3 ・ 1 .
譲剤障害におけるビ・グルの特徴・ ・
ラットなどとの
種族差と共通点・薬剤の生物活性における種族差の大きな要因の一つに 動物の薬物代謝にみられる種族差との関わり がある.イヌにおいても薬物代謝の研究がおこなわれ,特に肝臓の薬物代謝についての報告が多く,最 近では培養肝細胞を用いても検索されている.薬物代謝酵素の誘導剤としてイヌでもフェノパルピター ルが使われ,またその活性阻害にはクロラムフエニコ一ルなどが用いられている{件トM川l吹0
など病態時におげる肝薬物代謝の活性t川1川1り}や,病理検査所見の項で述べたアロマターゼインヒピタ1 ー
( LY 56 1 1 0 )
の排池能や薬物代謝における種差についてイヌを含めた研究もみられる仰同ーの被験物質をピーグルとラットに投与した試験成績を比較して,塁L
ニ
2に示した薬剤の作用機 序や個々の化学物質の特性により2
種の動物聞における反応や障害に様々な相違および共通点のみられ る例証として興味深い.抗日崩息剤は抗アレルギー薬に属するものが主体を占めるが,その作用機序はヒスタミン,ロイコトリ エン, トロボキサン2(
T xA2
:気管支収縮作用を持つ)などのケミカJレメディエーターの抑制によるもの が主体である.また抗P C A
反応(受動皮周アナフィラキシー),5
・リポキシナーゼ阻害や,免疫抑制とし てIgE
抗体産生の抑制,抗PAF(
抗血小板活性化因子)作用などを指標として開発されている.したがって 毒性試験の成績でもそれぞれ相違もみられ,また副作用の標的臓器も肝臓,腎臓などでピーグルとげっ 歯類の聞には共通点や相違点が観察される(表1
).自律神経系ケミカルメデイエーターや
C a
チャンネル限害剤はなどは, 血管,気管支,尿道の平滑筋 の収縮,弛緩に関与しており,上記の気管支瑞息のほか前立腺肥大症の排尿障害や心脳の循環障害の治 療のために開発の対象となるものが多い.これらの毒性試験では自律神経症状など,ピーグル,ラット で比較的類似した所見がしばしば観察される .a,s
プロッカー(アドレナリン受容体遮断剤)は両動物 に運動力低下,呼吸異常,流涙などの他,心興奮作用抑制にも共通した作用を示す.ピ}グルでは心肥 大のほか,頻脈の発生に関連し,心乳頭筋壊死の所見や出血を認めることが多い.C a
措抗剤の示す末梢 血管拡張作用も特徴的で,ピーグルでは心拍数の増加,副腎重量の増加,副腎皮質球状体の増生などの ほか歯肉の肥厚も観察される.抗片頭痛,制吐,抗不安などの抗精神病作用を指向した5・H
T3措抗剤の 毒性試験でもピーグル,ラットに共通した機能的な症状発現がみられる(表1
および2 ) .
C a
代謝への影響を与えるペプチド系ホJレモンの一種は両動物に共通した生化学的成績を示したが,ラットでは下垂体の腺腫の発生など特異的な現象が観察された(表
3 ) .
化学療法剤では,特にサルファ剤による毒性がイヌでは強く現れる
.これは N
アセチJレ化による薬物 代酎能がイヌでは低いために原体の血中濃度が長期間寓く維持されることによる.反復投与では腎に近 位尿細管の変性,壊死が生ずる.キノロン剤はラットでは盲腸の拡張,体重増加抑制,骨軟骨症を惹き 起す.イヌでも恒吐,歩行失調,精子形成不全のほか,若齢のイヌでは軟骨基質成分.ムコ多糖類,コンドロイチン硫酸の代謝への影響によって軟骨びらん,水癌形成など軟骨障害を招く.
セフェム系抗生物質による溶血性貧血,セファロスポリン系抗生物質での皮府肥満細胞のヒスタミン 放出作用による紅斑と腫脹,総コレステロール値上昇作用などもイヌ特有の現象と言われる.
表
1 .
同一被験物質を投与したビーグルとラットの試験成績比較薬剤分類 投与経路 試験期間
ー般状態
臨床および病理検査成績 ピーグ}レ ラット ピーグル ラット 抗端息剤A
経口 急性 異常所見(・) 異常所見(・).
皮下 急性 異常所見(・)
腹腔 急性 自発運動減少, ー‑ 臓器癒着,腹水
呼吸促拍,横臥 リンパ節肥大など 経口 4週 異常所見(‑) 異常所見(・) 制検所見(・) 総コレステロ‑Jレ
増加など(混餌) 腎・尿細管 硝子体出現(雄) 経口 13週 喧吐,流誕, 異常所見(・) 肝小葉間胆管 総コレステロール
援戦,一部死亡 体重増加抑制 胆嚢粘液分泌増加, 増加 肉芽腫
ALP
上昇,脂質類減少 腎石灰沈着(雄) 経口
5 2
週 堰吐,流誕, 異常所見(・)A L P
,総コレステロールALP
上昇,肝内色素増加,肝内色素沈着 沈着
肝細胞腫大など
経口 104週 体重増加抑制 肝内色素沈着,
脂肪肝(雄),
肉芽腫(雌)
抗瑞息剤B経口 13週 恒吐,振戦 異常所見(・) 腎尿細管硝子滴 心,肝重量減少(雄) 変性,肝(雄)重量増加
経口 104週
.
