Flbrosarcoma Total
2 .
非腫癒性病変本センターも含め各研究機関の主な自然発生病変也民主丘)をみると,動物の年齢は報告によって異な り,病変の発生および分布にも差がある. しかし一般に肝臓の肉芽巣,甲状腺のC‑細胞の増殖および下 垂体護胞はそれぞれ
10%
以上観察された.また肝臓の核内好酸性結晶,腎臓の尿細管上皮における脂肪 化あるいは空胞化およびカルシウム沈着は,3 研究機関で一様に 10% 以上の発生であった.肝臓の消耗色
素沈着,腎臓の蛋白円柱および核内好酸性結品,胸腺の萎縮およびケJレスタイナー(K
侃r s t e i n e
の護胞,副腎の空胞化および 前立腺炎が
2
研究機関で10%
以上の発生であった.しかし,他の変化はそれぞれI研 究機関毎の発生例であった.イヌにおける自然発生病変がマウス(広内ら拘)やラット(岩田らめ)のそれに比べて少ないのは,ピーグ
ルを用いた試験期聞が短かく,比較的に若い例が多いためと考えられる.ある研究機関ではピーグJレに 肺虫(刊訂o i d
回h i r t h i
28))あるいはイヌ回虫( T o x o c a r ac a n i s l a r v a e ) の感染
S)が報告されているが.本センター での寄生虫感染としては皮膚の毛包虫が病弱例に認められた.告臓器系別に主な発生所見を述べる.
心臓血管系: 心臓では心弁膜の血管拡張症
a n g i e c t a s i s = t e l a n g i e c t a s i s = hemocyst of c a n i n e c a r d i a c v a l v e (
図7
,8 )
がしばしば観察される.この所見は主として3
尖弁,稀に僧帽弁に見られ,初期の部分的な 血管拡張から肉眼的にも赤色塊を形成し血液嚢とも呼ばれ1‑5mm
の大きさである.臨床的にはほとん ど問題にされず,解剖時に発見される.H ubben らは 1 2 9 3 例中 22 例(
1.7% ) 2 9 )
,武田らmは225
例( 5 . . . . . . 2 4
カ月 齢)中1 1
例( 4 . 9 % )
に観察している.安評センターでは若い動物が多いためか表にも示したように,2 6 . . . . . . 2 8
週齢に3 1 2 1
(14.3%)
,3 5 . . . . . . 4 0
週齢に3 / 4 2 ( 7 . 1
%),74‑79
週齢では1 / 2 4 ( 4 . 2%) と高い発生率を示した .イヌ
の心臓では,心内膜下や心外膜下に死戦期に生じたと考えられる新鮮な点状出血がしばしば観察され る.その他,乳頭筋のけん索付着下の心組織内に,心筋壊死巣からはん痕的な線維化にいたる多様な病 巣が循環器剤,特にCa
詰抗剤などで誘発されることがある.血管,心臓の大動脈起始部には石灰沈着(図
9
,1 0 ) を認めること
がある.動脈,特に冠状動脈,大動脈 の栄養血管,などに多発性動脈炎が自然発生する.これらが特に加齢の動物にみられるラットやマウスと異なって,ピーグルでは
1 0 カ月齢位でも観察される.自発運動の減少,貧血や白血球増加などを伴
い,全身性に上記の他,肺,胆装,甲状腺,消化管などの小,中動脈を冒す特発性壊死性動脈炎で,b e a g l e p a i n syndrome
とも呼ばれる(森島ら31)).これは自己免疫的な発生機転によるものと考えられるが,ストレスやサイトカインなど生理的活性因子への影響を介して誘発される可能性がある.
造血器系: 牌臓の色素沈着(図
1 1
)は,雄で1 5
.4% ( 0 . 0 ‑5 0 . 0 % ) ,雌で 16.5%(0.0‑ 40.0%)
みられ,若い動 物よりも加齢動物で寓い発生を示し,また雌よりも雄で高い発生を示した.胸腺の萎縮(図1 2 )
は,雄で30.8%(9 . 5‑100.0%) ,雌で 2
1.6%(4.8‑ 1 00.0%) であった.この萎縮は年齢に従って増加したすなわち , 26‑28
,35‑40
,74 ‑79
および1 26
週齢のそれぞれの発現は,雄で9 . 5
,2
1.4
,5 4 . 2 および 1 00.0%
,雌 で4 . 8
,1
1.9 , 3 6 . 7
およびl∞ .0%
であった.この変化は雌よりも雄で高かった.胸腺の萎縮は若い動物に もみられ,また剖検時に胸腺の大きさに差のあることはしばしば経験される.ちなみに当センターの胸 腺実重量は26‑28
週齢の雄で4 . 5‑1 5 . 0 g (
平均;8 . 8 g ) .
