すでにくりかえし述べてきたように,大都市の都心部で人口の再増加がみられるよう
「都心回帰」時代の名古屋市都心部における地域コミュニティの現状 83
になり,乱立するマンションに大量の新住民が流入し,「居住空間としての都心」が出 現している。またその一方,そこでのコミュニティの形成や再形成が課題となり,既存 の地域社会が対応を迫られている。こうした趨勢は,名古屋市だけのものではなく,日 本の主要な大都市の多くで経験されているものである。
今後の我々の課題としては,本論の知見がどの程度,日本の他都市における傾向と共 通点をもつのか,また名古屋特有の傾向なのかを明らかにするという作業が不可欠なも のとして挙げられよう。本論のはじめにも述べたように,我々は,都心部のマンション 住民を対象とした質問紙調査を,名古屋市中区で実施したものと共通の調査方法で,東 京都中央区,大阪市中央区,札幌市中央区,福岡市中央区,京都市中京区でも実施して きている(1)。また,都心部の地域住民組織を対象としたインタビュー調査も,大阪市北 区,札幌市中央区,福岡市中央区,京都市中京区でも実施してきている(2)。これらのデ ータを縦断的に比較分析することで,「都心回帰」や再都市化と呼ばれる趨勢下にある
21
世紀初頭の日本の都心社会の一般的な傾向と各都市の特殊性の一端を明らかにする ことができると考えている。注
⑴ 大阪市北区での調査結果は,鯵坂・徳田(2011),鯵坂(2013 b),札幌市中央区と福岡市中央区での 調査結果は,鯵坂ほか(2013),東京都中央区での調査結果は,鯵坂ほか(2014)を参照。
⑵ 大阪市北区での調査結果は,鯵坂ほか(2010),鯵坂ほか(2011),鯵坂(2013 a),丸山・岡本(2013, 2014),札幌市中央区,福岡市中央区,名古屋市東区での調査結果は,鯵坂ほか(2013)を参照。この ほかに,大阪市における「都心回帰」に関して国勢調査のデータを整理したものとして,徳田・妻 木・鯵坂(2009)がある。
参考文献
鯵坂学,2013 a,「「都心回帰」時代の大阪市の地域住民組織の動向」岩崎信彦ほか編『増補版 町内会の 研究』御茶の水書房.
鯵坂学,2013 b,「大阪市都心地域におけるマンション住民の急増と地域コミュニティ」岩崎信彦ほか編
『増補版 町内会の研究』御茶の水書房.
鯵坂学・中村圭・田中志敬・柴田和子,2011,「「都心回帰」による大阪市の地域社会構造の変動」『評論・
社会科学』98.
鯵坂学・徳田剛,2011,「「都心回帰」時代のマンション住民と地域社会」『評論・社会科学』97.
鯵坂学・徳田剛・中村圭・加藤泰子・田中志敬,2010,「都心回帰時代の地域住民組織の動向−大阪市の地 域振興会を中心に」『評論・社会科学』92.
鯵坂学・上野淳子・堤圭史郎・丸山真央,2013,「「都心回帰」時代の大都市都心地区におけるコミュニテ ィとマンション住民−札幌市,福岡市,名古屋市の比較」(上・下)『評論・社会科学』105,106.
鯵坂学・上野淳子・丸山真央・加藤泰子・堤圭史郎・徳田剛,2014,「「都心回帰」時代の東京都心部のマ ンション住民と地域生活」『評論・社会科学』111.
石原紀彦,1997,「都心コミュニティと街づくりの主体−名古屋市中区栄・伏見地区の事業所・住民調査よ り」『名古屋大学社会学論集』18.
丸山真央・岡本洋一,2013,「「都心回帰」時代の大都市中心部の地域住民組織−大阪市北区済美地区の事 例」『評論・社会科学』104.
「都心回帰」時代の名古屋市都心部における地域コミュニティの現状 84
丸山真央・岡本洋一,2014,「「都心回帰」下の大阪市の都心地区における地域生活と住民意識−北区済美 地区での調査を通じて」『評論・社会科学』110.
松本康・安藤純子・川北稔,1997,「都心型コミュニティのモデルを求めて−名古屋市栄・伏見地区のまち づくりの事例から」『名古屋大学社会学論集』18.
徳田剛・妻木進吾・鯵坂学,2009,「大阪市における都心回帰−1980年以降の統計データの分析から」『評 論・社会科学』88.
