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130 2.地域密着型産業としての再生の途

ドキュメント内 地場産業から地域密着型産業へ (ページ 130-150)

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来の線材加工という第

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次メーカーから部品を作る第

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次メーカーに転換するため、従業員の大 半を多能工化する一方、即戦力として耐圧層用異形線の開発に際し、協力関係にあった新日鉄か ら中高年の技術者を受け入れ、技術開発型企業への転換を図った。

そうした個々の企業の努力と共に、東大阪地域の金属加工業グループは1996年、27社が集 まって「ヒットの会」を結成し、共同受注活動のほか、独自製品開発を目指している。これは地 域産業発展の一つの方向性を示している158

南部鉄器を製造する盛岡市の(株)岩鋳(創業

1902

年)は1971年に業界初のオートメーショ ン化を行い、多くの製品において大半の工程を自動化した。生型製法は機械化、自動化された。

しかし並行して、伝統的な「焼き型」製品も製作している。伝統の「型」とその派生化という形 で伝統を維持している159

また石巻市の(株)モビーディック(創業1963年)は当初、地元の漁業関係者向けにウェットス ーツなどのダイビング器材の仕入れや製造を行っていた。それらは地元の漁業関係者からの厳し い要求に応えることができた。それを元にレジャー分野に進出し、自社ブランド商品を開発し た。フィッティング技術を革新し、皮膚に近い動きを実現した。2006年には世界初のウェッ トスーツ専用

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次元スキャナを開発する。更にはイタリアのマレス社との業務提携を進めた。あ くまで石巻での活動が原点であり、地元で商品がヒット後に事業展開を行ったのである160

静岡の家具産地は家具需要の飽和化や消費者ニーズの多様化の進展に伴い多品種少量生産とな り、製品コストの低減のため、海外からの製品・部品輸入を行うメーカーも増えている。また反 対に、低価格の輸入家具に対して、素材やコンセプトにこだわり、日本的なデザインを取り入 れ、外国製品ではまねできない細かな技術を駆使した高品質な製品作りを行うことで特色を打ち 出すメーカーも出ている。流通面では、従来の家具専門店や百貨店が減少し、大型家具店やホー ムセンター、生活雑貨店が増加するなどの変化が見られ、インターネットやカタログを利用した 通信販売も一般的になるなど、多様化する販売ルートへの対応が求められている。 こうした中、

業界では、従来ある駿河指物木工技術などの高度な技術力を駆使し、デザイン性・イン テリア性 の高い家具をベースにした生活空間全体の提案や、個人宅や相手先ブランドでの受注生産を行う ことで市場拡大を目指している。また、新たな販売ルートとして、共同でインターネット販売を 開始し、高品質で個性溢れる「シズオカ」ブランドを広くPRしている161

岡山の繊維産業では近年の142の事業所を対象としたアンケート調査によると、海外生産に ついては回答

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社のうち68%はなしと回答した。岡山県内での生産比率については回答

125

社のうち45%が

100%県内と答えた。80~100%を加えると53%になる。輸出している

のは回答

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社のうち18%に過ぎなかった。こうしたことから岡山県の繊維産業は、内需中心 で国内生産のウエートが高いといえる。なお、価格競争の厳しい定番ワーキングウェアや量産ジ ーンズなどは、海外生産が主力になっている。 現在地に立地しているメリットについては「周辺

158 鎌倉健『産業集積の地域経済論』130-2.145頁:『2015年版中小企業白書』175頁。

159 地域発イノベーション事例研究調査研究プロジェクト編著『地域発イノベーションⅡ—東北企業の資源発 掘・展開・発展—』46-50頁。

160同上89-102頁。

161 『データでみる静岡県の地場産業』7頁。

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業種がそろっている」という回答が

26%、次いで「産地内連携をしやすい」

(17%)、「適切な分 業体制ができている(12%) 、「情報を入手しやすい」(11%)となっている(回答

123

社。2つ回 答)162

こうしたメリットを生かした企業がある。

A社は染色から、織布、縫製、洗い加工までの各業種が集積している強みを生かし、高い技術 力を持つ産地の関連企業と連携し、海外では生産できない高付加価値ジーンズを小ロットで企 画・製造している国内生産

100%の企業である。同社はヨーロッパへジーンズを輸出している。

ジーンズの一貫生産ができる産地背景を活用し、マーケットと産地を結び付けるコーディネー ターとしてのジーンズカジュアルビジネスを成功させた企業がある。同社は技術力のある産地企 業を組織し、アパレルメーカー、ショップからの別注商品を受注し、パターン作成から納品まで 対応している。

生産を中国に移す傾向が強い中、一貫して国内生産に軸足を置いているジーンズ洗い加工の企 業がある。今売れているもの・売れるものが小ロットで今すぐ欲しいという産地内企業等からの 要望への対応に、国内生産の利点が発揮されている。

染色業界は、天然素材・合繊の表地、裏地の染色から、原反仕上げ加工までの幅広い小ロット 対応か、または得意分野に特化した対応により、産地での役割を果たしている。ユニフォーム用 などのポリエステル・綿混紡生地の染色に特化したことでフル稼働の企業もある。

