• 検索結果がありません。

15.研修企画部

ドキュメント内 Ⅳ 活動報告/研究業績目録  (ページ 68-73)

(1)平成 22 年度活動報告

研修企画部では,保健,医療および福祉に関わる人たち に対する国段階での教育,研修についての技術の向上に向 けた研究を行っている.また,国際協力に関して,企画調 整を行うとともに,その実施や評価を行っている.以下に,

研修企画部が行った平成 22 年度の主な研究活動等につい て報告する.

1)難病に関する研究

難病(特定疾患)の克服は,国の健康施策の重要課題の 1 つであり,難病対策は都道府県が主体となって実施して いる.国の難治性疾患克服研究事業の一環として,行政資 料(人口動態死亡統計や患者調査)をもとに,難病による 死亡の時系列および地域集積性に関する解析,患者数およ び受療率に関する解析を進めている.このような研究成果 に基づいた科学的根拠をもとに,国および都道府県レベル で,疾患,地域に対応した,効率的で,きめ細やかな難病 対策を展開することが可能となる.今後も  このような情 報提供を定期的に行い,疾患,地域に対応した,効率的で,

きめ細やかな難病対策が展開できるよう,科学的な側面か ら行政支援を行う予定である.(部長 土井由利子).

2)睡眠に関する研究

日本学術会議から「睡眠学の創設と研究の推進の提言」

がなされた(2002 年 5 月).睡眠は精神科領域だけでなく 複合的領域の学問として位置付けられ,睡眠医学,睡眠科 学,睡眠社会学を 3 つの柱として各々の領域の研究者が学 際的に交流しながら快適な睡眠を確保するための社会を構 築して行こうというものである.特に日本においては,小 児の睡眠障害に関する知識が社会に充分浸透していないこ ともあり,正しく診断・治療されていない疾患も少なくな い.睡眠の状態を的確に把握する手法の開発が必須である ため,協力研究員である亀井雄一医師および岩垂善貴医師 らとともに,我が国における小児の睡眠の測定・評価に関 する研究を進めている(部長 土井由利子).

3)職域定期健診に関する研究

職域定期健診の法定健診項目等の健康関連情報を有効活 用し効果的で効率的な健康管理の運用および健診システム を構築することは職域のヘルスプロモーションを推進して いく上で取り組むべき重要な公衆衛生上の課題である.研 究生である八木祝子医師らとともに,職域定期健診の健康 関連情報をもとにその有効活用に関する実証的研究を進め ている(部長 土井由利子).

4)人口動態に関する研究

保健人口学の立場から調査研究を行っており,男子平均 寿命の国内格差の原因を年齢構造と死因構造の分析等とと もに死亡率に与える社会・経済・文化的要因,生活習慣な どの影響を Ecological  Model 面から検討していくことを 目的としている(第一室長 綿引信義).

5)コンピテンシーに基づく教育・研修 に関する研究  米国,英国,カナダ等において公衆衛生分野で主流となっ ているコンピテンシーに基づく教育・研修における共通コ ンピテンシーの領域とその項目を検討している.その結果,

カリキュラムの再検討と開発,専門分野のコンピテンシー 項目の開発,公衆衛生専門職のニーズ・アセスメントなど に活用に資することを目的としている.

国際保健人材の育成に関する研究は,国際保健医療協力 の中で国際保健人材として求められるコンピテンシー項目 を抽出し,海外合同臨地訓練によって,どのようにしてコ ンピテンシーを獲得できるかを検討している(第一室長  綿引信義).

6)開発途上国における保健関連開発目標に関する研究 2000 年に 8 つの国連ミレニアム開発目標が設定され,

国際社会は 2015 年までにそれの達成に向けて取り組んで いる.そのうち,3 つは保健関連の開発目標であり,特に,

途上地域におけるそれらの指標のモニタリングの検証を人 口保健調査(DHS)データと複数指標クラスター(MICS)

データを用いて実施するともに人々の保健行動について検 討している(第一室長 綿引信義).

7)  食品衛生監視員による食品衛生監視手法の高度化に関 する研究 

都道府県知事が行う監視指導計画策定は,フードチェー ン全体のステークホルダーのもっている種々の情報に基づ き,リスクに基づき行われるべきである.そのため,本研 究は,監視指導計画策定の基礎となるデータの特定(一次 生産,製造加工,流通の各段階),これらのデータ / 情報 を効果的に共有できるデータベースの構築を行うことによ り,より効果的,かつ効率的な監視指導計画の策定を支援 するためのものである.また,リスクに基づく監視指導方 法の開発,監視や食品事故等の緊急時に対応するマニュア ル作成の基礎となる情報の収集・解析,緊急時の違反・有 症苦情検索支援システムの構築,食品由来疾患のリスク因 子の解析を行うことにより,リスクに関する科学的データ を蓄積し,食品衛生監視員による監視指導をリスクベース のものへ進化・充実を図るものである.今研究で得られた

研修企画部 成果は短期研修食品衛生監視指導コースおよび食品衛生危

機管理コースでも活用可能である(第二室長 豊福肇).

