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本章では、脳血管攣縮抑制薬の鍵中間体合成における光バートン反応を、マイ クロリアクターで実施し、省エネルギー型の光源と組み合せることにより、効率 的に実施できることを見出した。また、小型のマイクロリアクターAを用い、少 量のサンプルで最適な反応条件を決定した後、20倍の内容積を持つ長尺型のマイ クロリアクターB でgスケールの合成を行なうことができた。さらに、g スケー ル合成の省力化、自動化を測るために光反応用マイクロリアクタシステム

(DS-AMS-1)を用い、40時間の連続運転を行なった結果、5.3 gの目的物を合成 することに成功した。

マイクロリアクターを用いて、生理活性物質の反応条件検索からg スケールの 合成を迅速化できることは、医薬品開発の観点から、極めて有意義であり、今後 のプロセス化学において、反応条件スクリーニングから、g スケールの合成をシ ームレスに行なうことができるマイクロフロー系の反応モデルを提供することが できた。

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実験の部

共通項

核磁気共鳴(1H NMR)スペクトルは、CDCl3溶媒を用いてVARIAN OXFORD(300

MHz)で測定した。この際にリファレンスはTMSの0.00 ppmとした。ケミカル

シフト( )はparts per million (ppm)で測定した. 核磁気共鳴(13C NMR)スペ クトルはCDCl3溶媒としてVARIAN OXFORD (75 MHz)で測定した。リファレ

ンスはCDCl3の77 ppmとした。HPLCはShimadzuのLC-10ADvpを使用し、カラ

ムは WATERS Symmetry RP8 (4.6×150 mm)を用い、移動相はMeCN/H2O/H3PO4

(80/20/0.1)で流速1 mL/minとした。検出波長は197 nmで、HPLC 収率は別途 調製された標準品サンプルのピークエリアとの比較で計算した。溶媒、試薬は和 光純薬株式会社から購入した。生成物はMerck、 Silica Gel 60、70 - 230 mesh を 使用してフラッシュカラムクロマトグラムにより精製した。

マイクロリアクターA, Bを用いた光バートン反応(第

1

節、第

2

節)

原料(1)の合成 5)

ケトラクトン5(615.7 g)をピリジン(6.16 L)に懸濁し、別途調製器で発生さ せたNOClガスを発生と同時に導入する。導入は、-30 ℃以下で約40分で行なっ た。このガス発生は、濃塩酸(1.01 L)に,室温撹拌下,亜硝酸ナトリウム(186.5

g)を水(253 mL)に溶かした水溶液に約40分で滴下して発生させる。ガス導入

後、-40~-43 ℃で撹拌熟成30分を行い、水(9.24 L)を流入してスラリー化し、

濾過、水洗(5.25 L)を行い、窒素による通気乾燥を 5時間実施し、白色の結晶 を得た。

マイクロリアクターを用いたバートン反応

マイクロリアクター(大日本スクリーン製造㈱)を用いたバートン反応は、ナ イトライト 1 (45 mg, 0.09 mmol)をピリジン (0.2 equiv)を加えたアセトン(10

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mL)に溶解させたものを、シリンジポンプまたは HPLC ポンプを用いて、流速

1.0~2.0 mL / h (滞留時間 6 ~12 min)で送液し、高圧水銀ランプ(300 W)、

ブラックライト(15 W)、UV-LED(35 mW ×48:SEOUL OPTO DEVICE Co., Ltd.)

をガラスカバー越しに照射することにより行なった。この時カバーガラスは、

Lime-sodaガラス、Pyrexガラス、Quartzガラスの三種類を用いた。2の収率はHPLC

により分析した。

バッチ反応容器でのバートン反応

バッチ反応容器でのバートン反応は、ナイトライト 1 (45 mg, 0.09 mmol)をピ リジン (0.2 equiv)を加えたアセトン(10 mL)に溶解させたものを20 mLのPyrex ガラス製の丸底フラスコに入れ、窒素もしくは空気存在下で、高圧水銀ランプ(300

W)、ブラックライト(15 W)を照射しながら撹拌する。生成物の収率はHPLC

により分析した。

連続マイクロフロー型光バートン反応(第

3

節)

マイクロリアクターBを2台用いた連続運転

基質(5.4 g, 10.8 mmol)とピリジン(0.2 equiv.)をDMF(300 mL)に溶解させ た溶液を遮光した容器内に入れ、その液をHPLCポンプを用いて、試運転により 見出された最適流速15 mL / hで、マイクロリアクターB(流路:幅1000 m、深

さ500 m、長さ0.5 m、16レーン)を2台直列に繋いだもの(総内容積:8 mL)

に送液する。得られた反応液に水600 mLを冷却しながら加え、目的物オキシム 体の晶析を行い、粗結晶を得た。その結晶をろ過、洗浄した後に、シリカゲルに よるカラムクロマトを実施し、3.1gのオキシム体を得ることができた(単離収率 60%)。1H NMR (CDCl3, 300 MHz) : 0.90 (s, 3H), 0.95 (s, 3H), 0.98 (s, 3H), 1.03 (s, 3H), 1.07 (s, 3H), 1.26 (s, 3H), 1.2-1.8 (m, 13H), 1.8-2.2 (m, 8H), 2.2-2.4 (m, 2H), 3.88 (d, 1H), 7.62 (s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) 16.7, 18.1, 18.9, 21.0, 24.2, 24.6, 26.9, 27.1, 28.4, 31.4, 33.1, 33.8, 34.0, 35.4, 36.4, 39.0, 39.5, 42.9, 43.5, 44.2, 45.0, 47.3, 48.8, 50.2, 54.6, 75.1, 88.6, 156.8, 179.2, 218.1. mp 285-289 °C.

