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ドキュメント内 ~ 社 会 福 祉 士 養 成 (ページ 40-99)

されるべきサービスの質・量や受給資格条件等についての情報量の違いや、機関の裁量権 の程度により、現実には両者の問に著しい力の格差が生じ、弱者であるクライエントの権 利性がきわめて不安定なものとならざるをえない。さらに、機関の官僚化はこの傾向を助 長する。また、社会福祉の政策主体の制度や政策の水準それ自体が劣等であれば、公的な 統制下に置かれる機関はその制度政策に拘束されざるをえない 20)。たとえば、少数民族の スラム街(Ghe0)では、当然の資格や権利がうやむやにされたり、拒否されてきたため、こ れらを擁護するためにソーシヤノレワーカーは行政機関とクライエントの聞に仲裁に入らな ければならなかった 21)0 ソーシヤノレワーカーはソーシヤノレワークのかかえる自己矛盾に対 処するために、アドボカシー機能を奮い立たせるようになった。

ソーシャルワークの理論の進展22)やクライエントのニーズの多様化2J)、社会の変化は ソーシャルワーカーのアドボカシーの役害)1に影響を与えてきた。「ソーシャルワークにお けるアドボカシーは『自分で自分の生活と権利を守ることのできない社会的犠牲者の擁護 者』としての役割を意味する。自らの権利、要求、主張を自ら表現できない人々を『弁護』

し、彼らに変わって代弁していくことにあるj判。 サービスの利用者のなかには、計画 のプロセスに意味のある参加が難しいと者がし、る。例えば重度の学習障害のある者、痴呆 性老人である。しかしながら、独立したアドボカシー組織ならば、その役割を強化した支 援をすることができる 25)0 モラレスらはブライアーを引用して次のように述べている。ア ドボケイトとしてのソーシヤルワーカーはクライエントの弁護者、アドバイザ一、擁護者 であり、もし必要ならば、法廷・警察・社会機関・その他クライエントの安寧に関係する 組織との関係において代理人の機能をつとめる。

アドボカシーは以下の

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実践領域にわけることができる。①家族アドボカシー ②コミュ ニティアドボカシー ③立法機関アドボカシー ④オンプズ、マン室(ombudsmanship) ⑤仲介。

オンブズ マン室は施設利用者の苦情の解決、サービスに関する問題や間違いの糾明にかか わる者としてその存在が明確に位置づけられている 26)0 長期ケアオンブPズマンはソーシャ ルワークの諸機能のなかでとくにアドボカシー機能を重視して脆弱な高齢者を支援するソ ーシャルワーカーと位置づけることができょう。

3  長期ケアオンプズマンとアドポカシー

(1)  脆弱な高齢者のアドボカシー

脆弱な高齢者は、身体・精神・経済・社会的な諸サービスを必要とするが、サービスを 利用せざるをえないことはそれだけで十分に弱者である。このような状況のなかに生きて いる個人と具体的な問題が複合的に作用しあって、状況はさらに厳しいものとなる。痴呆 症等の高齢者のように、弱者であることのみじめさを適切に表出できなかったり、その手 段や方法を欠く者もいる。これまでのかけがえのない生き方や考え方、生活習慣の保持が 一層困難になっていくかもしれない。このため、日常生活において生じてくるであろうさ まざまな不都合さにあえて目を閉じ、置かれている環境での生活を従容として受け入れて いかざるをえないという現実に、一人のかけがえのない個人を尊重してほしい、自己実現 をしたいという真実の願いの多くが隠されてしまっている。これらの人々に適切なサービ スを提供するには、利用者のかけがえのない存在としての価値をアドボケイトし、その「意

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jや決定を尊重し、かっ支援することが重要になってくる。サービスの利用へのこだわ りや偏見、行政機関へのアクセスの鴎躍が、適切な行動選択の妨げとなっているが、これ らは情報の提供を含むアドボカシーサービスがますます必要となってくるゆえんである。

さらに、長期ケアサービスの直接・間接の提供者およびそのシステム、家族やコミュニテ ィとの問題をミクロレベルからマクロレベルにいたるまで全体的に把握して、利用者の一 人の生きている個人としての生き方を尊重したアドボカシーサービスが求められる。脆弱 な高齢者が施設において一人の人間として生きていくうえでの問題や心理的・情緒的要因 から派生するきわめて個人的な問題への支援には、アドボカシーが重要になってくる。

アドボカシーは、情報を伝え、情報の活用をすすめるプロセスに大きく関与している。

ソーシヤルサービスの専門家は、サービスを利用する資格があるにもかかわらず、一人で はサービスを確保できない高齢者のために、しばしばサービス利用の申請をしなければな らない。高齢者の多くは、法律・規則・規約・手続等広範囲に規定された制度に身を託し ている。法に規定されたサービスがすべて滞りなく提供されるように、システムそれ自体 の遂行についても細心の配慮が不可欠である 21)0

しかし、現実はマニングが、「ヘルスケアは様子の分からぬ者が集まる市場で、高くと まった競売人と取り引きする生産物となった。ヘノレスケアサービスを受け取る者はいまや

