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表8‑15現 代 ・山村 住 居 の 室 規 模 分 布(1階 ・畳 数 別 室 数)

室規模 く畳) 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 18 19 20 21 23 (%)

平 均 室 数平 均室

規模 圖

現 代

山 村 住 居

(

1

)

I

II

m

IV

V

VI 1

1 4

4 3

5

1 2

1

6 4

2

9

39

6 1

1

1 2

1

16

45

21

3

1 1

4

3 1

1

2

10 (5.2)

3 (L6) 36 (18.7)

107 (55.7)

32 (16。7)

4 (2.1)

2.0

3.0

3.0

4.1

4.6

4.0 6.8

6.7

6.7

6.8

7.6

7.0

(%)

2 (1.0)

8 (4.2)

9 (4.7)

9 (4,7)

60 (31.2)

3 (1.6)

88 (45,8)

1 (0.5)

(4.2)8 (0.5)1

(0.5)1 (LO)2

(100.0)192 3.7 6.9

近 代 ・山村 住 居 16 (6.1) 9

(3.5)(17.3)45

1ユ (4.2)

(11.5)30 (二)

(23.5)61 (二)

(9.2)(:)24 14 (5.4)

5 (1.9)

{2,7)7 (7.7)20 3 (L2)

8 (3.1)

1 (0.4)

1 (0,4)(1.5)4

1

(0.4)(loo.o)260 3.7 8.3 改造 ・山 村住居 7

(2.1)12 (3.7)

59 (18.1)

22 (6.7)

66 (20,2)

6 (1.8)

107 (32.8)

3 (0.9)31

(9.5)

(:)

(1.8)6 1 (0.3) 2

(0.6) 4 (12)

326

(1ω 4.7 6.7

近 代 ・山村 住居 (312> (35.0) (26.9) (6.9) (10D.0)

改 造 ・山村住 居 (30.7) (55.8) (13.5) (一) (10 .0)

現 代 ・山 村 住 居 (14.6) (79.2> (6.3) (一) (100』)

室 の 規 模 型 小 型 中 型 大 型 特 大 型

注)室 規 模(畳)は1畳 未 満 の端 数 を4捨5入 して い る。

大 型(10畳 以 上)に 分 類 して 比 較 を お こ な う。

歴 史 的 な流 れ か らみ る と、近 代 住 居 → その 改 造 住 居 → 現 代 住 居 の 順 に な るの で 、上 記 の 分 類 に した が って こ の順 に み る と、小 型 の 室 は31.2%→30.7%→14,6%と 減 少 す る。近 代 住 居 とその 改 造住 居 で は あ ま り差 が な い が 、現 代 住 居 で はか な り減 少 して い る。6畳 未 満 の 小 型 の 室 は、近 代 住 居 や その 名 残 り を と どめ る 改 造 住 居 で は約3割 を 占め て い る が 、現 代 住 居 に な る と1割 強 に減 少 して い る。 これ は伝 統 的 な小 型 の ネ マ の 中 型 化 に よ る もの で あ る。

次 に 、 中型 の 室(主 と して6畳 、8畳)は35.0%→55.8%→79.2%と 変 化 し、現 代 は近 代 の 倍 増 とな り、大 き な増 加 で あ る 。現 代 住 居 で は 中 型 の 室 は約8割 を 占め 、 こ こ に標 準 サ イ ズ とい え る 室 規 模 が確 定 して きて い る。 近 代 住 居 で は ブ ツ マ や 中 型 の ネ マ に相 当 す る広 さで あ る。

次 に10畳 以 上 の 大 型 の 室 は 、26。9%→13.5%→6.3%と 減 少 して い る。これ は い うま で も な く改 造 住 居 に お い て は ヒ ロマ(近 代 にお い て は 平 均14.5畳)が 分 割 さ れ 、上 記 の 標 準 サ イ ズ(6〜8畳) の 室 に な り、現 代 に お いて は ヒ ロマ 機 能 を伝 承 す るD、L、R関 係 の 室 は 当初 よ り中型 の 標 準 サ イズ につ く られ るか らで あ る。

以 上 、 近 代 住 居 や そ の 改 造 住 居 と比 較 した現 代 ・山村 住 居 の 特 色 的 な傾 向 は 、小 型 、 大 型 の 室 の 減 少 、 中 型(6畳 、8畳)の 室 の 増 加 傾 向 で あ り、 中型 の 室 は 全 室 数 の 約8割 を 占め る に至 っ て い る。 室 の 標 準 サ イ ズ化 と い い う る もの で あ る。

