1) 軸受の準備
軸受 はさび止 め処理し て包装さ れてい るの で、取付け直前に包装を解くようにする。
また、軸受に塗布されているさび止め油は潤 滑性能 も良好 なため、通常の 用途の軸 受やグ リース封入軸受の場合には洗浄しないでそのま ま使用する。しかし、計器用軸受や高速で使用 する軸受の場合には、清浄な洗浄油を用いてさ び止め油を除去する。この場合は
さび が発生し
やすいので長時間放置してはならない。2) 軸及びハウジングの検査
軸及びハウジングを清浄にして、きずや機械 加工によるかえりの無いことを確認する。
また、ハウジング内部にラップ剤(
SiC, Al
2 3O
など)、鋳物砂、削りくずなどが絶対残らないよ うにする。次に、軸及びハウジングの寸法・形状・仕上げ 程度が設計図どおりにできているかどうか確認 する。
軸径及びハウジング内径は図15-1、15-2に示 すように数箇所の位置で測定する。
図 15-1 軸径の測定位置
図 15-2 ハウジング内径の測定位置
その他、軸及びハウジングの隅の丸みの寸法 や肩の直角度についても十分検査する。
検査に合格した軸及びハウジングに軸受を組 込むときには、その直前にそれぞれの
はめあい
面にマシン油を塗布しておくとよい。15. 軸受の取扱い
15-3-2 軸受の取付け方法
軸受の取付け方法は軸受の形式や
はめあい 条件によって異なる。
一般には、
軸回転の場合が多いので、 内輪に
は
しまりばめ 、外輪には すきまばめ を適用
するが、外輪回転の場合は、外輪を
しまりばめ
にする。軸受を
しまりばめ で取付ける方法を大きく
分類すると次のようになり、それぞれの取付け 方法の詳細を表15-1〜15-3に示す。
内輪 しまりばめ
円 筒 穴 軸 受
テーパ穴軸受
圧 入 に よ る 取 付 け
焼ばめによる取付け
外輪 しまりばめ
…しめしろの少ない小形の軸受に適用。
(表 15-1)
(表 15-2)
…しめしろの多い軸受や大形の軸受に適用。
…ドライアイスなどを用いて軸受を冷却し て取付ける方法。
この場合、空気中の水分が軸受に凝着す るので、適切なさび止め処置が必要。
………最も一般的な方法。 (表 15-1)
………(表 15-3)
………(表 15-3)
テ ー パ 軸 へ の 取 付 け
スリーブを用いる取付け
圧 入 に よ る 取 付 け
冷しばめによる取付け
参考 軸受の圧入又は引抜きに要する力
軸受内輪の圧入又は引抜きに要する力は、しめしろ や軸の仕上げ程度によって異なるが、
その目安値は次式によって求めることができる。
(中実軸の場合)
(中空軸の場合)
Ka = 9.8
f
k ・3 deff ・B ………(15-1)……(15-2)
×103
1 − ──d2
Di2
Ka = 9.8
f
k ・3 deff ・B ×1031 − ──d2
Di2 1 − ──d0 2 d2
1 − ──d0 2
Di2
表 15-1 円筒穴軸受の圧入による取付け
式(15-1)、(15-2)において、
Ka:圧入又は引抜きに要する力 N
3deff:有効しめしろ mm fk:抵抗係数
軸と内輪との摩擦を考慮した 係数……右表参照
B:呼び内輪幅 mm
d:呼び内径 mm
Di:内輪の平均外径 mm d 0:中空軸の内径 mm
抵抗係数 k f の値
圧 入 の 方 法 解 説
■どの方法の場合も、軸受に均一な力がかかるようにするため、
下図のような当て金を用いて静かに圧入する。
このとき、当て金を外輪に当てて内輪を圧入したり、
内輪に当てて外輪を圧入してはならない。
■非分離形軸受で内輪・外輪ともにし めしろが必要な場合は、転動体に傷 がつきやすいので、右図のように 2 種類の当て金を用いて、静かに圧入 する。このとき、ハンマを用いては ならない。
(油圧ポンプ)
(a)プレスの利用(最も一般的)
(b)ボルトとナットの利用 (c)ハンマの利用 軸端にねじ穴
が必要。
やむを得ない 場合に用いる。
当て金
当て金
(内輪の圧入) (外輪の圧入) (内輪の圧入)
当て金 当て金
(内輪・外輪の同時圧入)
条 件 fk
・円筒軸に軸受を圧入する場合 4
