原因帰属・学習の自己効力感・教師の言葉かけの関連については,
つまずきの原因を努力に帰属する児童は,教師の言葉かけを嬉しい と感じるが,努力に強く帰属する傾向の児童は自己効力感が低いと いう結果が得られた。教師へのインタビューから,自己効力感の低 い児童として,「努力したら出来る」と言い続けられているが,突出
した特徴がないこともあり,ほめてもらう経験が少なく,自信がな いために無気力傾向のある児童の姿が浮かび上がってきた。教師は そのような児童に対して,係の仕事を与えてほめる,当然のことで あっても出来ていることをほめるなど,意図的に工夫をしながら成 功体験・ほめられる体験を積み上げてやるというかかわりをしてい るという報告があった。つまり,自己効力感のみなもととしてあげ られる「達成体験」(最も重要な要因で,自分自身が何かを達成した
り,成功したりした経験),「言語的説得」(自分に能力があることを
言語的に説明されること,言語的な励まし)を現場の教師は多く用い ながら,児童の自己効力感の促進に日々努めているということがいえる。
また,本研究における「評価をする」言葉かけをもっともうれし いと感じるという結果からは,他者から受容されたいという気持ち を児童は普遍的持っているということが考えられそうである。桜井
(1997)によると,他者受容感は内発的学習意欲のみなもととしての 機能だけではなく,他者受容感を得ていることにより,自分が学習 し成長することに価値を置く熟達目標へと結びつくと述べている。
玄(1993)は引算スキルの乏しい児童に対し,出来た問題に「よくが んばりましたね」と努力承認的評価を与える群と,出来なかった問 題に「もっと頑張って欲しいですね」と努力要求的評価を与える群,
結果のみをフィードバックする群,および統制群を設けてその効果
を調べている。その結果,出来た問題に対する努力承認的評価が最 も自己効力感とスキルを上昇させることを示した。つまり,児童の 自己効力感促進の効果的介入方法として,教師はその子どもの「で張りを評価し励ますことが効果的であることが明らかになっている。
このことから,教師の児童へのかかわりとして「自分もいっそう努 力すればできるのだ」という信念に影響を与える言葉かけが重要で
あると考えられる。教員へのインタビューなどを合わせて考えると,
努力を認められる,ほめられるということは,児童にとっては嬉し いことであり,教師に認められている安心感(他者受容感)を得るこ とが出来,やったら出来るかもしれない(自己効力感),やってみよ う(内発的動機づけ)という気持ちが湧いてくると考えられそうであ
る。
最後に,本研究における今後の課題についてまとめておく。まず,
第1に,本研究では児童に場面を想定してもらい質問紙によって回
答を求めたため,実際の場面を捉え切れていないのではないかということが考えられる。第2に,質問紙による調査であったため,自
己効力感と言葉かけ・原因帰属の因果関係が明らかに出来なかったと考えられる。今後は,実践的・実験的に調査を行う必要がある。
第3に,教師が児童の自己効力感を促進のために行うのは,一度き
りの言葉かけだけではなく,言語的な説得・成功体験を積み重ねる機会を繰り返し与えていくことが重要であると考えられる。したが
って,以上のような要因を総合的に検討することも,学校における 児童の自己効力感に関する研究として必要であろう。
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資料
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