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ため、今後、偏食と食事中の会話(会話の内容、会話の雰囲気等)についてさらに検討す る必要があると思われる。また、偏食と食知識とは有意な関連はないが、傾向が見られた。
食知識を習得すると、偏食のデメリットを理解し、健康意識が高まると思われる。さらに、
偏食低群の児童は学習意欲が有意に高いことが見られ、栄養バランスの良い食事が健康な 心身、脳の発達に影響を与え、学習意欲が高まると推察される。
次に、偏食に対する自己効力感を中心に考察した。先ず、自己効力感はバンデユーラの 社会的認知理論で初めて提案された。自己効力感の定義について、人が行動を実行すると こういう結果があると考える結果期待と、そのためにその行動を実行できると考える効力 期待である。効力期待は自己効力感と呼ばれている 72)。會退の先行研究では社会的認知理 論を活用して幼児の自己効力感を高め、偏食を改善し、保護者が幼児の偏食に対する不安 を減少することが報告されている 73,74)。本研究では「苦手な食べ物または食べたことがな い食べ物を食べられる自信」を「偏食に対する自己効力感」として検討を行った。偏食に 対する自己効力感が高い児童は苦手な食べ物の個数が少なく、苦手な食べ物でも頑張って 全部食べることが示唆された。さらに、偏食に対する自己効力感と食に関するコミュニケ ーション、食体験(食事に関する手伝い)、共食との関連を検討した結果、当研究室の日本 人小学生を対象とした研究 63)と同様に、有意な関連があった。食に関するコミュニケーシ ョンをよくする、食体験(食に関する家事手伝い)が多く、共食(朝食共食、夕食共食)回数 が多い児童は、苦手な食べ物を食べる自信があることが示唆された。共食により、食卓の 周囲に楽しくて美味しく食べる雰囲気やコミュニケーションが生れ、また児童は保護者の 美味しく食べる様子を模倣でき、自己効力感が高まると思われる。また、食事中に保護者 は児童に助言し、褒めるまたは注意するため、児童が苦手な食べ物に挑戦する自信が高ま ると思われる。豊富な食体験、食に関するコミュニケーションをよくすることにより、食 物に関する知識、興味及び関心が深まるため、苦手な食べ物を食べる自信が高くなると考 えられる。また、自己効力感高群の児童は学習意欲が高い者の割合が有意に多いことが見 られたが、挑戦意識や自信が高いため、学習意欲も高まると考えられる。
次に、偏食状況と身体状況との関連を検討した。保護者アンケートの結果では、偏食と やせとは関連があり、偏食高群の児童はやせ傾向児が有意に多いことが示唆された。学童 期の体格は成人期に移行しやすく 13,14)、児童のやせは、健全な心身の発達に影響を与え、
将来の生活習慣病に関わる。特に、女児のやせについて、将来大人になると、自分の健康 のみならず、次世代の健康にも影響を与える 75)。一方、児童アンケートの結果では、偏食
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とやせのみならず、肥満との関連も見られ、偏食高群の児童は肥満傾向児が有意に多く、
偏食は児童の身体状況に影響を与えることが示唆された。また、偏食に対する自己効力感 と身体状況とは有意な関連が見られ、自己効力感が高い児童は、適正体重の割合が有意に 高かった。適切な体重を維持するため、偏食を改善することが重要だと考えられる。
さらに、本章では保護者の偏食状況及び子供の偏食への対応について検討した。まず、
保護者及び子供の偏食状況との関連に検討した結果、先行研究 76,77)と同様に、偏食高群の 保護者の子供は偏食高群の割合が有意に高いことが示唆された。子供は成長段階で、保護 者の飲食習慣、好き嫌いなどをまねしやすいことから、子供の偏食を改善するために、保 護者自身が偏食状況を改善し、バランスのよい食生活をすることが大切である。
次に、保護者は子供の偏食への対応について、55.8%の者は「工夫して食べさせる」、
17.6%の者は「代わりのもので代用している」を回答した。一方、「自然になくなると思い、
何もしていない」と回答した者は 17.1%を占めた。高学歴の保護者は食意識が高く、食知識 があり、子供の偏食に対して有意に積極的に対応することが示唆された。また、先行研究 では、高学歴の保護者は、多くの食、栄養、育児の知識があり、子供に望ましい食生活習 慣を指導できることが報告されている 70,78)。そのため、低学歴、食知識不足の保護者に対 して、飲食・栄養教育を行うことが必要と考えられる。
以上より、適正体重を維持し、健全な食生活を実践するため、児童の偏食を改善するこ とは極めて重要であることが示唆された。また、偏食の改善には、自己効力感を高めるこ とが重要であることが示唆されたが、自己効力感は、望ましい食習慣と食行動、食に関す るコミュニケーションや共食、食事に関する家事手伝いなど食体験によって育まれること も示唆された。