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(3-9) ここで、CB0:Bの初期濃度である。

k t

C

z

 

k t

z C

C0 exp  b1,fast01 exp  b1,slow

式(3-9)において、式(3-10)で与えられるαβを用いることで、モデル式(式 (3-11))が得られる19)

b aC

B0

 

  k

b2

C

B0

(3-10)

C    Ct

C C

1 / exp

/

1

0 0

0

 

(3-11)

式(3-11)においてα、βはモデル上の定数であり、化学反応論的なモデルの定 数kb2abαβの値を元に次式から求められる。

0 2

B

b C

k

B0

C a b

(3-12) 2.3 水中における残留塩素濃度減尐速度係数の説明要因

水中における残留塩素濃度減尐速度係数kbの説明要因としては、まず水温が 挙げられる。kbは水温の上昇とともに増加し、その傾向はArrheniusの式(次式)

に従うことが報告されている2)6)7)10)15)

 

 

 

RT

A E

k

b

exp

a

(3-13)

ここで、A:定数、Ea:活性化エネルギー(J/mol)、R:気体定数(= 8.314J/(K・

mol))、T:水温(K)である。

また、残留塩素濃度の減尐の多くは水道水の有機物との反応によって生じて いると考えられることから、[TOC]を残留塩素濃度減尐速度係数の説明要因と している報告がある 2)5)-9)18)21)。しかし、これらの報告における[TOC]と kb

の関係は経験的なものに過ぎず、化学反応論的に妥当な位置づけがされていな いのが現状である。

一方、水道水の安全性と快適性の観点から、近年高度浄水処理の導入が進み、

その結果[TOC]が低減されるようになった。第2章で示したように、[TOC]の低 減とともに、残留塩素濃度の減尐が抑制されるため、送配水過程における残留 塩素濃度の低減化を図ることが可能となるが、一方でその管理もきめこまやか に行う必要が生じる。そのため、[TOC]と残留塩素濃度減尐速度係数の関係を 明らかにすることが重要である。

そこで、[TOC]と残留塩素濃度減尐速度係数との関係を明らかにするため、

水源及び[TOC]の異なる浄水を用いた実験を行い、残留塩素濃度減尐における

水温と[TOC]の影響について定式化を試みた。

第3節 実験方法 3.1 供試水

供試水には東京都が水源としている主な二つの水源水系の浄水場の通常処理 水、または、高度浄水処理水を用いた(図3-1)。これらは、東京都の水源と浄 水処理方法を考慮して、全体を捉えるために選定した。通常処理水(凝集沈澱、

砂ろ過)は、利根川・荒川水系の三郷浄水場と朝霞浄水場、及び、多摩川水系 の小作浄水場における処理水を用いた。また、高度浄水処理水は、三郷浄水場

(凝集沈澱、オゾン処理、BAC処理、砂ろ過)、及び、朝霞浄水場(凝集沈澱、

砂ろ過、オゾン処理、BAC処理、砂ろ過)の処理水を用いた。供試水のpHと [TOC]の範囲は、pH(7.0~7.9)、[TOC](0.26~1.2mg/L)であった。

図3-1 浄水場配置図

3.2 実験期間

平成17年12月から平成18年8月までの9ヶ月間月1回採水して供試水とし た。これは、低水温期(12月から2月)中水温期(3月から5月)高水温期(6 月から8月)に相当している。

3.3 使用器具及び水質試験方法

実験には褐色ガラス瓶(1L)を用いた。ガラス瓶による塩素の消費を防ぐため、

東京都 埼玉県

神奈川県 多摩川

荒川 江戸川

朝霞浄水場 小作浄水場

三郷浄水場

東京湾

残留塩素濃度 30mg/Lの水を 4 日間以上封入して純水で洗浄後に実験に使用し た。

また、残留塩素の測定は、上水試験方法のDPDによる吸光光度法に準じて行 った。[TOC]の測定は島津製作所 TOC5000(燃焼-非分散形赤外線分析法)を 用いて測定した。

