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家 庭 優 先 自 立 志 向 夫 の 家 事 育 児 サ ホ ゚ ー ト
やりがいのある仕事夫や夫の親の反対周囲からのサポート
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Figurelノ居住状況における尉労継続・退職の理,由得,点
51
家 庭 優 先
やりがいのある仕事 自立志向
夫や夫の親の反対 夫の家事育児サポート 周 囲 か ら の サ ポ ー ト 52
や「家庭優先」のような女性自身の要因,「やりがいのあ る仕事」といった仕事や職場環境の要因よりも,夫や夫 の親の要因のほうが,影響力が強いことを示唆してい る。また,実際に子育てに力をかしてくれる「自分の親 や周囲からの育児サポート」は,就労継続を促す要因と なっているが,「夫の家事育児サポート」は,就労継続・
退職の選択への影響力は低いことが示唆された。
全体的考察と今後の課題
本研究は,育児期女性の就労継続・退職にかかわる要 因として「就労継続・退職の理由」に注目し,幼児を持 つ夫婦1,062組を対象に検討した。「就労継続・退職の 理由」については,学歴,居住状況そして退職経験の有 無との関連について検討し,さらに「就労継続・退職の 理由」が継続・退職に及ぼす影響についても検討した。
結果から,主に以下の3点が明らかにされた。
1.就労継続・退職の理由について
本研究の結果から得られた第1の成果は,女性が結 婚・出産の過程で仕事をやめる,あるいは継続すること を決める理由として,「家庭優先」,「やりがいのある仕
事」,「自立志向」,「夫や夫の親からの就労反対」,「夫の
家事育児サポート」,「自分の親や周囲からの育児サポート」の6要因が確認されたことである。この6要因には,
女性自身の考え方のみならず,女性の認知する夫や夫の 親の価値観や自分の親からのサポート状況なども含まれ ており,女性の就労が家族の状況に左右されている様相 をより包括的に捉えたといえよう。特に「夫の親」につ いての項目は就労継続を阻害する因子に含まれ,逆に
「自分の親」についての項目は就労継続を促進する因子 に含まれているという,対極的な特徴が明らかにされ,
女』性の就労継続にかかわる夫の親と自分の親の役割の違
いが浮き彫りとなった。就労を継続している女性と退職した女性における就労 継続・退職理由を検討したところ,退職経験の有無には 就労継続・退職理由の6要因がそれぞれ関連しているこ とが示された。したがって,就労継続・退職というライ
フコースには,女性自身の就労や子育てに対する意識,仕事のやりがいや職場環境,夫や夫の親の就労への考
え,さらに自分の親や周囲からの家事育児サポートの状 況が関連していることが確認された。2.就労継続・退職の理由と学歴・居住状況との関連 第2の成果は,「就労継続・退職の理由」は学歴や居
住状況に関連していることが明らかにされたことであ る。学歴の分析結果からは,「結婚あるいは出産後には女性は家庭に入る」という家庭優先の考え方が,夫婦と
も高学歴層では重視されなくなっていることが示され た。学歴が高くなるということは,それだけ本人の能力が高められ,さまざまな領域への関心も広がり,多様な
すいことを示唆している。さらに,「自分の親や周囲か らの育児サポート」は「自分の親近居同居群」が「夫の親 近居同居群」よりも高く,育児サポートは,自分の親か ら行われやすいことを示している。このことは,自分の 親との近居・同居が,すでに見た女性の就労継続を実現 する戦略として有効であることを示唆している。
4.女性の就労継続・退職に影響を及ぼす要因 それでは,「就労継続・退職の理由」は,退職経験の 有無にどのように影響しているのだろうか。前述のよう に,就労継続・退職の理由は,就労継続・退職の選択に 関連している様子が示されたが,就労継続・退職という 選択に影響を及ぼす要因が明確ではない。その点を明ら かにするため,「就労継続・退職理由」を独立変数とし,
退職経験の有無を従属変数とする判別分析を行った。判 別分析の結果,ウイルクスのAにおいて0.1%水準で統 計的有意性が得られ,判別的中率は,継続群については 72.1%,退職経験群については71.4%,全体として 71.7%であり,高い的中率が得られた。判別分析結果を 'mable6に示す。この結果でまず注目される点は,標準 化判別係数の絶対値が最も大きい変数が。「夫や夫の親 からの就労反対」であるということである。このことは,
就労継続・退職に最も影響を及ぼしている要因は,夫や 夫の親からの就労に対する反対であり,この要因は,他
の要因と比較して,最も就労継続・退職を左右する要因 として働いているといえよう。グループの重心の値から判断すると,「夫や夫の親からの就労反対」は,就労継 続の阻害要因となっていることがわかる。次に影響する 要因は,影響力の強い順に「自立志向」,「やりがいのあ る仕事」である。社会と繋がり自立していたいという志 向性や,やりがいのある仕事や職場環境が良いことは,
就労継続の促進要因であることが示された。また,「家 庭優先」は就労継続の阻害要因となっているが,標準化 判別係数の絶対値は,夫や夫の親の要因よりも低い。こ のことは.就労継続・退職という選択には,「自立志向」
Table6退職経験の有無の判別分析淀裸
681348297042 224502 ●●●●●●
標準化判別係数
発 達 心 理 学 研 究 第 1 8 巻 第 1 号
、772
