遅れの空間分布であるが、位相の遅 れの空間分布に2つのパターンが 観測された。磁気シアを速く減少さ せた場合には、山形の位相の遅れの 空間分布が得られ、プラズマ内部に 磁気島ができている事を示してい る。一方の磁気シアを遅く減少させ た場合には、位相の遅れの空間分布 に平坦部が現れ、プラズマ内部にス トキャスティック領域ができてい る事を示している。
熱波動伝搬の位相の遅れの空間分 布から、磁場のトポロジーを推定で きる事が実験的に確かめられた。こ
の「波動伝搬を用いた磁力線構造観測法」は磁力線が閉じているプラズマコア部だけではなく、磁 力線が開いているプラズマ周辺部や、直線磁場装置のプラズマにも応用が可能で、今後の発展が期 待される。
考察
本研究で開発した手法により磁力線構造を推定し、構造間の分岐現象を発見した。本成果は既に以 下の共著論文として出版した。
研究成果報告
K.Ida, S.Inagaki, Y.Suzuki, S.Sakakibara, T.Kobayashi, K.Itoh, H.Tsuchiya, C.Suzuki,
M.Yoshinuma, Y.Narushima, M.Yokoyama, A.Shimizu, S-I.Itoh and the LHD Experiment Group,
“Topology bifurcation of a magnetic flux surface in magnetized plasmas”, New Journal of Physics 15 (2013) 013061
さらに分岐現象に伴いプラズマの流れが変化する事を見出し、以下の学会発表を行った。
居田克巳、永岡賢一、吉沼幹朗「ストキャスティック磁場領域におけるイオンの熱と運 動量の輸送」プラズマ・核融合学会 第29 回年会、クローバープラザ、福岡県春日市、
2012年11 月27 日(火)~ 30 日(金)
居田克巳 核融合科学研究所 研究組織
稲垣滋 九州大学応用力学研究所
図2 磁気シアの変化量を変えた時の熱波動伝搬の位相の遅れの 空間分布
小林達也 九州大学•総合理工学部
応用力学研究所 稲垣 滋
本研究は「特定研究2: プラズマ乱流実験の大容量データからの物理情報抽出新手法の開 発」における個別課題の成果の統合を議論する。
目的と背景
様々なプラズマ乱流データを対象とし、共通な物理機構を抽出する一連の手法の確立を 目指す。特定研究 2で議論する手法は、ビッグデータの処理法、偽相関の排除法、変数間 の相関の検出、理論的なモデリング、シミュレーションによる予測、等非常に多岐に渡る。
多方面からの研究者が一堂に会して議論し、個別のアプローチを統合することで、本手法 の開発に新たな展開がもたらされることが期待できる。本特定研究で取り組む課題はプラ ズマ乱流に限らず、多くの先端科学における共通の課題であり、応用力学研究所の共同研 究として遂行し先導する事が必要である。
研究集会の開催
2013年1月29日に応用力学研究所2F会議室において研究会を開催した。研究会のプログ ラムを添付する。
予算の執行
予算は研究会参加の旅費に執行した。
研究集会のまとめ
技術論:データ解析を行う際、ノイズによる偽相関には注意する必要がある。バイスペク トル解析等では値の収束を観測する事が慣習となっている。今回はそれに加えてディジタ ル的にノイズを落とす処理である適応ディジタルフィルタについての紹介があった。
統合化:今年度の個別テーマは以下のように3つにカテゴリー分けする事ができる。
1. 理論モデルをベースにした実験•解析手法の開発
•磁力線構造の観測と磁力線構造遷移の理論モデルとの比較
ズマにおける熱波動伝搬の位相の 遅れの空間分布であるが、位相の遅 れの空間分布に2つのパターンが 観測された。磁気シアを速く減少さ せた場合には、山形の位相の遅れの 空間分布が得られ、プラズマ内部に 磁気島ができている事を示してい る。一方の磁気シアを遅く減少させ た場合には、位相の遅れの空間分布 に平坦部が現れ、プラズマ内部にス トキャスティック領域ができてい る事を示している。
熱波動伝搬の位相の遅れの空間分 布から、磁場のトポロジーを推定で きる事が実験的に確かめられた。こ