学生服業界は国内生産基盤がなければ、新入学時期に集中する納期に対応することが難しく、

自社工場に加え、県内中心に、関係会社、協力工場の生産チームを形成することにより、多品種 小ロット、短納期生産に対応している163

岐阜県の東濃地域(多治見市、土岐市、瑞浪市)には 和洋食器、各種タイル(特にモザイクタ イル)、陶磁器用はい土など、陶磁器に関連する各種製品を製造する企業が集積し、産地を形成し ている。陶磁器の産地としては、全国一の規模であり、和洋食器、各種タイル(特にモザイクタ イル)、絵付け、陶磁器用はい土など、多くの分野で全国一のシェアとなっている。

陶磁器製飲食器市場は、バブル景気以降大きく落ち込んでいるが、岐阜県の主力であるモザイ クタイルは、マンション需要が底堅いことから、減少傾向にあるものの落ち込みは小さい。なか には新しい需要を開拓すべく、大学等と共同で研究開発に取り組む企業がみられる。

マイナスイオンを発生するタイル 、水に浮く(比重 0.85)超軽量タイル「カルセラ」 、防汚・

消臭・抗菌タイル「美濃焼CTタイル」 、太陽熱で発電するソーラータイル 、芝や苔を生やし た緑化・温暖化防止タイルなどである。「美濃焼」と「実のある」を掛けて「MⅠNOIR」とい うブランドで販売している。

紙産業では美濃和紙の流れを汲み、かつては家庭紙を中心に生産していたメーカーが、大手メ ーカーの参入や市場の成熟化、価格競争の激化などから、これまで培ってきた紙の抄紙技術を生 かして、新たな製品分野に進出して業績を上げている例がある。電気・電子材料用原紙やガラス 合紙など産業分野で使用するもののほか、不織布といった新たな素材や製法への展開を図ってい るものなどである。また、謄写版原紙、新聞印刷用紙型用紙を経てセラミックス製品へと主要生

162 『岡山県の繊維産業 平成23年』37頁。

163 『岡山県の繊維産業 平成23年』20-21頁。

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産品目を変えてきているメーカーもある。これは、これまでの抄紙技術や設備を生かし、さらに 独自の研究開発を行いながら、変化する時代の要請に応えるような製品開発を行ってきたもので ある。

刃物産業でも新製品開発専用の研究室を設けたり、プロのデザイナーを採用したりするなど研 究開発体制を強化し、新製品を1年あたり数点開発している。刃の技術を生かした先端産業や新 分野、特に医療用分野に参入している。

熟練技術者の技能が不可欠な包丁やはさみ業界では、料理人、理髪師などプロ用の高級品市場 にターゲットを絞り、高付加価値製品で差別化を図る企業が見られる。

また新製品の開発や自社ブランド確立の強化を図る一方で、一定の利益を確実に得られるOE M生産も維持し、2本柱で行っている。

岐阜県のプラスチック製品製造業は、製造している製品も多岐に渡り全国に大量に出荷してお り、全国シェア上位に占める製品も数多く見られる。自動車関連が好調であることから、自動車 部品製造企業の売上が増加している。しかし、スーパーやコンビニ、住宅関連業者向けの製品加 工業者は、個人消費やその他の需要の低迷から売上は減少している。また、電子部品関連につい ては、サイクルが短く安定した受注の確保が難しく、また小ロット・短納期、価格競争の要求が厳 しい状況にある。

現在、プラスチック製品の製造業者に求められるものは、高度な生産技術と徹底した品質管理 体制の中で、製品の企画から設計、金型製作、試作品、切削加工から量産、組み立てまでの一貫 した生産システムである。

最近では植物を原料にした新しいプラスチックが、「環境にやさしい材料」として注目されて いる。石油資源に由来したものとは異なり、原料が枯渇する心配がなく、微生物によって分 解される。しかし、分解する時期の特定や耐久性の問題等があり、市場への出荷はごくわずかに 止まっている。一方、従来型の石油系樹脂もリサイクル技術により環境対策において活路を開こ うとしている。古くなった製品をリサイクルして、再び同じ製品として出荷できる体制がとられ ている164

沖縄ハム総合食品(読谷村。1977年創業)はソーキ汁、テビチ、ハム・ソーセージなどを 製造していたが、2000年頃に拡大戦略を止めて、差別化が難しく、価格競争が激しい食肉の 販売ではなく、付加価値の高い加工食品を製造・販売する方針に転換した。現在は売上中、加工

食品は

95%である。オキハムは名護市に北部養豚農業組合を立ち上げ、その後、同所で北部食肉

センターを設立したのを切っ掛けに仕入れは基本的に県内となった。大手が簡単に手を出せない 産地や数量が「限定的な食材」を使うことを新商品開発の柱とした。そこで畜産農家、地域の農 産物の生産者・JAや行政、商工会との繋がりを重視した経営を行い始めた。例えば、コープお きなわと共同で「地域連携商品」を開発した。地元の生産者から大きくなりすぎた冬瓜を何とか したいという情報をもとに商品を開発したり、食肉センターで解体され売りづらい部位をハムに 加工したりして、その収益の一部は産地に寄付するといったことである。また安定した原材料を 確保するために北部の

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市町村所在の農家と協力して「農業生産法人もとぶウェルネスフーズ」

を立ち上げ、自社生産を展開した165。こうして地域クラスターを構築していった。

164 岐阜県産業経済振興センター(財団法人)『地場産業等調査』平成31年3月

165 『ビッグデータで選ぶ地域を支える企業』162-170頁。

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