3.4 実験方法

供試水は現地で採水後、保温容器に冷蔵して搬送した。搬送後、供試水を1L の褐色ガラス瓶に満水となるまで分取し、10℃、20℃、30℃に調整したインキ ュベーター(温度分布±0.5℃)に静置保存して、24時間毎に残留塩素濃度を測 定した。

一般に、塩素添加から数時間までは残留塩素濃度の消費が多く、その後は消 費が緩やかになる傾向がある。また、浄水場においては、塩素の添加から浄水 池出口までは数時間が経過する。本研究は、浄水池出口以降の送配水過程にお ける残留塩素濃度の予測を目的としていることから、塩素添加後数時間経過し た後からの残留塩素濃度の挙動を把握する必要があった。また、予備実験にお いて塩素水による前処理をしてもガラス瓶に起因する残留塩素の消費が最初の 24時間で見られた。そこで、この両者を考慮し、残留塩素濃度の測定において は、採水から24時間後を0時間として、その後72時間まで測定することとし た(0、24、48、72時間の4点を測定した)。

また、[TOC]の測定は予備実験で残留塩素の消費によって変化しないことが 確かめられたので、供試水の測定値を用いた。

実験は、5種類の供試水を用いて9ヶ月間、3温度条件について行ったこと から、実験の回数は合計で135回となった。詳細な実験結果は別添資料2に添 付した。

3.5 実験結果の解析

得られた残留塩素濃度の実験結果を用い、経過時間ごとの残留塩素濃度を一 次反応モデル(式(3-4))及び二次反応モデル(式(3-11))を用いて解析した。二 次反応モデルでは定数としてα、 βが得られるが、これらはモデル上の定数で あることから、化学反応論的観点からは定数kb2及びb/aについて評価する必要 がある。そこで、残留塩素濃度減尐反応を残留塩素濃度とTOCとの間の反応で

あるとして、CB0を初期[TOC]とし、式(3-12)からkb2及びb/aを算出した。なお、

並行一次反応モデル(式(3-5)及び(3-6))については、本実験においては塩素添 加後から24時間以上経過した試料を用いており、速い一次反応が終了している と考えられることから、一次反応モデルと同等であるとして解析は行わなかっ た。

一次反応の解析においては、式(3-4)の両辺を対数とすることで線形に変換し て回帰計算を行う方法が一般的であるが、二次反応モデルは同様の方法では解 析できない。そこで、一次反応モデルと二次反応モデルとの解析方法を統一す るため、両者は全て非線形回帰として計算した。非線形回帰計算については、

統計解析言語である R 言語(Ver.2.4.1)を用い、ガウス-ニュートン法によっ て行った。

第4節 実験結果と考察 4.1 反応モデルの選定

(1) 一次反応モデルと二次反応モデルの比較

全ての実験結果(合計135条件)を一次反応モデル(式(3-4))として解析し、

得られたkb1と残差平方和(Se)決定係数(Rc2)について、水系、処理分類(高 度浄水処理もしくは通常処理)、及び、季節区分別に表3-1に示した。また、表 3-1には、[TOC] についても示した。

次に、実験結果を二次反応モデル(式(3-11))として解析し、得られた定数 kb2b/aSeRc2について、表3-1と同様に水系、処理分類、及び、季節区 分別に表3-2に示した。

表3-1 一次反応モデルによる解析結果

Se:残差平方和、Rc2:決定係数、AIC:赤池情報量基準

表3-2 二次反応モデルによる解析結果

Se:残差平方和、Rc2:決定係数、AIC:赤池情報量基準

水系 処理 季節区分 [TOC] C0 Se Rc2 AIC

分類 (mg/L) (mg/L) 10℃ 20℃ 30℃ 10℃ 20℃ 30℃ (×10-4)