体重増加抑制‑
肝マクロファージ集族癌原性(・)
徐放剤 静注 13週 流誕,散瞳, 自発運動低下 異常臨床検査値(‑) 減少:ヘモグロビン,
=(経口) 症性眼球運動, 間代性症準, 解剖所見(
・
) ヘマトクリット,心拍促進, よろめき歩行, 赤血球数
筋緊張など 呼吸促進, 組織所見(‑) K値増加(雄),
Ca
値増加. 肝重量増加,肝腫大,肝細胞内野酸性 物質,腎水腫変性
a
1遮断剤 経口 急性 自発運動低下, 自発運動低下 剖検問f見(・) 剖検所見(・)瞬膜露出,流涙, 流誕,眼験下垂 流誕,振戦,軟 流涙,呼吸困難 使, 曜吐 (雄),軟便,歩行
困難
‑ 113‑
薬剤分類 投与経路 試験期間 一般状態 臨床および病理検査成績
ピーグル
ラット
ピーグル ラット経口
2
週 車吐,瞬膜露出,諸課,4
週:縮瞳 異常臨床検査 増加:総コレステロール,流誕,縮瞳,水様使 値(・) 中倒旨肪,
y ‑ G T P
振戦 剖検所見(・) 肝細胞腫脹・脂肪化
副交感神経 経口
1 3
週 自発運動低下,瞬膜 散瞳 尿:N a
,K
値低下制検所見(・) 作動薬 露出,0
.1{結膜充血, 顎下腺肥大,分泌冗進,流涙,流誕,1(吐,ホ 冠動脈中膜肥厚
様使,呼吸促拍,間 代性,強直性盤整
表
2 . 同一被験物質を投与したピ.グルとラ
ットの試験成績比較薬剤分類 投与経路 試験期間
一
般状態 臨床および病理検査成績ピーグJレ ラット ピーグル ラット
循環剤 経口 急性 恒吐,鎮静,傾眠, 静注
:
自発運動 心筋の韓雑化,空 循環障害:死因 結膜充血,流涙, 低下
,腹臥位 胞化,好酸性変性頻脈,歩行困難, 体重増加抑制 流涙,心不全
C a
措抗剤 経口4
週 曜吐,自発運動低下, 静注:自発運動 増加:クレ7チニンIMg,値 増加:心重量,結膜充血,流涙, 低下,腹臥位
BUN
値( m ) .
心肥大 副腎重量 流誕,頻脈,額呼吸, 体重低下,流i
戻 心電図:R.R短縮, 心筋線維化・軟便,鎮静, 心不全,体温低下 心拍増加, 変性,血管中 失禁
,
死亡 心筋線維化,空砲化 膜増生,石灰沈着好酸性変化
経口
2
週 曜吐,自発運動 異常臨床検査値(.) 低下,振戟,腹臥位 尿量増加,K
値低下流誕,軟使, 重量増加:肝,腎,
口腔粘膜蒼白 副腎剖検所見(・)
経口 13
週
強膜充血 体重増加抑制 異常臨床検査値(・) 剖検所見(・) 心電図:R‑R短縮 痛理組織所見(‑) 心拍数増加胸腺小型化,副腎 球状帯増生,心筋 謀誰化
経口
5 2
過 体重増加抑制 l倒
週:飼量効率 異常臨床検査値や) 剖検所見(‑
)低下 剖検所見(‑) 重量増加:
組織所見(ー) 肝,卵巣 艦事発生(‑)
5HT 作
動薬 経口 急性 散瞳I0 包時,後 1 0 日:耳介・四
剖検所見(・)剖検所見(
‑) 肢麻庫,口腔粘 肢発赤膜と結膜の発赤
皮下 急性 散瞳, p包時,後 剖検所見(
・
) 躯麻薄,口腔粘膜‑顔面発赤
‑1 1 5‑
表
3 .
同一被験物質を投与したビ・グルとラットの試験成績比較薬剤分類 投与経路 試験期間 一般状態 臨床および病理検査成績
ピーグJレ ラット ピーグjレ ラット
ペプチド系 静注
4
週 臨吐,黒色便 流誕, 検査値増加:トリグ)1 検査笹増加:カルシウ 本ルモンのー華 体重増加抑制 体重増加抑制 セライド,N , a K
,P
,c a
ム,P(健),A
仇箆病理所見(・) 同減少
:K
尿量増加,臼増加,K'P
減少静注,皮下
2 6
週 体重増加抑制 下垂体重量増加下垂体腺腫,増生
H2
遮断剤 経口 急性 庖吐,振戦, 剖検所見(・) 強直性症鍛横臥位
経口
2
遇 自発運動低下 臓器重量増加:体重増加抑制 (雄)脳,副腎,
前立腺 同減少:胸腺
経口
1 3
週 曜吐,振戦, 体重増加抑制 (腎) P S P
排 他 臓器重量増加:腹臥位 増加 肝,腎
病理所見(・) 剖検所見{・)
整腸剤 経口 急性 症状(・) 剖検所見(・)
経口
5
週 軟便,下痢 飼料効率減少 異常臨床検査値 異常臨床検査値 (ー) (・)病理所見(・) 病理所見(・)
制癌剤 経口
5 2
週 体表面黒褐色斑,1 3
週:異常症 貧血:赤血球低値, 臓器重量減少:角膜の混濁と 状(・) ヘモグロビン,ヘマトクリ 胸腺
充血,瞬膜露出, 7ト低値 病理所見(ー)
皮膚びらん, 検査値増加:総蛋
脱毛,化膿 自,原酸
同減少:アルブミン,
~コレステロ.ル,
リン信質など