当研究所が全国の信用金庫の協力を得て、
全国約16,000の中小企業者に対し行ったBCP に関する調査(注)3では、何らかの形で災害に
(注)2 .サプライチェーンとは設計、資材調達、生産、物流、販売といった、供給者から消費者に至る一連の流れのこと。または、
供給の連鎖に係わる複数企業の連携のこと。
3 .第137回全国中小企業景気動向調査(09年7-9期)に付随して実施した特別調査(URL:http://www.scbri.jp/keikidoukou.
htm)
ついて意識している企業は回答企業の約90%
に達し、最も意識している災害としては、「地 震」(65.7%)、「火災」(55.9%)、「伝染病」(40.3%)
が上位を占めた(3つまで複数回答)。逆に、
災害に対して意識していないと回答した企業 は10.8%にとどまっていた(図表2)。企業の 災害に対する意識は総じて高いとの結果と なったものの、反面、BCPを策定している と回答した企業は9.7%に過ぎず、中小企業 へのBCPの具体的な普及は、あまり進んでい ないという実態がうかがえた(図表3)。
BCPを 策 定 し て い な い 理 由 に つ い て は、
「BCPに つ い て よ く わ か ら な い 」(36.7%)、
「業務多忙で余裕なし」(25.0%)、「当社には 必要ない」(17.7%)との回答が多くを占め ていた。これは、逆に言えば、中小企業へ BCPの必要性の理解等が進めば、策定に向 けた動きも相応に活発になる可能性があるこ とを示唆した結果でもあると考えられる。
ちなみに、BCP策定済み企業9.7%の内訳 として、その策定理由をみると、「業界団体か らの薦め」(3.7%)、「行政からの薦め」(2.4%)、
「取引先からの要求」(1.7%)となっており、
BCPを策定した企業の多くは、外部要因によ り導入したとの結果であった。この点からも、
まずは行政や業界団体等によるBCP周知に向 けた取組みが重要であることがうかがえる。
さらには、「取引先からの要求」も策定理
ある 9.7%
ない
90.3% 36.7%
0.9%
0.5%
0.5%
1.7%
3.7%
2.4%
11.0%
25.0%
17.7%
当社には必要ない よくわからない 人材不足 業務繁忙で余裕なし その他 自社の被害経験 他社の被害をみて 取引先からの要求 業界団体の薦め 行政からの薦め
(備考 )信金中金総合研究所「全国中小企業景気動向調査(特別調査:09年9月実施)」の データをもとに作成
図表3 BCPの作成の有無とその理由
(%)
65.7 55.9 32.6
4.8
40.3 3.4
0.6 10.8
意識していない その他 テロ等犯罪行為 新型インフルエンザ等伝染病 上記3つ以外の災害 水害(台風など)
火災 地震
0 10 20 30 40 50 60 70
(備考 )信金中金総合研究所「全国中小企業景気動向調査
(特別調査:09年9月実施)」のデータをもとに作成
図表2 普段もっとも意識している災害
由の上位に入っており、サプライチェーンの 流れに組み込まれた中小企業におけるBCP の必要性がここでも明らかになっている。
また、BCP策定済み企業を地域別にみると、
東海地域が14.7%と最も高い策定率との結果と なった(図表4)。東海地域は、いわゆる東海地 震の発生が警戒されていることに加え、自動車 関連等の製造業者が数多く立地する地域であ ることから、企業のBCPに対する意識も高いも のと思われる。ちなみに、同地域において最も 意識されている災害は地震であり(80.8%)、他 の地域に比べても高い水準であった。この他、
関東、近畿、北陸等、震災を経験した地域や 今後大規模地震が懸念される地域において、
BCPの策定率は押し並べて高い結果となった。
また、BCP策定済み企業の内訳を業種別、
規模別にみると、業種別ではサービス、建設、
製造、卸売の順に高い回答割合となった。反 面、小売業、不動産業等、サプライチェーン の影響の少ない業種は策定率が低く、意識の 格差がみられた(図表5)。また、規模別で は、従業員200〜300人の企業における策定 率が38.3%であるのに対し、従業員1〜4人の 企業における策定率はわずか4.4%にとどま り、事業規模が小さくなるほど策定率が低く なるとの結果となった(図表6)。
しかしながら、災害は時間や場所、相手を 選ばずに発生するものであり、すべての企業 が被災する可能性を抱えている以上、地域、
事業規模、事業内容の区別なく、BCPの策 定に向けた取組みが必要であることは言うま でもないであろう。
図表4 地域別のBCP策定済企業割合
0 2 4 6 8 10 12 14 16
(%)
9.8 9.9 11.7
7.2 10.2
14.7
10.6 8.7
7.2 8.1 11.3
北海道 東北 関東 首都圏 北陸 東海 近畿 中国 四国 九州北部 南九州
(備考)1 .関東は茨城・栃木・群馬・新潟・長野・山梨、
東海は静岡・愛知・岐阜・三重、九州北部は福岡・
佐賀・長崎、南九州は熊本・大分・宮崎・鹿児島・
沖縄
2 .信金中金総合研究所「全国中小企業景気動向調査
(特別調査:09年9月実施)」のデータをもとに作成
(備考 )信金中金総合研究所「全国中小企業景気動向調査
(特別調査:09年9月実施)」のデータをもとに作成
図表6 規模別のBCP策定企業割合
(%)
0 10 20 30 40 38.3
27.0
19.5 21.9 14.1
10.7 9.8
7.0 4.4
200
〜300
100
〜199
50
〜99
40
〜49
30
〜39
20
〜29
10
〜19
5
〜9
1
〜4
(人)
図表5 業種別のBCP策定済企業割合
(%)
製造業 卸売業 小売業 サービス業 建設業 不動産業
0 2 4 6 8 10
12 10.2 10.0 7.6
11.3 10.9
6.6
(備考 )信金中金総合研究所「全国中小企業景気動向調査
(特別調査:09年9月実施)」のデータをもとに作成