『クライエント』もしくは『患者』ではなく、むしろ消費者とみなされている。サービス としてのへノレスケアは利益を前提とした生産物に変わった。ケアの提供者と受け手の聞の 基本的な関係は、再定義されつつあり、質・アドボカシー・責任(加st)に関する倫理上の 問題を生みだしたJ28)とのべるように、医療の領域のみならず、長期ケアの領域において も施設サービスを利用する脆弱な高齢者のた的のアドボケイターの必要性は切実なもので あった。

(2)  テネシー州のボランティアアドボケイター

サービスに対して施設に公費で支払われる償還金と引き替えに、脆弱な高齢者を長期ケ アサービスの消費者に仕立て上げたナーシングホーム業界にしてみれば、具体的な商品に なりえないサービスこそ、利潤をあげるには格好の生産物であった。サービスの質はさじ 加減でし、かよ うにも変化させることができたであろうし、消費者が脆弱な高齢者であるこ とは勿怪の幸いであったろう。しかし、このようなサービスから脆弱な高齢者を守ろうと いうアドボカシープロ グラムが誕生したというのも史的事実なのである。

ここでは、米国高齢者法(the Older  Americans  Act) 1978年改正法に応えて、テネシー東 部で 1978年 に 設 立 さ れ た 高 齢 者 の ア ド ボ カ シ ー 支 援 プ ロ グ ラ ム(the East  Tennessee  Advocacy Assistance Program for the Elderly)を紹介する。この地域のアドボカシープログラ ムはテネシー中東部 16のカウンティに設けられた。プログラムの所長には高齢者に適切 な司法上の方策を適用するという責務と、脆弱な高齢者のためのオンブズマン/アドボケ イターという任務が期待された州連邦の財源が乏しいこともあって、 16カウンティで ただ一人のスタ ップが、このような役割に門外漢のボランティアアドボケイターを活用す ることで、長期ケア施設によりすぐれた「召使い

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を確保するプランを展開した。アドボ カシー支援プロ グラムではオンブ守ズマンを支援して、長期ケアの利用者が申し立てた問題 や苦情の確認、調査、改善に協力する高齢のボランティアを養成をすることにした 3

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ボランティアアドボカシープログラムは以下のような目的を持っていた。

① 16カウンティにボランティアアドポケイターグループを進展させる

②長期ケア施設の高齢者の虐待・放任・その他の問題の事実確認を支援できるように、

ボランティアを養成し、研修をおこなう

③ボランティアアドボケイターが苦情から問題を識別し、オンフ守ズ、マンに適切に委ねる システムを進展させる

④新規に任命されたボランティアアドボケイターの研修・評価・監督を継続する 31)0

その結果、 16カウンティのうち 13カウンティでは 38人 (23人が女性、 15人が男性) のボランティアアドボケイターが活動することになった。しかし、 3カウンティではボラ ンティアのリクルートに熱心で、なかったため、応募者がし、なかった。ボランティアの職業 は退職した弁護士から主婦まで多種多様である。長期ケアの利用者の支援に関心のある者 であれば年齢に関係なく歓迎されたこともあって、ボランティアの多くは 60歳をこえて い た。ボランティアの受け入れには、カウンティの高齢部局が中心となって積極的に取り 組むことになり、アドボケイターはまず利用者の権利、その後に、アドポカシーの技術を 学習した 32)

ボランティアアドボケイターはオンブズマンの監督下におかれる。アドボケイターの任 務は以下のとおりである。

①ナーシングホーム等の利用者を支援し、その問題の解決を手伝う

②オリエンテーションに参加し、その後の研修に参加する

③苦情解決にむけてひたすら努力するオンプFズマンを支援し、責任をもってオンブズマ ンの代理をはたす

④高齢部局や高齢諮問委員会を支援し、地域の委員会の発展につとめる

⑤スタッフや利用者との関係を高めるために、ナーシングホーム等に訪問する

⑥担当するナーシングホームへの初回の訪問時、オンプズマンに同行を依頼できる

⑦直接サービスの提供者(ナースエイドや雑役婦)に研修の機会を提供するためのアドボ カシー活動をする

③利用者の会の組織化と発展のためにアドボケイトし、既存の諮問委員会と協力する

⑨訪問時の状況およびアドボケイターとしての役割の遂行時に確認された 問題を文 書に記録する

⑩新規のアドボケイターのリクルートとオリエンテーションの支援をする

@アドボケイターの有効性の評価を継続しておこなう問。

ボランテイアアドボケイターが遭遇する苦情には容易に解決のできるささやかな苦情か ら、複雑な立法上の苦情までさまざまである。当時のアドボカシーがどのように実践され ていたか、彼らが取り組んだ事例は以下のとおりである。

(i)ある新設のナーシングホームでは、朝食前に入浴することになっており、利用者を 4 時に起床させていることにボランティアが気付いた。業務の能率アップが利用者への繊細 な配慮に影を投じないように、ボランティアはより適切なスケジュールを立てるための支 援をおこなった。

( ii )あるボランティアはナーシングホームの利用者がその意に反した生活をしいられてい ることに気付いた。なぜか利用者の家族は利用者が前夫に会うのを禁じ、スタッフを説得

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