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【3】北陸新幹線の沿線が発展するには

ドキュメント内 g, (ページ 33-36)

 既設新幹線の現状や北陸新幹線の特性を考慮した上で、インフラを最大限活用して地域に恩 恵をもたらすにはどうすればよいかについて考える。

1:経緯と特色 1-1:経緯

 北陸新幹線は、当初「北回り新幹線」の名称で計画され、1967 年に建設促進同盟が結成された。

それから 50 年近くを経て開業するものであり、幾多の紆余曲折があった。ここまで実現まで の道のりが遠かったのは主に財源問題である。少子高齢化や国家財政のひっ迫などもあり、特 に北陸新幹線は、その有用性や採算性には常に疑問が付いて回った。もっともこれは北陸新幹 線に限ったことではなく、東海道新幹線以外の九州や東北も同様であった。ただ、東京を発っ て東西に長い日本列島を新幹線で移動しようとすると、どうしても東北や九州が優先されてし まう。

 もともと高速交通網は国土の均衡ある発展にとって欠かせないインフラである。そうは言わ れながらも、次表を見ればわかるように、計画・着工・開業に至る経緯は非常に複雑であり、

行きつ戻りつの展開があった。

 また、1997 年 10 月 1 日の北陸新幹線長野開業に伴い、並行在来線となる信越本線のうち、

高崎−横川間が JR 東日本の路線として存続、横川−軽井沢間が廃止、軽井沢−篠ノ井間が第三 セクターのしなの鉄道に経営移管され、並行在来線経営分離の最初の例となった。信越本線長 野−直江津間と北陸本線直江津−金沢間については 2014 年度に北陸新幹線の長野−金沢間が 開業した時点で、北陸本線金沢−敦賀間については 2025 年度頃に北陸新幹線の金沢−敦賀間 が開業した時点で JR から第三セクター鉄道会社に経営移管される。新潟県内区間はえちごトキ めき鉄道へ、富山県内区間はあいの風とやま鉄道へ、石川県内区間は IR いしかわ鉄道へ経営移 管される。長野県内区間は、しなの鉄道へ経営移管される予定である。

■北陸新幹線に関する経緯

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北陸新幹線建設促進同盟会ホームページ

1-2:関係者の多い新幹線

 北陸新幹線の第一の特色は「関係者が多い」ということである。例えばJR東日本・JR西日 本双方の路線にまたがり、それぞれの拠点から遠い。JR東海も鉄道や観光振興の上では間接的 に関与することになる。また沿線自治体が多く、県だけでも長野以西は新潟・富山・石川を貫 通する。さらには福井を経て関西に接続が予定されている。並行在来線についてもそれぞれの 県が独自に事業会社を立ち上げており、県境付近の接続や小規模経営に課題が残る。

 これに対し、東北新幹線は通過県が多いもののJR東日本単独の事業区域内であり、観光開 発やプロモーションに積極的であった。九州新幹線も福岡から長崎・佐賀・熊本・鹿児島の 4 県 をまたぐが、運営主体はJR九州1 社単独の事業区域であり域内の主要部分を通る。観光開発や プロモーションにも力が入る。

 沿線自治体の新幹線に対する期待感や関わり方にも北陸の場合は温度差がある。すでに開業 している長野県、上越新幹線の営業開始から 30 年が経ち、北陸新幹線開業により新たな便益が あまり発生しない新潟県、県土を貫通する富山県、約 10 年間の金沢どまりとなる石川県、さら に 2025 年開業予定の福井県ではそれぞれ事情が異なる。越後湯沢は乗換駅としてのにぎわい と役割を終える。一方、福井嶺南地方にとって新幹線はこれからの未来の話である。さらに大 きな問題は、JR東日本およびJR西日本の双方の中間地点に当たる北陸の新幹線開業に際して、

