7%

17.2%

10.7%

11.9%

8.1%

122 131 42 62 住宅類型

**

分譲(1990年代以前に建設)・自家所有 分譲(2000年代以降に建設)・自家所有 賃貸(民間)(分譲賃貸を含む)

賃貸(UR・公社)

賃貸(市営)

54.5%

73.7%

66.7%

56.8%

37.9%

31.3%

16.5%

27.5%

24.3%

41.4%

14.3%

9.8%

5.9%

18.9%

20.7%

112 133 51 37 29 注:太字は調整済み残差の絶対値が2以上であることを示す。**p<.01 *p<.05+

「都心回帰」時代の名古屋市都心部における地域コミュニティの現状 78

賛成する比率が上昇するわけではなく,「短大・高専,専門学校」の層で最も賛成率が 低い。この層は他の層に比べて,性別役割分業に対して「どちらともいえない」と態度 を保留する回答が多かった。また,職業別では,性別役割分業に反対する比率が専門 職>事務職>その他>管理職>販売・サービス・生産等>無職(「働いていない」)の順 であった。無職の約

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割は女性が占めており,専業主婦層で「夫は外,妻は家庭」とい う性別役割分業を肯定する比率が高い(1)

⑴ 職業と性別役割分業意識の関連を性別で統制すると,女性の無職層は他の職業よりも賛成する比率が 有意に高かった(男性 n.s.,女性 p<.01)。

(上野淳子)

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