(b) 初等教育 (c) 中等教育39 (d) 上級職業教育 (e) 大学教育
続いて、第3項では特別制度教育を芸術教育及び語学教育と規定しているが、第4項で 政府は自治州との事前協議の上で新たに特別制度の教育を定めることができるとしている。
同条第7項では、大学教育を除くすべての教育は LOGSE によって規定され、大学教育 については個別の法令によるとしている。
(イ)義務教育について
LOGSE 第5条第1項では、初等教育と義務中等教育をもって基礎教育とし、また基礎
教育は6歳から 16歳までの 10年間であるとしている。第2項では、基礎教育が義務教育 であり無償であるとしている。
(ウ)各教育段階の一覧
LOGSEで定められた各教育段階一覧を以下にまとめた。
図表2‐11:LOGSE既定・各教育段階一覧
教育段階 LOGSEの規定内容
幼児教育 LOGSE 第7条では幼児教育を6歳までとしており、また第9条では3歳ま での第1段階と3歳~6歳の第2段階に分かれるとしている。
初等教育
初等教育は6年間で、就学年齢は通常6歳~12 歳である(LOGSE 第 12 条)。初等教育はそれぞれ2年ずつの3段階に分けられる(同第 14条第1 項)。
義務中等教育
義務中等教育は4年間で、就学年齢は12歳~16歳である(LOGSE第17条
a)。また、義務中等教育は2年ずつ2段階に分けられる(同第 20 条第1
項)。
高等学校教育
高等学校は16歳からの2年間である(LOGSE第17条b))。義務中等教育 修了資格(GESO)を取得した生徒は、高校に進むことができる(同第25条 第2項)。高校修了資格(Bachiller)を取得すると、上級職業教育及び大学 に進学できるが、大学進学の場合には大学入学試験を受験し合格しなけれ ばならない(同第29条)。
職業教育
職業教育は複数のモジュールにより構成される。履修期間はモジュールに より異なる。また職業教育は中級と上級の二つの段階がある(LOGSE 第 30 条第4項)。中級職業教育に進むためには義務中等教育修了資格を、上 級職業教育に進むためには高校修了資格を取得していなければならないが
(同第31条第1項及び第2項)、これらの資格を持っていなくても教育行 政が定める他の試験を受けて進学することもできる(同第 32条第1項)。
中級職業教育を修了すると中級の資格(Técnico)を、上級職業教育を修了 すると上級の資格(Técnico Superior)を取得でき(同第 35 条第2項)、それ ぞれ高校及び大学の一定の課程に進学できる(同第3項及び第4項)。
イ LOCE
(ア)学制全体について
39これには義務中等教育、高等学校、中級職業教育が含まれる。
36
LOCE 第7条第1項では、教育制度には就学前教育(educación preescolar)、学校教育
(enseñanzas escolares)、及び大学教育(enseñanza universitaria)が含まれるとしている。
同条第3項では学校教育を一般制度教育(enseñanzas de régimen general)と特別制度教育
(enseñanzas de régimen especial)に分け、それぞれの内容を以下のとおり詳述している。
一般制度教育
・幼児教育
・初等教育
・中等教育40
・上級職業教育 特別制度教育
・芸術教育
・語学教育
・スポーツ教育
第4項では、政府は自治州との事前協議の上で新たに特別制度の教育を定めることがで きるとしている。
また第8項では、大学教育については個別の法令によるとしている。
(イ)義務教育について
LOCE 第9条第1項では、初等教育と義務中等教育をもって基礎教育とし、また基礎教 育は義務教育であり無償であるとしている。第2項では基礎教育が6歳から 16 歳までの 10 年間であるとしているが、第3項では生徒は 18 歳まで基礎教育にとどまれるとしてい る。
(ウ)各教育段階の一覧
LOCEで定められた各教育段階一覧を以下にまとめた。
図表2‐12:LOCE既定・各教育段階一覧
教育段階 LOCEの規定内容
就学前教育 就学前教育は0歳~3歳までの子供を対象とし、教育的かつ保育的性 格を持つものとされる(LOCE第10条第1項)。
幼児教育 幼児教育は3歳から6歳の3年間で、義務教育ではないが無償である
(LOCE第11条第1項)。 初等教育
初等教育は6年間で、就学年齢は通常6歳~12 歳である(LOCE 第 14条)。初等教育はそれぞれ2年ずつの3段階に分けられる(同第 16 条第1項)。