最 後 に2階 部 分 で あ る(表8‑16)。 近 代 住 居 の2階 は ア マ と して 使 用 され 、居 室 は ほ とん ど皆 無 で あ っ た。しか し、改 造 住 居 で は2階 の ア マ の1部 を 区 画 して ネ マ を と る よ うに な り、平 均1、7室 、 6.0畳 と2階 の 居 室 化 が 進 行 した 。 この 傾 向 は現 代 住 居 に お い て さ ら に進 行 し、平均 室数2.1室 、 平 均 規 模6.7畳 とな っ て い る。室 規 模 の分 布 をみ て も、改 造 住 居 と現 代 住 居 の変 化 は 、小 型 の 室 は 31.4%→16.7%と 減 少 し、中 型 の 室 は67.8%→80。6%と や や 増 加 して い る。 こ こで も室 の標 準 サ

イ ズ化 が現 象 して い る。

4.6S系 ・L系 空 間 の 配 分

本 論 で は 住 空 間全 体 に 占め るS系(サ ー ビ ス系)空 間 とL系(リ ビ ン グ 系)空 間 の割 合 、す な わ ち そ れ らの配 分 率 に つ い て も留 意 して きた 。 本 項 で は、 現 代 ・山 村 住 居 のS系 ・L系 空 間 の配 分 率 を近 代 お よび そ の改 造 住 居 との 比 較 に お い て み て お きた い 。前 項 と同 じよ うに 、時 代 の 流 れ に そ って 近 代 → そ の 改 造 → 現 代 の順 に み る。

まず 、1階 床 面 積 は 、49.5畳 →62.8畳 →49.8畳 とな り、近 代 と現 代 は ほ とん ど等 し く約50畳 で あ る。改 造 住 居 がや や 大 き いの は 、K(台 所)やC(押 入)等 を事 後 的 に追 加 した か らで あ る。次 に 、

S系 空 間 につ い て み る と、16.1畳 →29.5畳 →22.7畳 と な り、改 造 住 居 や 現 代 住 居 で は 拡 大 傾 向 に あ る。S系 空 間 の拡 大 傾 向 は 、 上 記 のK、Cの 他S(通 路)、W(便 所)、F(浴 室)の 設 置 も原 因 の ひ とつ で あ る。こ う したS系 空 間 の 充 実 が 現 代 生 活 の 必 要 条 件 と な っ て い るか らで あ ろ う。一 方 、

表8‑16現 代 ・山村 住 居 の 室 規 模 分 布(2階 ・畳 数 別 室 数)

室規 模(畳) 2 3 4 5 6 7 8 9 10 12

(%) 平 均 室数 平均 室

規模 圓

1 1 5 2 8

(7.4) 1.6 6.3

3

II 1

1 1

(2.8) 3.0 7.7

III 1 2 1 2 5 2 8 21

(19.4) 1.8 6.1

IV 2 1 1 4 20 24 52

(48.1) 2.0 6.6

V 1 2 3 1 13 1 1 22

(20.4) 3.1 7.3

A

2

VI 1 1 2

(1.9) 2.0 9.0

V

計(

%) 3 (2.8)

4 (3.7)(3.7)4

7 (6.5)

34 (31.5)

3 (2.8)

49 (45.4)

1 (0.9)

(1,9)2 (0.9)1 108

(100.0) 2.1 6.7 改 造 ・山村住 居 4

(3.4) 7 (5.9)

10 (8.5)

16 (13.6)

41 (34.7)

2 (1.7)

36 (30.5)

1 (0.8)

1 (0,8) (一)

118

(100.0) 1.7 6.0

改 造 ・山村 住 居 (31.4) (67.8) (0.8) (100.0)

現 代 ・山村 住居 (16.7) (80.6) (2.8) (100.0)

室 の 規 模 型 小 型 中 型 大 型

注)室 規 模(畳)は1畳 未 満 の 端 数 を4捨5入 し て い る 。

L系 空 間 は33.4畳 →33.3畳 →27.1畳 と な り、 現 代 住 居 が や や 縮 小 さ れ て い る 。 そ の 分 がS系 空 間 に 配 分 さ れ て い る と考 え て よ い 。

