PLN
は、準備ができればいつでも電力系統に組み入れるための水力発電所と地熱発電 所を最大限に活用する 25。これは、地熱発電所と水力発電所の経済価値が、発電所候 補の選定プロセスにおいては主要因とはならないことを意味する。この方針の結果、PLN
では投資費用が増加するため、カーボン資金調達による奨励金の利用がPLN
にと って重要となる。PLN
はすでに、気候変動枠組条約(UNFCCC
)のスキームの内外で、カーボン・クレ ジットの収益を得るプロジェクトを開発した経験がある。そのため、気候変動の軽減 に関してPLN
は、低炭素プロジェクト、特に地熱発電所と水力発電所の経済的な適性 を支援するためのカーボン資金調達の利用を継続する方針である。2.低炭素技術の導入
2021
年までのPLN
の電力供給は、化石燃料、特に石炭による発電所が主流である。PLN
は石炭の燃焼による温室効果ガスの排出がかなり大きいことを自覚しており、そ のために火力発電所から発生する温室効果ガスの排出を削減する努力が求められてい る。この件に関するPLN
の方針は、ジャワ島で開発される石炭火力発電所に超臨界ボ イラーを導入することのみである。3.燃料の移行
石油燃料の使用を削減するために、
PLN
は石油燃料から、ガス発電所やガス火力発電 所、ミニ・ガス発電所(ガスエンジン)で利用するガスへの移行を計画している。燃 料移行の歩みは、直接的に温室効果ガスの排出削減に直結する。ガスの排出要因は、石油燃料よりも低いためである。
4.発電センターにおけるエネルギーの効率化
老朽化とともに熱効率が低下した発電所は、電力生産
1
キロワット時当たりの燃料消 費がより多くなる。PLN
は発電所の熱効率を絶えず監視し、生産効率を向上させ、同 時に温室効果ガスの排出を削減する。25 この方針は、需要上の必要性があることと、他の発電所計画への配慮に対する検討も同時に行う。
20
第 3 章
現在の電力状況
21
3.1
電力販売ここ
5
年間の電力販売量の増加率は、下記の表3.1
に示したとおり、年平均8.5
%であった。表
3.1 PLN
の総電力販売量(TWh
)地域 2007 2008 2009 2010 2011 平均
インドネシア 120,0 127,6 133,1 145,7 158
成長率 (%) 7,6 6,4 9,4 10,7 8,5 8,5
ジャワ‐バリ 95,6 100,8 104,1 113,4 120,8
% 7,4 5,4 3,3 8,9 6,5 6,3
スマトラ 14,7 16,4 17,6 19,7 21,5
% 7,9 11,9 7,2 11,6 9,3 9,6
カリマンタン 3,9 4,2 4,7 5,1 5,7
% 7,6 8,2 9,6 10,3 10,1 9,2
スラウェシ 3,9 4,2 4,6 5,1 5,6
% 10,2 7,3 8,8 10,7 11,0 9,6
マルク、パプア、ヌサトゥンガラ 1,8 2,0 2,2 2,4 2,7
% 12,3 8,3 9,9 10,7 13,0 10,8
表
3.1
からは、ジャワ・バリでの販売量の増加率(年6.3
%)が、スマトラ、カリマンタン、スラウェシ、マルク、パプア、ヌサトゥンガラに比べて比較的低いことがわかる。
ジャワ・バリで
2007
年の増加率が低かった理由は、この年の発電容量に限界があり、販売 に支障が生じたためである26。その後、2008
年には世界的な金融危機が発生し、2009
年末 まで続いたことで、2009
年の販売量の増加率はわずか3.3
%にとどまった。ジャワの増加 率が世界的金融危機の影響から再び回復したのは2010
年以降である。スマトラでの販売量の増加率はより高く、年平均
9.6
%となっている。この増加率は、年平 均5.2
%しか増えていない発電容量とのバランスを欠いている。その結果、多くの地域で2009
年までに慢性的な供給力危機が生じたが、2010
年の発電所の借り受けにより解消した。カリマンタンの電力販売量の伸びは年平均
9.2
%である。一方、発電容量はわずか年1%の 増加にとどまった。このため、多くの地域で電力危機が生じ、販売にも限界があった。スラウェシでの電力販売量の伸びは年平均
9.6
%であるが、発電容量の伸びは年平均わずか2.7
%である。このため、2009
年には特に南スラウェシで、かなり深刻な電力危機に陥った が、2010
年には発電所の借り受けにより解消された。同様のことは、マルクやパプア、ヌサトゥンガラといったその他のインドネシア東部地域
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