義務中等教育
義 務 中 等 教 育 は 4 年 間 で 、 就 学 年 齢 は 通 常 12 歳 ~16 歳 で あ る
(LOCE 第 21 条第1項)。ただし、義務中等教育修了資格の取得につ ながると判断されれば、18 歳まで履修を続けることができる(同第2 項)。
LOCE では義務中等教育の3年と4年で、共通科目の他に特殊科目を 取 り 入 れ て お り 、 こ れ ら 特 殊 科 目 は 異 な る 教 育 課 程 (itinerarios
formativos)と呼ばれる(第 26 条第 1 項)。第3学年では技術系と科
学・人文系の二つの課程、第4学年では技術系、科学系、人文系の三つ の課程がある。
LOCE 第 27 条 で は 職 業 入 門 プ ロ グ ラ ム (Programas de iniciación
40これには義務中等教育、高等学校、中級職業教育が含まれる。
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profesional)について定めている。職業入門プログラムは2年間で、複 数のモジュールにより構成される(第 27 条第1項)。満 15 歳になり、
前述の課程のいずれも選択しないとした生徒は、このプログラムで就学 を続けることになる(16 歳になってからでも編入可)(第 27 条第3 項)。このプログラムを修了すると、義務中等教育修了資格取得の権利 を得られる(同第5項)。
高等学校教育
高等学校は2年間であるが(LOCE 第 33 条第1項)、生徒は4年間 まで履修を続けることができる(同第3項)。義務中等教育修了資格を 取得した生徒は高校に進むことができる(同第2項)。
LOCE では、高校修了資格(Bachiller)取得のために、全科目の合格 に加え、高校一般試験(Prueba General de Bachillerato、以下PGBと略)
を導入している(第 37 条第1項)。高校修了資格を取得すると、上級 職業教育及び大学に進学する資格が与えられる(同第3項)。
職業教育
中級職業教育に進むためにはGESOを、上級職業教育に進むためには 高校修了資格を取得していなければならないが(LOCE 第 38 条第1 項)、これらの資格を持っていなくても教育行政が定める他の試験を受 けて進学することもできる(同第2項)。
(4)学校段階別学制の改正状況
ア 初等教育、中等教育、後期中等教育、高等教育の年齢区分の改正
前述のとおり、各教育段階の年齢区分については 1990年制定の LOGSEにおいて改正され、
それ以降は改正されていない。
イ 義務教育年齢・年数の改正
同様に、義務教育年齢・年数については1990年制定のLOGSEにおいて改正され、それ以 降は改正されていない。
ウ 特定教育段階での無償化導入・変更
LOGSE第5条第1項では、初等教育と義務中等教育(10 年間、6歳~16 歳)を基礎教育
とし、同条第2項でこれを義務・無償教育であるとしている。これはその後の法改正におい ても引き継がれている41。
一方、LOCEでは3歳~6歳の幼児教育を無償と定めている(LOCE第 11条第1項、なお LOCE では0歳~3歳の教育を就学前教育、3歳~6歳を幼児教育としている)。LOCEの適 用日程に関する勅令 827/2003(6月27日付)第 4条によれば、幼児教育の無償化は 2004年
~2005年の年度から始まり、遅くとも 2006年~2007年の年度終了までに終わっていなけれ ばならないとしている(この日程よりも早く無償化導入を行うことも可)。前述したように、
2004 年3月の総選挙後の政権交代により樹立した PSOE 政権は、同年5月に上記勅令
827/2003で定められるLOCE適用日程を修正(延期)する勅令1318/2004(5月28日付)を
可決、これにより LOCEはほぼ適用されないまま 2006年制定のLOE体制に移行するが、幼 児教育の無償化に関しては勅令827/2003の日程が適用された。
なお、前述のようにLOMCEによるLOEの改正で基礎職業教育が導入されるが、改正後の LOE 第3条に新たに追加された第 10 項で、基礎職業教育が無償であることが明示されられ ている。
エ 飛び級制度の導入・撤廃
41義務教育の無償化はLOGSEにより新たに導入されたのではなく、1970年制定のLGEでも無償とされていた。
