10 12
。 8
Fermentation day
Fig.7-4. Shochu fermentation by 18%-NaCl tolerant mutant TK-2.
Fermentations were carried out in laboratory-scale fermentors.
Symbols:ム,
TK-2;0 ,BAW-6 . 6 4
2
Table 7-6. Ethanol and glycerol production by the fermentation employing TK-2 in contrast with the parent strain BA W -6.
Glycerol (g/l) Ethanol (%)
Strains
BAW-6 TK-2
Koji
ratio 33% a Allkoji
bーーーーーーーーーー- --ーーーー・. --ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーー- --ーーーーー- -司圃骨,
In mash A
6.1 6.8
�ro�
"Yeast . In mash �ro�
"Yeast
koji
formed n H1askoji
formedB A-B A B A-B
0.8 5.3 9.7 2.9 6.8
0.8 6.0 9.9 2.9 7.0
Koji
ratio 33%17.5 17.5
a Glycerol concentration in barley
koji
used was 0.62g/100g-driedkoji.
b Glycerol concentration in barley
koji
used was 0.91g/100g-driedkoji.
Al1
koji
17.8 17.8
Table 7-7. Sensory test of shochu made by shochu yeast BA W -6 and salt tolerant shochu yeast TK-2.
Koji ratio Strains Odor a Tastea Comrnent
BAW-6 2.3 2.2 mash-like, slightly-heavy
Kりiratio 330/0
TK-2 1.9 1.9 estery, fruity, well-blanced a Scoring method (1・・very good, 2・・fairly good, 3..good, 4・・no good, 5・・bad.
b. 香気成分の留出来
もろみ中のグリセリン濃度が香気成分の留出に影響したことを第1章1-3-2で述べた。 そこで, グリセリン濃度差が比較的大きかった麹歩合33%のもろ みについて留出率を比較し, その結果をTable7-8に示す。 イソアミルアルコー ル, ß-フェネチルアルコール の留出率はTK-2, BAW-6ともそれぞれ89, 110/0 とほぼ同値でグリセリン濃度の影響は受けなかった。 これに対し, 酢酸イソア ミルおよび酢酸ß-フェネチルの留出率はTK-2の方が150/0以上高かった。
7-4 考 察
はじめに, 焼酎酵母Saccharomyces cerevisiaeから120/0塩化ナトリウムに耐性が ある変異株を分離した。 ここで得られた変異株の多くが, 親株よりグリセリン を高生成した(Pig.7-2, Table7-1)。 さらに, より強い塩化ナトリウム耐性を 有する変異株はより多くのグリセリンを生成した(Table7-2)0 allyl alcohol耐 性やpyrazole耐性株はADH活性の低下によってグリセリンを高生成するもので あったのに対し, この報告で最も優れた株TK-2はADH活性が低下 することなく 親株よりもグリセリンを高生成した(Table7-4 )。 塩化ナトリウム耐性株 のグ
リセリン高生成は, 菌体内のGPase活性が向上したためであった(Table7-5)。
クエン酸を含む培地で のコントロールに対するグリセリンの増加率はTK-2より BAW-6の方が高かった(Table7-3)。 この結果は, クエン酸を含む焼酎もろみ
Table 7 -8. Comparison of the distillation ratios of flavor components by two different strains, TK-2 and BA W -6.
Amount (mg)
Shochu Mash
Distillation ratio (%)
Alcohols a
i-AmOH ß-PheOH
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー- ーーーーーーーーーーーーーーーーーー・ー・
BAW-6 TK-2 BAW-6 TK-2
298 318 21 22 328 356 187 195
Esters b
i-AmyAc ß-PheAc
ー・ーーーーーー・・ーーーーーーーーーー ー・・骨骨ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー・
BAW-6 TK-2 BAW-6 TK-2
3.79 5.64 2.32 3.10 5.14 5.90 3.62 3.89 90.9 89.3 11.2 11.3 73.7 95.6 64.1 79.7 a i-AmOH, Isoamyl alcohol;βPheOH, ß-phenylethyl alcohol.
b i-AmAc, Isoamyl acetate; ß-PheAc, ß刊lenylethyl acetate.
でのグリセリン生成量の違いが小さくなった ことと一致する(Table7-6)。著
者は, TK-2がBAW-6よりもクエン酸に対して感受性が低く, その結果TK-2の グリセリン生成がBAW-6よりもクエン酸の影響が比較的少なかったと考えてい る。焼酎醸造に使用される酵母はクエン酸に対する耐性と高いアルコール生産 性が求められるが, TK-2は実用に十分なクエン酸耐性を有し, またADH活性は 親株と同程度で大麦焼酎もろみでもTK-2は親株と同濃度のエタノールを生産し た(Fig.7-3, Table7-4)。このことから, TK引ま焼酎醸造に適した実用株と評 価できる。
グリセリンは 培地中の高濃度の塩や糖から細胞を守る浸透圧調節物質であ る。Zygosacchromyces rouxii あるいはDebariomyces hansenii は菌体内外にグリセ
リンを蓄積し, 最近では, Nishi and Yagiが細胞内のcAMP増加が グリセリンの 細胞内蓄積, 細胞膜ATPaseの活性化に関与するI 2 6 ) ことを報告している。一
方, Saccharomyces cerevisiaeは生成した グリセリンを菌体内には蓄積せず, 菌 体外に放出する1 1 4 ) 。耐塩性が強化されたおccharomyces cereνisiae, TK-2が 他の耐塩性酵母のように菌体内にグリセリンを蓄積するのか, あるいは菌体外 に放出するとすればグリセリンを生成する意義は何なのかなど興味がもたれる ところである。
Table7・8に示すようにTK-2を用いて醸造したもろみ中の酢酸イソアミルや酢 酸ß-フェネチルは滅j王蒸留の際の留出率が向上し, 香気豊かな焼酎が得られた。
第1章1-3-2の結果から, もろみ中のグリセリン濃度の違いがこの結果に