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12-2 潤滑剤 12-2-1 グリース

ドキュメント内 転がり軸受 総合カタログ (ページ 68-71)

グリースとは、潤滑油を基油とし、これに増 ちょう剤と呼ばれる親油性の強い固体を分散混 和させて半固体状にした潤滑剤で、さらに、特 定の性能を向上させるため、各種の添加剤を添 加している。

(1) 基油

グリースの基油には、鉱油が多く用いられて いるが、低温流動性や高温安定性などの特殊性 能が要求される場合には、ジエステル油、シリ コーン油、ポリグリコール油、ふっ素油などの 合成油も用いられている。

一般に低粘度基油のグリースは低温や高速の 用途に適し、高粘度基油のグリースは高温や重 荷重の用途に適している。

(2) 増ちょう剤

グリースの増ちょう剤には、リチウム、ナト リウム、カルシウムなどの金属石けん基が主と して用いられている。ただし、用途によっては 非金属石けん基(シリカゲル、ベントンなどの 無機質及び尿素化合物、ふっ素化合物などの有 機質)の増ちょう剤も用いられている。

一般に、グリースの機械的安定性、使用温度 範囲、耐水性などの特性は増ちょう剤によって 定まる。

(リチウム石けん基グリース)…耐熱性・耐水性・

機械的 安定性が 良い。

(カルシウム石けん基グリース)…耐水性は良いが、

耐熱性に劣る。

(ナトリウム石けん基グリース)…耐熱性は良いが、

耐水性に劣る。

(非金属石けん基グリース)……耐熱性が良い。

表 12-3 各種グリースの特性

リ チ ウ ム グ リ ー ス カルシウムグリース

(カップグリース)

ナトリウムグリース

(ファイバグリース) 複 合 基 グ リ ー ス 非 金 属 石 け ん 基 グ リ ー ス

増 ちょ う剤 リチウム石けん カルシウム石けん ナトリウム石けん リチウム複合石けん カルシウム複合石けん ベントン 尿素化合物 ふっ素化合物 増ち ょう 剤 基   

鉱 油 合成油(ジエステル油) 合成油 (シリコーン油) 鉱 油 鉱 油 鉱 油 鉱 油 鉱 油 鉱油・合成油 合成油 基   

滴 点(℃) 170〜 190 170〜 230 220〜 260 80〜 100 160〜 180 250以上 200〜 280 − 240以上 250以上 滴 点(℃)

温度範囲(℃) − 30〜+ 120 − 50〜+ 130 − 50〜+ 180 − 10〜+ 70 0〜+ 110 − 30〜+ 150 − 10〜+ 130 − 10〜+ 150 − 30〜+ 150 − 40〜+ 250 温度範囲(℃)

速 度 範 囲 中─高速 高 速 低─中速 低─中速 低─高速 低─高速 低─中速 中─高速 低─高速 低─中速 速 度 範 囲

機械 的安定性 良─優 可─良 良─優 良─優 良─優 機械的安定性

耐 水 性 良 良 良 良 不 可 良─優 良 良 良─優 良 耐 水 性

耐 圧 性 不可─可 良─優 良─優 良─優 耐 圧 性

備   

各種転 がり軸受用 として 最も用途が 広い。

低温特性、摩擦特 性に優れる。

計器用や小形電動 機用小径玉軸受に 適する。

高 温特性、低温特 性に優れる。

低速・軽荷重の用 途に適する。

高温で の使用は不 可。

水分があると乳化 しやすい。

比較的高温で使用 される。

機械的安定性と耐 熱性に優れる。

比較的高温で使用 される。

極 圧添加剤を加え た グリースは耐圧 性に優れる。

圧 延機用軸受に使 用される。

高温で 、比較的荷 重が大 きい用途に 適する。

耐水性、酸化安定 性、熱安定性に優 れる。

高温、高速の用途 に適する。

耐 薬品性、耐溶剤 性に優れる。

250℃の高温でも 使用できる。

備   

(3) 添加剤

グリースには使用目的に応じて、各種の添加 剤が用いられている。

¡極圧添加剤…重荷重や衝撃荷重がかかる場合

¡酸化防止剤…長期間グリースを補給しない場合 その他、構造安定剤、さび止め剤、腐食防止 剤などがある。

(4) ちょう度

ちょう度とはグリースの見かけの硬さを表わ し、規定の金属製円すいが

5

秒間に自重で、グ リース内に進入した深さ(

mm)を 10倍した数値

で示す。従って、この数値が大きくなるほど軟 らかいことがわかる。

表 12-4にグリースの

NLGI

ちょう度番号、ちょ う度及び使用条件との関係を示す。

( NLGI: National Lubricating Grease Institute)