の「波動伝搬を用いた磁力線構造観測法」は磁力線が閉じているプラズマコア部だけではなく、磁 力線が開いているプラズマ周辺部や、直線磁場装置のプラズマにも応用が可能で、今後の発展が期 待される。
考察
本研究で開発した手法により磁力線構造を推定し、構造間の分岐現象を発見した。本成果は既に以 下の共著論文として出版した。
研究成果報告
K.Ida, S.Inagaki, Y.Suzuki, S.Sakakibara, T.Kobayashi, K.Itoh, H.Tsuchiya, C.Suzuki,
M.Yoshinuma, Y.Narushima, M.Yokoyama, A.Shimizu, S-I.Itoh and the LHD Experiment Group,
“Topology bifurcation of a magnetic flux surface in magnetized plasmas”, New Journal of Physics 15 (2013) 013061
さらに分岐現象に伴いプラズマの流れが変化する事を見出し、以下の学会発表を行った。
居田克巳、永岡賢一、吉沼幹朗「ストキャスティック磁場領域におけるイオンの熱と運 動量の輸送」プラズマ・核融合学会 第29 回年会、クローバープラザ、福岡県春日市、
2012年11 月27 日(火)~ 30 日(金)
居田克巳 核融合科学研究所 研究組織
稲垣滋 九州大学応用力学研究所
図2 磁気シアの変化量を変えた時の熱波動伝搬の位相の遅れの 空間分布
小林達也 九州大学•総合理工学部
プラズマ乱流データ解析研究会
応用力学研究所 稲垣 滋
本研究は「特定研究2: プラズマ乱流実験の大容量データからの物理情報抽出新手法の開 発」における個別課題の成果の統合を議論する。
目的と背景
様々なプラズマ乱流データを対象とし、共通な物理機構を抽出する一連の手法の確立を 目指す。特定研究 2で議論する手法は、ビッグデータの処理法、偽相関の排除法、変数間 の相関の検出、理論的なモデリング、シミュレーションによる予測、等非常に多岐に渡る。
多方面からの研究者が一堂に会して議論し、個別のアプローチを統合することで、本手法 の開発に新たな展開がもたらされることが期待できる。本特定研究で取り組む課題はプラ ズマ乱流に限らず、多くの先端科学における共通の課題であり、応用力学研究所の共同研 究として遂行し先導する事が必要である。
研究集会の開催
2013年1月29日に応用力学研究所2F会議室において研究会を開催した。研究会のプログ ラムを添付する。
予算の執行
予算は研究会参加の旅費に執行した。
研究集会のまとめ
技術論:データ解析を行う際、ノイズによる偽相関には注意する必要がある。バイスペク トル解析等では値の収束を観測する事が慣習となっている。今回はそれに加えてディジタ ル的にノイズを落とす処理である適応ディジタルフィルタについての紹介があった。
統合化:今年度の個別テーマは以下のように3つにカテゴリー分けする事ができる。
1. 理論モデルをベースにした実験•解析手法の開発
•磁力線構造の観測と磁力線構造遷移の理論モデルとの比較
24 特 2-5
•帯状流及びストリーマ理論を基にした帯状流•ストリーマ検出法の開発
•ドリフト波の非線形理論を基にした電子温度勾配モードと低周波数モードとの非線形 結合の観測
•電子熱輸送の状態評価のための確率論的手法の導入
2. 新たな計測器の開発に伴う実験•解析手法の開発
•多チャンネルプローブ開発及びそのデータ解析法(Hilvert変換)
•先進マイクロ波反射計の開発とその信号からのプラズマ乱流揺動信号の抽出
•ディジタル相関ECEの開発
•高速度カメラ計測データの処理
3. シミュレーションとの連携
•プラズマ乱流の過渡応答シミュレーション
•シミュレーションを用いたプラズマ乱流の時空間構造解析
今回は研究課題間の相互理解がはかられた。特にプラズマ乱流解析ではバイスペクトル解 析等共通のツールを使っているが適用する問題によりノウハウが異なる。これらの情報を 交換できた事は大きな成果である。また、近年のマイクロ波技術の進展により、伝統的な の反射計が大きく進化している。これら計測器の進展をふまえ、シミュレーションによる 計測機器の模擬のターゲットとして反射計を選択した。次回からは課題間での交流が深化 する事で統合化に向けた研究が一層進捗すると期待される。
