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図22粒度組成Te Anau

 確かにTe AnauのレスはESR値が低く、この考えを支持しているものの、

AkaroaレスやBalcluthaのレス中の石英には、かなり古い時代の岩石に由来 する石英が多く含まれている。したがって、北島南部のレスと同じようにオ ーストラリア大陸起源の風成塵が混入しているものと考えざるを得ない。

 これについてはMcTainsh(1989)がオーストラリアからのdust stormの頻 度やdus t輸送量について報告しており、最終氷期においてもオーストラリア から東方へdus tを運ぶ強い風が吹いていたことを明らかにしている。

 また、オーストラリア南部を寒冷前線が通過する際に巻き上げられた血st が、赤い雪や雨としてニュージーランドに降ったという記録もあり(例えば、

Knightθ∫81.,1995)、乾燥・寒冷化した氷期において、現在以上にdust の輸送が活発だったと考えることができる。この点についてHesse(1994)も、

タスマニア海の海底コア中のdust fluxをもとめ、オーストラリアからのdust

供給量がMIS 2やMIS 4の時期において特に多くなっていた事実を明らかに

している。

6−3 太平洋西岸の風成塵と古風系の復元

 日本・台湾・ニュージーランドの風成塵のESR分析による結果を以下の ようにまとめることができよう。

①最終氷期最盛期に日本列島に飛来した風成塵は、大きく3つのグルー   プに分けられる。

  1本州中部以北にはESR値がおおむね12.0以上の風成塵が分布する    る。これらの風成塵は、シベリアやモンゴル高原に広がる先カンプ    リア紀岩石の露出地帯から飛来したものである。

  皿本州中部〜沖縄本島までは、中国黄土高原のレスと同じようなESR    値を示す土壌が多い。これらの地域には今日の黄砂現象と同じような    dust現象が頻繁に発生し、中国内陸部の乾燥地域から風成塵が供給さ    れていたものと考えられる。

  皿琉球列島南部の土壌はESR値がおおむね10.0以上の微細石英を含む。

   この地域の風成塵は中国南部や南アジアから供給された物質が含ま    れている可能性がある。

②台湾の風成塵は氷期に干上がった大陸棚や氾濫原などを給源とする   middle rangeの石英の影響を強く受けている。

③ニュージーランドのレスのうち、北島の南端から南島にかけてオースト

  ラリアを給源とする風成塵が多く混入している。

 ①一1については、福澤ほか(1994;1997)および大井ほか(1997)など が、日本海の深海堆積物に見られるイライトの結晶度をもとに過去のモンス ーン変動を明らかにしており、シベリア方面からの北西モンスーンの強さと 風成塵の供給との関連を考えるうえで、重要な示唆を与えている。

 ①一虹については、黄土高原レスの粒度分析(肖ほか,1992)などによっ て、MIS 2のような寒冷期に中国の華北地方でも冬季モンスーンが活発だっ たことが明らかにされている。しかし、ESR分析によって、中部日本では モンスーンよりも強い夏季偏西風ジェットの影響を受けたことが明らかにな

った。

 ①一皿および②については、石垣島では冬季亜熱帯ジェットの影響下に入 る12月から5月までの冬〜春先に黄砂現象が集中する(成瀬・井上,1990)

ことから、氷期においても冬季偏西風ジェットによって風成塵が運ばれたと 考えられる。

③については、McTainsh(1989)が最終氷期にオーストラリアから東方へ dustを運ぶ強い偏西風が存在したこと、またHesse(1994)がオーストラリア からのdus t供給がMIs 2かMIs 4に増加していたこを指摘しているように、

乾燥・寒冷化した氷期において、オセアニアでは偏西風の北上に伴ってオー ストラリアからニュージーランドへ風成塵が多く供給されたと考えられよう。

7結論

7−1まとめ

以上のことから、太平洋西岸における最終氷期最盛期(MIS 2)の風成塵

の供給源と風系は以下のように整理される(図23)。

 1、太平洋西岸において、最終氷期には気候が寒冷・乾燥化してモンスー    ンや偏西風が強まり、風成塵の供給・運搬量が増加した。南半球にお    いても同様の現象が起こった。

 2、本州中部以北の地域では、冬季にシベリア高気圧から吹き出す北西モ    ンスーンが強まり、polar jetの位置も南下していた。

   本州中部から沖縄本島までは北西モンスーンよりも偏西風の影響を受    けるようになり、北方アジアや中央アジアから多量の風成塵が日本列    島に運び込まれた。

 3、南西諸島南部には冬季に亜熱帯偏西風ジェットによって、アジア大陸    南部の先カンプリア岩地域から風成塵が運ばれ、堆積した。

   台湾では標高3000mを越す台湾山脈から流れ出す多量の物質が表層土    壌に混入するため、土壌母材を占める広域風成塵の割合は希薄である。

 4、オセアニアの偏西風帯はMIS 2に北上し、その強風軸はオーストラリ    ア南部からニュージーランド中部にかけてのびていた。

   これまでニュージーランドレスはニュージーランドアルプス氷河起源

   のものがほとんどであると考えられてきたが、本研究によってオース

   トラリアを給源とする風成塵の存在を指摘することができた。

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