次 に 、2階 部 分 を み る と 、2階 床 面 積 は39.1畳 →46.3畳 →35.2畳 と な り、 改 造 住 居 で は 増 加 、 現 代 住 居 で は 減 少 と な っ て い る 。 改 造 住 居 の 増 加 傾 向 は 、 上 記1階 の 増 築 に と も な う2階 床 面 積 の 増 加 に 起 因 し て い る が 、現 代 住 居 の 減 少 は 、近 代 に お け る ほ ど ア マ を 必 要 と し な く な っ た か ら で あ る 。 そ の こ と はS系 空 間 の 変 化 を み れ ば よ くわ か り 、39,1畳 →36.1畳 →21.0畳 と減 少 の 傾 向 を た ど っ て い る 。就 中 、 ア マ の 床 面 積 は39.1畳 →24.6畳 →14.6畳 と か な り大 き な 減 少 傾 向 を 示 し て い る 。近 代 に お け る ア マ の 養 蚕 や 貯 蔵 ス ペ ー ス と し て の 機 能 は 戦 後 の 現 代 に は 急 激 に 衰 退 し た か ら で あ る 。そ の 反 面 、L系 空 間 は0.0畳 →10.3畳 →14.2畳 と増 加 傾 向 を た ど り、2階 の 居 室 化 が 進 行 す る 。

以 上 、S系 ・L系 空 間 の 配 分 を1階 、2階 別 々 に み た が 、 全 体 と し て み る と 、S系 空 間 は55.2 畳 →65.6畳 →43.7畳 と な り 、 改 造 住 居 の 増 加 、 現 代 住 居 の 減 少 が 現 れ て い る 。 近 代 住 居 のS系

i①㊤1

表8‑17現 代 ・山村 住 居 の 各 部 床 面積

1階 積(畳)

1階

2階 積(畳)

2階

L系 空 間

L系

S系

S系

L系 空 間 上系

S系 空 間 S系 居室の

総畳嶺 覆 ・

T.

G.

K.

S.

C.

W.

便

F, 浴

下 こ

居室の 総畳数

B.

T,

塁 ・

S.

C.

A.

I II m IV V Vl

13.5 20.0 20.1 28.2 34.6 28.0

0.2 1.5 1.4 12 L9 1.5

0.1

1.0

02 1.1 1.5

13.8 22.5 21.6 29.5 37.5 31.0

2.5

3』

3.2

3.4

3.7

3.0

3.1 8.5 4.6 4.8 7.7 8.0

1.2

1.8 4.3 5.8 9.9

3.6 4.0 4.0 4.5 5.2 0.8

3.8 8.0 3.2 3.6 3.4 3.0

1.1 1.0 1.2 L3 2.2 1.0

OI8 2.0 0.4 1.2 1.2 2.0

0.3

0.3

0.3

0.9

(1、1)

(2.2)

(1.8)

(1.1)

(2.5)

(一) 16.3

26.5

18.8

23.3

30.2

27.7

30.1

49.0

40.4

52.8

67.7

58.7

10.1 23.0 10.7 13.1 23.0 18.0

〇.1

0.2

2.0

0.1

0.3

0.1

10.3 25.O lO.8 13.5 23.1 18.0

1.5

0.2

0.3

2.7 1.0 1.5 2.5 3.7 0.8

0.7 5.5 4.5 4.4 3.0 2.5

2.7

14.O l6.1 18.1 30.5

6ユ

8.0

20.0

23.2

25.1

33.8

16.4 33.0 30.8 36.7 48.2 51.8

46.5 82.0 712 89.5 116.0 110.5 現 代 ・山村 住 居

平 均 、(%)

25.6 (30.1)

1.2 0.3 27.1 (31.9)

3.3 5.1 3.6 4.3 1

3.6 1.4 1.0 0.4 〔1.5)

22.7

〔26.7)

49.8 (58.6)

13.9 (16、4)

0.0 O.3 14.2

(16.7)02 2.4 3.8 14.6 2LO (24.7>35.2

(41.4}85.0 (100.0) 改 造 ・山村 住 居

平 均 、(%)

31.3(

28、7)

1.8 0.2 333 (30.5)

4.3 4.9 5ユ 6.0 5.7 1.5 1.3 0.6 (2.4〕 29.5

(27,0)62.8 (57.5)lO.2

(9.3)

0.1 10.3

(9.4) 0.1 2.2 9.2 24.6 36.1 (33.1)

46.3 (42、4)

1092 (100.0) 近 代 ・山村 住 居

平 均 、(%)

(35.4)31.4 1.8 0.1 33.4 (37.7)

