〔司会〕 谷古宇 秀(東京都薬剤師会 理事)
出版担当役員・委員
□□ 特集 薬剤師の役割を考える □□
関係の専門の薬剤師を持つというような,専門性 に富んだ機能分化された薬剤師の養成が非常に重 要になってきているというように思います。
開局の方は直接患者さんとの接触がありますか ら,より顔が見えており,そこで自分たちをPR していくことができる立場にあると思います。た だ,病院の場合は医療チームなどいい言葉は出て いますけれども,看護を含み専門的な機能分化さ れた教育を受けて,薬剤師職能を発揮していくよ うな社会に持っていかざるを得ないんではないか と思っています。
司会 確かに薬剤師は最近いろいろな分野にお いて活躍しており,なかなか統一できない。また,
患者さんに対する薬剤師の定員数が少なくなって しまっている,ということは病院自体の経営が非 常に苦しいということです。経済的な問題が大き なウエートを占めています。
一方で,あまり大学では経済的なことが言われ てこなかったんではないかという気がするんで す。しかし,A先生の,「学生はかなり今我々が やっている仕事に対して,期待感も夢も持ってい る」と伺って,非常に僕はうれしくなりました。
学生の夢に答える形での薬局の実習をしなくては いけないんだろうと思うんですが,ご意見はいか がでしょうか。
D(開局) 私が12〜3年ぐらい前に調剤を始 めたときはまだ本当に市販の薬しか売れてない時 代でした。当時OTC薬が9であって,調剤は1 であった部分が今は全く逆転しています。経済的 には現在の方がよくなっていると思います。
でも,それがあと10年経ったときにはどうなる でしょうか。今度は調剤は処方せん調剤が当たり 前になっていく。そのときはOTC薬の販売・調 剤の他に何を目標にしていくのかを,改めて考え なくてはいけない時代が来るのではないかと思い ます。多分経済的な部分のためだけでなく自分も 組織も含めどのような勉強をするか,思想的な部 分も含めていろいろなことを考えていかなくては いけないと思います。
話がそれますが,うちにはパートの薬剤師が7 人いますが,皆30代後半から40半ばぐらいです。
昨年の4月に新しい卒業したての薬剤師を入れま した。古い薬剤師は接客はすごく上手です。若い
薬剤師はまだまだこれからなんですけれども,医 学雑誌に書いてあるような難しいいわゆる臨床薬 学をよく勉強しています。そうするとその二つの 兼ね合いで,倍ぐらいレベルアップしたんです。
若い人の行き場をつくってあげるということが,
これからの薬剤師の新しい生き方の始まりではな いかと思います。
司会 最近規制緩和で問屋の管理薬剤師はいら ないんではないかという意見が出てきているとい う,ちょっと我々にとって困った話がありますが,
卸の薬剤師の立場からいかがですか。
E(卸) 確かに卸の薬剤師は従来の形であれ ば今言われたようなことだろうと思います。
一方,規制緩和だ,薬剤師が少なくてもよいと 言っていながら,薬はしだいに淘汰されて,良く 効く薬ではあるが管理が難しく副作用も多いもの が残っていこうとしている現状では,むしろ昔よ り薬剤師の職能を発揮する場所は,多くかつ難し くなってきていると認識しています。そこで,た だ単に物を動かして運ぶだけではなく,情報が付 加されているという意味において,卸の管理薬剤 師の目指す方向は,おのずと決まってくるように 思います。
そこで,2つ提案したいと思います。1つは私 は今「商品学」という言葉を使っていますが,薬 剤師として効能効果,用法用量,使用上の注意な ども知っていなければなりませんが,それ以外に 物を取り扱うケミストとしての側面,つまり医薬 品を1つの化学物質として捉えた上での品質の特 性というものを忘れてはいけないと考えていま す。
2つ目の側面は,薬剤師はこれから「共生」で はないかと思います。これだけ難しい時代になる と,あれもこれもという様に全てを知識として持 つことは絶対できないはずです。そうすると,コ ンピューターの力を借りるとかいろいろな手段が ありますが,患者さんを前にしてヒューマンな薬 剤師であろうとするときには,コンピューターの 回答ではヒューマニズム的な問題等はなかなか解 決することは難しいわけです。こうしたことから も高い専門性が要求されてきて,全部できないと なれば,専門化,分担化し地域の連携なり薬剤師 の連携が必要になってきます。
