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ドキュメント内 学位の分野 国際地域学 (ページ 38-46)

図・5.1 観光地の評価に影響を与える要因

5.3.2 調査概要

 調査対象地として,東京からの距離鉄道によるアクセス性,温泉と歴史的観光資源を 有する地域性,調査依頼施設等をはじめとする調査可能性の観点から,日光ならびに箱根 の2地域を設定した.

 アンケート調査は,2007年5月中旬〜9月中旬に,日光,箱根合わせて12宿泊施設で宿 泊者に対して実施した.外国人観光者については、主要な英文ガイドブックにも掲載され ている低廉な宿泊料と個人経営の宿泊施設で調査しており,外国人観光者が多く占めてい るのが特徴である.なお,同施設が所属するジャパニーズ・イン・グループ加盟の宿泊施 設の宿泊外客を対象とした調査結果(1989年,1995年)から,同施設を利用する外国人観 光者は,日本への旅行計画を自分で立て,ジャパン・レール・パスを購入し来日する層が 約半数含まれ,業務兼観光も含めた観光目的が8割程含まれる欧米諸国からの個人旅行観 光者と想定した.

 年々増加傾向にある韓国や香港,台湾などアジア諸国からの個人旅行のイノベーター的 観光者も考えられるが,英語による情報入手が可能な宿泊者が多いことを予想し,韓国語 や中国語版の調査票は用意せず,英語版のみ使用した.以上より,日光,箱根を旅行する FIT(Foreign lndependent Tourist)の観光行動・評価特性を把握可能な場所における調査と 位置付けることができる.

 一・方,日本人観光者については,民宿,旅館,ホテルの種別を含んだ,調査協力が可能 な施設において口本語版の調査票を使用して調査を実施した.アンケート票の配布回収は,

各宿泊施設において留め置き法(自己記入式)を採用し,調査についての説明後,協力に同意 いただいた宿泊者に質問紙を配布している.

 次に,調査項目であるが,表一5.1に示すように訪問箇所,事前期待,事後評価,来訪回数,

個人属性などの設問項目を設定した.

表一5.1 アンケート質問項目

調査項目 選択肢・設問等

1来訪回数 はじめて/2回/3−10回/11回以上 2来訪手段 電車/自動車/その他

3情報源 ガイドブック/旅行会社/イングネット/観光案内所/

鴻R ミ/}まカ・ (複数回答可)

4訪問箇所 日光,箱根の訪問箇所(複数回答可)

5事前期待 21の観光行動に対する事前期待(3段階評価)

6事後評価 21の観光行動に対する事後評価(5段階評価)

7不満要素 食事/食事施設ハルノ観光施設/サービス/観光案内板/交通

@関/自然保護(複数回答可)

8全体評価 観光全体の5段階評価(事後評価)

9個人属性 性別/年齢,居住地/家庭での使用言語 i外国人観光者のみ)

 アジアへの来i10 訪経験 はじめて/2−4回/5−10回/11回以上

i外国人観光者0)み)

11来訪形態 個人旅行,添乗員のいる団体旅行

5.3.3 調査内容ならびにサンプル概要

 表一5.2に示すように,口光・外国人観光者2施設,口光・「]本人観光者6施設,箱根・

外国人観光者2施設,箱根・日本人観光者4施設より回収した.それぞれの有効サンプル 数は,日光・外国人観光者162,日光・日本人観光者114,箱根・外国人観光者125,箱根・

日本人観光者124の合計525となった.

表一52 調査場所ならびにサンプル数

ll)ヒ 箱根

文豫者 外国人観光者    目本人観光者 外国人観光者    目本人観光者

実施目 2007{口月中旬〜9中∫IJ 20f}7仰6月1 旬〜9}旬

調査場所 2箇所       6解】所 2箇所       4箇所

調査ノ∫法 留め置き法による質問紙調査

1・]1答者数 184 150 159 157

イ|効サンプル数 162 114 125 124

,、1 525

回収されたサンプルの概要は,下記の通りである.

○性別構成をみると,日光・日本人観光者で女性の割合が6割とやや高く,その他はほ   ぼ半数ずつであった.