3.1 0.7 5.2 3.7 2.0 0.8 0.1 0.3 (0.1) 16.1 (18.2)

49.5 (55.9)(:)

39.1 39.1

(44,1)39.1 (44.1)

88.6 (100.0)

注)ド マ は 参 考 ま で に 内 数 と し て 計 上 し て い る(玄 関 ドマ を 除 く)。

加 は 上 に も述 べ た よ うに付 加 空 間 に よ るK、C等 の 設 置 に起 因す る もの で あ り、現 代 住 居 のS系 減 少 は 何 とい って も2階 ア マ の 消 失 が大 き な 原 因 で あ る。 他 方 、L系 空 間 は33.4畳 →43.6畳 → 41.3畳 とな り、現 代 に お い て は10畳 強 の 増 加 とな って い る。 これ は2階 の 居 室 化 に よ り、全 体 と

して ネ マ を数 室確 保 し よ う とす る現 代 的 志 向 に起 因 して い る。

最 後 に1階 、2階 の 空 間配 分 率 にふ れ て お く。1階 の 空 間 配分 率 は55.9%→57.5%→58.6%と な り、微 増 の 傾 向 を示 して い る が大 き な差 で は な い。す な わ ち、全 住 空 間 に 占め る1階 床 面 積 の 割合 は 、6割 弱 で 大 き な変 化 は な い。 した が っ て 、2階 床 面 積 の 割 合 は 、4割 強 で 近 代 以 降 現 代 まで 大 きな変 化 は な い 。これ は近 代 に確 立 した モ ヤ 主 要 部 を総2階 建 とす る 当地 の 伝 統 的構 法 に よ る と こ ろが 大 き く、 近 隣 の 都 市 部 ・金 沢 の2階 率 が約3割(後 述)で あ る の に比 べ る と高 率 で あ り、全 住 空 間 に 占め る2階 の 面 積 的 ウ エ イ トが 大 き い。 この あ た りに も当 山村 の住 居 伝 統 が み と め られ る。

5.住 空 間 の 伝 統 性 と新 規 性

い ま まで 述 べ て きた 諸 現 象 は 、 旧 来 の伝 統 性 と現 代 化 に と も な う新 規 性 の両 面 を現 して い た が 、本 節 で は そ れ ら以 外 と くに 注 目 して お か ね ば な らな い伝 統 性 と新 規 陛 に つ い て ふ れ て お きた

いo

5.1S系 空 間 の 内 部 分 散 化

全 住 空 間 はS系 空 間 とL系 空 間 か ら成 る。当 山村 住 居 も例 外 で は な い が 、近 代 に お け るS系 空 間 は 、 前 面 の サ シ カ ケや フ ロ ン ト・ス ペ ー ス に 集 約 され て い た こ と につ い て は前 章 で 述 べ た 。 す な わ ち 、S系 空 間 の 前 面 配 置 が 特 色 で あ り、 そ の 奥 に ヒ ロマ ・ブ ツマ ・ネ マ な どのL系 空 間 が き た 。 これ が 伝 統 的 な住 空 間 構 成 手 法 で あ っ た が 、戦 後 の 現 代 で は 多少 様 子 が 変 っ て きて い る。す な わ ち 、S系 空 間 の 配 置 場 所 が 必 ず し も前 面 配 置 とな らぬ もの が 現 れ て きて い る とい う こ とで あ る 。 そ こで 、全52例 を この 観 点 か ら分 類 す る と、1)旧 来 の 前 面 配 置 、2)新 規 の 非 前 面 配 置 、3)新 規 の外 化 分 離 配 置 の3種 類 とな る。 以 下 、 そ れ ぞ れ に つ い て述 べ る。

1)前 面 配 置

こ の タ イプ は 、52例 中37例(71.2%)で や は り最 高 率 を 占め 、 現 代 ・山村 住 居 の 伝 統 性 を う か が わせ る。

2)非 前 面 配 置

こ の タ イプ は 、52例 中8例(15.4%)と 低 率 で あ るが 、新 規 の 傾 向 と して 把 えて お きた い。

非 前 面 配 置 とは 、①S系 空 間 が 前 面 か ら側 面 に わ た る もの(Nα12)、②S系 空 間 が 前 面 と背 後 に分 散 され る もの(Nα6、11)で あ る。 こ の よ うな 非 前 面 配 置 の 手 法 は 、S系 空 間 をL系 空 間