雌で4.7‑1
1.9g(
平均;8 . 2 g )
であり,個体によっ て著しい差がみられることから胸腺重量の評価に当たっては,組織学的検査の併用のもとに行なわれる 必要があると考える.呼阪器系 : 鼻腔の病変については,標本作製技術を基盤に鼻腔の構成細胞への被験物質の標的特異性 を検索した報告がある(渡溢ら 】).肺では肉眼的に結節状硬化
( 0 . 3 ‑ 0 . 5cm
直径)として触れる多発消化器系: 唾被腺にはリンパ球など小細胞の浸潤像のみられることが多い.一般にこの種の細胞浸潤 は多臓器に観察され,特に消化器系では,食道,胃,腸,肝臓, ß~護などでもよく認められる.肺,気
管支,腎臓,脳などにも発生率が高い.
10%
前後の発生は甲状腺,前立腺などにみられる(森島ら勺.胃 ではびらん(図1 9 )
など浅い潰筋形成が自然発生するが,誘発もされる.食塩水の投与による観察報告(三 沢ら3S.36りなどがある.小腸では希な変化として回腸の異所性胃組織がみられた.すなわち,回腸の異所 性胃組織の発生は,1 8 8
例中5
例(2.7%
:雄2.2%
,雌3 . 1 %)
であった.肉眼的には回腸の潰筋様変化(図17) を示し, 長さ約5~10mm. 幅約2-3mmの大きさであった. 組織学的には異所性胃組織は,正常な
小腸の粘膜に円盤状に認められ,表層粘膜細胞,主細胞,壁細胞,腺頚細胞および頼粒細胞より構成さ れていた(図
1 8 ) .
岩田ら3ηは,雄のピーグJレで異所性胃組織が雄で4 . 1%
の発生あり,雌の1.7%
よりも高 い発生であったと報告している.1 0
年間の本集計では,異所性胃組織の発生は2 . 7 %(
雄 ;2.2%
,雌;3 . 1 %)
で岩田らの報告に比べ低い発生であり,異所性胃組織の発生は試験の期間によって差のあること が示唆された.肝臓における肉芽巣(図
3 )
は,雄で2 5 .3%(0.0‑
58.3%),雌で21.6%(0.0~36.7%)の発生であった.イヌの肝臓の薬物代謝について,
Phenob a r b i t a l
やC l o f i b r a t e
の反復投与に比べ,暫増投与の場合著しい酵素誘 導の起こること,Clo f i b r a t e
では,ラットのようにペルオキシゾームでなくミトコンドリアの増加がイヌ では観察されるという(松本ら均').勝臓の腺管・ラ氏島増殖は,雄では1.
1 %(9 1
例中l
例).雌では2 . 1 %(97
例中2
例)に発生した.肉眼所見と しては表面がやや組造で萎縮様にみられ,組織学的にはチモーゲン頼粒の減少,腺房中心細胞,介在部 細胞,小葉内と小葉聞の導管およびランゲルハンス島の増加を伴う外分泌腺細胞の萎縮がみられた(図2 5 ) .
サイトケラチン,グルカゴン,ソマトスタチン,インシュリンおよび鍍銀などの特殊染色を行った結 果,腺房中心細胞や介在部細胞はサイトケラチン染色で陰性であった. しかしグルカゴンおよびソマト スタチン染色では散在性に陽性を示した.鍍銀染色では騨管と島細胞の聞に陽性繊維はみられなかっ た.勝臓の腺管.ラ氏島増殖は,n
巴s i d i o b l a s t o s i シ
Iike
変イヒ(広内ら39)),あるいは陣内分泌細胞の異常増殖として報告されている
(Ka t s u t a
ら側).泌尿器系: 腎臓では腎乳頭部の無構造物質の沈着(図
23
,2 4 )
が雄では6 8 . 1 %(25.0‑80 . 1
%).雌では80.4%(50.0-86.7%),原細管上皮の脂肪化(図 21)が雄では18.7%(11.9~25.0%) ,雌では 59.8%(38.1~
7 6 . 7 % ) .
雄での好酸性小体の出現(図2
勾は36.3%(23 . 8‑54.9%)
認められた.また胎児型糸球体遺残(図2 0 )
の発生が維では53.8%(25.0-61.9%) ,雌では50.5%(0.0~6 1.9%)であった. 糸球体には脂質を含むメザンキウム細胞の集族した糸球体脂質症(五藤ら引っ,脂肪塞栓症,メザンギウム融解のほか.
I g A
沈着を伴う 免疫機構の不全を示唆する病変が加齢的な病変として発生する( Rob e r t s o n
42l)•腎乳頭域などの無構造物の沈着は一般に尿細管の石灰あるいは鉱物質の沈着と言われ通常よく観察さ れる.この変化は乳頭部の尿細管中にみられるとされていた.しかし志賀は,免疫学的あるいは電子顕 微鏡学的手法により,その沈着は,腎乳頭の毛細血管内に在ることを指摘しているの).一方,薬物に よって誘発される石灰沈着は,細尿管上皮の壊死を伴って皮質・髄質にみられる(渡辺ベ
Case y
ら的).腎臓の好酸小体発現は,雄で
3 6 . 3 % .