(丸山真央)
謝辞
3節の執筆にあたっては,名古屋市中区役所に格別のご高配をいただいた。とくに同区役所区民生活部 の林哲哉部長には,多大なご協力をいただいた。栄学区区政協力委員会の白瀧正人副委員長,老松学区区 政協力委員会の澤田高志委員長には,インタビュー調査へのご協力と資料のご提供をいただいた。調査の 実施にあたっては,金城学院大学の西山八重子名誉教授,名古屋学院大学経済学部の井澤知旦教授にもた いへんお世話になった。いうまでもなく本節の記述は執筆者の責でおこなったものであるが,各位のご協 力に対して,記して感謝を申しあげたい。
お忙しい中にもかかわらず面倒な質問紙にご回答いただいた名古屋市中区の住民の皆様にも,改めて深 く感謝を申しあげたい。
付記
本論文は,科学研究費基盤研究(B)「『都心回帰』時代の大都市都心における地域コミュニティの限界 化と再生に関する研究」(研究代表者:鯵坂学)による研究成果である。
「都心回帰」時代の名古屋市都心部における地域コミュニティの現状 85
付録
1
名古屋市中区マンション住民調査の調査票「都心回帰」時代の名古屋市都心部における地域コミュニティの現状 86
「都心回帰」時代の名古屋市都心部における地域コミュニティの現状 87
「都心回帰」時代の名古屋市都心部における地域コミュニティの現状 88
「都心回帰」時代の名古屋市都心部における地域コミュニティの現状 89
「都心回帰」時代の名古屋市都心部における地域コミュニティの現状 90
「都心回帰」時代の名古屋市都心部における地域コミュニティの現状 91
「都心回帰」時代の名古屋市都心部における地域コミュニティの現状 92
(アジサカ)
「都心回帰」時代の名古屋市都心部における地域コミュニティの現状 93
問1 近所付き合い
(1)共同住宅・マンション内 (2)地域(町内・校区)
度数 パーセント 有効パーセント NA・DK 度数 パーセント 有効パーセント NA・DK 1.挨拶する方
2.世間話する方
3.お裾分けしたりされたりする方 4.相談・頼みごとをする方 5.家の訪問がある方
334 243 135 92 73
90.5 65.9 36.6 24.9 19.8
91.0 66.6 37.0 25.1 19.9
2 4 4 3 3
175 134 69 65 60
47.4 36.3 18.7 17.6 16.3
49.6 38.1 19.5 18.4 16.9
16 17 16 16 15
合計 369 100.0 369 100
注:1〜5の項目について「1.いる」と回答した人の数と比率,NA・DKの実数のみ示した。
問2および問3 付き合いのきっかけ
問2 共同住宅・マンション内 問3 地域(町内・校区)
度数 パーセント 有効パーセント 度数 パーセント 有効パーセント 1.マンション内活動
2.子供 3.職場・仕事 4.趣味・サークル活動 5.出身学校 6.部屋が近く 7.地域の活動や行事 8.ペット 9.その他
124 88 124 17 14 169 29 32 25
33.6 23.8 33.6 4.6 3.8 45.8 7.9 8.7 6.8
37.9 26.9 37.9 5.2 4.3 51.7 8.9 9.8 7.6
70 28 25 16 50 15 26
19 7.6 6.8 4.3 13.6 4.1 7
40.7 16.3 14.5 9.3 29.1 8.7 15.1
有効 合計 327 88.6 100.0 172 46.6 100.0
欠損値 非該当 NA・DK 合計
27 15 42
7.3 4.1 11.4
172 25 197
46.6 6.8 53.4
合計 369 100.0 369 100.0
問4 マンション内の活動参加
度数 パーセント 有効パーセント 累積パーセント 有効 1.ある
2.ない 合計
210 159 369
56.9 43.1 100
56.9 43.1 100.0
56.9 100.0
欠損値 NA・DK 0 0.0
合計 369 100.0
注:複数回答の質問。選択肢1〜9について○をした人の数と比率を示した。1〜9の度数の合計と「有効合計」の度数は一致しない。
問3では「マンション内活動」「部屋が近く」の選択肢はない。
問5 マンション内で参加した活動
度数 パーセント 有効パーセント 1.総会
2.理事会 3.行事
163 127 83
44.2 34.4 22.5
78.4 61.1 39.9
有効 合計 208 56.4 100.0
欠損値 非該当 NA・DK 合計
159 2 161
43.1 0.5 43.6
合計 369 100.0
注:複数回答の質問。選択肢1〜3について○をした人の数と比率を示した。1〜3の度数の合計と「有効合計」の度数は一致しない。
付録
2
名古屋市中区マンション住民調査の単純集計表「都心回帰」時代の名古屋市都心部における地域コミュニティの現状 94
問8 地域の活動参加
度数 パーセント 有効パーセント 累積パーセント 有効 1.ある
2.ない 合計
115 242 357
31.2 65.6 96.8
