20~29種 30種以上
尾根地形 海底水道 海底砂州
④ 塩田川沖海底水道
③ 住之江沖海底水道
② 筑後川沖西海底水道
① 筑後川沖東海底水道
⑥ 野崎ノ州
⑤ 蜂ノ州
図 7.23 調査地点別 4 門種数(0.063m2あたり,2000 年 9 月)
図 7.24 調査地点別浮泥厚平均値*1(再掲)(2009 年 7 月 23 日~11 月 4 日)
7.6 まとめ
有明海湾奥海域の浮泥分布と浮泥の沈降・堆積過程を,懸濁物質の供給源である筑後川 の流量・濁度の経時変化,海底の起伏状況,潮汐残差流,赤潮発生に伴う植物プランクト ン沈殿量と関連させて検討した.浮泥の沈降・堆積過程の検討にあたり,中川による浮泥 の輸送過程に関する既往知見2),滝川らによる潮汐残差流に関する既往知見7),大串らに よる潮汐残差流に関する既往知見8) を参考にした.
(1) 浮泥の沈降・堆積過程(図 7.25)
梅雨時での河川流量の増大に伴う多量の粘度粒子や有機物は,海水中で凝集して浮泥を 形成し,⑦の筑後川デルタ外縁に沈降・堆積する.その後,浮泥の一部は,①の筑後川沖 の東海底水道や②の西海底水道に沿って南下する相対的に強い潮汐残差流によって,湾口 側に移動する.また,浮泥の一部は反時計回りの潮汐残差流によって西側に移動し沈降・
堆積し,一部は④の塩田川海底水道及び③の住之江沖海底水道に沿って南に向かって移動 する.この際,反時計回りの流れの外側に当たる,④の塩田川海底水道及び③の住之江沖 海底水道の右岸側(西側斜面)に沈降・堆積する傾向が強い.沈降・堆積した浮泥は,圧 密により堆積泥に移行し,含泥率の非常に高い泥質堆積物を形成する.一方,地形の高み である⑤の蜂ノ州及び⑥の野崎の州周辺は南下する潮汐残差流が相対的に強いため,浮泥 は湾口側に移動し,浮泥が沈降・堆積しにくい場所になっている.
*1 以下の 5 回の測定の 平均値
2009 年 7 月 23 日 8 月 5 日 9 月 5 日 10 月 5 日 11 月 4 日
1~2.9mm 3~5.9mm 6~8.9mm 9mm以上
④ 塩田川沖海底水道
③ 住之江沖海底水道
② 筑後川沖西海底水道
① 筑後川沖東海底水道
⑥ 野崎ノ州
⑤ 蜂ノ州
浮泥が堆積しやすい場所 浮泥が堆積しにくい場所
④ 塩田川沖海底水道
③ 住之江沖海底水道
② 筑後川沖西海底水道
① 筑後川沖東海底水道
⑥ 野崎ノ州(海底砂州)
⑤ 蜂ノ州(海底砂州)
⑦ 筑後川デルタ外縁 相対的に弱い潮汐残差流 相対的に強い潮汐残差流 海水が停滞しやすい海域
図 7.25 浮泥の沈降・堆積過程
(2) 浮泥成分と赤潮との関連性
浮泥中の植物プランクトンの計数により浮泥中の
Skeletonema costatum
個体が,珪藻赤 潮の発生・終息時期と関係して変化していることを明らかにした.このことから,赤潮発 生の増大は浮泥における植物プランクトン由来の有機物を増加させ,浮泥が堆積泥に移行 するプロセスを通して,底質中の有機物を増加させることが考えられる.(3) 浮泥と底生生物分布との関連性
浮泥と底生生物分布との関連性について,底生生物の
4
門種数の分布と浮泥厚の分布を 比較検討した結果,4
門種数が30
種以上の地点は,⑤の蜂ノ州,⑥の野崎ノ州,住之江 沖海底水道西側の尾根地形の稜線付近等に分布する.一方19
種以下の地点は,③の住之 江沖海底水道の西側斜面,④の塩田川沖海底水道の西側斜面等に分布する.浮泥の沈降・堆積過程と潮汐残差流及び海底地形との関連性から判断して,
4
門種数が多い地点は浮泥 の沈降・堆積が起こりにくい場所であることが明らかである.第7章 参考文献