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(2)腐熟度の判定・分析
・堆肥化の目的は、有機物を腐熟させて農緑地に施用することであり、堆肥化の過程における 腐熟度の判定は、製品堆肥の品質管理上、極めて重要なものである。
・腐熟度の判定方法は数多いが、すべての有機物に汎用的に適用できるものは少ない。
【解説】
堆肥化では、有機物の分解が進行するに従い、炭素系物質は二酸化炭素に、窒素系物質はアンモニ アや硝酸などに、リンを含む物質はリン酸に、その他分解過程でカリウム、カルシウム、マグネシウ ムなどは、酸化化合物や炭酸化合物などに変化し、発酵設備内混合物全体としての減量・乾燥ととも に熟成化する。
堆肥の品質管理において、製品堆肥の肥料成分の含有量とともに、発酵設備内混合物の腐熟度判定 は極めて重要であり、この判定の適否は土壌への施用上大きな影響を与える。しかし、数多く提案さ れている判定法の中で、全ての有機物を対象としては汎用的に採用されるものは少ない。また、生産 現場で器具などを用いずに出来る簡便で確度の高い判定法が望まれている。
いずれにしても、発酵工程の生産管理に当たっては、品温の測定とともに、外観観測のような現場 で手軽に出来る評価判定で日常的に熟成の程度を観測し、二次発酵については幼植物試験法ほかの生 物的あるいは化学的手法の採用と併せて、製品堆肥の品質・安全性の確認を行うことが必要である。
腐熟度判定方法を判定対象に分類したものを表6−5に示し、比較的に使用例の多い判定方法の個 別の要点を表6−6に示す。これらの採用に当たっては、それまでに生産した堆肥との相対比較を行 うようにすることが望ましいが、特に、生産現場での日々の外観判定については必ず実行するように する。
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表6−5 腐熟度の判定方法分類 腐熟度
判定対象 判 定 項 目 分 析 方 法 例 論 文 報 告 者
a.堆積物の温度 熱電対法 Golueke(1972)
b.BOD 下水試験法など 羽賀、原田
c.酸素活性 Godden etc.(1984)
1.微生物活 動から判 定
d.ガス発生量(ポリ袋) 吉野(1979)
a.発芽試験(コマツナ) 藤原(1980)、長田(1985)
b.幼植物試験(コマツナ) 河田(1981)
c.ミミズを用いた試験 吉野(1979)
2.生物を用 いた判定
d.花粉管成長テスト 若澤 etc.(1986)
a.物体色 菅原 etc.(1979)
b.微細形態の観察 藤原 etc.(1980)
c.粒度分布(ふるい分け残渣重量) 日向 etc.(1981)
3.物性判定
d.粒状強度
a.円形ろ紙クロマトグラフィ 井ノ子(1976)
b.腐植物質含有量 渡辺・栗原(1982)
4.腐植物質 による判
定 c.沈殿部割合 菅原・井ノ子(1981)
a.C/N比 下水試験法、JIS 法など Golueke(1981)
b.水抽出物のC/N比 下水試験法、JIS 法など Chanyasak, 久保田(1981)
c.還元糖割合 井ノ子・原田(1979)
d.アンモニア検出 ガス検地管法 森・木村(1984)
e.硝酸イオン検出 下水試験法、JIS 法など 原田(1983),Finstein(1985)
f.COD 下水試験法、JIS 法など Lossin(1971)
g.PH 下水試験法、JIS 法など Jann etc.(1960)
h.EC(電気伝導度) 上水試験法、JIS 法など 日向(1981)
i.揮発性成分(VTS) 下水試験法、JIS 法など 羽賀 etc.(1978)
j.遊離アミノ酸 原 etc.(1991)
k.水抽出物の GCG 吉田・久保田(1979)