か らで き るだ け分 離 し よ う とす る志 向 性 、あ るい は 他 の室 との 動 線 上 の利 便 性 に対 す る志 向 性 等 に よ って い る。 した が って 、そ の 意 味 に お い て は1日習 を脱 した 現 代 的 合 理 性 を もっ て い

る もの で あ る。

3)外 化 分 離 配 置

こ の タ イ プ は 、52例 中7例(13.5%)と 低 率 で あ る が 、や は り新 規 の 傾 向 で あ る の で と りあ げ る。外 化 分 離 配 置 とは 、住 空 間 の あ る部 分 が オ モ ヤ か ら大 き く突 出 し独 立 性 を も って 配 置 され る もの で あ る(Nα14、26、44、45、47、49、51)。 伝 統 的 な近 代 住 居 に は この よ うな外 化 分 離 は な か った 。Nα14で はG、C、W等 が外 化 分 離 され 、Nα26で はG、W、8畳 が 、Nα45で は10畳 が 、Nα44、47、49、51で はK、C、F等 が 大 き く外 化 分 離 さ れ て い る。 こ れ らの 外 化 分 離 傾 向 は客 室 の 独 立 性 や 水 ま わ リス ペ ー ス(K、W、F等)をL系 空 間 か ら隔 離 し よ う とす

る もの で あ り、 近 代 に み られ た伝 統 性 に 比 べ る と現 代 的 新 規性 とい え る。

以 上 、S系 空 間 の 配 置 をめ ぐっ て3種 類 の 配 置 手 法 をみ た が 、伝 統 的 な 前 面 配 置 は 約7割 を 占 め 、つ よい 慣 習 性 が み とめ られ た が 、そ の 反 面 約3割 が 非 前 面 配 置 や 外 化 分 離 配 置 の 新 しい 傾 向 を示 し、現 代 化 の徴 候 を示 して い た。 こ う した徴 候 は 、結 局 近 代 に お い て 完 成 され た 山村 住 居 の 伝 統 的 計 画 理 念(そ れ は 更 に 前 時 代 に遡 及 す る定 型 化 し た住 生 活 様 式)の 解 体 を 意 味 す る もの で

あ っ た 。

5.2空 間 隔 離 の 不 整 形化

近 代 住 居 に み られ た よ うに 、伝 統 的 な手 法 で は1階 の 間仕 切 は タ テ 、 ヨ コ と もに 通 る の が 原 則 で あ っ た 。 これ は 当 山 村 の み な らず 、一 般 に 田字 型 と い わ れ る民 家 に共 通 す る もの で あ る。 ヒ ロ マ 型 の 民家 に お い て も、 ヒロ マ に つ づ く諸 室 は 田字 型 を原 則 と して い た 。 この よ う な タ テ 、ヨ コ の 間 仕 切 が 通 る整 形 の 室 空 間構 成 は 、い わ ば わ が 国 の 伝 統 的 民 家 の 空 間 隔 離 手 法 で あ っ た と い え る。

しか し、 現 代 住 居 に な る と この よ うな 整 形 が か な り崩 れ て くる。 す な わ ち 、 タ テ 、 ヨ コの 間 仕 切 が 通 らず喰 違 うも の が み られ る よ うに な る。そ れ は52例 中15例(28.8%)で 約3割 で あ るが 見 逃

す こ とが で き な い もの で あ る(Nα5、6、7、8、15、26、33、39、41、43、45、46、47、48、50)。

室 空 間 の喰 違 い構 成 は 、室 相 互 の 関 係 を ご く自然 に機 能 的 に 結 びつ け る場 合 に 必 然 的 に 生 ず る 現 象 で あ る 。そ の 意 味 で は約3割 の不 整 形 な室 空 間 隔離 は 、住 空 間 構 成 の 合 理 化 を求 め た結 果 と して 評 価 さ れ よ う。 た だ し、52例 中37例(71.2%)の 約7割 は 旧来 の 伝 統 的 な整 形 室 空 間 隔 離 を踏 襲 して い る。

前 項 のS系 空 間 配 置 に お い て も、伝 統 型約7割 、現 代 型約3割 に な っ て い た 。本 項 の 室 空 間 隔 離 手 法 にお い て も伝 統 型約7割 、 現 代 型 約3割 に な り、 両 者 は 共 通 して 同 比 率 で あ る。 現 代 ・山 村 住 居 の 現 代 性 な い し新 規 性 は 、 戸 数 比 率 に して 約3割 とい った とこ ろか 。

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