    

8)近隣諸国産輸入食品中の放射性核種に関する調査研究 1986 年のチェルノブイリ原発事故を契機に我が国では ヨーロッパ産の輸入食品を対象に放射能モニタリングを 行っている.しかしながら,ヨーロッパ産輸入食品は輸入 重量ベースで全輸入食品中の 5.7%(平成 20 年度)にすぎ ない.また,2008 年の冷凍餃子に農薬が混入した事件に より,国民の中国産食品に対する懸念が高まっている.以 上のことを背景として,中国をはじめとする近隣諸国産輸 入食品中の放射性核種に関する調査研究を行っている(第 三室長 寺田宙).

9)放射性核種の 1 日摂取量調査

食品の安心・安全確保を図ることを目的として,日本国 内各都市に流通する食品のトータルダイエットスタディ

(TDS)により食品中の存在量と成人の 1 日摂取量および 被ばく線量に関する調査・評価を実施している.これまで に全国の主要 18 都市を対象として調査を行っており,被 ばく線量については自然放射性核種である 40K と 210Po の寄与が大きいこと等を明らかにした(第三室長 寺田宙).

10)環境衛生・生活衛生領域における研修ニーズ調査 国立保健医療科学院では,研究課程,専門課程,短期研 修の教育研修を実施している.このうち,環境衛生・生活 衛生に関係する領域については,現在,専門課程Ⅱにおい て「生活衛生環境分野」,短期研修では「建築物衛生研修」,

「住まいと健康研修」,「水道工学研修」が実施されており,

一定の評価が得られている.しかしながら,環境衛生・生 活衛生の監視を担う環境衛生監視員の所掌業務は理容師 法,美容師法,興行場法,旅館業法,公衆浴場法,クリー ニング業法等と極めて広範に及ぶため,必要に応じて新し い研修プログラムを企画することが必要である.このため,

環境衛生監視員ならびにその主管課を対象に環境衛生・生 活衛生関連の領域における研修のニーズや現時点での研修 の受講動向について調査をいった.その結果を今後の研修 プログラムに活用して行く予定である(第三室長 寺田宙).

11)国際協力および研究 

国際協力室は,国際協力の在り方について,国際社会か らの要請と我が国にとっての必要性を鑑みながら,国際協 力業務の企画運営にあたっている.研究面では,保健医療 分野における国際協力に資する人材育成やネットワ - クの 枠組みや具体的な方法論,特に参加型方法やプログラム・

プロジェクトのモニタリング評価に関する研究を行い,国 際協力業務に反映している.人材育成に関しては,フィン ランド・フィリピン大学の協力プログラム,アイルランド の国内・途上地域双方の人材育成プログラム,フィリピン 大学レイテ校の階段方式プログラム,WHO の太平洋島嶼 国への遠隔教育プログラムなどの研究を行った.また,コ ンピテンシーに関して,国際保健関連の会議の特徴とその 傾向を分析し,効果的インタ - ベンションのために必要な コンピテンシーを明らかにした.また,国内の WHO 指定 研究協力センタ - を対象に,人材育成やネットワークに必 要なコンピテンシーについて研究した.日・フィリピン経 済連携協定に基づくフィリピン人看護師候補者の研修課題 についても調査分析した(国際協力室長 兵井伸行).

(2)平成 22 年度研究業績目録 学術誌に発表した総説

土井由利子.光とサーカディアンリズム.ビルと環境.

2011;132(3):57-60.

土井由利子.現代における睡眠障害.特集「眠れない」

を解決する.治療.2011;93(2):180-3.

土井由利子.睡眠障害の疫学調査―長寿社会と睡眠―.

特集:現代社会における睡眠障害―広がる睡眠医療―.

Progress in Medicine. 2010;30(6):1521-5.

土井由利子.高齢者における睡眠障害の疫学.特集  睡 眠障害の最新の知識.臨床精神医学.2010;39(5):531-5.

高橋正弘,赤堀正光,池田恵,中村丁次,豊福肇.食中 毒事件調査解析システムの構築における入力・出力項目の 検討.獣医疫学雑誌.2011;14(2):139-45.

豊福肇.Codex における微生物リスク管理の動向.食 品衛生学雑誌.2010;51(6):J-425-31.

豊福肇.食品の安全性確保のための世界的な動き.化学 療法の領域.2010;26(10):132-5.

豊福肇.世界に通用する正しい HACCP のさらなる普 及を目指して.月刊 HACCP.2010;16(10):25-7.

著書

土井由利子.眠気の定義と実態.井上雄一,林光緒,編.

眠気の科学―そのメカニズムと対応―.東京:朝倉書店;

2011.p.1-8.

土井由利子.母子保健の課題と動向.小山洋,辻一郎,編.

鈴木庄介,久道茂,監修.シンプル衛生公衆衛生学 2010.

東京:南江堂;2010.p.227-33.

小久保弥太郎,荒木恵美子,高取直樹,豊福肇,長坂豊 道.改訂 食品の安全を創る HACCP 改訂第 3 版.東京:

社団法人日本食品衛生協会;2010.

豊 福 肇. 食 品 微 生 物 学 辞 典. 東 京: 中 央 法 規 出 版;

2010.

執筆項目の掲載頁は以下のとおり.

衛生規範  p.17. /栄養表示基準  p.18. /家畜伝染病予防

ドキュメント内 Ⅳ 活動報告/研究業績目録  (ページ 68-73)