○年齢構成は,図一52に示すように10−40代で約8割弱を占めるが,箱根・外国人観光   者ではアメリカ高校生が参加する国際親善団体の26名が含まれたことから10代の比   率が他のサンプルに較べて高かった.

140

日光・外国人観光者 日光・日本人観光者 箱根・外国人観光者 箱根・U本人観光者

合計

1

1

、 、、

@ 、 @   1

@    1 、 〉\

\ \ !

@ \   \    \

、1

@、@1

@ 、@  \

、\

20代 30代 10代層

   〆

,一 60代 0

40代 50代

\\

、1 、

\︑

0%       20%       40%       60%      80%

図・5.2 サンプル別年齢階層構成比率

100%

○外国人観光者の居住地別構成は,箱根はアメリカ,日光はオーストラリアの比率が高

 かった(表・5.3).

○来訪lnl数は箱根・日本人観光者で11回以上が36%(日光:6%)を占めており突出して  高かった.外国人観光者を比較すると,2回目以上の来訪割合は,日光12%,箱根6%

 となった.また,はじめて来訪した観光者の割合は口本人観光者では,口光33%,

 箱根21%,外匡1人観光者では,日光88%,箱根93%であった.

表一5.3 外国人観光者の居住地構成比率

日光 箱根 合計

人w 構成比率 構成比率 人1 構成比率

3 1.9% 2 1.6% 5 1.7%

韓国 2 ユ.2% 1 0.8% 3 1.0%

中玉 2 1.2% 6 4.8% 8 2.8%

Zのげジア 7 43 4 3.2 11 38

アジア ヨ 14   8、6% 13 10.4% 27   9.4%

アメ1 29 17. 45 36. 74 25.8

カナダ 6 3.7% 2 1.6% 8 2.8%

フランス 18 11.1% 12 9.6% 30 10.5%

イギリス 23 14.2% 4 3.2% 27 9.4%

オース同ア 36 22.2% 10 8.0% 46 16.0%

ドイツ 5 3.1% 5 4.0% 10 3.5%

ノの 1  ・ 3 91 34 272 65 2 6%

アシ ←£    一 ヨ    1 8     91 4      112     89 6      260     90 6 口日        162     100.0%     125     100.0%     287     100,0%

O利用交通手段をみると,外国人観光者では,公共交通利用が日光95%,箱根74%(貸  切バス利用θ)アメリカ高校生団体を含めない場合91%)を超え,日本人観光者では日  光は58%,箱根は24%だった.

○観光地点立ち寄り率は,日光,箱根ともに主要観光地点で公共交通を利用して観光を  する外国人観光者が日本人観光者より高い傾向がみられた(日光:二社・一寺,箱根:

 芦ノ湖,箱根関所,杉並木).特に箱根の日本人観光者は公共交通の利用率(24%)が  日光(58%)に較べて低く,観光行動において自家用車でドライブを楽しむ要素が高く,

 また,日光以⊥二に来訪頻度の高い割合が高いため,観光立ち寄り地点の分散化,立ち  寄り地点の組み合わせパターンが多様化を示した.

 なお,本調査は特定の施設で実施したアンケート調査にもとつくため,大規模かつ多時 点調査による,より一般性の高い包括的な来訪者分析が今後の課題といえる.

5.4 観光地評価の特性分析

5.4.1 単純集計による観光地の評価について

 観光地の全体評価に先立ち,観光行動に対する事前期待(3段階評価.非常に期待,是非や りたい:2点⇔無回答:0点)・事後評価(5段階評価.大変満足:2点⇔大変不満:・2点)について 日本人・外国人別観光地別平均値を算出した(図・5.3).この図における評価項目(21項目)は,

文献15,16を参考にして観光地を包括的に評価できるように設定している、図一5.3から,「9.

地域の人々と話す」,「10.地域の生活に触れる」について訪問地を問わず外国人観光者の評価

が高い.

 また,「3.世界文化遺産!富士山をみる」について外国人,日本人を問わず事前期待が高い.

訪問地別では,日光において「1歴史的建造物」の事前事後の評価が高いなど,日本人・外国 人の別なく訪問地に共通した評価傾向が確認される.全体的に日光では,「1歴史的建造物」,

「2.口本の自然景観」,「3.世界文化遺産」の評価が,箱根では,「2.口本の自然景観」,「15.自 然とのふれあい」,「17.温泉」の評価が高い.