32.2 67.8 100.0
32.2 100.0
欠損値 99 NA・DK 12 3.3
合計 369 100.0
問9 地域で参加した活動
度数 パーセント 有効パーセント 1.総会
2.役員会 3.行事
28 24 94
7.6 6.5 25.5
24.6 21.1 82.5
有効 合計 114 30.9 100.0
欠損値 非該当 NA・DK 合計
242 13 255
65.6 3.5 69.1
合計 369 100.0
問6 マンション内活動の参加のきっかけ
度数 パーセント 有効パーセント 1.きまり・習慣
2.知人の誘い 3.役員の誘い 4.自分で探した 5.チラシ 6.その他
152 8 42 6 30 9
41.2 2.2 11.4 1.6 8.1 2.4
73.4 3.9 20.3 2.9 14.5 4.3
有効 合計 207 56.1 100.0
欠損値 非該当 NA・DK 合計
159 3 162
43.1 0.8 43.9
合計 369 100.0
注:複数回答の質問。選択肢1〜6について○をした人の数と比率を示した。1〜6の度数の合計と「有効合計」の度数は一致しない。
問7 マンション内活動に参加しない理由
度数 パーセント 有効パーセント 1.関心ない
2.興味の持てる活動ない 3.時間的に無理 4.活動を知らない 5.組織や活動がない 6.その他
47 14 29 47 45 13
12.7 3.8 7.9 12.7 12.2 3.5
29.7 8.9 18.4 29.7 28.5 8.2
有効 合計 158 42.8 100.0
欠損値 非該当 NA・DK 合計
210 1 211
56.9 0.3 57.2
合計 369 100.0
注:複数回答の質問。選択肢1〜6について○をした人の数と比率を示した。1〜6の度数の合計と「有効合計」の度数は一致しない。
注:複数回答の質問。選択肢1〜3について○をした人の数と比率を示した。1〜3の度数の合計と「有効合計」の度数は一致しない。
「都心回帰」時代の名古屋市都心部における地域コミュニティの現状 95
問11 地域活動に参加しない理由
度数 パーセント 有効パーセント 1.関心ない
2.興味の持てる活動ない 3.時間的に無理 4.活動を知らない 5.組織や活動がない 6.その他
84 36 39 119 28 13
22.8 9.8 10.6 32.2 7.6 3.5
35.0 15.0 16.3 49.6 11.7 5.4
有効 合計 240 65.0 100.0
欠損値 非該当 NA・DK 合計
115 14 129
31.2 3.8 35
合計 369 100.0
問12 町内会・自治会の加入
度数 パーセント 有効パーセント 累積パーセント
有効 1.加入している
2.加入していない 3.町内会・自治会がない 4.その他
合計
215 125 17 5 362
58.3 33.9 4.6 1.4 98.2
59.4 34.5 4.7 1.4 100.0
59.4 93.9 98.6 100.0
欠損値 NA・DK 7 1.9
合計 369 100.0
問13 町内会・自治会に加入しない理由
度数 パーセント 有効パーセント 1.忙しい
2.仲間がいない 3.会費を払いたくない 4.役員等の責任が面倒 5.近所づきあいがわずらわしい 6.雰囲気が閉鎖的
7.興味ない 8.活動内容が不明 9.加入方法が不明 10.会の存在が不明 11.今後も住み続けるか不明 12.その他
13.わからない
36 16 6 14 15 4 20 38 24 59 10 11 6
9.8 4.3 1.6 3.8 4.1 1.1 5.4 10.3 6.5 16.0 2.7 3 1.6
29.3 13.0 4.9 11.4 12.2 3.3 16.3 30.9 19.5 48.0 8.1 8.9 4.9
有効 合計 123 33.3 100.0
欠損値 非該当 NA・DK 合計
237 9 246
64.2 2.4 66.6
合計 369 100.0
注:複数回答の質問。選択肢1〜13について○をした人の数と比率を示した。1〜13の度数の合計と「有効合計」の度数は一致しない。
問10 地域活動の参加のきっかけ
度数 パーセント 有効パーセント 1.きまり・習慣
2.知人の誘い 3.役員の誘い 4.自分で探した 5.チラシ 6.その他
50 29 31 3 30 7
13.6 7.9 8.4 0.8 8.1 1.9
43.9 25.4 27.2 2.6 26.3 6.1
有効 合計 114 30.9 100.0
欠損値 非該当 NA・DK 合計
242 13 255
65.6 3.5 69.1
合計 369 100.0
注:複数回答の質問。選択肢1〜6について○をした人の数と比率を示した。1〜6の度数の合計と「有効合計」の度数は一致しない。
注:複数回答の質問。選択肢1〜6について○をした人の数と比率を示した。1〜6の度数の合計と「有効合計」の度数は一致しない。
「都心回帰」時代の名古屋市都心部における地域コミュニティの現状 96