また、表V−20では閉山後の20年間を振り返ると、大変に
又はまずまずよくなったという答が自治会長12人(60%)、三会獺13入(65
%)、老人会長12入(70.6%)、町内企業9社(69、3%)、概・宿泊緻7ヶ所(63.6%)あった。
この結果から、閉山後の生野町の政策・施策は大筋で評価され ているといえる。ただし、閉山後の生野町しか知らない進出企 業4社のあまり変わらないとの意見もあった。
表V−20「昭和48年の鉱山閉山後の20年間を振り返っての感想」
( )内は、%を表す。
対象 自治会長
泓会纐
老人会会長 町内企業 工業団地企業 観光・宿泊施設事項 20名 20名 17名 13社 9社
11ヶ所①大変によくなった
1(5) 4(20)
2(11.8) 3(23.1) 1(11.1)1(9.1)
②まずまずよくなった
11(55)
9(45)10(58,8)
6(46,2) 2(22,2)6(54.5)
③あまり変わらない 6(26) 6(30) 5(29.4) 2(15,4)
4(44.4) 1(9.1)
④以前より悪くな・1 2(10)
1(5) 0(0)
2(15,4) 1(11,1) 2(18,2)⑤その他
0(0) 0(0) 0(0) 0(0)
1(11,1)1(9.1)
次に、閉山後の生野町の政策の展開と施策の変遷を以下の5 次にわたる「生野町町勢振興計画」を基にして見て行く。
第1次 昭禰45年(1970) 第4次 昭和61年(1986)
第2次 昭和51年(1976) 第5次 平成 3年(1991)
第3次 昭和56年(1981)
第1次・昭和45年の「計画」は現存しておらず検討できない。
第2次・昭和51年の「計画」の町長の序文から判断すると、
それは経済開発主体であったと思われる。昭和45年は、生野 鉱山が生産規模や従業員の合理化案を発表した年で、町として 今後の将来の方向が問われる重要な時期でその時から工業団地 造成による工場誘致での町勢振興策を考えていた(第1章第2鯵照)。
第2次・昭和51年の「計画」の時の桐山町長は、鉱山閉山後 の施策が、今後の生野町を決定づける重要な時期とした。また、
この「計画一の答申で、町長及び町当局に対して企業誘致・工 業団地造成・住宅対策の早期実現を求め、施策が推進された。
第3次・昭和56年「計画」の時の岩崎賢司町長は、その序文 で「鉱山の閉山の影響が町民生活の各方面で問題化し、過疎化、
生活基盤の遅れ、心の豊かさの喪失一が問題であり、企業誘致 や観光開発中心に施策を進める方向を示した。
本研究では、閉山の影響について第皿1章第2節で指摘した。
第4次・昭和61年の「計画」の時も岩崎町長で、序文で企業 誘致による町勢振興策に一定のめどがっき、今後は「新たな高 齢化、都市化、情報化社会」に即応する諸政策を実施し、「自
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然と調和のとれた活気ある町づくり」を行うとした。この頃か ら人口は停滞し、高齢化社会への対応が求められいた。
第5次・平成3年「計画」は現在の佐藤文夫町長で、序文で「自 然と調和した活気ある共生のまちづくり」を基調に自然と調和 を保ちながら快適に生活できる環境整備と共に生きるこころ豊 かな社会の構築を目指すとした。この序文には「四全総計画」
q)の「計画実現のための主要施策」に見られる項目や言葉が 色濃く反映されている。
そして、若者の定住促進に重点を置きながら、企業誘致によ る就労の場の確保や観光開発の施策から「定住促進」のための 住環境整備や福祉・医療・高齢者対策の充実等の施策を行い、
その実現のために住民、民間、行政一体となった町づくりを進 める方向を示した。この施策の方向は、本研究のアンケート調 査の結果と合致しており、今後さらに推進すべき道であると考
えられるのである(表V−1・2・3・4・8を参照)。
以上、5次にわたる「町勢振興計画」を概観し、町の施策の 展開が、閉山の影響が町民生活の各方面で問題化したための「企 業誘致や観光開発」の施策を進める方向から、 「定住促進」の
ための「住環境整備や福祉・医療・高齢者対策の充実」への転 換の方向へという住民の要請に応えるものに変遷してきたこと を示した。
小 括
本章では、地域経済の再生に伴う地域生活の現状の分析と問 題点や課題の指摘をさまざまな面から行った。
具体的には、第1節で、人口の減少傾向が続く一方で高齢者 の増加と老人の独居率の高さが問題であり、老人会は様々な活 動を活発に行っていること、地域住民の意向は医療の充実を初 めとする高齢化社会への対策を求めていること、行政が高齢者 福祉の様々な施策を展開している状況を指摘した。
第2節では、地域住民組織の現状と地域活動を指摘した。
自治会は地域住民の生活と密着した活発な活動をしていること、
下水道問題等の生活環境整備が課題であること、人口減少が地 区の行事や運営に影響を与えていること等を指摘した。
婦人会活動は低調であり、その原因が活動に伴う人間関係や 役員や仕事の煩わしさにある現状とそれが会員の減少や活動の 低調さとなっていることを指摘した。