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DS-AMS-1を用いた連続運転

基質(8.64 g, 17.3 mmol)とピリジン(0.2 equiv.)をDMF(480 mL)に溶解させ た溶液を遮光した容器内に入れ、試運転により見出された最適流速12 mL / hで、

マイクロリアクターB(流路:幅1000 m、深さ500 m、長さ0.5 m、16レーン)

を備えたシステムを40時間自動運転した。

連続運転中には大きなトラブルは無く、得られた反応液に水 600 mLを冷却し ながら加え、目的物オキシム体の晶析を行い、粗結晶を得た。その結晶をろ過、

洗浄した後に、シリカゲルによるカラムクロマトを実施し、5.3 gのオキシム体を 得ることができた(単離収率 61 %)。

Lactone Nitrite (1 : ナイトライト体) 5)

White powder; (Rf = 0.68, CH2Cl2 : EtOAc = 8 : 1). IR(CHCl3) cm-1 : 2955, 1760, 1699. 1H NMR (CDCl3) 0.75 (s, 3H), 0.93 (s, 3H), 0.99 (s, 3H), 1.04 (s, 3H), 1.09 (s, 3H), 1.16 (s, 3H), 1.26 (s, 3H), 1.2-1.7 (m, 12H), 1.7-2.3 (m, 8H), 2.3-2.5 (m, 2H), 5.64 (dd, 1H, J = 3.5 Hz,2.0Hz), Mp. 254-258 ℃. HPLC (MeCN / H2O / AcOH = 80 / 20 / 0.1) tR = 27.1min.

Oxime (2 : オキシム体) 5)

White powder; (Rf = 0.16, CH2Cl2 : EtOAc = 8 : 1). IR(CHCl3) cm-1 : 3574, 3308, 3016, 2955, 2869, 1768, 1699. 1H NMR (CDCl3) 0.90 (s, 3H), 0.95 (s, 3H), 0.98 (s, 3H), 1.03 (s, 3H), 1.07 (s, 3H), 1.26 (s, 3H), 1.2-1.8 (m, 13H), 1.8-2.2 (m, 8H), 2.2-2.4 (m, 2H), 3.88 (d, 1H, J = 6.0 Hz), 4.20 (d, 1H, J = 6.0 Hz), 7.62 (s, 1H), 8.12 (s, 1H) ; 13C NMR (CDCl3) 16.7, 18.1, 18.9, 21.0, 24.2, 24.6, 26.9, 27.1, 28.4, 31.4, 33.1, 33.8, 34.0, 35.4, 36.4, 39.0, 39.5, 42.9, 43.5, 44.2, 45.0, 47.3, 48.8, 50.2, 54.6, 75.1, 88.6, 156.8, 179.2, 218.1.

ONO O O

O

HO

HC O

O

O NOH

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12α-Hydroxy-3-oxooleanano-28,13-lactone (5 : ケトラクトン体) 5)

White powder; (Rf = 0.34, CH2Cl2 : EtOAc = 8 : 1). IR(CHCl3) cm-1 : 3619, 2955, 1760, 1699. 1H NMR (CDCl3) 0.91 (s, 3H), 0.99 (s, 6H), 1.05 (s, 3H), 1.10 (s, 3H), 1.19 (s, 3H), 1.32 (s, 3H), 1.2-1.8 (m, 14H), 1.8-2.2 (m, 8H), 2.44-2.55 (m, 2H), 3.91 (brs, 1H) ; 13C NMR (CDCl3) 16.3, 18.2, 18.4, 19.1, 21.1, 21.2, 23.9, 26.7, 27.5, 28.0, 29.2, 31.6, 33.3, 33.4, 34.0, 34.1, 36.2, 39.5, 39.6, 42.2, 43.8, 44.7, 47.4, 51.2, 54.8, 76.2, 90.6, 179.8, 217.7.

Nitrate (7 : 硝酸エステル体) 5)

White powder; IR(CHCl3) cm-1 : 3410, 1767, 1699, 1631, 1278.

1H NMR (CDCl3) 0.92 (s, 3H), 0.98 (s, 3H), 1.00 (s, 3H), 1.05 (s, 3H), 1.10 (s, 3H), 1.24 (s, 3H), 1.2-2.0 (m, 20H), 2.51 (m, 2H), 3.95 (t, 1H, J = 2.6 Hz), 4.96 (d, 2H, J = 13.0 Hz), 5.07 (d, 2H, J = 13.0 Hz) ; 13C NMR (CDCl3) 16.7, 18.2, 18.9, 19.8, 20.9, 22.2, 23.8, 26.8, 27.1, 28.4, 31.7, 33.1, 33.8, 34.0, 36.3, 38.2, 39.6, 42.7, 44.4, 44.5, 45.8, 47.3, 51.1, 54.6, 71.6, 75.6, 88.3, 179.1,217.2.

HO O O

O

HO O O

O ONO2

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