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31 長くなるほどpHの影響は大きくなり, 特にステアリン酸エチルおよびリノール

ドキュメント内 大森, 俊郎 (ページ 38-42)

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アルコールは相対的に低くなる結果と一致する。

碇ら4 5 )は, 常圧蒸留中にキシランからフルフラールの生成を確認し, 蒸 留の後半に留出することを報告している。 太田ら6

)

は, 甘薯焼酎蒸留工程に おいて, geraniolおよびnerolからのlinaloolおよびα- terpineol への変換にpHが影 響すると報告している。 このように, 焼酎蒸留中にはさまざまな反応が起こっ ていると推定されるが, これまでほとんど報告されていないのが現状である。

また, 焼酎蒸留ではないが奥村ら60 - 6 2 ) は, dihydroxyacetoneあるいは propanalとシステインとの加熱反応系においてグリセリンあるいは グリセリド の共存により, ピラジン類が多く生成されたと報告している。 これらはいずれ

もグリセリンあるいはグリセリド濃度が高い溶液についての報告ではあるが,

もろみ中のグリセリン濃度が香気成分の留出だけでなく, このようなメイラー ド反応にも影響していることも考えられる。

これまで, 焼酎香味の改善は, ( 1)アミノ酸アナログ手法に よりアミノ酸 に由来する特定の香気成分を増加させた酵母変異株1 5 . 1 6 )を利用する方法,

(2)常圧や減圧など蒸留方法を変えて 脂肪酸エチルやフルフラールなどの 留出バランスを変える方法, (3)冷却ろ過で油臭の前駆物質であるリノール 酸エチルを除去する方法17 ・ 21), (4)原酒をイオン交換処理してアセトア ルデヒドやフルフラールなどのカルボニル化合物を除去する方法63) , などの 課題について検討されてきた。 さらに, 本実験で明らかにした ように, もろみ に含まれる不揮発性成分であるグリセリンが蒸留工程における揮発性成分の気

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液平衡に影響し, これが原酒中のß-フェネチルアルコールや酢酸ß-フェネチ

ルなどのバランスを変化させていた。 このことから, もろみに 含まれる香気成

分量が同じであれば, もろみ中のグリセリン濃度の調整が焼酎香味改善の手法 のーっとして有効な手段であると考えられた。 また, この原理 はブランデーや ウイスキーなど の蒸留における香気成分管理にも応用できる技術であると考え られる。

1 - 5 小括

蒸留工程でグリセリンは留出せず, 焼酎製品にも含まれなかった。 大麦焼酎 の香気成分はもろみ中のグリセリンの濃度変化にともなう挙動で3つに分類す ることができた。 水ーエタノールーグリセリン系で香気成分の気液平衡は, グリ セリン濃度の増大にともなって酢酸ß-フェネチルは微増し, ß-フェネチルア ルコール, パルミチン酸エチルおよびリノール酸エチルは低下した。 クエン酸 溶液中でもグリセリン濃度の増大にともなって酢酸ß-フェネチルの留出は増加 し, ß-フェネチルアルコールおよび脂肪酸エステルもグリセリンによって留出 が抑制された。 大麦焼酎の主要な香気成分である酢酸ß-フェネチル, ß-フエ ネチルアルコール, リノール酸エチルおよびパルミチン酸エチルの留出はグリ セリン濃度の影響を受け, その結果焼酎製品の官能に影響する ことが明らかに なった。

第2章 大麦焼酎もろみ中のグリセリンの生成源

2 - 1 緒言

前章で述べたように, 焼酎もろみ中のグリセリンは蒸留工程で留出しないが,

その濃度 が酢酸ß-フエ不チル,

ß-フェネチルアルコールおよび高級脂肪酸エ

チルの気液平衡に大きく影響し, グリセリンが間接的に焼酎原酒の香気に影響 することを述べた。

グリセリンは酵母(Saccharomyces cerevisiae)のアルコール発酵の副産物と

して生成され, 広く醸造物中に存在する。 また, 麹菌であるAspergillus属も同 様にグリセリンを生産することが知られている64)

さらに グリセリンは原 料大麦のグリセリドからリバーゼの作用によっても生成6 5 )することが考えら れる。大麦焼酎もろみ中のグリセリンはこのよう な3つの生成ルートがあるが,

前章で述べたようにもろみ中のグリセリン濃度や生成源の構成など, これまで 詳細には知られていない。 もろみ中のグリセリン濃度の調整は焼酎香気改善の ために有効な方法で あるが, そのためにはもろみ中のグリセリンに関する詳細 な知見が重要で、ある。

本章では, 大麦焼酎もろみ中のグリセリン生成源およびその構成比を明らか にすることを目的に行った一連の実験の結果 大麦焼酎もろみ中のグリセリン は大部分が酵母と麹に由来し, さらに酵母が生成するグリセリン量は麹歩合 (全原料量に対する麹原料量)によって影響されることを明らかにした。

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