ラ
iム法は︑国家元首のためにいかなる例外も認めず︑その国のすべての住民と同様︑
法の裁きに従うものとしている︒
ムスリム国家の元首といえども自国において不正や階級差別の遺風に基づく特権を行使しえないのであ
るから︑外国の首長や大使にとって有利な特権など期待すべくもない︒彼らにたいしては賓客としてその
地位に相応しいあらゆる敬意が払われるが︑彼らが法や正義を越える地位にあるという訳ではない︒
ニ 九 五 上 代 の い く つ か の 事 例 は
︑ イ ス ラlム的正義の固有な性格を浮き彫りにしてくれるであろう︒
上代においては条約当事国の一方が他方から送られてきた人質を殺害した場合︑後者はその卒中にある人
質に報復する権利があると特に明記して︑条約を忠実に遵守する保証として人質が交換されていた︒乙の
種の事件はムア
Iウィヤおよびアル
1
7 ン ス
1 ル が カ リ フ で あ っ た 時 代 に 起 乙 っ て い る
︒
しかしムスリム法学者たちは︑一致して次のように主張している︒背信や裏切りは
ζ れ ら 人 質 自 身 に よ っ 第 八 章
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てではなく︑彼らの支配者により行なわれたのであるから︑敵側の人質を処刑する乙とはできない︒クル
ア1ン(第一六章六四節︑第五五章三八節等)は身代り刑罰および︑ある者に他人の犯した罪のために報
復を加える乙とをはっきりと禁じている︒
ニ九六ムスリムの戦争法は人道的なものである︒それは現に受戦中の者と単なる戦闘員とを区別し︑
未成年者︑婦人︑老人︑病人︑僧侶の殺害を許さない︒また敵国市民が貸与した借金が︑戦争宣言により
影響を・つける乙ともない︒必要最低限を超えて大量殺りくを行なう乙とも禁じられている︒捕虜は好遇さ
れ︑交戦中の彼らの行為は犯罪と見なされない︒
征服者たる兵士の誘惑を少なくするため︑戦利品はそれを奪った者の手に入らず政府のものとなり︑政
府は戦利品をすべて中央に集めてそれを再分配する︒そのさい五分の四が戦闘参加者のものとなり︑五分
の一が国庫に入れられるが︑最高司令官と一兵士の分け前はまったく等しいのである︒
ニ 九 七 ク ル ア
lソは興味深い一節(第四七章三五節)で︑(卑屈な)和平を禁じていっている︒﹁そ
れゆえ落胆してはならぬ︒和平を唱えてはならない︒お前たちは勝利を得ると乙ろなのだから︒アッラー
はお前たちと共にいまし︑決してお前たちの行ないを失敗させたまわぬ﹂︒さらに第八章六一節でいって
いる︒﹁だが彼らがもし和平に傾いたなら︑お前もそれに傾き︑アッラーを信頼せよ﹂︒預言者はマッカを
占領したとき︑まさにその通りにしてその地の住民に告げた︒﹁行け︑お前たちは自由である﹂︒
ニ 九 八 ク ル ア lンは盟約をきわめて重要視しており︑それをムスリム共同社会の物質的利益に優先
するものとするのにやぶさかではない(第八章七二節)︒
それは次のような言葉をもって宗教的迫害のさいにも中立性を尊重するイスラ1ム法の精神を教えて
いる︒﹁またイスラlムを信ずる者でも︑(イスラlム領内に)移住しない者には︑彼らが移住してくるま
でお前たちは彼らを保護する義務はない︒ただし彼らが宗教上の理由でお前たちに援助を求めるならば︑
お前たちが平和条約を結んだ人々に逆らわぬかぎり︑彼らを救助するのはお前たちの義務である︒アッラー
はお前たちの行ないをすべてみそなわし給う﹂︒
結 論
ニ九九
イスラームの政治組織
要するにイスラ
1ムは︑人種︑階級︑国籍の差別なく︑人々の聞に完全な平等が保たれてい
るような世界的共同社会の設立を求めているのである︒
各人が神にたいして個人的に責任を持っている事実を認めるイスラlムは︑説得による改宗を試みるが︑
信教上の強制は行なわない︒イスラlムにとり政府とは信用︑奉仕であり︑公務員は国民の牽仕者である︒
イ ス ラlム的見地からすれば︑勧善懲悪のために絶えざる努力を払う
ζ と は 個 人 に 謀 せ ら れ た 義 務 で あ
り︑そして神はわれわれの行為︑意図に基づいてわれわれを判断し給うのである︒
第 八 章
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第 九 章 イ ス
ラ l ム の 司 法 制 度
イスラームの司法制度
ムスリムによる特別の貢献
法は大品目から人類社会に存在している︒あらゆる人種︑あらゆる地域およびあらゆる人間集団は︑乙の
分野でなんらかの貢献をしてきた︒ムスリムの行なった貢献は賞讃に価し価値あるものであると同時に︑
きわめて豊かなものである︒
第 九 章
法 学
三O一古代の人々はすべて独自の法律を持っていたが︑具体的な法律や法典とは異なり抽象的なも
のである法学については︑シャープィイ仰︿ヒジュラ暦一五O│二O四年︑西暦七六七│八二O年﹀が登
場するまで考えが及ばなかったようである︒上述の法学者の著作﹃法学論﹄(リサlラ)は法学を︑そ乙か
ら人間の諸行為の細則が生じてくる法の根源という意味をもっ︑ウスlルHルHフィクフという名で明示
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している︒
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それ以降ムスリムの聞でウス
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