A 型 C型
4. 何故ピーグルを用いた試験は必要か
‑・有用性とその限界・. .
昔から種々の医学・生物学の研究,生物検定法,診断薬・医薬・農薬の開発およびワクチンなどの製 造用に,地球上に生存する百数十万種の動物のうちの約
6 0 0
穫の動物がそれぞれの動物種の特徴を生かし使われてきた.
安全性試験では,これらの動物のうち一般的に実験動物としてなじみの深いラット,マウス,モJレ モットに加え,ウサギ,イヌ,サル,ネコ,ニワトリなどがよく使用される.当然,安全性試験の目的 から考え,限りなくヒトに近い反応を示す動物種を選択することが望ましく,ヒトでの安全性を直接調 べることができれば,最も信頼性の高い(ヒトでの個人差を考えると,ある個人に対しての安全性を言及 するには至らないが)情報を得ることができる.この様な考えから,ヒトの遺伝子を組み込んだ動物また はヒトの細胞を用いる試験も考案されている.また 医薬品については動物を用いた前臨床試験の後 に,若干の危険性があることを承知の上で臨床試験を行っている.しかし,当然ではあるが,ヒトで安 全性試験を行うことは不可能であり,動物実験で得られた情報をヒトに外挿するほかない現状である.
実験動物として用いられる動物種の各々が有する生態的,形態的および生理的特徴は,動物学上の分 類でヒトに近い動物ほど全ての特徴において近いわけではなく,最もヒ卜に近いサルよりもプタ,マウ ス,モJレモットの方が部分的には,はるかにヒトに近い特徴を持つことが知られており,各種の実験の 結果からもその動物種差が認められている.また,被験物質の生体に及ぼすある種の反応を調べる場合 には,その反応性を明確に捕らえられる動物種の選択も必要となる.さらに,実験手技,時間および労 力の問題も加わり,複数の動物種を用いる必要性が生じる.言い換えれば, 一種の動物のみの実験で全 てを知ることはできないのである.むろん その動物がサルであっても イヌであっても同じことであ る.これらの動物実験から得られた成績を安全性の把握に役立つ情報としてヒトに外挿する際には,第 一条件として,それぞれの動物種の有する生態的,形態的および生理的特徴を十分に理解することが必 要である.そして,その動物種の有する特徴が各個体で均一になるよう実験を設定し,実施した実験に 再現性が得られることが基本となる.
この様な背景のなかで,原始時代からヒトと生活をともにし,宥名なパプロフの条件反射の実験をは じめとし種々の実験でその特徴が十分に解析されているイヌが重用とされてきた.中でもその l品種で ある実験用ピーグルは,動物種としてのイヌの特徴を各々の実験で十分に発揮できるように半世紀の年 月をかけて実験動物化されてきた.イヌの実験動物化の経緯のなかではもちろん数多くの品種が検討さ れたが,その体格,繁殖性および性格などの面で実験動物としての適正に最も適合したものがビーグル であった.ピーグルはやや小型であることから,実験によっては大型であり,より訓練し易いイヌが必 要な場合もあり,ラブラドール・リトリバーなどの有用性が注目されることもある.しかし,これまで に培われてきたピーグルの実験動物としての価値は簡単に他に置き換えられるものでは無く,今後も,
実験動物として確立されたラット・マウスなどとともに,中型の実験動物の代表として,あるいは一部 の反応の重要なモデルとして種々の実験に用いられることが予想される.
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附・1.安評センターにおけるピーグルの生産所および納入業者
実験動物は,遺伝学的および微生物学的に統御された動物を供給する必要がある.遺伝学的に統御さ れていない遺伝学的に素性の明らかでない動物を実験に供して得られたデータには再現性を期待する事 はできない.また,微生物学的に術却が不十分である場合にも,実験成績は供試動物の感染による影響 を受け読み取りを誤まる場合などがあり,動物実験の再現性を望む事が困難となるからである.しか し,動物の品質は遺伝学的および微生物モニタリングにより保証され,また,モニタリングの結果は実 験成績の解析を行うさいにも参考になる.供給においては,動物の輸送距離に限らず,生産所から実験 施設までの輸送に注意しなければならない.供給される動物により納入する動物施設が汚染されること また,汚染された実験施設への納入により供試動物が汚染される事の無いょっに,そして,輸送による 動物への影響を最小限に抑える事に配慮、が必要となる.動物の輸送には,短時間であれば給餌および給 水の必要はないが24時間を越える場合などは考慮する必要がある.また,動物の生理・生態 ・習性など
を考慮.のうえ,輸送ケージや輸送方法を選択する必要がある.
以上の事から供試動物は健康で高品質な動物が必要数供給されなければならない.その際,供給動物 の情報を生産者から使用者に伝達する必要がある.
下記に特に伝達の必要な事項を示す.
1)系統名:近交系であれば亜系記号,必要に応じて遺伝学的モニタリング成績.
2)生産方式:交配方法,飼料,床敷,飼育器具,その他.
3 )
繁殖成績.4 )
微生物モニタリング成績(または微生物学的品質):SPF
,コンベンショナルなどの区別.5 )
ワクチン接種または治療の有無とその内容.6)その他実験データに影響を及ぼす可能性のある事項.
イヌを用いた動物実験では,様々な理由からほとんどの場合ピーグルが用いられている,しかし,
ピーグルはラットと違い 生産に時間がかかり発注してから包期間に供試動物を必要数を供給が困難で あり,供給に対する実験施設の要求に対応出来る生産所および納入業者を選択する必要がある,また,
供試動物に付いても個体差にばらつきが少ない事などがあげられる.
次にピーグJレ生産所および納入業者を選択する際に考慮すべき点を示した.
‑動物は遺伝学的および微生物学的に統御され生産・供給されるか.
・健康・で高品質な動物が必要数,納入可能か.
・生理値などの個体差にばらつきが少ないか.
.背景データが十分揃っているか.
‑動物カ匂i在実に納入日に納入可能か.
‑動物の輸送に十分な配慮をしているか.
‑供給動物に関する情報を確実に伝えてくれるか.
・その他,実験施設の要望に対応可能か.
安評センターでは上記の点からL.
R . E a n d
加商のピーグルを納入し,イヌを用いた安全性試験を開始( 1 9 8 0 )
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・
附・
2 .
犬封験室の活動状況について当センターは
1 9 7 9
年1 0
月に業務を開始した.当初犬試験室の室員は獣医師l名および飼育管理要員2名 で構成され,また,イヌの収容可能頭数は96頭と小規模なスタートであった.19 8 0 年1 0 月の急性および
亜急性毒性試験各1本が,受託の開始であったその後,農業・医薬品を共に受託し,19 8 1 年2 月には初 めで慢性毒性試験がスタートとなり, 1 9 8 3 年に 1
試験,1984
年に2試験を受託した.その後も受託は順次増加し,その結果,新たに犬試験棟を 1 989 年に完成した. この新施設によりケージ飼育方式320 頭,ペ
ン飼育方式18
頭が収容可能となった.人員の流れでみると,1 9 9 0 から 1 9 9 2 年は試験数の増加と共に室員 は1 2 名に達した.現在ではデータ処理のコンビュータ化などによる作業効率の向上により室員8 名で試
験を実施している.試験内容も年代と共に変化し,眼科学的検査,心電図検査の充実化が求められた時 期から,血中濃度試験,静脈内投与における長時間投与試験の受託など,今まで行われなかった試験も 実施している.安全性分野の一般的な毒性試験の技術,検査内容の変化に伴い,試験室の業務も変革している.室員一同更なる努力と共に犬試験室の活動内容を深めていきたいと思う.
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