(3)調査内容
調査Hの結果を受けて,「学校生活の中で,児童の自己効力感
を高める,もしくは低下させないために,どのような関わり
方をしますか?」「自己効力感の低い子・高い子にはどんなかかわりの仕方や,言葉のかけ方をしますか?」の2つの質問
をし,それぞれ1時間30分ずつ半構造化面接を行った。回答
はオープンエンドで行った。結果
面接で話された内容を要約し,分類したものをTable12に示した。
教師は授業の中でも給食や掃除など学校生活全般においても児童の 自己効力感を高める,または低下させないために意図的・無意識的 なかかわりをしていることがわかった。
まず,教師から見て自己効力感の低い児童は,突出してほめる部 分が見えにくく,かかわりが少なくなってしまいがちである。この ような児童は,能力が低かったり,おとなしい性格であったりする ために,ほめられるという経験が少なく,自信のなさからか無気力 な状態になっている。教師は,特にこのような自己効力感の低い児 童には,小さな目標や活躍の場を与え,出来たらほめ,「出来るん だ!」という実感を繰り返し味わえるような働きかけを行っている。
また,出来ていて当たり前のことであっても,その児童が出来てい ることをほめ,教師が自分を見てくれているんだという実感を持て るようなかかわりをして行く,ということであった。逆に,自己効 力感の高く見える児童には,教師に評価されたいために頑張りすぎ るということもあるということも考慮して,かかわりを持つことが
明らかになった。
自己効力感を高める,低下させないかかわりの仕方については,
自己効力感の低い児童へのかかわりとほぼ共通する部分が見られた。
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Table12 1」・学校教員への面接で語られた内容
自己効力感の低い児童とは特徴=不器用/運動・学習においても能力が高くない/友達とのコミ ュニケーション苦手/感情・反応が薄い/宿題をしない/発表しない
/おとなしい
見立て:無気力・喜ぶのが怖い・カラに閉じこもっている
教師からの見え方=気をつけなければほめる場面が見つけにくい
自己効力感の低い子にどのような対応をするか①成功経験をさせる。
【Key word】
個別の目標(スモールステップ)・失敗しない課題を与える・成功経験 の積み上げ
⇒「できた!」という喜びを味わえるようにする。
②ほめる
【Key word】
当たり前のこと・その子が好きなこと・具体的に言語化して・みんな
のまえで・大げさに・繰り返しほめる⇒先生が自分を見てくれているという実感を持たせる。
自己効力感の高い子にどのような対応をするか
①控えめに・無意識に・軽めにほめる。
過適応の場合は認められたいがために無理していることも。
先生にほめられ続けなくても,自己効力感を低下させずにいられる
ように気をつける。
自己効力感を高める,低下させないための教師のかかわり
①ほめる
【Key word】
挑戦していること・みんなの前で・繰り返しほめる・当たり前のこと・
先生が見ていないだろうと児童が思って、いるところ・具体的に・さり
げなく
②成功体験のチャンスを与える
【Key word】
成功体験の積み上げ・係りを与える
③教師が児童を「気にかけているよ」というサインを送る
【k,y。。,d】
顔を見る・視線を送る・机間巡視を多めに・スキンシップ
教師の持つべき姿勢とは
①謙虚である事
【Key word】
相対評価で児童を見ない・子どもに対する思い込みを持たない・様々 な関わりをする(状況によって効果的な関わりは違う)・子どもは日々 変わるのだという認識・教師は子どもの成長のコーディネータである
②子どもの可能性を信じること
【Key word】
長期的な成長を考える・子どもの特性を決め付けないこと
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考察
教師が児童の自己効力感を高め,または低下させないための働き かけとして,もっとも多く見られたのは「ほめる」というかかわり である。内容としては,「学校に来ていること」「席に着いているこ と」のように,当然のこともほめる。これは,突出したことだけを ほめるのではなく,思いもよらない部分をほめることで,児童は教 師から認められているという感覚を得ることが出来るのだろう。ま た,「成功経験のチャンスを与える」というかかわりも重要視されて いた。内容としては係を与えたり,小さな目標を与えたりして「で きた!」という実感を持たせる機会を意図的に作っていくものであ る。児童は「できるんだ」という体験の積み重ねを通して,他の事 象に対しても積極的な姿勢を持つことができるということである。
そして,「気にかけているよ,というサインを送る」かかわりも大切 である。内容としては,顔を見たり,肩に手を置いたりする。この ことによって,児童は教師から大切にされているという安心感を得 ることができるのではないだろうか。これらのかかわりについては,
成功体験を与え,出来たらほめる,のように連続的に行われている ものであり,中でも最も強調されていたのは,このようなかかわり を繰り返し,何度も続けていくことであった。そのためにも,教師 の姿勢として,子どもを思い込みで判断せず謙虚な姿勢で見つめ,
子どもの可能性を信じて関わり続けることが,児童の自己効力感の 促進に繋がっていくことが分かった。