5.化学特性 判定
l.陽イオン交換容量(CEC) Lossin(1971)
a.評点法 原田(1983)
6.総合判定
b.判別スコア値 下水汚泥資源利用協議会
出典:「再生と利用」No.60,下水汚泥資源利用協議会
表6−6 製品堆肥の腐熟度測定・分析方法(1/3)
判定法 測定材料 測定方法 測定結果評価 測定原理
色調評価 なし
各部位の堆肥化物をサンプリングし て色調を観察。
未熟;褐色もしくは暗黄 色
中熟;暗褐色 完熟;黒褐色
一般 に熟成に 従って 腐植物質が生成し、暗 褐色 から黒色 化して くる。
臭気評価 なし
各部位の堆肥化物をサンプリングし て臭気をかぐ。
腐敗;H2S 刺激臭、カプタン 類腐卵臭 未熟;NH4刺激臭 熟成;堆肥臭・土壌臭
正常 に堆肥化 が進行 すると未熟時のアンモニア 刺激 臭が経時 的に腐 植土壌臭、堆肥臭に変 化してくる。
品温評価法
温度計;棒温度計 深度 50cm まで測定
堆肥化物:上部 20〜30cm、下部 50〜
60cm 経時測定する。
堆肥盤;切返し後品温の 増加が無くなると熟成 したと判断
機械攪拌;末端部で品温 低下(40℃前後)
但しバークやオ ガクズを 多 量 に 含 む 物 で は 判 断し難くなる。
好気 性発酵の 発熱反 応に より品温 が上昇 する。比較的易分解性 のも のが分解 される 間は 顕著な温 度上昇 がみられ、温度上昇―
低下 ―酸素供 給―温 度上昇を繰り返す。
ポリ袋法
(ガス発生量法)
ポリ袋(幅 20cm
×長さ 30cm)
①堆肥化物 300g をポリ袋に入れ、空 気を排出して密閉封入する。
②25℃で 3〜4 日静置する。
発生するガスによるポリ 袋の膨らみで判定する。
膨らみが大きい程熟成過 程にある。
堆肥 化に従っ て有機 物が分解され、CO2ガ スな どが多量 に発生 する。熟成が進むに従 って減少する。
外観評価法 なし 本章6−2−5参照
硝酸検出法
ポリビン 200ml 硝酸イオン試験紙純 水
*硝酸イオンメーターやジフェ ニルアミン測定法もある。
①ポリビンに 100ml の純水を入れ、堆 肥化物 50g を加える。
②手で振とうし、10 分間静置する。
③上澄み液に硝酸イオン試験紙を浸 け発色判定。
未熟;発色なし 熟成;発色あり。原料に
より差異あるが、抽出 液中に数 mg/l 以上あ れば可
堆肥化に従ってアンモニア が発生してくるが、分 解が進むとアンモニアが硝 酸菌 により酸 化され 硝酸 が生産さ れてく る。
ミミズ評価法
非透明プラスチック製のコ ップ
遮光用黒布 シマミミズ(体長 50mm 以 上)数匹
①堆肥化物を容器に 1/3 ほど充填(水 分 60〜70%)
②ミミズをコップに入れ、行動と色調 を観察する。(直後と 1 日後)
未熟;直後は逃亡行動、1 日後は死滅
中熟;直後は多少の拒否 反応あり、1 日後は行 動緩慢で、変色がある。
完熟;直後は潜り行動、1 日後変化なし。
ミミズは、未分解の有 機物から発生するフェノ ール類、アンモニアガスを忌避 する 行動を利 用し腐 熟度を測定する。
幼植物試験法
コマツナ種子 シャーレ
200ml 三角フラスコ ビーカ
ろ紙 ガーゼ アルミホイル 熱湯 物指し 光学顕微鏡
堆肥化物 10g(乾物では 5g)を三角フ ラスコにとる。
沸騰水 100ml 加え、アルミホイルで蓋する。
↓(1 時間静置)
ガーゼ 2 枚でろ過、ろ液 10ml をろ紙 2 枚を敷いたシャーレーに分注。
↓
コマツナ種子 30〜50 粒蒔く(同時に水 10ml いれたものを用意)。
↓
室温または 20℃、3〜6 日後発芽率と 根を観察、判定する。
ろ 液 EC ( 伝 導 率 ) が 5mS/cm 以上なら 1mS 以下 に希釈して測定する。
判定は発芽率と根長を測 定する。
①発芽率
>80%