それぞれのJRがこれまで東北や山陽・九州新幹線などに費やしてきた投資や熱意が投入され るかどうかであろう。これだけ関係者の多い路線であるからこそ、統一的なプロモーションや 圏域一体となった継続的な観光開発がより一層必要となる。

1-3:並行在来線問題

 北陸新幹線は各県ごとに並行在来線を抱える。それぞれの県単位で継続事業会社が立ち上がっ てはいるが、過疎と高齢化に悩む地域も多く、その存続と自治体への負担が懸念される。JR西 日本にとって北陸の鉄道網は経営に占める比重が非常に小さい。肥薩おれんじ鉄道は、JR九州 の地方路線であったが、新幹線開業によって縮小されることはなく、地域住民の足として、そ れ以上に戦略的な観光拠点路線として残された。「スピード」の新幹線で鹿児島に入り、そこか ら肥薩おれんじ鉄道で「ゆっくりと」車窓を楽しみながら旅をするというイメージである。こ れなどはJR九州が新幹線開業に際して域内観光を充実させるための判断であるが、北陸の場 合はどうだろうか。

1-4:生活の中の新幹線 〜地域間移動での利用定着と日常空間の拡がり〜

 富山−金沢間を往復するシャトル便の導入が計画されている。実現すれば新幹線とすれば初 の試みとなる。現在特急で 35 分以上かかるものが 20 分程度で頻繁に移動が可能となれば、そ れぞれの県庁所在地がたがいの生活圏となる可能性もある。北陸を代表する 2 大都市が接近す ることによる人やモノの流れの変化、中間の高岡地域の開発などが進む可能性がある。新幹線 が単に「都会へ行くためのもの」「ビジネスマンと旅行者のためのもの」にとどまらなくなる。

 また、地形に阻まれてこれまで交流のなかった信州と北陸の交流が劇的に活発化することも

考えられる。金沢−富山間だけ、あるいは朝夕のラッシュ時だけではない活用が求められる。

北陸新幹線は、この点で在来型の急行のようなイメージで運行されることを期待したい。その 場合は、高速で主要都市をつなぐ本来の利用の方法に加え、中規模都市も含んだ在来特急の機 能も発揮されるであろう。

 北陸新幹線の開業後、並行在来線として経営分離される北陸本線は、複線電化で急曲線もな く最高速度 130km/h で走行できる高規格の線路である。130km/h 走行できる特急車両はJR 東日本及びJR西日本の他の幹線へ転用されるとしても、新会社に引継がれるローカル列車用 車両でも 110km/h 走行でき、地方鉄道としては非常に恵まれた設備と車両である。新会社には、

それらを活かして、新幹線の二次交通としても地域交通としても良質な交通サービスを提供す ることを強く期待したい。

 SL時代に建設された北陸本線は駅間距離が5 km 程度であり、特急列車が優先でローカル 列車は1時間に2本程度しか運行していない。しかし、沿線には一部区間を除き平野が広がり、

開発される余地は充分にある。新駅の周辺が市街化調整区域となっている区域を市街化区域に 指定替えすることで、地域の活性化につなげるきっかけにできるだろう。

 また、並行在来線以外に新幹線の二次交通となる富山地鉄線・立山黒部アルペンルート・高 山本線・市電・富山ライトレール・万葉線・氷見線・城端線・七尾線・北鉄浅野川線・同石川線、

またそれぞれの地域の路線バスとも、新幹線開業の効果を最大化するための二次交通として利 便性を向上させたい。最優先で取組むべきは高頻度運行である。鉄道は、用地と設備の準備に 莫大な経費を要し、それと比べ運行経費は少額となる典型的な装置産業であり、本来は運行経 費の節減より高頻度運行による用地と設備の有効活用を優先し、特に城端線の高岡−新高岡間 は北陸新幹線のシャトル便の全てに接続するように運行すべきである。その際、民業の交通事 業者の収支として成立しない場合は、社会の合意を得た上で税金を投じて実行することも一法 である。

ドキュメント内 g, (ページ 33-36)

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