利根川 高度 低水温期 0.64 1.07 0.0040 0.0068 0.0140 1.763 1.611 1.071 0.11 0.995 -28.9

荒川 中水温期 0.49 1.43 0.0043 0.0061 0.0097 3.477 1.658 1.136 0.11 0.994 -29.0

高水温期 0.60 1.12 0.0033 0.0063 0.0109 3.090 1.683 1.244 0.12 0.990 -30.1

平均 0.58 1.21 0.0039 0.0064 0.0115 2.714 1.650 1.150 0.11 0.993 -29.3

標準偏差 0.13 0.24 0.0016 0.0022 0.0035 1.244 0.642 0.335 0.14 0.011 8.5

利根川 通常 低水温期 0.90 0.99 0.0044 0.0081 0.0152 2.499 1.821 0.861 0.09 0.998 -31.6

荒川 中水温期 0.79 1.35 0.0030 0.0066 0.0104 2.515 2.050 0.922 0.13 0.994 -29.0

高水温期 0.97 1.07 0.0028 0.0062 0.0115 1.453 2.028 0.753 0.10 0.998 -31.3

平均 0.89 1.13 0.0034 0.0070 0.0124 2.135 1.966 0.846 0.11 0.996 -30.6

標準偏差 0.19 0.25 0.0012 0.0021 0.0040 1.006 0.458 0.365 0.16 0.008 9.2

多摩川 通常 低水温期 0.37 0.71 0.0093 0.0098 0.0138 3.531 2.123 0.718 0.10 0.988 -27.7 中水温期 0.36 1.01 0.0041 0.0082 0.0121 2.312 1.163 0.818 0.05 0.996 -29.7 高水温期 0.47 0.81 0.0045 0.0095 0.0203 3.183 1.647 1.466 0.04 0.997 -30.5

平均 0.40 0.85 0.0060 0.0092 0.0154 3.096 1.644 1.001 0.06 0.994 -29.3

標準偏差 0.09 0.28 0.0035 0.0034 0.0050 1.410 0.981 0.482 0.06 0.007 4.8

全体 平均 0.66 1.11 0.0041 0.0072 0.0127 2.548 1.776 0.998 0.99 0.994 -29.9

標準偏差 0.24 0.28 0.0022 0.0026 0.0042 1.215 0.663 0.395 1.38 0.009 8.2

kb2 ((mg/L)-1h-1 b/a (-)

水系 処理 季節区分 [TOC] C0 Se Rc

2 AIC

分類 (mg/L) (mg/L) 10 20 30 (×10-4)