老人会は元気に活動している状況があるが、しかし一方で会 員の減少や高齢化等切実な問題があること、そして行政の高齢 者対策には、住民の協力が必要不可欠なことなどを述べた。
第3節では、生活関連資本の中で、住民の意向が下水道問題 を初めとする生活環境の整備であり、一方で負担金を心配する 現状、また地域住民、企業とも住宅の整備・充実を強く求めて いることと、行政のその施策の展開が難しいことやその施策を 進めるには行政と地域住民の連携や 協力が必要不可欠なことや、
最終的には、それが生野町の人口増につながりうることなどを
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指摘した。
また、教育に関しては、児童数の激減で学校の統廃合問題が 目前に迫り、そうした地区では学校が地域住民の心のより所で あること、さらに歴史的経緯と地理的条件から昔から教育への 関心が高く、教育熱も高かったこと等を指摘した。
最後に、第4節で、5次にわたる「町勢振興計画」を概観し、
施策の展開が、閉山の影響が町民生活の各方面で問題化したた めの企業誘致や観光開発の施策から、それが一定の成果を見た ため、次第に「定住促進一のための住環境整備や福祉・医療・
高齢者対策の充実への転換の方向を打ち出し住民の要請に応え る施策を採るようになった変遷を示した。これは、「二二総
「新全総」の国主導の大規模地域開発から地方への工業再配置 と定住促進の方向を示した「三全総」 「四全総一の国政の流れ になぞらえることができるのである。
そして、こうした施策の転換の方向は、本研究の「アンケー ト調査」の結果と合致し、町行政が今後推進すべき道であるこ となどを指摘した。
(注) (1)『第四次全国総合開発計画』国土庁編 昭和62年 pp.29〜95
終 章
「三全総」後の今日的状況の中で、地方中小都市には地域経 済の再生が強く求められている。しかも、「旧全総」「新全総」
下の大規模開発とは異なり地方中小都市に於ける小規模開発の 場合は、末端地方自治体の果たす意義と役割が増大している。
「三回忌」に続き「四全総」でも、地方活性化のため工業再配 置を推進する方向を打ち出して「地方重視」の姿勢を示すと共 に、「地方の自助努力」を求めている。このように、国が前面 に出ず地方が前面に出るため、それだけ地方自治体の選択する 政策・施策の重要性が増している状況にある。そして、地域の 特色を生かして「個性:豊かな地域へ発展して行くことコを課題
に、「定住構想」を一層進める方向を示した。こうした、「三 全総. 「四全総」の理念を具体化に当たり、末端地方自治体で は、企業誘致の為に「農工法」「工配法」の様々な税財政上の 優遇措置を武器とした施策推進の方法が採られている(序章第1節)。
この状況を踏まえた上で、地域経済をめぐる社会学的研究を 見ると、1960・70年代の大規模開発を研究対象として、それを 批判的視点から捕らえた研究は多々あった(序章2節)。しかし、上 述した末端地方自治体が前面に出てくる地域経済状況を対象と する社会学的研究は、まだ緒についたばかりである(序章注23を参照)。
以上述べた理由により、本研究では兵庫県生野町を事例とし て、鉱山閉山→人口減少→過疎化進行→地域経済再生の過程の 中で、末端自治体の地域政策が地域経済や地域社会、地域住民 の生活にどんな役割を果たしたのか、それを企業誘致、観光開
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発、地域住民(様々な地域住民諸組織の代表)の意向などに着 目する観点から多角的に検討した。
それをとおして明らかになった点は、以下のとおりである。
第1には、過疎状況下での地域振興に果たした農工法や工配法 の生野町による導入政策とその優遇措置の大きな意義である。
第2に、多方面からの資料収集とヒアリングをとおして、かっ ての中心であった産業・経済政策が影をひそめ、代わって高齢 化社会への対応や諸々の生活環境整備政策が求められている点 が明らかになった。それは、本論に見たアンケート調査の結果 からも裏付けられた(第V章)。しかも、こうした課題には行 政による積極的な施策の展開が要望されており、その推進には 行政・民間・住民の一致協力した体制づくりが重要である。
第3に、特に生野町のような小規模末端自治体であればあるほ ど、その自治体政策が持つ広い範囲での重要性が明らかとなっ た(第IV・V章)。それは、自治体の地域振興の行方を左右し その明暗を分けるほどのものであったと言ってよい。
第4には、上の3点に体現される80年代以降の地方中小都市 を取り巻く今日的状況においては、末端自治体がとる政策や施 策が住民生活全般に及ぼす影響に焦点を当てて地域社会の現実 を分析検討して行くことの方法論上の意義の大きさである。
サ
れは、本研究の対象地である生野町のみに当てはまるものでは なく、他の同様の地方中小都市にも妥当すると見なし得る。
今後の研究課題は、生野町を対象とした本研究の視点と方法 を播磨地域と但馬地:域の全体の地域動向分析に繋げ、それを通