□□ 特集 薬剤師の役割を考える □□
だから, ネットワークと共生 が重要なので す。医師は臓器別,機能別に診療科が分かれ一層 専門性を発揮する方向に進んできているときに,
薬剤師だけが昔ながらのオールマイティーの薬剤 師でいいのでしょうか。今こそ薬剤師は共生すべ きですし,ネットを組めないような薬剤師ではも う駄目だと思います。これは,何も卸の薬剤師だ けの問題ではなく,薬剤師全体に求められている ことだと考えています。
・薬剤師の専門性と共生がポイント・
司会 これだけいろいろな知識が膨大になり種 類も多くなってくれば,一人の人間の能力にはど うしても限界がありますから,専門が当然必要に なってくると思うんです。どうでしょうか,専門 性というのは,いい面と悪い面があると思うんで すけれども。
F(病院) 21世紀というのは,共生の時代を 迎えるだろうと言われていますが,今男女共生以 外に,仲間同志の共生が大事ではないかと思いま す。病院の薬剤師は特徴を持ってやってきてまし たし,専門的なことをやっている人もいましたけ れども,医薬品情報等の病院間のネットワーク化 を 都病薬DIネットワーク としてさんざんや ってきました。
けれども,なかなかこれがうまくいかなかった んです。お互いが普段からコミュニケーションを 取りながら会を充実させていかないと,連携もで きないのかなと思うんです。こういう薬剤師会の 組織に入って力をつけたいと思いますが,我々の 病院薬剤師会でも診療所は一人勤務薬剤師でどう していいのかわからないと,会そのものにどうや って入会していいかわからないということさえあ るんです。そういう孤立している人たちを会に誘 い入れてあげる先輩のアドバイスが必要であると 最近思います。
先ほど大学との関係で大学の先生をこちらに引 き込めばいいとのお話がありますけれども,これ も普段の中でやはり我々が学校へ行ったりし,情 報を与えたり我々と関係ない科の先生たちともお 話しし,啓蒙していかないとだめなのかなと思い ます。
2.必要とされる薬剤師であるには
もう一つ,いよいよ4週間実習,あるいは1年 間の研修制度がスタートし,現場の姿がより一層 見えてきて非常によくなってきていると思いま す。むしろ今の方が学生さんは満ち足りているの ではないかと思います。
それから病院の職場では絶対チーム医療です。
これは薬局長がまず率先し,いろいろな先生や各 職種の方々と普段から交流していきながら頑張っ ていくしかないのではないか。絶対必要なところ は地位も給料も高くなる時代ですから,今薬剤師 管理指導業務をもっと確実に伸ばす努力をし,薬 剤師の有用性を高める必要があると考えます。
それが果して病院経営にプラスかというと必ず しも即断できませんが,薬剤師の業務は充実でき ていくと思います。
司会 確かに共生や専門職の養成が大事かと思 います。もう一つ思っていることは,薬剤師は病 院にいるとどうも行動が狭い感じがします。病院 では薬をつかうけれど薬剤師ではない職種がかな りあるので,介護保険の介護支援専門員とか薬剤 師以外の別な資格を持つことがあってもいいでは ないかというような気がしています。
例えば病院でもTDMをやってますよね。フラ ンスの薬剤師は自分で採血でき,病棟に行って採 血してきて血中濃度を量ってやればいい。それが できないとなかなかTDMや病棟薬剤師はできな いよと前に聞いたことがあります。
積極的に 薬剤師だけでいいんだ というだけ でなくて病院の中でも,例えば糖尿病指導士です かそういった他の資格,開局の方では介護支援専 門員等をもっと取っていくことによって,今の薬 剤師の姿でなくなってしまうかもしれないけれど も,そういったことが必要なのかなと最近は感じ ています。
C(病院) 確かに薬剤師以外の資格を取得す ることは重要だと思います。介護保険のケアマネ ージャーや臨床検査技師の資格を獲得して,広い 知識下で社会に貢献することは将来いろいろな方 向で役立つと思います。
しかしこれもボランティア活動としては有利で あると思いますが,実際,病院や薬局で仕事に従 事して活用できるかは疑問に思います。これは臨 床検査技師の資格を持った病院薬剤師が採血をし