‑.597 グ ル ー プ 重 心
継 続 群 退職経験群
育児期女性の就労継続・退職を規定する要因 53
職業選択が可能になる。自分の関心や能力が発揮された 職業だからこそ,育児期だからといってやめるという考 えを,妻も夫も重視しなくなったのではないだろうか。
また居住状況との関連については,育児サポートに関 して,自分の親が同居あるいは近居の状況にあるかが重 視されていた。また,自分の親と近居・同居の女性は夫 の親と近居・同居の女性よりも,夫や夫の親から就労を 反対されにくかったという点も注目される。自分の親と の距離が近い女性は,女性自身の考えが夫や夫の親に尊 重される傾向にあるが,夫の親との距離が近い場合に は,夫や夫の親の考えが重視される傾向にある。夫婦そ れぞれの親との距離によって,妻の就労に対する感情が 左右されるということは,親との距離が夫婦に及ぼす影 響は決して小さくないことが推察される。
3.就労継続・退職の理由が退職経験の有無に及ぼす影響 第3の成果は,就労継続・退職に影響を及ぼす要因が 明らかにされたことである。就労継続・退職の理由が退 職経験の有無に及ぼす影響を,判別分析により検討した ところ,育児期女 性の就労継続・退職に最も影響を及ぼ している要因は,「夫や夫の親からの就労反対」である ことが見出された。本研究は,調査時期が実際に退職や 継続を決めた時点ではなく回顧研究であることから,就 労継続・退職の要因については,就労をやめた.継続を 決めた当時の状況を振り返って回答している。したがっ て,因果関係を明確に強調することは困難ではあるが,
夫や夫の親が,妻に家庭に入ってもらうことを期待して
いたり,子どもを保育園に預けることを嫌がったりするという,夫や夫の親の要因が,女 性の就労継続・退職の 選択において,きわめて重要な規定因であるということ
はいえよう。このことは,女性の就労継続・退職という重要な決断は,仕事をしたいという女 性自身の感情以上 に,夫や夫の親の考え方に大きく左右されていることを 示しており,女性がいかに周囲に気を配り,家族関係を 調整しながらライフコースを決断しているかが間接的に
浮き彫りにされたといえよう。これまで,育児期に就労を中断することは女性にとっ
て当然であり,望ましいライフコースとされることが多 かった。しかし,そのような伝統的価値観は,近年,特
に高学歴の女性には支持されなくなってきている。この ように女性自身の価値観が変化しつつある一方,伝統的価値観を持つ夫や夫の親の態度を目の当たりにし,女 性
はその圧力に勝てず就労を断念せざるを得ない様相が,この結果からうかがえる。自分は働きたいと思っている 場合であっても,夫や夫の親に強く主張できないため,
あきらめざるを得ないという葛藤を抱えながら子育てを している女性は少なくないのではないだろうか。本研究
後に行われたインタビュー調査において,調査協力者の
1人(38歳,7歳,5歳,1歳の子の母親)は「出産・育児で休むと周りに迷惑だろう」という夫の一言で,10年間 続けた仕事をやめてしまったことを後悔していると語 り,さらに完壁な専業主婦である夫の母親から「働くこ とはだめだ」と言われていることが,夫に言われるより 辛いとも語っていた。
これまで,女 性の就労継続・退職に影響する要因は,
ほとんど明らかにされてこなかったが,夫や夫の親の価 値観・考え方が,女性の就労選択において重要な要因で あることが,本研究から明らかにされた。このことから 育児期に女性が就労を継続するためには,女性自身が真 剣に自分のライフコースを考えることはもちろんである が,夫や夫の親に関しても,自身の価値観が女性の育児 期就労継続の壁となり,ひいては無職の母親の育児スト レスを喚起する可能性なども認識する必要があると考え る。本研究では,女性のライフコースに影響を及ぼす要 因について検討してきたが,就労を継続したいという気 持ちや家庭の束縛を避けるという女 性自身の考え方に加 えて,夫や夫の親の考えという,本人以外の要因によっ ても女性のライフコースが左右されていることが明らか にされたことは,意義深いといえよう。
4.本研究の問題点および今後の検討課題
最後に本研究の問題点および今後の検討課題について 述べる。本研究では就労をやめた時点での就労継続・退 職の理由を質問しているが,その後,現在はそれらにど のような変化がみられるのかについては質問していな い。就労を迷ったりやめてしまったりした時点から現在 までは時間的な隔たりがあるため,現在はそれらが変化 している可能性も考えられる。女'性のライフコースを心
理的側面から検討する場合,過去に加えて過去から現在
に至る過程もあわせて検討することにより,その特徴が 一層明確化されると考える。さらに,近年,中年期女性の心理的状況が,就労状況 によって異なることが示されている(Silverberg,1996;
清水,2004)ことからも,中年期においては,どのよう な態度で就労しているかということが,女性自身の心理 的側面に影響してくるようである。今後は研究の対象を 中年期の女性にまで広げて検討することによって,女性
のライフコースと就労への態度との関係を明らかにしてゆきたい。
文 献
平山順子.(1999).家族を「ケア」するということ:
育児期の女性の感情・意識を中心に.家族心理学研 究,13,29‑47.
厚生労働省大臣官房統計'情報部(編).(2004).出生前 後の就業変化に関する統計(人口動態統計待殊報 告).東京:財団法人厚生統計協会.
厚生労働省雇用均等・児童家庭局(編).(2002).女性