②正常根であること
*未熟の場合;根の周囲 がゼリー化し、高濃度細 菌が繁殖。
対象 堆肥に作 物の生 育阻 害物が含 まれて いる と発芽率 が低く なる。未熟で高濃度に 有機 物が含ま れてい ると 培養水が 早期に 嫌気 性化し根 腐れを 起こす。
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表6−6 製品堆肥の腐熟度測定・分析方法(2/3)
判定法 測定材料 測定方法 測定結果評価 測定原理
花粉管成長
試験法
保温機(20℃) ホットプレート プラスチッ クシャ ーレ
ビーカ カバーグラス 100 メ ッ シュ ふる い
ノギス コルクボーラー ガーゼ
ろ紙(東洋 No.6)
ショ糖 ホウ素 寒天 チャ花粉
サンプル調整
堆肥化物に2倍量水を加え 24 時間常 温浸漬後、二重ガーゼ搾り、ろ紙でろ 過して被検液を用意。
<ウエル法>
培地;ショ糖 8%、寒天 1.2%、
ホウ酸 17mg/l、pH5.5 に調整、加熱溶 解後、シャーレーに固化。
↓
コルクボーラーで抽出液注入穴 6 個あ ける。
↓
100 メッシュふるいでチャ花粉をガラス板 上に撒布、カバーグラスで掻取り、培地穴 から中心に向かって置床する。
↓
穴に抽出液の原液 (1, 1/2, 1/3, 1/4, 1/5 及び対照として水を各 50μl 注入。
↓
20 時間、 25℃で暗所培養。
<培地法>
ウエル培地に被検液を 1/3, 1/7, 1/16 の濃度に加え培地調整。対照区として 被検液を加えないものを用意。
↓
各シャーレーにカバーグラスで掻取ったチャ花粉 を放射線状に置床。
↓
20 時間、 25℃で暗所培養。
<ウエル法>
花粉管の伸張阻害を確 認する。
サンプル穴から伸張阻 害されている部分の長 さを測定。
↓ 5mm 以下は安全 10mm 以上は強い阻害
(熟成度以外に阻害物 質による事もある)。
<培地法>
伸張花粉管の長さを測 定する。
↓
対 象 花 粉 管 長 と 比 較 し、80%以上の伸張長 であれば安全と評価。
堆肥サンプルに 植物根生育阻害 物質が含まれて いれば、比較的 短い時間で評価 判定できる。
発芽試験とかな り 互 換 性 が あ る。
また、発芽試験 と違って試験濃 度の幅がとれ、
濃度による影響 が少ない。
ポット栽培 試験法
(農林水産省方 法:1984 年)
ノイバウエ ルポッ ト
土壌(2mm 目ふ るい通過風乾燥土)
コマツナ種子
ノイバウエルポット当たり土壌(2mm 目ふるい通過風乾燥土)500ml。
水分は、最大容水量の 50〜60%となる ように加水。
堆肥化物は細かく砕き均質化。
堆肥化物施用量は、堆肥化物窒素量が 2%以下では乾物換算で 5g,2%以上は 窒素として 100mg(N)を標準施用利用 とし、この 2,3,4 倍量のポットを設定。
↓
窒素(N)、リン酸(P2O5)、カリ(K2O)
として各 25mg に相当する硫安、過リン 酸石灰、塩化カリを施用。対照区も同 様に設定。
それぞれ土壌と肥料を均一混合。
↓
コマツナ種子 20 粒または 25 粒播種、
風乾土で種子を覆う。
↓(15〜25℃で 3 週間) 播種 10 日間は初期設定水分量保持、そ の後は作物生育に合せ給水、栽培する。
下記項目について調査 し、対照区と比較する。
・供試土壌;土壌の種 類、土性、pH、EC、
塩基置換容量、最大 容水量
・跡地土壌;pH、EC、
アンモニア態 N、硝酸態 N
・作物生育;発芽率、
葉長、生体重、生育 状態の異常の有無 ↓
作物栽培結果として、
対照区に比較して、作 物の生育阻害がみられ ると未熟。
対照区と同等であれば ほぼ完熟していると判 断できる。
ポット栽培試験 は堆肥の熟成度 や効果を直接判 定し、最も効果 がある方法であ る。