議論:ディジタル相関ECEの開発に関して、ビッグデータの並列計算について報告された。
通常の時系列解析ツールである FFTでは計算時間が膨大になり、実験へのフィードバック が不可能になる。そこで 並列計算の必要性が議論され、更に将来的には FPGA(field programmable gate array)等により、ハードウェア的に計算する事も視野に入れる事が提 案された。
今後の予定
個別課題間の統合を更に進める。ノイズや偽相関の除去に関して、統計の専門家に研究協 力者として参加してもらうと共に、FPGAの導入等についても研究協力者を開拓する。
九州大学応用力学研究所 糟谷直宏
時間的、空間的に分解能の高い揺動計測法が確立してきた現在、大容量のデータを効率的に処理 し、知識を獲得する事が必須である。乱流シミュレーションで得られる3次元時系列データに対し て数値解析を行うことで、実験データ解析に活用できる手法の開発を行うことができる[1]。そこで 本研究では円筒形直線型プラズマにおけるドリフト波乱流の数値シミュレーションを通じて、プラ ズマ乱流の時空間構造解析手法の成熟を図ることを目的とする。シミュレーションで形成される構 造をダイナミクスも含めて数値計測し、その時間的空間的構造がいかに実験で観測され得るかを提 示する。具体的な解析対象は応用力学研究所の直線型装置PANTAであり、本年度は以下の2つの 課題に取り組んだ。ひとつは抵抗性ドリフト波乱流の長時間データを用いた乱流駆動粒子束等の乱 雑成分の確率統計的振る舞いの解析で、もうひとつはPANTA装置でのイオン温度勾配(ITG)モード 励起条件の評価である。
まず抵抗性ドリフト波乱流の長時間データを用いた乱流駆動粒子束等の乱雑成分の確率統計的 振る舞いの解析について述べる。乱流状態にあるプラズマでは大自由度のダイナミクスが発達して いる。1つのフーリエ成分は、多数の成分の非線形結合により非線形力を受ける。非線形力は、乱 雑な成分を持ち、その効果を取り入れたプラズマ乱流統計理論が進展を見せている[2]。揺動の乱雑 成分に関する確率密度分布(PDF)の詳細な実験観測も始まっている[3]。そこで、本研究では、乱流 シミュレーションを行い、得られた乱流場データの揺動や乱流駆動粒子束等の高次モーメントにお ける乱雑成分の確率統計的振る舞いを解析した[4]。Numerical Linear Device (NLD) は円筒形直線型 プラズマにおける抵抗性ドリフト波乱流を模擬する計算コードである[5]。定常的な粒子ソース項を 与えたシミュレーションで乱流構造形成を伴う非線形飽和状態を得ている。その3次元乱流場の長 時間データを用い、乱流揺動の統計性を解析した。イオン-中性粒子衝突周波数が小さい場合に帯 状流が形成される。そのような飽和状態においてイオンサイクロトロン周期の60000倍以上、特徴 的ドリフト波周期の 1000 倍以上の時間にわたる時系列データの解析を行った。統計量の収束を得 るためには十分多くのサンプル数が必要となり、今回用いたデータ数で物理量の収束が見られた。
粒子や運動量のダイナミックな釣り合いを評価するために、乱流粒子束やレイノルズ応力の半径方 向分布を計算した。PDFのバルク部で半径位置によって差は小さく、テール部で形状に差がみられ るが、それらが有意なものかは今後の解析が必要である。モデルの釣り合いの式中に複数の非線形 項が含まれる。渦度の釣り合いにおいて、レイノル
ズ応力項と磁力線方向非線形項の二項が、同等の大 きさを持つが、渦度の時間変化との相関はレイノル ズ応力とのみ大きいことが分かった。複数の非線形 項の中でも変動のダイナミクスを規定しているも のが存在していることを示す。さらに粒子束と運動 量束の時間的相互関係を見た。粒子束の変化は運動 量束の変化に対して、典型的ドリフト波周期の 0.4 倍の時間先行していた。その時間遅れを考慮してプ ロットした結合PDFが図1であり、等高線が楕円形 に引き伸ばされた様子が両者の相関関係を表して いる。このように乱流シミュレーションデータを用 いてダイナミックな構造形成機構の検定手法の開 発を進めた。
図 1: 粒子束rとレイノルズ応力の結合 PDF。