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LOGSEでは、第36条及び第37条で「特別な教育的ニーズを有する児童生徒」への対応に
ついて言及していた。これに基づき、1995 年に制定された「特別な教育的ニーズを有する児 童 生 徒 に 関 す る 勅 令 696/1995(4 月 28 日 付 )42」 で は 、 附 則 1 で 高 い 知 能 を 有 す る
(sobredotación intelectual)児童生徒に対する就学期間の柔軟化措置について言及、教育科学 省は教育権限を委譲されている自治州政府との合意に基づき、これら児童生徒の就学期間柔 軟化に関する要件と手続を定めるものとしていた。そして、これを具体化したものが 1996 年4月 24日付教育省令である43。省令によれば、就学期間柔軟化措置は義務教育(初等教育 及び義務中等教育)を対象としており、以下のような柔軟化が可能とされた。
①義務教育期間を最大2年間短縮することができる。ただし同一の教育段階の中で2年間 短縮することはできない。
②初等教育では、開始を1年早めることができる。また、初等教育の就学期間を1年短縮 することもできるが、開始を1年早めた児童は期間短縮はできない。
③中等教育では、就学期間を1年短縮することができる。
一方、LOCE では第 43 条で高い知能を有する児童生徒(Superdotados intelectuale)につい て言及し、同条第3項で政府が自治州との協議の上で就学期間の柔軟化に関する規則を定め るとしていた。
LOCEに基づき、2003年には就学期間の柔軟化について規定する勅令934/2003(7月 18日 付)が可決された44。その第 1条では適用範囲を LOCE第 7条第 3項で言及される一般制度 及び特別制度の教育機関すべてとしている。具体的には一般制度の幼児教育(3歳~6歳)、
初等教育、義務中等教育、高等学校、中級職業教育、上級職業教育、及び特別制度教育であ る芸術、語学、スポーツの教育が含まれる。第7条第1項では、一般制度教育において「年 齢に対応する学年以上の学年への進級」は、義務教育期間中に最大3回、その後は1回まで としているが、特別な場合はこの制限を超える措置をとることもできるとしている。 勅令
943/2003により、これに反する内容の同等の法令及び下位の法令は廃止されている。
このように、スペインには法令上は飛び級の制度があるものの、ほとんど利用されていな いのが実情のようである。
これらの法令適用の第一歩は「高い知能を有する児童生徒」を見つけ出すことであり、例 えば上記の勅令 943/2003は第3条で「教育当局は高い知能を有する児童生徒を特定するため に必要な措置をとり、可能な限り早期にこれら児童生徒の教育的ニーズの評価を行う」とし ている。しかし、高い知能を有する児童生徒の支援団体「知識と社会財団」のカルメン・サ ンス会長によれば、教師、学校や教育当局はこれをほとんど実行しておらず、また教育期間 の柔軟化(飛び級)に対して強い抵抗を示す傾向がある。これらの子供たちは、教師により むしろ問題児として扱われたりいじめの対象になったりしがちである。親が子供の知能に関 する資料をそろえ、学校や教育当局に対応を求めることもあるが、その場合も9割がたは飛 び級などの措置は講じられず、通常の授業への出席を続けるしかないとのことである45。
42「特別な教育的ニーズを有する児童生徒に関する勅令696/1995(4月28日付)」 http://www.boe.es/boe/dias/1995/06/02/pdfs/A16179-16185.pdf
43「高い知能に関わる個人的状況により特別な教育的ニーズを有する児童生徒の義務教育期間を例外的に柔軟化する ための条件と手順について定める1996年4月24 日付省令」http://www.boe.es/boe/dias/1996/05/03/pdfs/A15545-15546.pdf
44高い知能を有する生徒のために教育制度の様々なレベル及び段階の期間を柔軟化する条件について規定する勅令 943/2003(7月18日付)
http://www.boe.es/boe/dias/2003/07/31/pdfs/A29781-29783.pdf
45「知識と社会財団(Fundación Inteligencia y Sociedad)」のカルメン・サンス会長より聴取。