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ドキュメント内 学位の分野 国際地域学 (ページ 46-101)

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図一5.5 セグメント別評価特性

5.4.3 観光者要因,観光地要因の統計的検定

 図一5.5に示されるセグメント別主成分得点から様々な傾向が読み取れるものの,5.2.1の 分析フレームで示した観光者の評価パターン(セグメント)や観光地によって有意な差が 存在するか,検定する必要がある.

 そこで,繰り返しのある二元配置の分散分析を行った.ある主成分を対象に,個別サン プルの主成分得点に対して観光地特定要因(日光,箱根の2水準)と評価パターン(12セグメ ント)との組み合わせを考え,要因によって主成分得点に差がないか,検定するものである.

特に,本研究では,評価パターン(12セグメント)と観光地特定要因との組み合わせによ って発現する交互作用を考慮する必要があること,ならびに繰り返し数が要因の組み合わ せによって異なる点に留意する必要がある.

 分析は,文献17に従い,観光地特定要因,評価パターンならびに交互作用の分散を導出 し,自由度で基準化した後,F検定を行った.表5.7に分析結果を示すように評価パターン

(12セグメント)は,いずれの主成分においても有意となり,「主成分得点に評価パターン は影響を及ぼしていない」との仮説は棄却される.

 また,第II i三成分(歴史軸),第V主成分(自然観賞軸),第IX主成分(自然体験軸)

は,観光地特定要因が主成分得点に影響を与えると考えられるとともに,第rv主成分(オ プション軸),第V主成分(自然観賞軸),第VI主三成分(土産物軸)とともに交互作用が有

意となった.従って,これらは観光地特定要因に加え,評価バターンの両者が合わさった ことにより一層,評価が大きくなるという効果を確認できた.

 図一5.6は,セグメント別主成分得点平均値を,評価パターン(12セグメント)のみ有意 であった第1主成分,ならびに,観光地特定要因・交互作用も有意であった第II il成分そ れぞれに算出した結果である.日光観光者の第1主成分である「地元交流軸」をみると,同 一地域への来訪であるが,その評価が大きく異なっており,セグメントによる評価の差違 が考えられる.さらに,箱根と比較すると両者は同じような平均値となっており,観光地 による影響は小さい.一方,第II主成分は,日光,箱根間で差違がみられ,総じて日光の ほうが負の値を示している.歴史的建造物の評価が高いほど,負の値となるため,世界遺 産に指定された二社一寺周辺による影響と推察でき,さらにセグメントG3, G4, G9で大 きな違いが見られる.これより,歴史的建造物の影響は全てのセグメントに均等に影響す るのではなく,歴史的資源を重視するセグメントとの相乗効果により,より大きな評価に なっていることがわかる.

表一5.7 分散分析表(自由度以外:分散を示す.★★:1%有意,★:5%有意)

主成分 観光地特定要因 評価・・夕一ン 交互作用 誤差項 全分散

1 0.16 57.23** 1.06 69.71 128.16

n 8.02** 30.48** 2,87** 47.66 89.03

 皿丁.

0.03 18.52** 2.14

IV 0.29 29.41** 2.78*

82.87−58.84 103.56    −

X1.31

V 1.18** 23.57** 3.31* 69.30 97.36

、7 0.22 14.34** 1.91* 66.98 83.45

vn 0.23 15.86** 0.80 51.49 68.38

0.13 4,31** 0.82 71.18 76.44

IX 1.14** 8,06** 3.89** 59.24 72.33

自由度     1      11     U    501    524

4.0

3.0

2.0

lo

0.0

一1.0

一2.0

一3.0

主成分得点平均値

一一

 ・第1主成分

∠\

、、(箱根)

(箱根)

        、        ,

@      、     .ユ      ー」1一一↓」 第1主成 

A.(日産) ■

.一 .一・一

GlG2G3為

G5 G6 G9 ・揚ユメン1Ul2

第n主成分 o

(日光)

●一

1﹁

図一5.6 セグメント別第1,第II主成分得点平均点

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5.55章まとめ

 本章は,日光と箱根を対象として,外国人観光者と日本人観光者双方の観光者の属性と ともに,評価特性をアンケート調査によって明らかにすることを目的として分析を行った.

 まず,日光,箱根への来訪者属性を明らかにした後,各地域の総合評価をみると,日光・

外国人観光者,日光・日本人観光者,箱根・外国人観光者,箱根・日本人観光者いずれと も4.0以」二となり,観光者は比較的大きな満足感を得ていることがわかった.さらに個別評 価をみると,「9.地域の人々と話す」,「10.地域の生活に触れる」について外国人観光者の評価 が高いことや,訪問地別では,両観光地において「3.世界文化遺産/富士山をみる」について 外国人,日本人を問わず事前期待が高く,また,日光において「1歴史的建造物」の事前事後 双方の評価が高いなど訪問地による差違を確認することができた.

 さらに,観光地に対する評価が,(1)観光者の評価パターン,(2)観光地特定要因,ならび に(3)両者の交互作用から形成されると仮定し,観光者のセグメンテーションを行った.そ の結果,12に区分けできるセグメントを導出し,主成分分析から導かれる9主成分につい て有意となるとともに,第II主成分(歴史軸),第V主成分(自然観賞軸),第IX主成分

(白然体験軸)は,観光地特定要因が主成分得点に影響を与えることが明らかとなった.

これらに関連する魅力が観光地に存在すると考えられ,全てのセグメントに対して魅力を 増加させているといえる.さらに,この3つに加え,第IV主成分(オプション軸),第VI 主成分(L産物軸)には,(1)(2)の交互作用がみとめられ,特定の組み合わせにより大きな 相乗作用が存在することを統計的に明らかにした.これらにより,全サンプルをプールし た場合やアプリオリなセグメンテーションでは見いだせない評価パターンの存在を確認で

きたといえる.

