60 第4章 3次元流数値計算モデルの適用性に関する研究
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b)主流流速の鉛直方向分布の比較
図4.5に実験結果および計算結果による主流流速の鉛直方向分布の比較を示す.玉井ら によれば,実験における主流流速分布の特徴的な分布形として,最大流速の発生位置が通 常の表面ではなく,水深中央部および底面付近に表れるとされている.そして,この分布 形が弩曲入口付近では外岸側に見られ,それが次第に内側側へ移行すると報告されている 田.計算結果を見ると,実験結果に比べてその度合いは弱いもののその分布形が再現でき ており,第1〜第2断面付近で外岸側に,そして第6〜第9断面にいくに従いその発生位 置が内岸側へと移行していく様子が確認できる.また,全体的な流速分布の再現性も比較 的良好であることが分かる.しかしながら,第4〜6断面付近の内岸における側壁近傍の流 速値については,実験値との適合性が悪い.これは,基礎式にFAVOR法を導入してはい
るものの,完全には境界による影響が取り除かれていないためと考えられる.
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:実験結果(玉井ら,1983)
:計算結果
図4.5 主流流速の鉛直方向分布の比較 c)2次流流速分布および流速ベクトルの比較
図4.6に実験結果および計算結果による2次流流速分布の比較図を示す.玉井らによれ ば,実験における連続弩曲部の2次流の特徴として,弩曲部入口付近では前の弩曲の影響 を受け水面付近で内岸向き,水底付近で外岸向きとなっているが,弩曲部中央付近でその 流向は逆転し始め,その後現弩曲部での2次流が発達するというものであり,計算結果は その過程を良好に再現できていると言える.しかしながら,弩曲部中央付近における水面 の2次流に関して,計算結果は実験結果を過大に評価している.これは,渦動粘性係数の
62 第4章 3次元流数値計算モデルの適用性に関する研究
評価式による影響であると考えられる.すなわち,本数値モデルで採用している渦動粘性 係数の評価式では,水面近傍においてそれを小さく評価してしまうため,そのせん断力も 小さく算定される.したがって,拡散項(粘性項)による影響が小さくなり,流速値が大 きく算定されたものと考えられる.また,第5〜6断面付近の内岸における2次流が小さ く再現されているが,主流の鉛直方向分布と同様,FAVOR法の導入によっても完全には 境界の影響が取り除かれていないものと考えられる.
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:実験結果(玉井ら,1983)
:計算結果
図4.6 2次流流速の鉛直方向分布の比較
図4.7に計算結果による2次流の流速ベクトル図を,また,図4.8に玉井らの実験によ る2次流の流線を示す.これらの両図の比較より,計算結果は全体的に実験結果をほぼ再 現できているものの,実験結果に見られる水面付近の小さな渦流を再現できていない.こ の渦流は前弩曲部からの影響によるもので,計算では前弩曲部による影響の減衰が速く,
さらに2弩曲分の数値計算しか行っていないため,このような結果になったものと考えら れる.また,メッシュ間隔による影響も考えられ,このような小さな渦流を表現するため
には,より小さなメッシュ間隔に設定する必要があると考えられる.
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