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(9) 陸産・淡水産貝類

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陸産・淡水産貝類としては主として森林に生息する陸産貝類、池・川などに生息する淡水 産貝類と、河口のヨシ原などに生息する汽水産の貝類を扱う。ただし、この生息環境による 分類についてはあくまでも便宜的なものである。香川県には現在までに亜種、未記載種を含 め陸産貝類1 3 0種、淡水産貝類3 1種、汽水産貝類1 5種が確認されている。

陸産貝類は移動性に乏しいため各地で種・亜種に分化した結果、固有種や固有亜種が多く 記録されている。本県に生息する陸産貝類にはつぎのような特徴が認められた。第一に生息 に適したブナやケヤキなどの原生林が少ないうえ、種分化が著しく現れる石灰岩地が存在し ないにもかかわらず、狭い面績のわりに種数が多く固有種も生息している。第二に、小豆島 や豊島の集塊岩地帯に県本土側に見られない遺存的な種が分布している。第三に、植物分布 系でいわれる「襲速紀要素型」分布をする種が讃岐山脈の一部に分布している。第四に、里 山のみに局限分布する固有種がいる。第五に、本州〜四国東部、中国〜香川などのように海 を越えた周辺地域に連続した分布をもつ種がある。

香川県レッドデータブックに挙げた5 1種(亜種)を上述した特徴別に選定理由を述べてみ よう。県固有種(亜種を含む)はヤノムシオイガイ(絶滅危惧 類(CR+EN)) 、イソム ラマイマイ(絶滅危惧 類(CR+EN)) 、ショウドシマギセル(絶滅危惧 類(VU)) 、 ヤハタマイマイ(絶滅危惧 類(CR+EN))の4種ある。ヤノムシオイガイの産地は3産 地、イソムラマイマイは高松市と牟礼町の里山で2産地を確認し、各産地とも生息場所が局 限的である。ショウドシマギセルは海を挟んだ小豆島・豊島・屋島に分布するという珍しい 分布である。ヤハタマイマイは近畿・中国地方に分布するニシキマイマイの亜種であるが、

小豆島の集塊岩地帯で亜種分化した県固有亜種である。

また、四国固有種としてはシコクビロウドマイマイ(絶滅危惧 類(VU)) 、アワマイ マイ(絶滅危惧 類(VU)) 、シコクゴマガイ(準絶滅危惧(NT)) 、トサゴマガイ(準 絶滅危惧(NT)) 、アベゴマガイ(準絶滅危惧(NT))などがある。

つぎに、遺存種として小豆島や豊島の集塊岩地帯に長い地史の過程で孤立した個体群があ る。たとえば、ビロウドマイマイ(絶滅危惧 類(CR+EN))は本州に広く分布している が、近畿以西では小豆島にのみに分布する。クマドリオトメマイマイが四国西部から九州に かけて分布するのに対して、クマドリオトメマイマイ類似種(絶滅危惧 類(CR+EN))

は小豆島にのみ分布する種である。チャイロオトメマイマイ(絶滅危惧 類(CR+EN))

は本州と小豆島に分布する。神戸の麻耶山を模式産地とするマヤサンマイマイ(絶滅危惧 類(CR+EN))は小豆島と高松市の里山に分布している。

分布の上で重要な種がいくつかあり、県本土側の西部と東部で異なった陸産貝類相を示 す。トサギセル(絶滅危惧 類(VU))は上述した「襲速紀要素型」分布で、本県では讃 岐山脈の一部に分布する。シロマイマイ(絶滅(EX))とトサシリボソギセル(絶滅危惧 類(VU))は県西部の山岳部に分布する種であり、これらは高知県を中心に分布する。

シロマイマイは県内で唯一の生息地がダム工事のため消滅して絶滅してしまった。コウツム シオイガイ(準絶滅危惧(NT))やモリサキギセル(準絶滅危惧(NT))は県中東部と徳

種の解説

水産貝類陸産・淡

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島県東北部に分布している。ツルギサンマイマイ(絶滅危惧 類(VU))は徳島県に分布 の中心があり、本県では讃岐山脈の東部と西部のみで、中部は空白地域になっている。その 他に、本州〜四国東部に分布する種として、トサビロウドマイマイ(絶滅危惧

I

類(CR+

EN))