雌で0.0%
で性差が認められた.この変化は,腎臓の皮質.髄質の 境界部に多くみられた.小池は組織学的および電子顕微鏡学的に検討し,このものが蛋由来吸収( PRD )
であることを示唆した叫イヌにおける腎臓の自然発生性の病気として成魯・では糸球体性腎炎,類澱粉 症,尿細管性腎炎,腎盃腎炎,慢性間質性腎炎および腎新生物カf記載されている.これらの病気の増加 は一般に5
才以上(平均9 . 2
才)に多いといわれる仰.しかし,当センターではこれらの腎臓の病気に遭遇し ていない.勝脱については粘膜上皮の下方増生像,すなわち
Brunn
プルン細胞巣は3
角部や前壁に若齢犬でも 認められるが,加齢例では全例にみられる.また扇平上皮化生や単純性過形成および異型性変化もそれ ぞれ性差なく加齢と共に増加する(常深ら州).生殖器系: 精巣の巨細胞の出現(図
2 6 )
は1 2
.1%に観察されたが,若い動物での発生率が高い.下垂体を 介する性腺刺激ホルモンの作用はイヌとラットで異なる反応を示す.例えば,アロマターゼインヒピ ターによりイヌの精巣のライデイヒ細胞は増生,肥大を示すが,ラットの同細胞は影響が無いか,ある いは萎縮を示す( Wal k e r
ら術).﹃d
白 白
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・
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‑ BE ' a z‑ ‑
‑ zz z ' aE S
‑ ‑‑ z e ‑‑ ‑ z tE
・
222 2
また子宮や乳腺に対する抗精神病薬,ハロペリドール投与の影響はイヌの性周期によって異ることか ら,その変化が性周期と関連した血清中のプロゲステロンと投与の影響としての高プロラクチン血症と いったホルモン環境に著しく影響され,子宮腺の萎縮,円柱上皮内脂肪的出現,乳腺の過形成や乳汁分 泌の充進の起こることが報告されている(内海ら49.50)).
内分泌系:
脳下垂体の護胞(ラトケ嚢胞を含む)の発生(図5 }
は,雄で1 5
.4%,雌で2 1 . 6%
であった.甲状腺のc-細胞増生(図4} は雄で 15 .4(0.0~25.0%},雌で 18.6%(0.0--
26.7%)
であった.副腎皮質の球状帯の肥大が末梢血管拡張作用の強いカルシウム措抗薬で起こり,副腎重量増加につな がることが報告されている.血管拡張による血圧の低下に対する交感神経反射,レニン分泌充進とそれ に伴うアルドステロンの分泌充進の持続が長期にわたってこのような肥大が生じたと考えられている(森 下がり).
神経系:
脊髄の前根あるいは後根の血管内での石灰沈着(図的が雄で5.5%
,雌で1 6.5%
に認められた さらに加齢性の変化としては,島田町,中山らの諸報告53)に詳しい.10
歳頃より脳に老人班s e n i l ep l a q u e
が大脳の前,側,頭頂の各皮質に観察されるようになり,また小血管にアミロイド沈着が進み,時には 出血の原因となる(中山ら53)}. また特異な硝子様細胞質封入体の出現も指摘されている(柳井ら刊.ピーグルを含むイヌを用いた薬物の神経毒性については,わが国でも吉村,今井の詳細な研究報告が ある.特にキノホJレム,アクリルアミド, 2, 5・ヘミサジオン,ミソニダゾールなどについての興味深い 所見を紹介し,薬物の種類のみでなく,同じ薬物でもその投与量によって病変の分布,変化の病理像の 異ることを強調している55)
‑ ae '量 zz za aE a‑
事担
aS 22
鴛冨 事咽 .. 語
E e‑ ‑
讐岨警陵
E nZ E S ‑z ' z eE E
軍ge
跡 ︑4
是正 Z' e
網膜
: イヌの網膜は乳児期,2
から6
週の開眼に伴い発達する(山村・ら紛).
ピーグルでは時に網膜の異 形成が観察される(森田ら$7・$8)).高齢犬の視覚野皮質神経細胞の減少,水晶体の混濁,網膜などの変性 についても報告されている(白木ら均).運動器系: 骨,関節,筋肉の病変,特に薬剤副作用の解明にモデル病変として,あるいは治療剤の機 作の究明にイヌでの研究がおこなわれている
.例えば活性型ピタミン D3
の骨再造形に対する影響( Koyama
60)}や骨粗しょう症に対する治療剤の骨新生への作用(二井がり)などが注目される.H.E 染色
図 3 . 肝 臓 : 細胞浸潤を伴った肉芽巣 12
ヵ月齢雄 H.E 染色
H. E 染色
図 2 . 図 1 のアザン・マロリー染色
‑4
・
a︐ ・
4eee
. 、 、 、
、
、 a h e
f、 p
図 6 . 脊髄根: 石灰沈着
12
ヵ月齢 雌 H・E
染色‑ 8 7 ‑
図
7 .
心臓: 三尖弁の赤色結節12
ヵ月齢 雄. . . . . . 、 、
図
9 .
心臓: 動脈起始部白色結節(
矢印) 12ヵ月齢 雄図
12 .
胸膜: 萎縮H'E
染色 12ヵ月齢 雄H'E
染色ANIMAL 11