表 12-4 グリースのちょう度

(5) 異種グリースの混合

異種のグリースを混合すると、グリースの性 質が変化するので、原則としては銘柄の異なる グリースを混合してはならない。

やむを得ない場合は同じ増ちょう剤のグリー スを選べばよいが、その場合でも添加剤などの 違いにより悪影響を及ぼすことがあるので、あ らかじめ試験するなど注意が必要である。

NLGI  ちょう度番号

ASTM(JIS)ちょう度

(25℃,60回混和) 使用条件・用途 0 355〜 385 集中給脂用 1 310〜 340 集中給脂用、低温用 2 265〜 295 一般用

3 220〜 250 一般用、高温用 4 175〜 205 特殊用途

12. 軸受の潤滑

表 12-5 JTEKT軸受用標準グリースの代表例

〔注〕 1) PAO:ポリαオレフィン油

2)各ちょう度番号が示すちょう度範囲の間に属する。

グリース名 増ちょう剤 基油 外観

ちょう度

60W NLGI

ちょう度番号

使用温度範囲

用途例

不混和 混和 ℃

アルバニア 2 リチウム 鉱油 淡黄褐色 276 275 2 − 10〜 100

自動車

ハンドルコラム

レアマックス AF-I ウレア 鉱油 淡黄色粘ちょう状 − 300 1− 2 2 0〜 150 ホイール(ハブユニット)

FS841 ふっ素樹脂 フロロシリコーン油 白色 − 290 2 − 40〜 220 ファンカップリング

サンライト 2 リチウム 鉱油 黄褐色 − 280 2 − 10〜 100 ユニバーサルジョイント(シェルタイプ)、ハンドルジョイント

ユニレックス N3 リチウムコンプレックス 鉱油 緑色 − 235 3 − 10〜 130 クラッチレリーズ

W191 ウレア PAO1)、鉱油 淡黄色 247 275 2 − 30〜 130 水ポンプ軸受

ダリナ 2 マイクロゲル 鉱油 こはく色 − 280 2 0〜 150

鉄鋼

コンベア

エマルーブ L ウレア 鉱油 淡褐色粘ちょう状 − 350 0− 1 2 − 10〜 200 連続鋳造機

パルマックス RBG 特殊複合リチウム 鉱油 黄色粘ちょう状 − 300 1− 22) − 10〜 150 圧延機ロールネック 4Bグリース カーボンブラック エーテル油 黒色 − 260 2− 3 2 − 30〜 250

ミニアチュア、

小径玉軸受

複写機(高温・導電性)、プリンタ(高温・導電性)

KZグリース ふっ素樹脂 ふっ素油 − 280 2 0〜 250 複写機(高温)、プリンタ(高温)

マルテンプ PSNo.2 リチウム 鉱油、エステル油 桃白色粘ちょう状 − 275 2 − 40〜 100 モータ(低温用)

KVCグリース ウレア PAO1)、エステル 乳桃色 − 244 3 − 30〜 150 モータ(高温用)、ロータリエンコーダ、ファンモータ(高温用)

SRグリース リチウム エステル油 淡褐色粘ちょう状 − 250 3 − 40〜 130

ミニアチュア、

小径玉軸受、

自動車

モータ、ステッピングモータ、ファンモータ

センター軸受(プロペラシャフト用)、ハンドルコラム

KDLグリース ふっ素樹脂( PTFE) ふっ素油 白色 − 260 2− 32) − 30〜 200

半導体製造装置 高温用、クリーン用、真空用

KHD リチウム PAO1) 白色 − 199 4 − 30〜 120 常温用、大気用

ネリタ 2858 リチウム 鉱油( XHVI) 黄褐色 − 279 2 − 30〜 100

鉄道車両 車軸( ABU)

アラペン RB320 リチウム、カルシウム 鉱油 黄褐色 − 315 1 − 30〜 90 車軸(一般)

イソフレックス NBU15 バリウム複合 エステル油 ベージュ 270 280 2 − 40〜 100 工作機械主軸 シェル カシーダグリースRLS2 アルミニウムコンプレックス PAO1) 透明 − 280 2 − 20〜 100 食品機械用