 さらに,全体評価(5段階評定,大変満足:5点O大変不満:1点)の平均得点を比較す ると,日光・外国人観光者4.38,日光・日本人観光者4.01,箱根・外国人観光者4.08,箱 根・日本人観光者4.08となり,日光・外国人観光者の全体評価が最も高く,観光者は比較 的大きな満足感を得ていることがわかる.

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      1歴史建造物     2.臼本の自然景観 3世界文化遺産㌶富士山をみる

      4文化的景観         5町並み       6.土地の歴史         7鎧、刀     8。日本の宗教祭事     9土地の人々と話す   10,地域の生活に触れる       11.郷土料理        12土産物     13蔓術館・博物館     14自然とふれあい

   15.リゾート地でゆっくり

        16温泉

    17.有名なレストラン

       18遊覧船       19.野生勤物    20.お祭リ・行事の参加        21.山歩き

0.O   O.5

q

10 ハ5

.s

200.0 o.5 10 1.5

﹁︑4汗

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?.O

図一5.3 21項目別事前期待(左),事後評価(右)平均値

(凡例:黒実線:日光・外国人,黒点線:日光・日本人   青実線:箱根・外国人,青点線:箱根・日本人)

  ・方,外国人観光者の居住地別全体評価では差異が見られるものの(表一5.4),分散分析を 行ったところ,平均値の差は有意とならなかった.平均値は異なるものの,その分散が大 きかったためであり,性別・年齢階層,言語等の個人属性を用いた結果も同様であった.

これから,観光地の評価では,国籍をはじめとする個人属性に加えて,どのような観光資 源に興味があるか,観光行動に対する志向はどのようなものかということも考慮する必要 があるといえる.

表一5.4 外国人居住地別観光地全体評価

全体 アメリカ フランス イギリス オーストラリア その他欧州    Aジア合計

日光 箱根 口光 箱根 口光 箱根 口光 箱根 口光 箱根 口光 箱根 口光 箱根

4.38 4.08 4.52 4.36 3.94 3.50 4.30 4.25 4.47 4.20 4.33 4.00 4.56 ■.S.15

5.4.2 多変量解析を用いたサンプルのセグメンテーション

 次に,観光地の評価をもとに観光者のセグメンテーションを行い,どのセグメントがど のような評価特性を有するか分析を行った.セグメンテーションの方法として,アプリオ リにグループを定める方法と,表明選好を含む多次元的な変数からセグメントを構成する 方法の2つに大別されるが,本分析は後者に相当するものである.なお,導出されたセグ メント結果と居住地,使用言語等の個人属性との関連性を後に考察するものとする.なお,

属性別の傾向を把握する際体験している旅程や観光経験を同一にしたセグメントによっ て分析する方法も考えられるが,本論では,事後評価のみならず,事前期待を含めた評価 パターンによって,特定のセグメントに限定せず,横断的に来訪者全体の行動・評価特性 の把握することに重点をおいて考えた.

 まず,図一5.3に示す21項目の観光地に対する事前期待・事後評価の回答データを用いて,

似たような回答パターンをみつけるために主成分分析を行った.表一5.5にバリマックス回転 後の分析結果を示すが,固有値の上位9主成分を抽出したところ,累積寄与率は43.4%と なった.累積寄与率が43.4%と低かったが,これは調査サンプルの評価が多様であると考 えられる.9主成分のうち,事前期待・事後評価いずれも主成分負荷量が大きい5主成分,

事前期待のみの1主成分,事後評価のみの3主成分となった.事前期待・事後評価がいず れも高い5主成分(第II,第W,第V,第VI,第IX)から事前期待と事後評価の得点に 高い相関が推察され,散布図で確認したところ,事前/事後の得点が正の相関であることを 確認した.これに対して,いずれかのみの主成分は,事前期待(事後評価)が高いにもかかわ らず,事後評価(事前期待)に一定の傾向を見出しづらく,回答の一部に予想を裏切って悪い 事後評価となってしまう,もしくは思った以上に高評価といった評価傾向が存在するとい

えよう.

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