、ツムガタギセル(絶滅危惧 類(VU)) 、オオギセル(絶滅危惧 類(VU)) 、 ナラビヒダギセル(絶滅危惧 類(VU))、コシボソギセル(準絶滅危惧(NT))がある。

中国〜四国に分布する種としてハタケダマイマイ(絶滅危惧 類(VU)) 、チクヤケマイ マイ(準絶滅危惧(NT))がある。その他広域に分布するが産地が少なく絶滅が危惧され る種として、シリブトゴマガイ(絶滅危惧

I

類(CR+EN)) 、オオコウラナメクジ(絶滅 危惧

I

類(CR+EN))、カサネシタラガイ(絶滅危惧

I

類(CR+EN))、サドタカキビ(絶 滅危惧

I

類(CR+EN)) 、サナギガイ(絶滅危惧 類(VU)) 、イボイボナメクジ(絶滅 危惧 類(VU)) 、ホソヒメギセル(準絶滅危惧(NT))を選定した。これらの希少種の うちシロマイマイ以外の種や亜種は産地数や個体数が少ないがかろうじて生息している。

陸産貝類であるナタネキバサナギガイ(絶滅危惧 類(CR+EN))や淡水産貝類である ミズコハクガイ(絶滅危惧 類(CR+EN))やヒメヒラマキミズマイマイ(絶滅危惧 類

(CR+EN))などは湿地に生息する種であり、近年生息地を奪われ急激に生息個体数が減 少している。

淡水産及び汽水産貝類は種数や固有化の程度は貧弱である。それは、本県は日本一面積が 狭く、隣接県から流入する河川が存在せず、瀬戸内式気候のため年間降水量が少なく、讃岐 山脈から北流する河川は南北4 0 で標高差1, 0 0 0

m

を一気に流下するので下流部の湿地帯を 形成しにくいことがあげられる。

淡水産貝類では、カワネジガイ(絶滅(EX))は1 9 5 1(昭和2 6)年に高松市一宮町で採 集されて以来確認されていないので、既に絶滅したと考えた。マメタニシ (絶滅危惧 類 (CR

+EN))は生息地では多産する傾向があるので、かつては池の水際に多数の死殻が打ち上 がっていたが、今では死殻も見つけられず生息地も全く確認できない。マルタニシ(絶滅危

ためいけ

惧 類(VU))は、かつては溜池だけでなく水田の中に多数生息し大量に採集されていた

た め い け

が、今では県中部の溜池にかろうじて生息しているにすぎない。ヒメマルマメタニシ(準絶 滅危惧(NT))は水田に生息するため水田環境の変化によっては減少のおそれがある。こ れら淡水産貝類のほとんどは、農薬や化学肥料などによる水質汚染によって、生息環境を奪 われたものと思われる。また、マツカサガイ(絶滅危惧 類(CR+EN))は県内数箇所で 生息しているが、複数の生貝が確認できたのは2〜3箇所だけで他の生息地は既に絶滅した 可能性もある。この要因として、用水路が三面コンクリートに改修され、用水路の底に砂泥 が堆積しなくなり生息が困難になったことが考えられる。マルドブガイ(絶滅危惧 類(CR

+EN))は琵琶湖からの移入種と考えられるが、高松市の2箇所で生息が確認されただけ である。コウチミジンツボ(情報不足(DD))は地下水域に分布するため生息の確認が困 難であり、本県では1箇所でしか見つかっていない。

一方、汽水産貝類では、シイノミミミガイ(絶滅危惧 類(CR+EN)) 、ナギサノシタ タリガイ(絶滅危惧 類(CR+EN)) 、ワカウラツボ(絶滅危惧 類(CR+EN)) 、ムシ

種の解説

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ヤドリカワザンショウガイ(絶滅危惧 類(CR+EN)) 、ヨシダカワザンショウガイ(絶 滅危惧 類(CR+EN)) 、ツブカワザンショウガイ(絶滅危惧 類(VU)) 、ウスコミミ ガイ(絶滅危惧 類(VU)) 、ヤマトクビキレガイ(絶滅危惧 類(VU))はその大部分 が河口部のヨシ原や潮間帯上部の堆積物中に生息するが、種によっては個体数が急激に減少 している。これらの汽水産貝類は河口域の河川改修や干潟の埋立によって絶滅に瀕してい る。

(多田 昭・矢野重文)

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水産貝類陸産・淡

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