アルバニア EP2 リチウム 鉱油 褐色 282 276 2 − 10〜 80 旋回座、自動車 ユニバーサルジョイント、キングピンスラスト

アルバニア 3 リチウム 鉱油 褐色 240 225 3 − 10〜 100 農機具

A 128 A 129 12-2-2 潤滑油

軸受の潤滑油には、酸化安定性及びさび止め 性に優れ、油膜強度が高い高度精製鉱油が主に 用いられているが、 軸受の多様化にともない、

各種の合成油も多く用いられている。また、こ れらには特定の性能を向上させるために各種の

添加剤(酸化防止剤、さび止め剤、消泡剤など)

が使用されている。表12-6に各種潤滑油の特性 を示す。

鉱油系潤滑油は

JIS

MIL

規格で用途別に分 類されている。

表12-6 各種潤滑油の特性

〔潤滑油の選定〕

潤滑油の選定に際しては、軸受の運転温度に おいて適正な粘度の油を選ぶことが最も重要で ある。

まず軸受形式別の適正動粘度を表12-7より選 び、次に使用条件による適正動粘度を表12-8よ り選ぶ。この値を目安とすればよい。

潤滑油の粘度は低すぎると油膜形成が不十分 となり、高すぎると粘性抵抗により発熱する。

一般には、荷重が大きくなるほど、また、運 転温度が高くなるほど高粘度の潤滑油が用いら れ、回転速度が高くなるほど低粘度の潤滑油が 用いられる。

潤滑油の粘度と温度との関係を図 12-3に示す。

表 12-7 軸受形式による適正動粘度

潤 滑 油 の 種 類

高度精製 鉱  油

主 な 合 成 油

ジエステル油 シリコーン油 ポリグリコール油 ポリフェニール

エ ー テ ル 油 ふっ素油 使用温 度範囲(℃) − 40〜+ 220 − 55 〜+ 150 − 70〜 +350 −30 〜+ 150 0 〜+ 330 −20〜+300

潤 滑 性 優 優 可 良 良 優

酸 化 安 定 性 良 良 可 可 優 優

耐 放 射 能 不可 不可 不可─可 不可 優 ─

軸 受 形 式   運転温度における   適正動粘度   玉軸受

  円筒ころ軸受 13 mm2 s以上   円すいころ軸受

  自動調心ころ軸受 20 mm2 s以上   スラスト自動調心ころ軸受 32 mm2 s以上

表 12-8 使用条件による適正動粘度

図 12-3 潤滑油の粘度と温度との関係(粘度指数100の場合)

運転温度 dmn値 適正動粘度(ISO粘度グレード又は SAE No. で示す)

軽荷重・普通荷重 重荷重・衝撃荷重

− 30〜 0℃ 全範囲 ISO VG 15、22、46 (冷凍機油) ──

  0〜 60℃

300 000以下 ISO VG 46 ISO VG 68 SAE 30 300 000〜6 00000 ISO VG 32 ISO VG 68

600 000以上 ISO VG 7、10、22 (軸受油) ──

60〜 100℃

300 000以下 ISO VG 68 (軸受油) ISO VG 68、100

SAE 30 (軸受油)

300 000〜6 00000 ISO VG 32、46 ISO VG 68

600 000以上 ISO VG 22、32、46 ──

100〜150℃

300 000以下 ISO VG 68、100

SAE 30、40 (軸受油) ISO VG 100 〜 460 300 000〜6 00000 ISO VG 68

SAE 30

ISO VG 68、100

SAE 30、40 (軸受油)

軸受油 タービン油

軸受油 タービン油 軸受油

タービン油

軸受油 タービン油

軸受油 タービン油

軸受油 タービン油 軸受油

タービン油 マシン油

軸受油 ギヤ油 軸受油

タービン油

動  粘  度 mm2/s

温  度  °C 10

20 3040 50 100 200 1 000500 5 000 10 000 50 000 100 000 200 000

5 4

3−40 −20 0 20 40 60 80 100 120 140

A B C D E F G H I J K L

ISO 粘度グレード A :

B : C : D : E : F  :

VG 10 VG 15 VG 22 VG 32 VG 46 VG 68

VG 100 VG 150 VG 220 VG 320 VG 460 VG 680 G : H : I  : J  : K : L  : 1.dmn=───×n………{D:呼び外径(mm)、d:呼び内径(mm)、n:回転速度(minD+d −1)} 

2.冷凍機油(JIS K 2211)、タービン油(JIS K 2213)、ギヤ油(JIS K 2219)、マシン油(JIS K 2238)、 2   軸受油(JIS K 2239)をご参照ください。 

3.運転温度が−30°C以下又は150°C以上の場合にはJTEKTに相談ください。 

〔備考〕

ドキュメント内 転がり軸受 総合カタログ (ページ 68-71)

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