利根川 高度 低水温期 0.64 1.07 0.0020 0.0032 0.0066 6.90 0.978 -21.6

荒川 中水温期 0.49 1.43 0.0012 0.0019 0.0032 4.37 0.949 -22.4

高水温期 0.60 1.12 0.0014 0.0025 0.0045 5.24 0.967 -23.0

平均 0.58 1.21 0.0015 0.0026 0.0048 5.51 0.965 -22.3

標準偏差 0.13 0.24 0.0005 0.0008 0.0021 6.26 0.031 4.3

利根川 通常 低水温期 0.90 0.99 0.0029 0.0051 0.0107 10.93 0.980 -19.3

荒川 中水温期 0.79 1.35 0.0017 0.0032 0.0061 6.85 0.969 -21.0

高水温期 0.97 1.07 0.0023 0.0040 0.0092 6.42 0.987 -23.2

平均 0.89 1.13 0.0023 0.0041 0.0087 8.07 0.979 -21.2

標準偏差 0.19 0.25 0.0008 0.0012 0.0034 9.09 0.019 5.2

多摩川 通常 低水温期 0.37 0.71 0.0016 0.0022 0.0042 5.32 0.943 -21.9

中水温期 0.36 1.01 0.0012 0.0023 0.0034 2.31 0.976 -25.8

高水温期 0.47 0.81 0.0016 0.0032 0.0064 10.28 0.973 -21.6

平均 0.40 0.85 0.0014 0.0025 0.0046 5.97 0.964 -23.1

標準偏差 0.09 0.28 0.0004 0.0009 0.0022 7.88 0.041 5.5

全体 平均 0.66 1.11 0.0018 0.0032 0.0063 6.62 0.970 -22.0

標準偏差 0.24 0.28 0.0007 0.0013 0.0033 7.85 0.030 5.0

kb1 (h-1

一次反応モデル(表3-1)と二次反応モデル(表3-2)の残差平方和Se及び決 定係数Rc2を比較すると、実験結果との一致では二次反応モデルが優れていた。

しかし、一次反応モデル(式(3-4))と二次反応モデル(式(3-8))では変数の数 が異なるため、Se及び Rc2から単純にモデルの優劣を比較できない。そこで、

モデルの適合度を比較するため、モデルが非線形であることを考慮して赤池情 報量基準(Akaike's Information Criterion :AIC)を用いた比較を行った。一次 反応モデル及び二次反応モデルのAICについてそれぞれ表3-1及び表 3-2に示 した。また、一次反応モデル及び二次反応モデルのAICを比較し、一次反応モ デルがより適合する場合、二次反応モデルがより適合する場合、一次反応モデ ル及び二次反応モデルが同程度の場合についての回帰計算結果の例を図 3-2 に 示した。AICの値は二次反応モデルが低く、AICにおいても二次反応モデルの 適合度が高いことが確認できた。ただし、一次反応モデルは二次反応モデルよ りもRc2は低かったが、値は 0.97程度であり、残留塩素濃度の測定誤差を考慮 すると充分な一致であるといえる。

a) 一次反応モデルがより適合するケース

AIC:一次=24.3, 二次=20.5

1.2 1.3 1.4 1.5

0 20 40 60 80

時間 )h

残留塩素濃度mg/L

実測値 一次 二次

b) 平均的なケース (AIC:一次=-19.9, 二次=-27.6)

0.9 1.0 1.1 1.2 1.3

0 20 40 60 80

時間 )h(

残留塩素濃度mg/L

実測値 一次 二次

b)両反応が同程度のケース

(AIC:一次=-19.9,二次=-27.6 b) 平均的なケース (AIC:一次=-19.9, 二次=-27.6)

0.9 1.0 1.1 1.2 1.3

0 20 40 60 80

時間 )h(

残留塩素濃度mg/L

実測値 一次 二次

b)両反応が同程度のケース

(AIC:一次=-19.9,二次=-27.6

c) 二次反応モデルがより適合するケース (AIC:一次=-17.7, 二次=-48.9)

0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0

0 20 40 60 80

時間 )h(

残留塩素濃度mg/L

実測値 一次 二次

図3-2 回帰計算結果の例

一次反応モデル及び二次反応モデルの残留塩素濃度減尐速度係数である kb1

及び kb2についてみると、一次反応モデルの kb1は水温及び [TOC] との間に明 確な関係が見られ、水温が高く[TOC]が高いほどkb1が大きく、残留塩素濃度の 減尐が速くなる関係があった。これは、実際の実験結果とも良く一致した。二 次反応モデルの kb2 については、同様の傾向が見られたものの、一次反応モデ ルほどの明確な関係は得られなかった。

また、二次反応モデルの定数 b/a は残留塩素濃度と[TOC]との化学量論係数 の比であり、今回測定した水質成分等と何らかの関係が見いだせれば定式化が 可能となる。そこで、b/a について水系、季節区分、水温との関係を調べたが、

明確な傾向は見られなかった。また、b/a はTOCを構成する有機物の種類に影 響を受ける可能性があると考えられた。そこで、[TOC]とb/a の関係について、

水系及び処理分類別、及び、水温別に比較して図 3-3 に示した。水系及び処理 分類とb/a の間には明確な関係は見られず、原水の水系や高度浄水処理の有無 によって b/a が影響を受けないことが分かった。一方、b/a は水温が高くなる ほど小さくなる傾向があり、水温が高いほど[TOC]に対する残留塩素の反応量 が見かけ上大きくなることを示した。

さらに、b/a に影響を与える要因ついて、 [TOC]と残留塩素初期濃度との比

([TOC]/C0)について検討した。図3-4 に、[TOC]/C0b/a の関係について、

水系及び処理区分別、及び、水温別に比較して示した。その結果、[TOC]/C0 の 減尐に伴ってb/aが増加する傾向が見られた。これは、[TOC]に対する初期残留 塩素濃度が高いほど TOC に対する残留塩素の反応量が低下するということを 意味する。つまり、化学反応論的に見ると、残留塩素と反応できるTOC(もし くは、反応できるTOCの官能基等の部分)が限られており、残留塩素が相対的 に多い条件では、単位残留塩素あたりの反応性が低下するものと考えられた。

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