 今後の課題として,対象とする観光地を増加させて,より多様な観光者,観光地を含め た分析や,これら結果の具体的な施策への落とし込みが考えられる.

5章 参考文献

1国際観光白書2007,国際観光振興機構…(JNTO)

2佐々木土師二:観光旅行の心理学,北大路書房,pp.38−39,2007

3Engel, J.F. and Blackwell, R.D.:Consumer Behavior, The Dryden Press,1982

4Van Raail, W.F.:Consumer Research on T()urism:Mental and Behavioral Constructs,

  Annals of Tourism Research, Vol.13, pp.1・9,1986

5Pitts, R.E. and Woodside, A.G.:Personal Values and Travel Decisions, Journal of   Travel Research, pp.20−25, Summer,1986

6Madrigal R. and Kahle, LR.:Personal Values and Travel Decisions, Journal of Travel   Research, WINTER,1994

7Woodside, A.G. and Jacobs, L.W.:Step two in benefit segmentation:Learning the   benefits realized by major travel markets, Journal of Travel Research, pp.7−13,

  Summer 1985

801iver, R.L:A Cognitive Mode1 of the Antecedents and Consequences of Satisfaction   Decisions, Journal of Marketing Research, Vol.17, pp.460−469,1980

9Pizaman, A. and Milman, A.:Predicting satisfaction among丘rst time visitors to a   destination by using the expectancy disco㎡レmation theory, International Journal of   Hospitality Management Vol.12, No.2, pp.197−209,1993

10Furutani, T. and Fujita, A.:Astudy on Foreign Tourists Behavior and Consumer   Satisfaction in Kamakura, Journal of the Eastern Asia Society for Transportation   Studies, Vol.6, pp2154・2169,2005

11掘内拓良:外国人観光旅行者と日本人観光旅行者における京都の評価要因分析,日経広   告研究所報228号,p.39−43,2006

12Turner, L. and Reisinger, Y:Cross・Cultural Behaviour in To urism:Concepts and   Analysis,2002

13Wade, D.J. and Eagles, P.EJ.:The Use of Importance Performance Analysis and   Market Segmentation for Tourism Management in Parks and Protected Areas:An   Application to Tanzania s National Parks, Journal of Ecotourism, Vol.2, No.3,

  pp.196−212,2003

14野瀬元子,古屋秀樹:日光・箱根における観光者の行動・評価特性の分析一日本人観光   者と外国人観光者の比較一,第22回日本観光研究学会全国大会研究発表会論文集,

  pp.249 252,2007.12

15日本観光協会:観光の実態と志向,平成17年

16国七交通省:観光レクリエーションの実態,平成15年 17田口玄一一、横山巽子:実験計画法,日本規格協会,1998

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6章外国人旅行者の交通パス購入意向の分析

6.1 はじめに

 外国人旅行者の国内での移動手段として,公共交通機関の需要の高まりが考えられるた め,その利用実態の把握とニーズに対応した施策は,インバウンド観光の活性化に重要と いえる.この中で需要側が感じる障壁(バリア)を除去し,負担感を軽減する施策は,地 域における観光振興策として,旅行者の利便性を向上させ,より多様な周遊行動を誘発さ せる効果が期待できる.

 様々な施策の中で,本論文では「交通パス」に着目する.「交通パス」とは,1つの都市 などのまとまった地域において,地元の鉄道会社やバス会社などの公共交通機関が提携し て旅行者の観光周遊の利便性を高めるために,一定のエリア内全ての路線を自由に乗降可 能とした1日乗車券と定義する.訪日外国人旅行者の訪問率が最も高い東京に着目すると,

複数の交通事業者の存在,事業者間で異なる運賃体系,距離制運賃により,乗車券購入時 の運賃把握が容易でないため,不慣れな利用者は負担感を持っていると考えられる.しか し,現在,全路線を対象とした交通パスは存在せず,価格設定についても外国人旅行者の 実際のニーズや観光実態に基づいた検討が不足していると考えられる.

 そこで,本研究では,次の2点を明らかにすることを目的として,アンケート調査及び

分析を行った.

  1)外国人旅行者の都区内の観光周遊ならびにその際の公共交通機関の利用実態   2)都区内における交通パスに対する外国人旅行者の支払い意思額及び交通パス購入に    よる心理的,時間的負担感の軽減と支払い意思額との関連性を考慮する分析手法の    開発・提案

6.2 交通パス購入意向の考え方 6.2.1観光における交通パスのメリット

 観光立国宣言がなされ,特にインバウンド観光が脚光を浴びている.平成21年度の訪日 外国人旅行者数は679万人(平成22年度観光白書)となっており,日本人海外旅行者数と 比較して依然少ない状況である.外国人旅行者は日本の様々な観光資源を経験するために 来訪しているが,さらなる外国人旅行者増加をはじめとする観光振興のために,観光庁で は「観光庁ビジョン」1として,以下の5つを掲げている.

 1.我が国の魅力の内外への発信

 2.国内外の交流人口を拡大し,活力ある我が国や地域を形成  3.地域の自律的な観光地づくりの支援

 4.観光関連産業の活性化

 5.すr tての人が旅行しやすい環境の整備

 上記に示すように,インバウンド観光における観光政策・施策では,来訪前を対象とし たプロモーション,情報発信(1.に相当)や来訪障壁除去を目的としたビザの発給緩和等,

来訪後を対象とした受入地域の観光資源整備にみられる地域の魅力向L・開発(2.〉,さら

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