・円筒軸から軸受を引抜く場合 6
・テーパ軸あるいはテーパスリーブに
軸受を圧入する場合 5.5
・テーパ軸あるいはテーパスリーブから
軸受を引抜く場合 4.5
・軸と軸受の間にテーパスリーブを
圧入する場合 10
・軸と軸受の間からテーパスリーブを
引抜く場合 11
A 144 A 145 表 15-2 円筒穴軸受の 焼ばめ による取付け
図 15-3 加熱温度と軸受内輪の膨張量
表 15-3 テーパ穴軸受の取付け
焼ばめの方法 解 説
■油の中で軸受を加熱膨張させて軸に取付ける焼ばめ方法 は、軸受に無理な力がかからず、短時間で作業が行える。
(注意事項) ¡ 120℃以上で加熱すると軸受の硬さが低下するので、 100℃以 下で加熱する。
¡加熱温度は軸受の大きさと しめしろ とから図 15-3を参考に して決めることができる。
¡軸受を油槽の底につけてはならない。金網台やつりかけ道具 を用いる。
¡焼ばめ後、軸受が冷えると軸方向にも収縮するので、内輪と軸 の肩との間にすきまができないように軸ナットなどを用いて 密着させておく。
■誘導加熱装置で軸受を加熱膨張させて軸に取付ける焼ばめ方法は、火や 油を使わず電気により短時間で均一に加熱できるので、 清潔でしかも能 率よく作業が行える。
励磁コイルを内蔵し、通電すると電磁誘導作用により軸受に電流が流れ、
軸受自体の抵抗により発熱する。
〔備考〕
1 太い実線は常温における軸受( 0級)
と軸( r6, p6, n6, m5, k5, j5)と の最大しめしろ値を示す。
2 従って、この最大しめしろ値よりも 大きい「内輪の膨張量」を得られるよ うに加熱温度を決めればよい。
例えば、内径 90 mmで 0級の軸受を m5の軸に取付ける場合、このとき の最大しめしろ値 48μmより大きい 膨張量を得るためには図より、室温
+ 40℃になるように加熱すればよ いことがわかる。しかし、実際には 取付け作業中の冷却も考慮して、さ らに 20〜 30℃高く加熱しておくと よい。
温度計
(a)油浴で加熱
(b)誘導加熱装置
20
50 80 120 180 250 315 40
60 80 100 120 140 160
呼び内径 d(mm)
内 径の 膨張
(μm)量
加熱温度差
3T = 90℃ 80℃ 70℃ 60℃
50℃ 40℃
30℃ 20℃
r 6
p 6 n 6 m 5 k 5 j 5
取 付 け 方 法 解 説
■ テーパ軸に軸受を直接取付ける場合、軸に油 穴・油溝を加工して、軸受との はめあい面に 高圧の油を送り込む(オイルインジェクション ) ようにすると、はめあい面の摩擦が軽減されて ナットの締付けトルクが小さくなる。
■ アダプタや取外しスリーブを用いて取付ける 場合で、軸に肩がなく、しかも正確な位置決め を必要とするときは、クランプを用いて軸受の 位置を決めるとよい。
■軸受の押込みには、ナットが多く用いられてお り、特殊スパナなどで締付ければよい。
また、油圧ナットを用いて押込む方法もある。
■自動調心ころ軸受では表 15-4に示す押込み量 を基準にして、ラジアル内部すきまの減少量を 調べながら取付ける。
すき まの減少量はすきまゲー ジを用いて調べ る。その測定は、ころを正しい位置に落着かせ て、ころと外輪との間にゲージを差込んで行え ばよいが、両列のすきまの値がほぼ等しく( e≒ e)なるようにする。
測定個所によっては測定値が異なるので、数箇 所測定して平均するのが望ましい。
■自動調心玉軸受では、外輪が容易に調心できる 程度のすきまを残すように取付ければよい。
① ナット ② 油圧ナット
① ナット ② 油圧ナット
① ナット ② 油圧ナット
(a)テーパ軸への取付け
(b)アダプタによる取付け
(c)取外しスリーブによる取付け
(d)すきまの測定
e e
(クランプによる軸受の位置決め)
特殊スパナ
15. 軸受の取扱い
表 15-4 テーパ穴自動調心ころ軸受の取付け
〔備考〕 上表のラジアル内部すきまの減少量は CNすきまの軸受を中実軸に取付ける場合の値を示す。
C3すきまの軸受の場合は上表の最大値を目安にすればよい。